大阪教育大学教育イノベーションデザインセンター

科学×教育デザイン部門(旧科学教育センター)

塩酸を調製する(濃塩酸から)

市販の濃塩酸(注)を薄めて、小学校理科で「うすい塩酸」として用いる4% 塩酸(正確には3.9%)を110 mL 調製する方法です。

準備物

(注):市販の濃塩酸の濃度は35-37% です。いわゆる劇物に該当しますので、保管するときは、鍵付きの保管庫に入れなくてはいけません。使用帳簿も作成しておきましょう。

塩酸は10%以下であれば劇物指定から外れるので、保管が少楽になります。 10%購入をお勧めします !

濃塩酸を使用する際の、諸注意です。濃塩酸は塩化水素という有害な気体が飽和状態で溶け込んでいる水溶液です。絶えず、塩化水素が拡散しています。白煙が見えるのは、塩化水素が水蒸気を取り込んでいるからです。なので、白煙を吸い込まないようにしてください。塩化水素は水に溶けやすいという性質があります。

しっかり蓋をしていても、すこし塩化水素が漏れ出すので、周囲に塩化水素が出てしまうのを防ぐために、ポリ袋に入れて保管してあることが多いです。

袋から取り出すときは、保護手袋を着用して取り扱いましょう。瓶の周りに水滴がついていることがありますが、これは、漏れ出した塩化水素が水蒸気を取り込んだものです。つまり、塩酸です。なので、素手で触らないように気を付けてください。雑巾でふき取り、速やかに雑巾は水洗いして、水を流し続けて希釈してしまいましょう。ほんの少量なので、希釈して流して構いません。

濃塩酸を使用する環境を整えます。

①換気をよくするために窓を開け、窓際で作業をします。この時、できれば水道から水を出しておきましょう(赤丸部)。拡散した塩化水素が、水道水側に溶け込みやすくなり、吸い込むリスクが低下します。

②保護手袋とマスクを着用してください。また、腕時計などは外しておきましょう。錆びてしまいます。

水に濃塩酸を加えることで希釈していきます。

①メスシリンダーで水を 100 mL 測り取ります。これを、300 mL ビーカーにうつします。

② 5 mL 駒込ピペットで塩酸を 5 mL (注1)測り取り、①で水を入れた 300 mL ビーカーに加えます。この操作を2回繰り返して、合計 10 mL の塩酸(注2)を加えます。

③混ぜ合わせた液体をガラス棒でかき混ぜて(注3)、均一にします。

④保存は、ビーカーでするのではなく、空き瓶にうつして保存しましょう。ポリ容器でも構いませんが、PET ボトルは使用できませんので気を付けましょう。

(注1):5 mL 用スポイトを取り付けておけば、スポイトをつぶして吸い上げると、およそ 5 mL が吸い上げられるようになっています。(写真のように、サイズが決まっているのです。)

(注2):濃塩酸の量は、だいたい 10 mL であればいいので、きっちりと目盛りを合わせる必要はありません。

(注3):薬品を混ぜるためなので、ゴム管を入れてはいけません。ガラスのほうでかき混ぜます。

市販の濃塩酸(注1)を薄めて、10% 塩酸を作りたい場合は、水を 60 mL 測り取って 300 mL ビーカーにうつして、濃塩酸を 20 mL 加えます。

正確には 10.4% なので約 10% です。しかし、この程度の違いは小学校理科では全く問題になりません。