三菱オーブンレンジRO-B1C修理 目次
症状
機械的に何か回転体が擦れるような音で徐々に発生の頻度が高くなります。レンジは問題なく動作しているのですが音の発生は当然何らか回転部に異常が生じていますので早い目に不良箇所の修理が必要です。製品の仕様は以下のようなものです。
対応策
まず、内部を確認して故障の発生箇所を特定します。回路図を見ますと4個のモーターが実装されており、異音の発生はこれらのモーターの内のどれかからだと思われます。
通電して動作させ、異音の発生箇所を耳で確認すると、どうも本体底面の辺りから発生している様子です。やむなく本体の筐体を分解し、異音を発生させている部品を特定することにします。
子レンジは生命にきわめて有害な高ネルギーのマイクロ波を庫内の内部に照射するため、マイクロ波が外部に漏洩しないよう、極めて遮蔽効果の高い、しっかりした金属筐体で覆われていますから分解は結構な手間です。
内部に大きな磁石を備えた高出力のマグネトロンと、それを駆動するための大容量のトランスが収まっているので大変に重く、取り回しがし辛いため分解にはなかなか体力も必要で厄介な製品です。
なんとか床面のパネルを外すと、本体底部に減速比の大きなギャヘッドの小型シンクロナスモーターが取り付けてある。回路図にあるアンテナモーターで、軸は本体底面にあるアルミ製の羽(アンテナ)につながっていてアルミ羽を低速回転させることによりマグネトロンが照射するマイクロ波を反射、撹乱してレンジの室内に照射するマイクロ波が偏らないようにしているらしい。
AC100V仕様のモーターなので試験台より直接100Vをかけて無理やりモーターを回してみると直ぐに異音が出だした。やはり原因はこのモーターもしくはその上部の構造体の異常だ。
そこでモーターをアンテナ軸から外し、再度100Vを印加するとモーター単体から異音が発生、原因はこのモーターの異常であった。
メーカーサービスで同型のシンクロナスモーターを手配すれば間違いないのだか、近所にメーカーサービスもないし、何より到着まで時間もかかり手間もかかるので、モーターのヘッド部を分解して異音の原因を探る。
分解してみると、どうやらギヤヘット内部のグリスが、マイクロ波の照射によってか変質、固化してギャがスムーズに回らず時折異音を出していた様子、早速内部を洗浄清掃して新たなグリスを塗布して組み立てた。
ケースを封止して再度100Vを印加して回転チェック。この状態で数時間放置したが全く異音は発生せずこのモーターの修理は完了した。
異音が生じだした早い段階で分解したため、プラスティックギャの歯が摩耗する所迄ゆかずプラスティックの変形にとどまっていたためグリスアップに依ってほぼ正常に復旧できた。もう少し放置してギャが歯飛びする状況にまで至っていれば刃先の欠けが生じてモーター交換が必要になっていただろう。
後は元通り組み込んで修理完成となるが、密閉構造の底面でアンテナ部分をモーターの軸に接続するのに少なからず苦労と知恵を絞らなければならなかったが、すべて組み終わって正常動作を確認できたので苦労も報われるだろう。