嘗ては高輝度照明の主力であったキセノン灯も、発熱と消費電力の多さからLED照明にとって替わられる様になりました。私も局所照明に使用していたキセノン灯をLEDに換装してみました。
キセノン灯は短い支柱に固定用のクリップが付いていたものですが、クリップも破損して取り外したので、ここは支柱も可動性のよいアームスタンドと換装します。
アームスタンドはアマゾンでマイクスタンドとして売られているものを使用しました。マイク取付用の付属品が付随していますがこちらは使いません。
ハロゲンランプのケースはアルミダイキャスト製の堅牢な作り。リフレクタの中心にLEDを換装する。
LEDは以前に顕微鏡照明用に中華通販で購入したものを流用しますが、超高輝度用なので背面には放熱板を装着する構造になっています。
点灯開始電圧は9~10Vと高く、点灯させるとたちまち背後の放熱板が過熱して触れなくなるので高輝度点灯させるには大きめの放熱板が必要です。
LEDは複数の素子を直・並列に組み込み輝度を上げている。給電端子もデカく10Aは楽に通電するだろう。
LED点灯用の電源は壊れたHDDのACアダプターが12V1.5Aとコンパクトで丁度良い出力なのでこれを用います。LEDの仕様からすれば遥かに低電流ですが室内でフライスの局所照明に使う用途には十分すぎるでしょう。
輝度調整には、ACACアダプタに以前Aliexpressで大量に買い入れたDC-DCコンバーターを接続して電圧調整します。スイッチングコンバーターなので発熱も僅かで大変使いやすいものです。
LM2596を使用したDC-DCコンバーターモジュールは5年以上も前の商品だが今も現行品で中華通販では一個100円程で売られている。電圧調整用ポットを外付けすれば自由に輝度調整できるがそこまでの必要はない。
上にLM2596の仕様を示しますが入力40V 出力3Aまで対応します。出力電圧はFeedbackに出力を分圧して可変します。仕様一杯の性能を出すにはある程度大きな放熱板が要るのでこのモジュールの大きさでは仕様の半分程度の電圧・電流で使うのが安心でしょうか。
LEDに取り付ける放熱板は手元にあったサイリスタ用の中古放熱器を使います。かなりデカいアルミ製で10W程度の発熱なら十分すぎる大きさですが、少し切り詰めればランプケースの背後に収納するにはひったりの大きさなのでこれを使います。
ランプケースに収めるため当たる部分をフライスで穿鑿する。この二つの竪穴が放熱板の固定にちょうどいい
リフレクターの穴に合うようLEDを実装する部分をロータリーテーブルで丸く削り出す。この辺りの加工は使用する素材に応じて臨機応変にやる。
2.6mmのビスの頭を少し減径してLEDを放熱器へ取付ける。LED放熱板と放熱フィンにはシリコングリスを塗布しておく
今回のようにLEDの予想発熱量に対して放熱器が十分すぎるほど大きい場合には発熱するデバイスの熱吸収にさほど神経質になる必要はありませんが、通常は放熱器とデバイスの放熱板の間にはしっかりシリコングリスを塗布して両者の間の熱抵抗を下げます。
DC-DCコンバーターはランプケースの内部に取り付けますが、まるであつらえた様なステージスペースがありそこへ3mmビスでねじ止めします。放熱器はハロゲンランプのソケットを取付けていた支柱へはめ込みます。
LEDを装置したアルミフィンを収納し配線を接続すればランプ部の電気回路は完成です。
アームスタンドには10mmでネジ切りしたブラケットが付いているためこの先端にランプフードが取り付けられるように工夫します。ランプに付属するブラケットを切り飛ばして10mmのネジを切ることも考えましたがネジを切れるスペースがないため諦めました。
ライトを支えるブラケットでは腕が長いので、代わりにアルミ材から取付金具を削りだしてアームスタンドに取付ける。
アルミ材より切り出した可動部の部品にM10タップでねじ切りしてアームスタンドのブラケットに切られたM10のネジ山へネジ込むことにします。
22X22 アルミ角材よりT字部の可動部品を削りだす。四角のままではランプケースに収容できないので旋盤で既設部品と同じ丸筒形に加工。
旋盤でランプケースの可動部に収まる様に18Φに旋削したら端面の片側には首振り範囲を規制するための抉りを付けておきます。
ランプケースに取り付けスタンドのブラケットにねじ込めばこの部分は完成。
ランプケースをアームに取付けたら、可動部分にはたるみを付けて腕に沿って配線を固定します。
フライス盤のスポット照明に使うためテーブルに取付けて可動範囲を確認します。
点灯させて電圧調整を行うと8.9Vで0.4A程度で十分な明るさが得られるのでこの設定で使用することとしました。このままではACアダプタを抜き差ししてランプの入切りするのでスイッチを取付けます。
ACアダプタのDCコンセントにぴったりのコ形アルミ材があったのでコンセントを接着して電源スイッチを取付けプラスティック材で背面を蓋すれば良し。後はACアダプタの直流配線をスイッチに取付けケースをアームスタンド下部へと固定すれば完成です。
フライスの局部照明としては十分すぎる明るさで当初計画した通り満足なものが出来ました。