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木工丸鋸盤を買い入れて、ツーバイフォー材で小屋の壁に取付けるガラス枠の製作を始めましたが、枠の四隅を嵌合させるためツーバイフォー材を垂直に立てて端面を切り込み凹凸に加工する必要が生じました。
切断時、材の垂直がズレているため嵌合部が楔形に切り込まれている。また切り込み位置のズレも見られる
このために急遽垂直のガイド板を作りこれで溝切りを始めましたが、すぐに垂直がズレるし溝位置を決めるための取付け精度も甚だ怪しいもので凹凸部の噛み合いがうまく出ません。やむなく垂直材加工のためのしっかりした治具を作ることになりました。
上写真が完成した治具。垂直を決める四角い箱とそれに添わせてツーバイフォー材をガイドする送り板のセット
垂直を決めるのは中央の四角い箱で、左右両面を使うことができます。角度を固定するには3角のほうが具合が良いですが、突き合わせて接合するのが厄介なので、コンパネを工作の容易な四角に接合して作りました。
まず金尺で直角出しをした垂直板補助部材4個をコンパネ底面に取り付け、直角を確認したら両サイドの垂直板を取付けます。
垂直補助板の底面に対する両サイドの角度が正確に直角となるか金尺や角度定規でチェックし、問題がなければ補助板に軽天ビスで垂直板を固定します。コンパネは材が割れやすいのでワンサイズ細いドリルで下穴を開けてからネジ止めします。また直角補助部材もそうですが、突き合わせる木部にはボンドを塗布して面接合するようにします。
接合前の角度出しに問題がなければ、両サイドの垂直板取り付け後もほぼ正確に直角がでていますから天板を取付けてひとまず完成です。このままでは切断方向の角度が固定できないので、箱を移動させても丸鋸の切断方向と垂直板が平行になるようにガイドを取付けます。
ガイドはテーブルの両横側面に設けられたアルミガイド溝にひったり嵌まるアルミ製のガイドバーを噛ませてスライドさせることにより左右のブレを抑えて、垂直板を丸鋸の切断線から任意の距離に移動させても垂直板の平面が切断線とほぼ並行を保てるようにしています。
箱の両側底面にとりつけるスライドガイドバー。アルミ材を加工してテーブル側面のスライドレールにピッタリ嵌まるようにしてある
スライドバーの片方は、箱をテーブルから着脱できるようスプリング入りの蝶板で取付けてテーブル側面に押し付けているだけですから、無理な力を掛けるとレールから外れてしまいますが垂直板の位置決めをする際は僅かな力で箱をレールに沿って移動させることができます。
当初はテーブルソー付属の平行定規についている様な、簡単なスライドロック機構を考えましたが平行定規はロックすると僅かに定規の位置がずれるし、むしろ垂直板の位置出しが済んだ段階でテーブルと箱とをクイックバイスで固定するほうがはるかに確実な方法だと考え至りました。
丸鋸の切断線に対する位置決めが終わったら、材の加工中に箱がブレないよう箱とテーブルをクイックバイスで止めてしまう
後は垂直板に沿わせてツーバイフォー材を切断方向に倒れないようガイドする垂直定規で、こちらは30X30mm 3tアルミアングルでツーバイフォー材を挟み込んで切断方向の垂直がブレないようにし、25mm 1.2tの角形鋼板に取り付けてテーブル上をスライドさせるようにします。
角形鋼板は何か家具に使っていたらしい廃材で、アルミアングルも建屋の廃材です。ものを拵えるには、そのデザイン力だけでなく、いかに効率よく材料を集めるかも大切な能力の一つであり、出来上がったは良いが買ったほうが遥かに安かったでは話になりません。
アルミアングルに4mmタップを立て、補強の2mm鉄板を座金にして角形鋼板をアングルに垂直に取り付けます。あとは垂直がブレないようアングルに筋交いを噛ませて完成。
角度を正確に出すための治具だと、やはり金属加工に分がある。ネジ穴を長孔にしたり少し大きめにしたりして正確な角度調整が可能。テーブルにスライドさせる角形鋼板の底面にはテフロンテープが貼ってある
やはり多少なりとも手間を掛けて専用に組み上げた治具の効果は絶大で、残り7枚の扉の四隅の接合部・凹凸加工が当初の仮設板にくらべれば遥かに正確かつ楽に切り込むことができました。
最後の工作は溝加工のためのトリマーをテーブルに取付けるものです。上写真にあるガラス嵌め込み枠には幅 7mm 深さ10mmの溝切りをして、この溝でガラスを挟みますが、丸鋸の刃先でこの溝加工をするためには、材を3回テーブル上で送ってやらないと溝をさらうことができません。
薄い鋸の歯厚ではやむを得ないことですが、我が家には30年も昔に買った中華製のトリマーがあり、付属治具の品質が余りに悪くトリマーとしてはほとんど使っていなかったので、これを機会に丸鋸のワークテーブルへ取付けることにしました。
買い入れたのはもう30年以上も前ではないか・・国内販売元はバオックコーポレーション、モノは台湾製で、本体はアルミ筐体だがプラスティック製の治具の品質が極端に悪くすぐに破れて使い物にならなかった。
アルミ筐体のトリマー本体はしっかりしているので時折フライスの横軸加工用に使ったりする。回転数が高いので加工面の仕上がりは綺麗だし、何より溝幅の異なる様々なビットを取り付けられるので溝切りには最適だ
トリマーを取付けるプラスティック製の台座はネジの部分や基部が破損してそのままでは使えないので鉄材で補強修理して使うことにします。トリマーのテーブルへの取付けをどうするか考えていたら、偶然中華通販にアルミ製のルーターテーブルなるものが出ていて、ルータービットの定規がオマケについて送料込みで5.127円 写真見るとアルミ材の品質も良く面白そうなので買い込むことにしました。
平行定規と角度定規がついていますが、これは小さいので丸鋸テーブルのものを利用するほうが賢そうです。アルミテーブルは寸法がかなり小さいので丸鋸テーブルに装置するために木製のベースを削ってアルミテーブルを嵌め込み丸鋸盤に取付けるようにしました。
アルミ板はベースとなる化粧コンパネの表面を削り込んでコンパネの表面と面一にしてコンパネに取付けます。トリマーはこのアルミ板に取付けますが、既存のプラスティック製トリマー枠を直接アルミベースに取り付けることはせず、昇降機構を備えたトリマー取付枠を制作しそれをアルミベースへ固定するように考えました。
化粧コンパネは表面をアルミベースの厚みだけ掘り下げてアルミテーブルを嵌め込む。このテの加工はトリマーやフライス盤の仕事だ
安物の中華製平面研削ヘッドで削ると刃物の品質が悪くて研削側面のバリがひどい。地道にエンドミルでなぞるのが正解か
後はアルミ材と木部の隙間に何箇所かボンドを流し込んで面接着させてから、四隅を皿ビスで固定します。丸鋸テーブルへの取付けはコンパネの両側面にアルミアングルを固定してスライドテーブルで挟み込むだけです。
トリマーの昇降機構は二組のリニアシャフトとリニアブッシュによって行います。これは以前に接写撮影装置を作った際の残りで、これが在ったためにトリマーの昇降装置を作ろうという気になったものです。
トリマーは鉄板のベース上に2本のリニアシャフト製ガイド軸を立て、トリマー取付台をガイド軸に沿って移動するリニアブッシュに固定してトリマー取付台をネジ軸で昇降させる機構とします。
ネジ軸は10mm寸切ボルトを通し、下部のベースではベアリング玉で受け、上部のベースでピロブロックによりに固定します。ネジ軸を通すナット部は25X25アルミ角材から切り出してトリマー取付台へ固定します。摺動性や摩耗を考えれば真鍮材がベストですが手持ちがありませんでした。
トリマーを固定するプラスティック製取付用アタッチメントが破損しているので、まずそちらを修復します。トリマー本体を締め込むバンド部分はスプレー缶の金属部分に鉄板を半田付けして作ります。MIG溶接機で点付けする方が堅いですが、スプレー缶はいかにも薄くスポット溶接の様に綺麗に付ける自信がありません
プラスティック製取付用アタッチメントのベースはひび割れが酷くてこのままでは使えないのでコンパネをエポキシ接着剤で張り付けて補強します。
筐体となるトリマー取付台及び固定ベース部は全て鋼材で加工し溶接します。アルミは剛性に難がありますし、なによりアルゴンがないと溶接できません。
下の写真ではまだ穴を開けていませんが、下部筐体のベースはアルミテーブル4箇所に5mmのタップを立てて取付けます。
まず各部の位置合わせをして、トリマーを上下させても相互に干渉しないことを確認したらまずリニアブッシュをトリマー取付台へ固定し、その後でブッシュがスムーズに動く位置に合わせて、リニアシャフトのベースをマーキングして開穴し下部筐体へと取付けます。同時にトリマーの取付用アタッチメントを固定する4本のネジ穴も開穴します。
左は筐体の下部固定ベース。右がトリマーを固定し昇降するトリマー取付台・移動ベース。
リニアブッシュ、リニアシャフト共に取付けは鉄のベースにタップ切りして固定すします。リニアシャフトの取付位置は0.1mmでもズレるとリニアブッシュの動きがきつくなります。私の場合、どちらの穴もフライスに固定しておいて製図図面の穴位置をX-Yテーブルで芯出しして旋削していますから精度は十分です。
アルミマウント部の取付穴余裕以上の心ズレは許されないため、正確なマーキングと穴あけが必要となります。16本全てのタップにスムーズにビスが通り、リニアシャフトがスムーズに動けば作業は成功です。
次に取付台を昇降させるネジ軸を取付けます。25mm角のアルミ材に10mmのタップ切りをして両脇に固定用の4mmタップでねじ切りし、トリマー取付台へ取付けます。10mmタップの軸が垂直からズレるとトリマーの昇降が阻害されるので穴の垂直出しは慎重に行います。
制作中の写真がないので、上は組み付けてからの写真。この状態で昇降が最もスムーズな位置にネジ軸上下の受けの取付を調整する。
ネジ軸の下端は5mmほどネジを落とし、中心にドリルで凹みを付けベアリング玉が落ち着くように加工しておきます。この下端に合わせて2.7mm鉄板でベアリング受けを作り、ネジ軸下位置に合わせて、ベアリング受けを取付けます。
制作中の写真がないので上は完成したものです。ベアリング受けの位置がズレてもネジ軸が傾いてしまうのでベアリング受けの取り付け穴は馬鹿穴にして、ネジを回して最もスムーズに動ける位置で固定するようにしておきます。
更にネジ軸の位置に合わせて筐体上部の固定板を作ります。各部の穴位置は製図図面に従ってフライスで開けています。ネジ軸上部の固定は12mmのピロブロック ( 軸径10mmの手持ちがなかった ) を取付け、ネジ軸にねじ切りした14mmのブッシュを接着して旋盤で12mmに削り込んで取付けてあります。
後は各部を取付なるべくスムーズに昇降する位置で固定してネジの頭にハンドルを取り付ければほぼ完成です。筐体上下の補強用に10X1.5t のステン板2本を補強に取り付けてあります。
丸鋸テーブルに取付けると流石に重いのでテーブルの端が下がり気味になるためアルミサッシの古材で補強を作りワークテーブルの脚部とルーターテーブルの端に噛ませて筋交いとしてあります。
アルミ補強材は差し込んであるだけなので簡単に取り外せる。全てアルミサッシの古材
ワークテーブルにトリマーを組み込んだことで溝加工の作業性が大きく改善されました。トリマーはビットを交換することで様々な幅で溝加工ができますから大きなワークテーブルに取付けることによって、取り回しの困難なフライスのX-Yテーブルでの作業に比べて木工加工の作業性は大幅に向上します。
以上でルーターテーブルの改善は終了です。結構大掛かりなものになって細かい機械加工が必要となりましたが出来上がって使用すると簡単、正確に溝の深みや幅調整が出来るので大変重宝しています。
テーブルソーには角度切りを助けるため、角度定規とそれがスライドできる2本の溝が切られており、角度を付けて切断する際にはなかなか便利に使えるのですが角度定規と丸鋸の間隔が広いため、長物や小物を切断したい場合、下の説明書にある通り当て板を添わせて切断しないと上手くゆきません。
当初はアルミ角材を角度定規に添わせていましたが、角材を固定してないので注意していないとアルミ材迄切ってしまいます。アルミ材を角度定規に固定しておけばこの問題は回避できますが、今度は定規の角度を変えるとアルミ材が鋸に干渉する事態が生じて取り外さねばなりません。
角度定規は90度直角切りと45度の斜め切りを多用するので、角度が変わることに取り外しているのが面倒なため固定せずに使っていましたが、小物の正確な切断には角度定規の端面が丸鋸刃すれすれに装置する方が望ましいため、安易に手持ちしているとアルミ材まで切り込んでしまいます。
このため角度定規の補助材は固定しておいて、切断角度を変える際は簡単に補助材の端面位置を変えられる仕組みが望まれるところです。このために使用したのが下写真にあるスライド用溝付きのアルミガイド材で、ルーターの切断補助器具として1000円強で、中華通販サイトに出ていたものです。
補助用部材に使うのは350mmの長い方で残りはまた他の役にでも立つでしょう。部材の固定は角度定規に付いているM6ボルトの取付穴を利用してL型の山形鋼 ( アングル ) を加工した固定用部材を取り付け、そこへ溝部材を固定しています。
上写真中央の茶色い部材が固定用金具。2本のビスはスライド溝の下にある固定用金具にネジ止めされている
溝にそったM6ネジ2本を緩めると補助用部材を左右にスライドさせることが出来ます。下写真の様に切断角度を変えるとこのビスを緩めて部材の端面が丸鋸刃すれすれに来るよう調整します。
補助材の角度出しは三角定規を丸鋸の側面と補助材に当てて行う。90度、45度、60度、30度の角度出しは略正確に行える。
切断角度の調整は絶えず行うので、この補助具はとても便利に利用しています。以上で丸鋸テーブルの改善は終了です。作業工具の改良は、そのときは面倒でも後々の作業に大きな助けとなるものですから今後も機会があれは積極的に進めたい分野でしょうか。