SUPサーフィンに通う河芸海岸で懐中電灯を拾いました。三ヶ所のケースねじ込み部はゴムパッキンが装置されていてある程度の防水性を確保しているタイプですが、USB-Cの充電端子を保護するカバーは取れていて、海の塩水に浸かっていたため内部に塩水が侵入しUSB端子等の金属部分は腐食が進んでいます。
上の写真は綺麗に水洗いして汚れと錆を落とした状態だが、まだ右端のネジ山部分に僅かに錆が残っている。夜釣りにでも携帯していた様だが右端の防水キャップがなく、内部に浸水して使用に耐える状態ではない。ベルトもないので壊れて捨てられたようだ
内部には3.7V 18650のリチウム電池が入っていましたが電位のある直流回路が塩水中に浸ったため内部部品の電蝕が酷く筺体内部は腐食塩と塩水で著しい汚れ。リチウム電池の電極は電蝕のため殆ど溶解していおり、内部に取り付けられた回路基板も絶縁保護コーティングが効いていない部分は銅の電蝕と鉄錆に覆われて使用不可能な状態でした。
1000円も出せば中華通販で18650内臓の高輝度LEDライトが買えるご時勢に壊れたライトを拾って直そうと云うのは修理代の方が高くついてしまうのも目に見えているのですが、壊れたものを見ると治したくなる性分は、手元にLEDやらUSB充電基板やら色々と手持ちのある身にすると手間や経費よりも修理を楽しむ気質が勝ってしまいます。
電蝕を受けた内部が余りにも汚いので、内部のパーツはすべて取り外して電極に穴の開いた電池は捨て、他は水洗、錆び取り剤に暫く浸してブラシ清掃したのち水洗、真鍮クリーナーで表面研磨して錆びと腐食塩類をそぎ落としました。内部基板はUSB-C端子を取り付けた充電基板と点灯制御のための主基板の二つ、それにLEDを取付けたリフレクターです。
LED側には防水が効いて塩水の影響が少なく、LEDを電源に接続して点灯させると3.6V程で明るく点灯して使用可能です。
腐食して汚れた写真は撮らなかったのでクリーニングによって鉄錆と銅錆を落としたのちの基盤写真が上です。どちらも金属部分の電蝕による銅塩と鉄錆は綺麗に落ちているので、塩水の侵入による電気的短絡によってデバイスが破損していなければ使用に耐えそうに思われますが、USB-Cの端子は挿入部内のプラスティックセパレーターが破損しているうえ、内部端子の電蝕は修復しようがないので最早使えそうにありません。
取付部品が僅かなので、内部回路はおおよそ想像できますが正確を期して調べました。特に点灯基板の主回路を確保したのは、この基板に非接触の磁気センサーが搭載されていて、ケース外部の磁石スイッチの動きで点灯のオンオフを行っており、なるべくこれを生かしたかったからです。
点灯基板のB+B-に4Vの電源を接続して動作チェックしたところ、有難いことに回路は正常で磁気スイッチによって点灯の入切が出来ました。充電基板は手持ちに中華通販で仕入れた3.7VのUSB-C充電基板があったのでこちらを流用します。OUT+、OUT-の出力を点灯基板のB+、B-へ繋いでやれば動作します。
この基板は以前に豆電球式の非常用懐中電灯を高輝度LED点灯に変えた折18650バッテリーと共に買ったものです。上写真の様に18650バッテリーの充電ポートと3.7V出力ポートが独立していて使い勝手が良く、18650バッテリー共々古い非常灯に取り付けて高輝度LED点灯用に使っています。
ただしこの基板は縦長で既設USB端子の位置に付けると18650電池が入らないのでリフレクターの背後に取り付けてUSB-C端子のみ別に取り付けました。防水用のキャップが無かったのですがペットボトルの蓋が良く合うので防水用キャップに流用しました。USB端子の取付ベースは塩ビ材を削ってこしらえてあります。
全てのパーツを接続して実装した写真を下に上げます。充電回路基板は内部にテープ止めしてあります。点灯制御の主基板はその対面にネジ止めされています。18650電池は先に非常灯の改修を行った際2本セットになっていたものを買い入れた片割れです。
リフレクター部にも塩水の侵入が多く、リフレクターの背面アルミはかなり腐食していたため表面に白色ペイントを吹き付けてあります。LED装着の前面は密封がよく腐食は免れたようですが、内面の鏡面鍍金が剥離黄変しているもののリフレクターとしては十分使えます。表面コーティングが良かったものかLEDの基盤は当初から綺麗でした。
防水キャップをかぶせて修理完成が下の写真です。中央の四角い部分は磁石を内蔵した非接触スイッチで筺体内部の磁気センサーを制御してランプの入り切りを行います。
手元にLEDライトは10種類以上ありますがこのライトはかなり明るい部類に入るでしょう。