月船 アラタ
杯島の持ち主である月船家の御曹司。幼少期は引っ込み思案な性格だが、やがて頭角を現す。
子供たち(主にカエデ)からはシンタと呼ばれている少年。
『ホシ』
正体不明の幼体。青白く透き通った人型。捕食した動物にとりつき操ることができる。
赤子のように何も覚えていないが、成長が早い。
海猫にとりついたホシは、その習性である刷り込みによってアラタを親と認識した。
不思議な力を持っており、相手に逸脱した権能を与える。
星杜 カエデ
杯島信仰を支える杯神社の娘。
ミステリアスな少女だが、行動が意味不明でお喋りすぎて、皆から避けられている。いつも島の中をぶらぶらと歩きまわっている。
アラタを最近のお気に入りのオモチャだと思っているのか、ちょっかいをかけてくる。
未来を夢に見ることができるらしいが、その力はまだ未熟。
青猫
杯神社に住み着いている猫で、すばしっこくあまり人になつかない。
光の反射で青く見える毛並みをしているのでそう呼ばれている、特に名前はない。
カエデの家で飼われているのかもしれない。時折カエデは猫にまで話しかけているようで、彼女にだけはなついているようだ。
月船 ヤカイ
アラタの父親。坂月島出身の野心家。実業家であり、島への恩恵をもたらすために行動している。そのため島民から寄せられる期待は大きい。
人の心に取り入るのがうまく、大胆でありながら誠実な人物。アラタのあこがれの存在。
月船家はもともと、杯島の星杜の守護として存在していたが近年は、没落気味であった。それを立て直したのがヤカイである。
月船 カイロ
アラタの母親。月船家へ嫁いできた。名家の出であったが、ヤカイと共にこの島へ半ば駆け落ちで嫁いできたと言われる。
飯森
杯島の村落の村長。アラタの父親と同い年。アラタの父親とは古い付き合いで、ともに一度島の外に出ていた時期もある。
今は漁師を継ぎ、また彼の両親が亡くなり村長も継いでいる。浅黒い肌に鍛えられたからだ、人懐っこい笑顔の朗らかな中年。
この島の御曹司であるアラタに丁寧に対応してくれて、アラタも慕っている。
飯森 トウヤ(灯也)
村長の息子。アラタを気に食わないようだが…。
クラスの中では大柄で目つきも鋭く、一目を置かれている存在。逆らう子供はいない。喧嘩も強いらしい。
ミギ
灯也の手下、本名は知らない。枯れ木のように背が高く痩せている、無口。ヒダリとは別に双子じゃない。
ヒダリ
灯也の手下、本名は知らない。小柄で陰険な奴。虎の威を借る狐。ミギとは双子じゃない。
『妙音の里』
フキ(苳)
鬼の顔役。見た目は大柄で恐ろしげな顔をしているが、鬼らしくなく冷静沈着な男で、話易いが、鬼としての威厳がなく舐められることもある。
ただ里一番の怪力は鬼たる所以。また、変化の術が得意で、間者としての役割もあるらしい。
人が好きで、人が作り出すものや営みを興味深く見つめている。そのため、色々と相談されることも多い。いつもカラッとした竹を割ったような返答をするので好かれている。ただ、結論を変えることは少なく、融通が利かないこともあり。特に話し合いもせず良かれと思って黙ってやることが多く、巫女に怒られている。
妙音の里は巫女が崇拝を集め、フキが信頼を得ている。
相棒は口の妖怪。
甘露(名前のない鬼)
里の主。ある日鬼の巫女として、山から下りてきて問題の多い妖怪の集落を取りまとめた。以降里を守っている。
人にも妖怪にも優しく、慕われているがどこか抜けているところがある。人の血が混じっているらしく、名前がないのはそのあたりの事情が関係している。
ほとんど無口だが、恥ずかしがり屋であるということ以外にも、言葉に力が宿る力があるために喋らないともいわれている。無口で冷静に見えるが、その実は目まぐるしく感情がうねっている。
身重でありフキとの子を宿している。
狗
里の社を守護する狛犬。特に平和な土地なので守りは必要ないのだが、彼が自ら買って出てやっている。
もともとはこの土地を荒らす凶暴な怪異ではあったが、この土地に現れた鬼に懲らしめられ、以降大人しくなり、集落と共存している。
その鬼の主にだけは慕っているが、その心の中は煩悩にまみれていて妖怪たちを辟易させている。
青猫
毛の色が青く見えることからそう呼ばれることは多いが、本当の名前は明かさない。
長い年月を生きている猫又。妙音の山のふもとを拠点としているが、神出鬼没。急にふらりと現れるときもある気分屋。最近は海を渡り、杯島に渡っていた。
蛇
フタクチ
杯島(さかずきとう)
諸説あるが、酔いどれの船乗りが海に出たところ、空が光りこつ然とその島が現れたという伝説がある。
ただ発見者がよほど酔っぱらいだったため、与太話として民謡や民話に残っている。
人口は120人余り、アラタの一族がこの島の顔役であり、その恩恵を受ける形でとても慕われている。
基本的には漁業がメインの産業であるが、近年は石炭も採掘できるということで大きく変化を迎えそうだ。
島の8割が森と小高い丘で、秋ごろにモリアザミが一面咲いて赤紫に染まる。
(現在この村は存在しない)
杯島信仰
杯島の民間伝承。空から落ちてきた隕石を祀っていて、島民は独自の宗教観を持っている。星の降る日は大量に魚が取れるという。
隕石は神の卵と信じられていて、卵から様々な形で神託が降り、代々星杜家が神の孵化を待っている。もともと、神官の星社一族とそれを守護する月船一族がこの島を牛耳っていたが、現在はつながりは薄く、島には多種多様な人が住んでいる。その多くは島流しなどの罪人である。
秋の終わりには星守祭という祭りが執り行われる。
モリアザミ
キク科の植物、根っこは食用にされることもある。秋ごろに花を咲かせる。
この日、モリアザミが急に増えたという話がある。群生している密度がやけに高く、花が咲くと赤紫の絨毯のように見える。
本来は同種の植物が生えるのに少なくとも一定の間隔が必要なのは、日の光や地面の栄養を糧とする植物の当たり前のルール。この植物はどこか逸脱して狂い咲いている。その花を食べている動物もいるらしい。
星守祭
毎年稚児行列が行われ、今年は日没後星の巫女継承の儀としてカエデを中心とした本行事が執り行われる。神事の内容としては巫女を海から神社まで、神輿に乗せて運ぶ。言い伝えでは、この日巫女への神託が降るという。
巫女の選定は星杜家から行われ、断片的な星の夢を見たものが選ばれる。その夢の内容の真偽は不明だが、神託の日以降に巫女が未来を指すといい、多くの予言が的中した。杯島の盛況と不可侵はこのおかげともいわれる。
尋常小学校 杯島分教場
アラタの父親が作った学校。校長が一人おり、学校の管理と教育を行っている。島の子供の数は少ないため複式学級を取り入れて、別の学年の生徒も一緒の教室で勉学に励んでいる。読み書き、算術、体操、道徳(修身)などの基本教育が行われている。子供たちは基本的に漁業の手伝いがあるため、登校しない日も多い。
※この年、1920年代の義務教育は尋常小学校までで、6年制である。しかし、離島では生徒数の問題もあり、基礎的な勉学を教える4年制である分教場となっている。5年以降は船に乗って本土の学校に行かねばならないが、漁師の子供たちは、その辺を行かせるかどうかは家庭による。
妙音の里
杯島と繋がる航路は一つで、本土の港町へつながっている。そこは山が海に迫るほんのわずかな部分に存在するに港であるが、その裏側…600mの妙音山を越えた麓にももう一つ小さな集落があった。
林業と狩猟を営むその土地は、噂によると妖怪と共存する集落だと言われている。様々な妖怪が跋扈し恐ろしげな噂が絶えない土地ではあるが、実際に人間の被害は存在しない。
あそこに住む御伽衆の末裔があることないこと語っているとか、妖怪を鎮めた巫女がいてその末裔が鬼と混じり統治している土地だとか、眉唾物の噂話が絶えない。
そうした有象無象を信仰するために、森の湖畔のそばに立派な社が建てられた。