大阪教育大学教育イノベーションデザインセンター

科学×教育デザイン部門(旧科学教育センター)


水のあたたまり方

Q.試験管の水のあたたまり方。色の変化がうまく観察できません。

A.以下の点に注意してやってみてください。 (クリックで詳細表示)

1.試験管は必ず斜めに。まっすぐ立てるとうまく観察できません。

2.細い試験管(18mm×18㎝ 等)ではうまく観察できません。21mm×20㎝の試験管がおすすめです。

3.サーモテープやサーモインクの色が変わる温度は、製品によっていろいろ(40℃~70℃くらい)。40℃~50℃位がやりやすいです。色素に水銀が含まれているので、捨てるときは金属廃棄物として処理してください。

4.サーモテープは裏がシール。透明なプラスチック板(クリアファイル等)に貼って使うと便利です。

5.細い火の先端で、一点をしずかに加熱します。炎が揺れると加熱点が広がってうまくいきません。

Q.ビーカーの水のあたたまり方。ビーカーの底に、スポイトで絵の具をたらすと広がってしまいます。 

A.かんたんな方法を以下にご紹介します。 (クリックで詳細表示)

1.硬めの絵の具を1㎝ほど絞り出し、ガラス棒の先に付ける。

2.ビーカーの底の隅に、1.の絵の具を小さく盛るように塗り付ける。

3.大きめのビーカーなどに水を汲み、2.のビーカーの、絵の具が付いていない側から、ビーカーの壁を伝わせるように水を7分目ほど静かに注ぎ入れる。  

Q.サーモインクの正しい使い方を教えてください。

A.原液を正しい倍率で薄めて使います (クリックで詳細表示)

1.備え付けのキャップ1杯をビーカーに入れ、250mLのところまで水を入れます正しく薄めないとうまく観察できませんサーモインクにはインクを閉じ込めたマイクロカプセル粒子と共に、食塩が入っています。正しい比率で希釈すると粒子と液体(食塩水)の比重が同じになり、あたためると水とまったく一緒に動きます。薄めすぎると粒子が底に溜まりがちに、濃すぎると浮きがちになり、水の動きが観察しにくくなります。

Q.常温のサーモインクの一部に、赤色が分離して見えます不良品でしょうか?

A.じつは元々赤青の二成分でできています (クリックで詳細表示)

サーモインクは、元々赤青二成分の混合物です赤いインクの中に、青い色素を閉じ込めたマイクロカプセル粒子が分散しています。この青い色素は温度が高くなると無色になる性質があり、結果としてインクが「赤く」変色したように見えるのです。サーモインクを静かに保存していると、容器の上部や壁に赤いインクだけが付着し、分離しているように見えることがありますが、問題ありません。

Q.サーモインクの保存や廃棄はどうすればいいですか?

A.注意点は以下の通りです (クリックで詳細表示)

1.薄めたサーモインクは繰り返し使えます。ただし、次年度に持ち越しての使用は避けましょう。

2長期間保存すると劣化します。保存環境にもよりますが、日光や高温を避け、できれば1年以内を目安として使い切り、買いだめをしないようにしましょう。

3サーモインクを捨てるときは、新聞紙や紙に染み込ませ、燃えるゴミとして処理するように言われています。ホルムアルデヒド(おそらく防腐剤として)が使われていることがその理由です。メーカーのデータ(安全データシート)によれば、濃度は「60ppm以下」となっています。揮発性有機化合物であるホルムアルデヒドは有毒で、建築材から揮発したホルムアルデヒドによる健康被害(シックハウス症候群)が1990年代頃より報告され、その後建築基準法の改正など安全対策がなされました。河川・湖沼におけるホルムアルデヒドの環境指針値は10ppm(平成15年環境省通知)で、廃液濃度の基準値は国としては決まっていませんが、自治体によっては条例により10ppmと定めているところもあります。サーモインクの原液を多量に流すことは避けるべきですが、薄めたもの少量であればそこまで神経質に考えることもないかもしれません。毒性は強いですが、元々自然界にも存在する物質で、日光によって容易に分解することも知られています。

Q.あたためられた水が上に上がってそれからどうなるのか、良く分かりませんでした。結局水ってどうやってあたたまってるんですか? 

A.細かい動きはケースバイケースなんですが・・・ (クリックで詳細表示)

1.水や空気があたためられると、その部分は膨張して体積が大きくなり、密度が小さくなります

2.つまり周りの部分に比べて軽くなるので、上に上がるわけです。

3.一方、水や空気は境目がなくつながっていますので、上に上がった部分には周りからの流れ込みが起こり、流れ込んだ部分が次々にあたためられ、最終的にビーカーの水全体があたたまるわけです。

4.そこに至る水の動き方は、「ぐるぐる循環する」といったような単純なものではなく、ビーカーの大きさ、水の深さ、火力の強さや加熱点の広がり方などの条件によって実はかなりまちまちです。