Q.薬包紙から容器に食塩やみょうばんを入れようとすると、こぼれてしまいます。
A.薬包紙の折り方、天びんへの載せ方にコツがあります。
1.教科書では、薬包紙の対角線方向に十字に折り目を付け、その中心に薬品を載せ、天びんで計っています。
2.折り方は図のように、二本の折り目をどちらも山折りにしてください。
3.天びんに薬包紙を載せるとき、写真のような輪(ビニールテープの芯などでよい)を下に置くと安定します。
4.一度に薬品を載せすぎると、持ち上げるときこぼれます。
5.計り取ったら、両手で薬包紙を持ち上げ、二つ折りの状態で容器に入れます。
Q.食塩やみょうばんを1gずつ天びんで計り取るのが大変です。
Q.そもそも天びんの数が足りません。
A.すり切りで十分正確に計れます。
1.教科書では天びんで1gずつ計り取っていますが、半球型の計量さじを使ってすり切る方法もあります。
2.1g、2gと言った、切りのいい重さで計り取ることはできませんが、正しい操作を身に付ければ、この実験に支障のない精度(誤差は0.1g程度)で薬品を計り取ることができます。
3.すり切り1杯の平均の重さを、実験の前にあらかじめ計っておくといいです。
4.さじの上に、薬品を盛り上げます。凹みのないように、全体に盛り上げて下さい。
5.定規を垂直に立て、押さえつけないようにして盛り上がった部分をすり切ります。定規を寝かせて、上から押し固めると正確に計れません。
6.ガラス棒を用いると、押し固めずにすり切れます。
7.紙製のクラフトテープを折り曲げて作ったすり切り用具 。 正しい操作で簡単にすり切りを行えます。
Q.食塩やみょうばんを溶かす実験、あまりにもしんどすぎます。
A.楽にできる装置をご紹介します。
1.教科書の写真では、発泡スチロール製の保温容器にお湯を入れ、そこにビーカーを浸けながら食塩やみょうばんを溶かしています。この通りを、子どもに実際にやらせるのはなかなか大変です。代わりにこんな方法はいかがでしょうか。
2.発泡スチロール容器の他に、ガスコンロの金網と、蒸発皿を用意してください。
この容器は蓋付きで、熱した空き缶を蓋に押し付け、丸くくり抜いています。小さな穴は、温度計を差し込むために開けました。時間に余裕があれば、こういう蓋を作っておくとあとあと便利です。
くり抜かれた丸の周囲にすきまテープを貼り、再びはめ込むことが出来るようにしてあります。
3.保温容器の中に、ガスコンロの金網を、脚を挿して固定します。蒸発皿を置き、その上に水溶液の入ったビーカーを置き、湯を入れます。蒸発皿の上にビーカーを置くと、安定します。手で支えずに、ガラス棒でかくはんしてもこけません。
4.保温のために蓋をかぶせます。蓋に穴をあけるのが大変なら、蓋なしでも実験OKです。
5.ビーカーを手に持たず、置いたままで楽にかくはんが出来ます 。
Q.みょうばんってどういう物質ですか?何に使われていますか?口に入ると危険ですか?
A.危険はありません。用途はいろいろ。化学物質名はちょっと長いです。
理科実験で使う一般的なミョウバンは、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物です。化学式はAlK(SO4)2・12H2Oです。-2の電荷を持つ硫酸イオンSO42- 、+3の電荷を持つアルミニウムイオンAl3+ 、+1の電荷を持つカリウムイオンK+ が2:1:1の割合で1ユニットを構成し、さらに1ユニットあたり12個の水が入り込んで(結晶水)、特徴ある形の結晶を形成します。結晶の中に一定の割合で水分子が取り込まれているものを水和物といいます。硫酸カリウムアルミニウム十二水和物の粉末を高温で熱すると、結晶水が失われた焼きミョウバン AlK(SO4)2 ができます。
ミョウバンには水の濁りを沈殿させる働きがあるため、昔はきれいな飲み水を得るために使われていました。また、植物の天然の色素をよりあざやかに固定する働きがあり、沢庵や茄子の漬物、栗の甘露煮などに少量の食品添加物として入れたり、草木染に使ったりします。口に入れても害はありませんが、独特の変な味がします。
市販されている焼きミョウバンの粉末を少量の水で溶き、脇の下に塗ると、わきがの臭いを押さえることができます。