2024年8月29日に、「メタサイエンス勉強会:科学哲学から科学政策・研究公正を考える」と題したオンライン勉強会を開催しました。
開催趣旨:初回は科学哲学を起点に、メタサイエンスというコンセプトを媒介して、科学政策や研究公正といったより実践的な分野との対話の経路を模索する研究事例の紹介、および参加者の皆様での議論を行う。
開催日時:2024年8月29日15時~17時
プログラム:
参加人数:約25名
丸山より、私が前職で面白く見ていた欧米の「メタサイエンス運動」のあらましを紹介。「メタサイエンス」が、科学を考える諸学問や科学をよりよく営むための実践をつなぐよい「旗」になりうるのではないかという期待が共有された。
清水より、科学哲学が、狭い意味での科学の実践における個人の科学的知識の形成というスコープから、集団としての知識形成や、ファンディングや評価といった広義の科学的実践にスコープを広げてきたという背景のもと、「オープンサイエンスの哲学」や「特許の哲学」のように、個別の科学政策的トピックに照準を当てた哲学の著作が出てきていることが紹介された。
続いて野内より、メタサイエンスのアジェンダが時代ごとの科学の状態や科学への期待に応じて変化していくなかで、一方で、科学の変化によらず存在してきた息の長い科学哲学的な議論から与えうる視点があるはずだとの見通しが述べられた。野内氏の専門である「科学的実在論」の議論が科学政策のコアの想定に関係しているのではないかとの見立てや、科学哲学の概念分析が議論の見通しを良くする可能性の例としての「再現性 replicability」概念の学問分野の違いによる多様性が取り上げられた。
その後、有志の4名の方による発表では、AI研究、研究支援職、オープンサイエンスの政策的推進、科学人類学、研究実践に関する哲学的分析など、メタサイエンスに関連する様々な活動や関心について自己紹介を兼ねた共有が行われた。
最後に、参加者を交えたオープンディスカッションが行われた。