「予備知識」にある「計算方法」の『アニオンの蛍光量子収率とT*の失活速度定数の関係』のセクションで使っている、式(11)から式(12)の導出について説明します。
まず、式(11)の左辺に蛍光量子収率の項を移項します。
次に両辺の逆数をとり、まとめます。
kTを含む項を左辺に移項し、まとめます。
左辺をkTのみにしてから、右辺の分子分母をZで割ると、式(12)が導出されます。
N*とT*について速度式(1)と(2)をたてます。初期条件として、t = 0のとき、[N] = [N]0, [T]0 = 0 とします。また、式を簡略化するため、変数の置換を行います。
置換すると、式(1)と式(2)から、式(3)と式(4) が得られます。この式(3)と式(4) の一般解は、式(5)と式(6)の形をしています。そして、式(5)と式(6)を微分すると、式(7)と式(8)になります。
式(5)~式(8)を式(3)と式(4) に代入すると、式(9)と式(10)になります。そして、両辺をexp(λt)で割ると、式(11)と式(12)が得られます。
式(11)と式(12)を式(13)と式(14)に変形します。
AとBについての連立方程式である式(13)と式(14)の自明な解はA = B = 0です。いま必要な解は非自明な解ですので、この連立方程式の行列式がゼロの時に得られます。
行列式の式(15)から式(16)が得られ、これはλについての二次方程式となります。そして、その解は式(17)と式(18)で与えられます。
式(13)を使って、 AとBの関係を導きます。λ1とλ2 から式(19)と式(20)の関係式が得られます。
式(19)と式(20)は、 AとBの関係を表しています。式(5)と式(6)での一般性をなくさないように、ゼロではない任意のBを選ぶことができます。そこで、式(21)のようにおきます。
式(19)と式(20)は式(5)と式(6)の解ですので、線形結合で表される式(22)と式(23)も解となります。ここで、c1 とc2 は定数です。
c1 とc2 を決めるために、式(24)と式(25)で表されるN*とT*の濃度の初期条件を使います。
この初期条件を式(23)に適用すると、式(26)が得られます。
式(26)に式(21)を適用すると、式(27)が得られます。
式(22)に式(24)を適用すると、式(28)が得られます。
式(28)に式(27)を適用すると、式(29)が得られます。
式(29)に式(19)~(21)を代入すると、式(30)が得られ、さらに式(31)に変形します。
ここで、式(22)に式(19)と式(20)を代入し、式(21)と式(27)を適用すると、式(32)が得られます。
式(32)に式(31) を代入すると、式(33)が得られます。これでx についての式を導くことができました。
つぎに、y についての式を導きます。式(17)と式(18)を使って以下の計算をして式(34)を得ます。
式(31)に式(34)を代入すると、式(35)が得られます。
式(23)に式(21)と式(27)を適用し、式(35)を代入すると、式(36)が得られます。これでyについての式を導くことができました。
寿命解析に使うための関係式を求めるために、式(37)の置換を行い、式(38)と式(39)を得ます。
式(33)の置換を元に戻し、式(37)を適用すると、式(40)が得られます。
式(36)も同様な操作を行うと、式(41)が得られます。式(38)と式(39)からわかるように、γ1> γ2なので、γ1がT*の立ち上がりの速度定数に対応します。