10月10日の本会議で豊渓中学校統廃合関連の3つの陳情の採決がありました。
豊渓中学校統廃合を考える会で提出していた陳情第99条は、13会派中9会派が願意に賛成していただきましたが、議員の人数の多い自民党や公明党、練馬会議が反対したため、不採択になりました(1会派は本会議に欠席)。
結局、地域との合意形成はされず、避難拠点がどうなるか、安全に通学できるかなど、課題と不安を残しています。
国の方針にも反し、地域の声を無視し、統廃合を強行した教育委員会や練馬区の姿勢に問題はないでしょうか?
議員の皆さんが問題を指摘しつつ、考える会で行った匿名アンケートの結果や声を区議会に届けてくれました。
※太字・赤字は考える会が読みやすいようにしています
豊渓中学校の廃校をふくむ学校統廃合計画に反対する3陳情への賛成討論
学校統廃合計画に関わる陳情第99号「保護者や地域との合意形成なしに豊渓中学校の統廃合を決定しないこと」、104号「教育学的根拠が不十分な学校統廃合対象校の区独自選定基準の見直し」、105号「豊渓中学校を対象とした学校統廃合計画を見直し、地域の声の反映を求める」の願意に賛成の討論を行います。本陳情は3件とも、豊渓中学校の廃校計画に反対の立場から見直しを求めています。
まず、区はどうしてここまで地域との合意形成を怠ってきたのかという点です。住民説明会では、「PTA会長なのに一度も計画について聞かれたこともない」「まず合意形成を図るべきだ」などの意見が多数あがりました。説明会は2度とも紛糾し、住民合意のうえで再度の説明会を開催するよう強く要求されたにもかかわらず、区は今後の計画予定から説明会を省いています。
1月に行われた説明会のあと、当事者校の校長に聞き取りをしたら「計画素案策定のプロセスで一度も意見聴取されたことはない」という返答でした。さらに、統廃合を検討した委員会メンバーのほぼ全員が、審議も答申も素案作成もするメンバーだったいう閉鎖性も明らかになりました。
文科省の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」では、地域や保護者の代表に検討委員会の委員として参加してもらうことや、検討の途中で保護者や地域住民のニーズや意見を聴取するために、アンケートや公聴会、パブコメ等を行うことを求めています。区としてもこうした取組みに時間と労力をかけて合意形成を図り、もし合意形成が得られなければ立ち止まることが肝要だったのではないでしょうか。
見直しを求める陳情署名は2000筆を超え、パブコメも723件中半数以上が疑問や見直しを求めています。99号を提出した「豊渓中の統廃合を考える会」に寄せられた住民意見には、「地域に見守られながら子どもを安心して通わせたい」「廃校により地元活性化の妨げになる」「小規模校は先生の目も行き届きやすい」「少人数の短所ばかりが強調されているが、少人数でしか学べないこともある」‥等々です。区は今からでも住民合意をはかり、それなしに準備会設置もしないよう再度求めます。
つぎに区の独自基準への異議についてです。区は「過小規模校」の選定を「20年後の推計」をもとにしていますが、20年後など社会的にも不確定な数値で、採用している自治体は全国にもありません。そして、過小規模校の線引きを11学級以下としていることについても、区は「児童・生徒からの多様な意見を引き出しにくい」「クラス替えができない」などの理由を挙げていますが、光が丘第八小も豊渓中も令和26年度推計はそれぞれ7学級と5学級であり、クラス替えが全くできないわけではありません。文科省手引で統廃合の適否を速やかに検討する必要があるとするのは、小学校で6学級以下、中学校で3学級以下となっており豊渓中をただちに廃校する必要性はありません。
もともと光八小と豊渓中は、20年以上にわたり11学級以下が続いてきました。過小規模校のデメリットを強調するのであれば、なぜ長年にわたって過小規模と呼ばれる状況を放置してきたのでしょうか。説明会で校長先生は「少人数だと子供の数が少ないから、一人一人の顔を覚えられて気持ちに寄り添える」と述べました。こうしたメリットをこそ区は正当に評価すべきです。豊渓中では、コミュニティ・スクールの仕組みが導入された矢先でした。区の統廃合計画はこうした地域の取組みをも否定するものです。
国の基準とは異なる、教育学的根拠のない概念を機械的に学校にあてはめ、合意形成を怠り、計画を強行しようとしているのが今の練馬区です。適正配置は結局、行政効率を最優先する公共施設等総合管理計画にしたがい、区立施設の54.8%を占める小中学校を減らすことこそが最大の狙いであるということを最後に指摘して、日本共産党練馬区議団としての願意に賛成する討論とさせていただきます。
陳情99号、104号、105号への賛成討論
【はじめに】
インクルーシブな練馬をめざす会を代表して、陳情第99号・第104号・第105号について採択すべき立場で討論を行います。
【住民の合意について】
陳情第99号、要旨は保護者や地域の十分な理解と協力が得られるまで、統廃合を進めないよう求めること。何よりも地域や保護者、子ども達の声に耳を傾けてほしいという切実な訴えでした。1,900名を超える方々が名を連ね、その思いは極めて重いものです。
国の学校統廃合に関する手引き、学校の適正規模・適正配置の検討について、「行政が一方的に進める性格のものではない」と明言し、保護者や地域住民の「十分な理解と協力」を得て丁寧に議論を尽くすことを求めています。
さらに、現在国で進んでいる手引きの見直しの議論においても、統廃合については「地域・保護者・子ども等の関係者の参画を得ながら」検討し、対話と議論のプロセスを大切にすること、地域が“自分事”として考えられる仕組みづくりの必要性を基本に据えています。
練馬区は住民に対して、「説明会で丁寧に説明した」「パブリックコメントも実施した」としたうえで「一定の理解を得た」と述べています。しかし、それはあまりに乱暴です。住民説明会はあくまで情報提供や意見聴取を目的としたもので、合意形成の場ではありません。パブリックコメントも、提出された意見を“考慮”するための手続きでしかなく参画の場とはなり得ません。
こうした中、「豊渓中学校統廃合を考える会」が実施したアンケートにおいても、86%もの方が地域住民との合意形成が十分にできているとは感じられないと回答しています。
同アンケートで小学生からは「友達と豊渓中に行こうと話していたのに、統廃合と言われてすごくすごく残念でした。教育委員会は話を聞く気はありますか?」という声、保護者からは「教育委員会は数字だけで判断していて、子どもたちの育っている土壌(環境)を見ていない。」「教育委員会の強引な統廃合の進め方に憤りを感じている。」と言った強い怒りの声が上がっています。
なぜ練馬区はこうした子どもや保護者の声に真摯に向き合ってこなかったのでしょうか。
さらに陳情105号、練馬区が最大のパートナーと呼んできた町会をはじめ避難拠点連絡会、コミュニティ・スクールの会長などが代表者として統廃合反対の意思を示しています。
特にコミュニティ・スクールは学校運営への意見申出を行う重要な役割も担っています。練馬区での初のコミュニティ・スクールが豊渓中で始まったばかり。区の先駆けとなるべく、委員の方々は全力で取り組んでいたにもかかわらず、区は統廃合についてコミュニティ・スクールの正式な同意を取る努力はおろか審議すらもしませんでした。これは皆さんの信頼をも大きく損なうものです。
なぜ長年にわたり区や学校、地域に日々尽くしてきたコミュニティ・スクールや町会・避難拠点連絡会の方々が反対の陳情を出さざるを得なかったか、どんな思いで陳情を出したか、練馬区は理解しているのでしょうか?
【独自の選定基準について】
さらに、陳情第104号、教育学的根拠が不十分な学校統廃合対象校の区独自の選定基準の見直しを求めています。練馬区は選定基準に関し、学級数に加えて校庭面積といった、全国に例を見ない恣意的な基準を設定しています。さらに、区は「適正規模・適正配置検討委員会」を設置し、諮問・審議・答申のプロセスを経たとしますが、委員構成は教育委員会事務局や有識者が中心で、学区域の地域代表や保護者が一切含まれていません。さらに、区教育委員会が諮問し、自ら審議し、また答申を受けるというあまりに非民主的な仕組みです。こうしたやり方は、行政手続法が掲げる「公正・透明な行政運営」の趣旨にも反しています。
【まとめ】
説明会やパブコメという一方的な場で住民からの参画や理解を得たとするのは、住民、保護者、そして子ども達の思いを踏みにじるものです。区は住民を協働や参画のための対等のパートナーとしていますが、その言葉はあまりに空疎であり、都合の良いときだけ利用しているようにすら感じられます。
地域・保護者・学校が同じテーブルに着き、手続を整え、納得して進むために、いったん立ち止まり、合意形成に向けた努力を行うべきです。以上をもって賛成の討論といたします。
陳情第99号「保護者や地域との合意形成なしに豊渓中学校の統廃合を決定しないことを求めることについて」
陳情第104号「教育学的根拠が不十分な学校統廃合対象校の区独自選定基準の見直しについて」
陳情第105号「豊渓中学校を対象とした学校統廃合計画を見直し、地域の声の反映を求めることについて」
以上三件の願意に賛成の立場から討論
文部科学省は今年3月から「令和の日本型学校教育」を推進する学校の適正規模・適正配置の在り方に関する調査研究協力者会議をこれまで6回開いています。その中で、国の調査で、全国の市区町村のうち、「おおむね適正規模である」と答えた自治体はわずか25%。残る75%は、何らかの課題があると認識していることが示されています。
その中で、委員の貞広斎子氏(千葉大学教育学部教授)は、「全てを解決するベストな学校規模は存在しない。地域特性や諸条件は様々であり、重要なのはサイズを変えることではなく、地域や教育行政が適切な方策を取れるかが問われている」と述べています。
さらに、委員の一人である秋田県五城目町職員による発表では、学校改築にあたり、町民全員が参加できる形で意見を交わす「スクールトーク」を、4年間で10回にわたり開催したと報告しています。回を重ねる中で、住民の議論は「校舎改築」そのものを越えて、「地域にとって学校とは何か」「子どもにどう育ってほしいか」「町がどんな未来を描くのか」という、より本質的な話し合いへと広がっていったとのことです。それが結果として、学校の枠を超えて、地域・世代・学びをつなぐ新しい学校のかたち、町民が誇る「越える学校」を生み出しました。
もちろん、全ての住民の思いが通ったわけではないでしょう。しかし、子どもたちと地域のために議論を尽くした経験は、地域の力を飛躍させていくものだと考えます。
一方、練馬区、豊渓中の場合はどうでしょうか。
まず、区は第二次実施計画案を示してから、当初は、ほんの3ヶ月ほどで計画を策定する予定でした。これでは最初から地域の声を聞く気がなく、地域の活動を軽視していたと言われても仕方がありません。
それを立証するかのように、学校と地域が、まさに「地域にとって学校とは何か」「子どもにどう育ってほしいか」を日々話し合いながら運営してきた学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の意見を、聞き入れていません。
この陳情を否決するということはそういうことです。
合意形成どころか、これまで旭町地域が積み重ねてきた活動を顧みない判断と言わざるを得ません。
この夏、私も中学生と同じ10キロ以上の荷物を持って旭町3丁目から光が丘第一中学校まで往復してみました。片道35分はかかります。区は自転車通学を可としましたが、保護者や地域の方が子どもたちの学びの場に足を運ぶことは少なくなるだろうと感じました。地域から学校をなくしていくということは、学校を中心に育まれてきた地域のつながりという財産をなくしていくことです。
また、子どもの権利の視点から、区は「施策を着実に実施することを通して、子どもの権利擁護を図っており、区条例を制定する考えはない」と言っていますが、今回に関しても、当事者である子どもの声を十分に聞いたとは言えません。
このようなやり方を容認すれば、今後も子どもの権利や地域を軽視した学校統廃合が進められかねません。
それは、地域の主体的な意識を削ぎ、住民が「何を言っても無駄」と感じる区政をつくってしまいます。
区長が掲げる「参加と協働を根幹に据えた区政運営」とは、ほど遠い状況だと言わざるを得ません。
以上のことから、陳情の願意に賛成し、討論を終わります。
練馬区議会日本維新の会として、陳情第99号「保護者や地域との合意形成なしに豊渓中学校の統廃合を決定しないことを求めることについて」、陳情第105号「豊渓中学校を対象とした学校統廃合計画を見直し、地域の声の反映を求めることについて」の2つの陳情に対し、その願意に賛成の立場から討論を行います。
先日も区立施設を地図上で閲覧できる「地図情報ねりまっぷ」で区立中学校だけを表示させて見て、改めて「豊渓中がなくなれば、ポッカリとこの辺りは区立中学校がなくなる」と感じた次第です。区内でも少子化が進んでおり、区立学校適正配置・統廃合は一定必要であると考えます。一方で今回の豊渓中学校の件は、練馬区のコミュニティスクール第1号として、保護者や地域の方々に多大なるご協力をいただいてきて、3年間で研究校・実証校と積み上げ、ようやっとスタートしてその半年後に統廃合計画素案が発表された事もあり、8月、9月に実施された「豊渓中学校統廃合を考える会」さんのアンケートでも反対が9割と、もはや通常の学校統廃合とは別で考えるべき案件と思います。
先日決算特別委員会では、「特色ある魅力的な学校を作り、学区外からの入学者を増やす事」や「小中一貫校化」を望む意見が地域から出ている事を踏まえ、豊渓中学校の隣にある築60年の旭町小学校と一体改築して、小中一貫9年間だからこそできる特色ある教育プログラムを組んで人気を集める事、あるいは区内で不登校児童生徒が増加傾向であることから、公立の学びの多様化学校を作って児童生徒を集める事を私から提案しました。区の回答としては「小中一貫教育校化では、各学年の児童・生徒数が変わらない」「学びの多様化学校は、人員確保など課題もある」との事でした。先日、不登校児童生徒のための市立(いちりつ)小中一貫校がある八王子市の方に話を聞きましたが、結論は「かなり人気や注目を集めている状況」との事で、練馬区でも区内唯一の公立学びの多様化学校を作り、区内全域から児童生徒を集めてくる事が期待できると改めて感じました。また、港区にも区立小中一貫教育(学びの多様化学校)がありますが、通常学級と港スクールという学びの多様化学校が両方ある形態という事で、この形であれば区域内で学びの多様化学校へ行きたくないというニーズにも対応できると考えます。また豊渓中学校の隣の築60年旭町小学校は2階以上の体育館で避難拠点運営上の課題がある事もあり、令和10年度以降改築実施予定校ですが、現状で適正規模ギリギリの12学級であり、確かに5年後都推計20年後区推計両方12学級ですが、一部地域の方が不安視されてるように、隣の豊渓中がなくなることで想定以上に地域から子供がいなくなれば「旭町小は、改築したてにも関わらず、過小規模校になる」という懸念をどうするのかという課題もあると考えます。
また、地域の方の要望を踏まえて、一部の生徒に自転車通学を認めるとの事です。今年4月から、東京23区の公立中学校で初めて、江戸川区立小松川中学校さんが自転車通学を始めています。練馬区の考えと同様に、交通ルール徹底・ヘルメット着用などルール遵守という事でやっている訳ですが、話を聞かせていただいた結論として「実際やってみて課題が多くある」との事です。中学生でヘルメット着用しない生徒もいれば、指導する教員の数にも限りがあるとの事です。このような事態は練馬区でも同様に起き得ると考えます。それに加え、旭町三丁目二丁目の学生が自転車通学で使用するであろう向山通りが「バスも車も多く、自転車レーンがない、歩道の狭い道路」であるのに加え、「光が丘公園の北側は冬場の雪や雨の後、路面が凍結してなかなか溶けずに危ない」「旭町地域は坂道が多い」など不安な意見もいただいています。町会自治会の加入率低下問題がある中で、地域のために汗をかいて下さる方々の信頼なくして地域の存続・発展はあり得ません。廃校、跡施設活用を考える前に、まだまだ地域の信頼をつなぎとめるため、多少無理をしてでも出来る事・やるべき事があると意見を申し上げて、陳情に対する賛成討論といたします。
【練馬区議会 本会議】(2025年10月10日)>>視聴する(練馬区サイト)
豊渓中に関する陳情の討論・採決 >>視聴する(練馬区サイト)
~7:21あたりから~
◆のむら説議員(日本共産党)
◆岩瀬たけし議員(インクルーシブな練馬をめざす会)
◆山﨑まりも議員(生活者ネットワーク)
◆吹田ひでとし議員(維新の会)
文教委員会の報告(陳情否決の報告)>>視聴する(練馬区サイト)
~9:45あたりから~
◆佐藤力議員(自民党)
決算特別委員会委員長報告 決算特 討論・採決(豊渓中に触れていただいています)>>視聴する(練馬区サイト)
~8:13あたりから~
◆のむら説議員(日本共産党)
◆高口ようこ議員(インクルーシブな練馬をめざす会)
◆やない克子議員(生活者ネットワーク)
●文部科学省『公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引 』 >>詳細(文部科学省サイト)
●豊渓中学校統廃合を考える会で匿名アンケートの結果(2025年8-9月実施) >>詳細