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2025年9月現在
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埼玉大学学術院 准教授
埼玉大学大学院人文社会科学研究科 准教授
埼玉大学経済学部経済学科 准教授
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開発経済学
教育経済学
国際教育開発論
東南アジア地域研究
New! 著書情報:
Okabe, M. 2025. Economics of the Reversal in Gender Disparities in Education and Development: Poverty, Family Dynamics, and School Environment in the Philippines (Economics, Law, and Institutions in Asia Pacific). Singapore: Springer Nature.(In-press; 近刊)
リンク: Springer Amazon.com Amazon.jp
本書の概要(Prefaceの内容を要約):
本書は、教育におけるジェンダー格差の逆転現象の背景と帰結をアジア太平洋地域の文脈からフィリピンを対象として検討するものである。国際的な教育・開発に関する議論では、長らく女子の不利が強調されてきており、女子教育の普及・女性のエンパワーメントの重要性は今後も重要な課題である。本書はまずこの重要性を認識したうえで、さらにこれと同時に、近年では、男子が教育で遅れをとる「逆転」現象がグローバル・サウスの地域で顕在化しつつある点に着目している。フィリピンはアジア太平洋地域で男女平等の先進国と称される一方で、特に貧困家庭や農村部の男子が急速に教育から取り残されつつある。今世紀初頭からいでに、この逆転現象はフィリピン国内でも「男子の危機(Boys' Crisis)」と称されており、周辺諸国と同様、フィリピン国内でも問題意識が高まってきている。本書はこの新たな問題をフィリピンの実証研究成果に即して批判的に検討する。
本書は、ルソン、ビサヤ、ミンダナオというフィリピンの主要3地域にそれぞれ位置するマリンドゥケ州、アンティーケ州およびブキッドノン州の3州で収集したオリジナルの現地調査データ(一次データ)と公開統計調査(二次データ)の双方を動員し、家族の力学や学校環境における逆転の背景と帰結を、貧困と不均衡な発展の中で実証的に追跡し、男子の教育的離脱をより広い社会経済構造とは独立に理解することはできないことを明らかにしている。女子が男子を学業で上回る一方で、労働市場や家族制度は依然として女性に不利に作用し、そのことが男子の教育的離脱を再帰的に形成していく。
本書は、集団間の異質性という視点を通じて、この逆転の本質を掘り下げる。ここで本書タイトルの一部にもなっている「逆転の経済学」が重要な視角となることを本書全体を通じて提起している。単なる表層的な変化の記述だけでは隠れて見えにくい深層的かつ持続的な非対称性を厳密に問うためにこれらの概念が用いられる。開発経済学、教育学、地域研究を組み合わせた学際的アプローチを採用し、計量経済学的厳密さとフィールドに根ざした地域研究的な文脈感受性の双方の重要性を示し、両者の架橋をめざしている。本書は、経済学・教育学・地域研究などのディシプリンの垣根を越えて、多くの大学や研究機関の教員・研究者、初等中等教育の教育者、教育や開発、労働・雇用などの公的部門の政策立案者、そして教育と開発の変化するパターンに関心を持つ学生に読んでいただければ幸いである。
本書は、2020年7月に第19回アジア太平洋研究賞(井植記念賞、アジア太平洋フォーラム・淡路会議)・本賞を受賞した筆者の博士論文の内容をもとに、その後の成果を踏まえて大幅に改定し新たに再構成したものである。
Foreword by:
澤田康幸 教授(東京大学大学院経済学研究科 教授/同政策評価研究教育センター センター長/アジア開発銀行(ADB) 前チーフエコノミスト) リンク(準備中)
メリッサ・R・セラーノ 研究科長 (フィリピン大学ディリマン校労働産業関係学研究科(UP-SOLAIR)研究科長・教授/同労働正義研究センター センター長) リンク(準備中)