大阪教育大学教育イノベーションデザインセンター

科学×教育デザイン部門(旧科学教育センター)


ものの燃え方

Q.底なし集気びんの中でろうそくを燃やす実験。結果が班によってまちまちになります。

A.びんの大きさやろうそくの長さで結果が変わることもあります。 (クリックで詳細表示)

1.教科書には、集気びんの上ぶたと底板の開閉、大きく分けて4通りの絵が描いてあり、底板を閉じて上ぶたをあけておくと燃え続けるモデルが示されています。ただし集気びんが大きいと、上から流れ込んでくる新しい空気が底の方で燃えているろうそくに届かず、火が消えることもあります。 

2.上ぶたを利用して少しだけすきまを作るように閉めたり、半分だけ閉めたりして、ろうそくの様子を観察してみてください。火が小さくなったり、消えることもあります。

3.温められた気体は高いほうに上っていくので、上にすき間があればそこから出ていきます。この時に外から新しい空気が入ってくることで燃焼が続きますが、すき間が小さければこの循環が起こりにくくなります

4.教科書にある4つの条件による結果をただ覚えるのではなく、ろうそくの燃焼が続くのか、消えるのかの原因を、空気の動きを観察しながら考えるのが真の目的です。子どもによく見させ、一緒に考えてあげてください。


Q.集気びんが白く汚れて、洗ってもなかなか落ちません。

A.白い汚れの正体は炭酸カルシウムです。酸で溶かしてしまいましょう。( クリックで詳細表示)

1.石灰水は、飽和水酸化カルシウム水溶液です。

2.石灰水が二酸化炭素で白くにごるのは、水酸化カルシウムと二酸化炭素が反応して、炭酸カルシウムができるからです。

3.集気びんの白い汚れの正体は炭酸カルシウムで、水洗いではなかなか落ちませんが、塩酸を加えると溶けます

4.塩酸を1センチくらい入れ、びんを横にしてくるくる回し、びんの内側を塩酸で濡らせばきれいに溶けます。そのあと水ですすぎましょう。塩酸の濃度は、3%くらいあれば十分です。

5.使った塩酸は、重曹か、うすい水酸化ナトリウム水溶液で中和すれば(赤、青リトマス紙が変色しなくなる範囲)流しに捨てられます。

6.ろうがこびりついている場合は、60~70℃くらいのお湯をびんに入れるとろうが溶け、クレンザーで落ちやすくなります。ろうの汚れが多いときはお湯を流しに捨てず、紙パックなど廃棄可能な入れ物に入れ、ろうが固まってこびりついてから水を捨て、容器ごと廃棄します。 

Q.ろうそくを燃やした空気で、石灰水が白くなりません。 

A.二酸化炭素に比べて石灰水が多すぎるとあまり白くなりません。 クリックで詳細表示)

1.二酸化炭素はある程度の量が必要です。火がすぐに消えていないですか?集気びんに火をつけたろうそくを入れて、ふたをすることで火は消えます。このとき、ろうそくの炎がふたに近すぎると、炎より上のほうの空気の分しか二酸化炭素が発生せず、石灰水が白くにごらないことがあります。集気びんの奥までしっかりろうそくを入れて、しばらくの間ろうそくを燃やし続けましょう。短めのろうそくの方が実験しやすいかもしれません。

2.逆に石灰水を多く取りすぎてもあまり白くなりません。集気びんの底に1㎝くらいあれば十分です。

Q.使用期限切れの気体検知管を使ってもいいですか?  

A.普通に使用すれば危険はありませんがお勧めしません。買いだめしちゃダメ! クリックで詳細表示)

1.気体検知管の使用方法は、メーカーのサイトを参考にしてください。

2.期限切れの気体検知管を使用しても危険はないようですが、測定精度に問題が生じるかもしれません

3.使用期限はあまり長くないので、買いだめをしないこと。

Q.水上置換で集気びんに酸素をとる操作が難しいです。 

A.スプレーで吹き込めば十分です。 クリックで詳細表示)

1.スプレーはいきおいよくガスが出ますので、集気びんに吹き込めば、中の空気を追い出しながら十分な量の酸素が入ります。

2.吹き込んですぐにふたをしなくてはいけませんので、気を付けてください。

3.水上置換の原理、操作は重要ですが、高価な酸素ガスで教えなくてもいいです。例えば、ストローと試験管を使って、呼気を試験管に閉じ込める実験で教えることもできます。水上置換の利点は、捕集した気体の体積が目で見て分かることです。 

Q.石灰水とは何ですか?どうやって作りますか?

A.水酸化カルシウムを水に溶かした上澄みです。作り方は・・・

1.石灰水は、飽和水酸化カルシウム水溶液です。

2.100mLの水溶液にだいたい0.17gの水酸化カルシウムが溶けています。石灰水はリトマス試験紙でアルカリ性を示します。アルカリ性水溶液ですので、ガラス瓶やペットボトルに長期保存することは出来ません。 

3.石灰水を作るときは、容器に水と水酸化カルシウムを入れ、蓋をして激しく振ります。牛乳のような真っ白い懸濁液になりますが、一晩おいておくと沈殿と上澄みに分かれます。この上澄みを石灰水として使います。

市販の薬品容器(塩酸や水酸化ナトリウムが入っていたもの)の空き容器に穴をあけて取り出し口を取り付け、図のような手作りの石灰水保存容器を作っておくと便利です。


石灰水の保存容器