大阪教育大学教育イノベーションデザインセンター

科学×教育デザイン部門(旧科学教育センター)


水よう液の性質

 

Q.青色リトマス紙を箱から出してみたら青くなくなっていました。

A.密閉容器に保管し、買いだめをしないこと。(クリックで詳細表示)

1.青色リトマス紙を空気中に放置すると、空気中の二酸化炭素が紙の水分と反応し、弱い酸性になります。そのために元の青色が抜け、紫色っぽくなってしまいます。

2.リトマス紙は密閉容器に保存し、大量の買いだめをしないようにしましょう。

3.変色した青色リトマス紙の色を(どうしても)元に戻したいときは、大きめのシャーレなどにアンモニア水を少し注ぎ、アンモニア水に直接浸けないように、青色リトマス紙をその上に置いてから、シャーレに蓋をかぶせてしばらく置いて(おくという裏技があります)。

Q.ガラス棒の先端に、水溶液の水滴がうまく付きません。

A.引き上げるとき、試験管の壁に付けないこと。(クリックで詳細表示)

水溶液に先端を浸したガラス棒を試験管から引き上げるとき、壁に付けてしまうと、水溶液のしずくが壁にくっついて取れてしまいます。

動画:ガラス棒に水滴を付ける

Q.リトマス紙の使い方が意外に難しいです。

A.注意点は以下の通りです(クリックで詳細表示)

1.リトマス紙を直接試験管に浸したりせず、ガラス棒の先に付けた液体のしずくで、短く切ったリトマス紙を濡らすようにします。

2.手に付いた薬品などでリトマス紙が変色しないように、リトマス紙はピンセットで扱いましょう。

動画:リトマス紙の使い方その1   

   リトマス紙の使い方その2

Q.水溶液に金属の溶けるのが遅いです。

A.かかる時間を予備実験で必ず確かめて!!(クリックで詳細表示)

1.9~10%の塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を用いれば、反応にはあまり時間がかからないはずです。

2.液の濃度をうすめたり、冬季で水温が低い場合は、反応開始までに時間がかかることがあります。

3.スチールウールが古くなると、反応に時間がかかるようになります。100均で非常に安く売っているので、できれば1年で使い切り、買いだめしないようにしましょう。

.反応が始めるまでのおよその時間を、予備実験で確かめておくと安心です。

.アルミニウム箔やスチールウールを小さく丸めすぎないこと。水溶液に触れる金属の表面積が小さくなって反応が遅くなります。また指先の油が金属に付いて、反応が遅くなる恐れもあります。

.アルミニウム箔の反応が遅い場合は、サンドペーパーでこすって表面をざらざらにすると(多少は・・・)効果があります。

4%塩酸と4%水酸化ナトリウム水溶液にスチールウールとアルミ箔を入れたときのリアルタイムの動画(夏期) 

濃度を変えて溶け方の違いを比べたリアルタイム動画(アルミ箔+塩酸)

※アルミ箔やスチールウールの製品によって溶けるまでの時間は変化します。必ず自分が使うもので予備実験を行うこと。


Q.スチールウールが溶けている水溶液を加熱して蒸発させるとき、異臭がします。

A.換気に気を付け、蒸発が終わるまで覗き込まないこと。(クリックで詳細表示)

塩酸は、塩化水素という気体が水に溶けた酸です。塩酸にスチールウールが溶けて水溶液を加熱すると、水溶液中の塩化水素が気化して刺激臭がします。蒸発は待てば終わります、それまでは近づいて覗き込まないこと。

Q.何も溶けていないはずの塩酸を加熱して蒸発させると蒸発皿に白く跡が残ります

A.塩酸を薄めるのに使った水道水の成分です(クリックで詳細表示)

塩酸は気体である塩化水素が水に溶けた酸ですので、蒸発皿で加熱するとあとには何も残らないはずですが、実際には水に不純物が溶けていますので、特に水道水で濃塩酸を薄めた場合、わずかに白く跡が残ることが多いです(動画は市販試薬の4%塩酸を「新たに」開封して用いました)。水道水を同じように蒸発皿に採って加熱し、子どもに比べさせると良いでしょう。

動画:4%塩酸を蒸発皿に入れて加熱

Q.蒸発皿に残った物質が、教科書通りの色になりません。

A.それ実は失敗じゃないんですが・・・。(クリックで詳細表示)

鉄を塩酸に溶かすと、塩化鉄が得られます。教科書に載っている黄色い物質はFeCl3・6H2O(塩化鉄(Ⅲ)6水和物)です。この固体中には、FeCl3一単位に対して、水6分子が入り込んでいます(結晶水)。

FeCl3・6H2Oを加熱すると、固体結晶中の水がだんだん失われます。FeCl3自体は分解していないのに、結晶水が失われると色が黄色から茶褐色に変わってしまうのです。

黄色でも茶褐色でも塩化鉄に変わりはないのですが、上記の説明を子どもにしても理解できません。下記に、失敗せずに「黄色い」塩化鉄を出す方法を記しますので、この通りにやってみてください。蒸発中に水溶液が少し飛び散ることがありますので、教卓実験で行ってもいいでしょう。


1.9~10%の塩酸5mLに、スチールウール0.2gを溶かす(これで蒸発皿1枚分)。

2.完全に溶けなければろ紙でろ過する。

3.蒸発皿に入れ、加熱して水分を静かに蒸発させる。