通称魔導院。
千年前に結成された歴史ある組織。ブリテン島の地下に存在する大空洞に本拠地が存在する。組織の規模もトップクラスに大きく、他組織の追随を許さない。
地下空洞内部は、小国規模の敷地面積を誇り、場所によっては気候なども大きく変化する。中心部にはグレイスシャーリッヒ魔術双塔と呼ばれる、巨大な塔がそびえ立つ。
空洞内部は全て魔術のための施設として使われているので、地下大空洞そのものを、魔導院と呼称する場合もある。「英国のアガルタ」と言われることも。
さも当然のような原理、法則がここでは通用せず、ほとんど無知のままここに侵入すると死にかける。
地下空洞へのアクセス方法はエレベーター。一般人が見つけられない場所、見つけたとしてもエレベーターの使い方が分からないような細工がされており、関係者でなければ侵入できない造り。数十年前までは地上に空いた穴から自力で魔導院内に侵入する必要があったが、魔導院改革内乱で新世代派が勝利して以降、利便性を高めるためにと様々な場所で機械が採用されている。
とはいえ、エレベーターはどれも古めかしいものばかりで、お世辞にも便利とは言えない。以前よりはマシになったが。
組織の活動目的は、「来たる外宇宙からの脅威に対し備える」というものだったが、時代を重ねるごとに目的が曖昧になっている。現在は「魔術文化の保存・継承」が主な目的。設立から数百年程度で、千年とはいかないものの、歴史の長い組織。
「呪詛返しの魔術師と百奇夜行」の時代においては、退魔魔導衝突という事件の影響で「魔法使いと吸血鬼」よりも規模が縮小されており、ブリテン島地下深くにあった本部はその空洞ごと消失している。(本部に張り巡らされていた擬似新世界創世に類似した魔術の影響とされる)
世界最大規模の魔術結社であることから組織内でも対立が生じ、勢力が分断されている。
[風儀派(従来派)]―主に科学技術の発展を悪とし、現在の世界に否定的な派閥
・グレイス派
→(00年代には新世代派の台頭により反科学複合魔術思想はほぼ消滅。ただし一貫して自分たちはその魔術系統に属さないし使わない)
・シャーリッヒ派
[新世代派]ー90年代より登場し、風儀派とは正反対の思想を持つ派閥。
・ブレイブハート派
[中立・無干渉]
・グレイスシャーリッヒ地下派(魔術双塔の更に地下に引きこもり、半世紀以上研究を続ける者たち)
・教会派(宗教的側面がどの派閥よりも最も色濃い派閥)
特位魔術師として会談などに参加しているのは殆どがブレイブハート派か教会派、グレイス派であり、半ば一方的に魔導院の運営方針が決定されていたが、2021年の魔導院旧血種事件でのスカーレット死後、新世代派は派閥としての権威のほとんどを失ったため、魔導院の仕組みそのものが見直されようとしている。
魔導院地下空洞で最も目立つ建造物にして、組織の核のような建物。どの文化、文明の建築様式とは違う幻想的な塔。
その高さは、地下大空洞の地面から天井までを突き抜ける。
塔の更に地下にも建造物が存在しており、アクセスするにはこの塔を経由する必要がある。
魔術研究の最先端であり、特位魔術師でなくとも、有名な魔術師が塔の一部を借りて研究に没頭している。
研究者の魔術の影響か、部分的に空間が異界化している場所もあるため、容易に立ち入ってはならないような場所もある。
人口密度が最も高いエリア。混雑時は人の波に押されながら歩くことになる。
主に魔術道具やその他希少品が売買される区画。グレイスシャーリッヒ魔術双塔を囲うように建造物が並んでおり、魔術に必要なアイテムは基本ここで集めることができる。レストランなどの飲食店も存在するが、通常より物価は高め。通貨は地上同様ポンドが使える他、外貨、等価交換なども可能。デジタル決済、クレジットカード払いなどは当然使用不可。
ホウキでせわしなく人が飛んでいたりもする。
現代では希有な物品の生産を行うエリア。魔術双塔から西の果てまで向かった先にある火山帯そばに存在。
純度の高いエーテルを使って作成される魔術道具はどれも逸品。
幻獣の保護も行うエリア。魔術双塔周辺の広大な草原地帯全てが畜産区となっており魔導院内の総敷地面積が最も大きい。
本来であれば駆除されるべき危険生物なども丁重に保護されているため安々とこの地域に侵入すると地獄を見る。
別称に「魔導院闘技場」「地下闘技場」「アンダーコロセウム」などがある。
魔導院と同じ、大空洞内部に存在。祭事の際に解放されるのがほとんどで、それ以外の日に立ち入ることは難しい。
第三次世界樹顕現が発生した場所でもある。
魔導院創設よりも過去に作られたとされる星のあらゆる知識が集まる場所。一部はどの魔術師にも公開されているが、コアとなっている「天使を模倣したオレイカルコス製の魔術道具」は特位魔術師などであっても使用禁止の過去未来を測定するマキナ。
魔術双塔からかなり離れた雪山の頂上に存在する。
大空洞の更なる地下へと続く大穴のそばにたたずむ巨大な石の扉。何重にも魔術で保護がされた禁足地となっている。封印を解けるものは魔法使いほどの力を持つ者のみ。
組織に加入している魔術師は、本人の魔術知識や能力値のみならず、家柄等も判断材料に利用される。13ある階位の下から5番目(I〜V階位)に割分けられ、以降は魔導院に大きく貢献した場合や、単純に術者の能力値が上がった際は得た評価で階位を上げていくこととなる。
実力が高いと判断される方法は様々だが、魔導院のメンバーとして魔術的な仕事/任務を行う、階級昇格試験を受けるなどの方法がある。
ただ、後者はあまり推奨されない。
階位の数値が高いほど魔導院での身分は高い。
X階位まで進んだ者は魔導院内でも特別視され、組織内でも5%ほどしか存在しないものになる。また、第XIII階位の人間の中でも一部の人間は特位魔術師と呼ばれる存在となり、魔導院の運営に大きく関わることができる。
ざっくり区分すれば、下位(Ⅰ~Ⅴ)→上位(Ⅵ~XIII)→特位(XIII)魔術師となる。
※例外も存在。
特位魔術師とは本来、魔導院設立メンバーもとい、その子孫にのみ与えられていた役職だった。(世襲制だった)
しかし、血統の途絶や内部抗争などが始まり、現代と最初期とではメンツが大きく異なる。
幻影は魔導院改革時に独立した日本人魔術師たちにより設立された組織のため、禁忌指定など同様の区分を用い、互いに情報交換を行うことが多い。一時期は組織間の状況が芳しくなかったが、現在は持ち直してきている。
幻影は魔導院の傘下であると説明しても問題はない。
退魔魔導衝突で甚大な被害を被り壊滅した。世界各地に所属していた多くの魔術師が散らばってはいるものの、コネクションが破綻してしまっている。
グレイスシャーリッヒ地下派はそんなことにも気づかず地下世界の更に深淵で魔術の研究を行っている。
・香夜(第XIII階位)→後に脱退 [新世代派]
・アドルフォ・モンタール(第Ⅴ階位) [風儀派]
・アーリンス・モンタール(第Ⅻ階位)→後に脱退 [新世代派]
・海上寺央座(第Ⅶ階位) [風儀派]
・螺線久遠(第Ⅴ階位) [風儀派]
・螺線須臾(不明) [風儀派]
・スカーレット・ブレイブハート(第XIII階位・特位魔術師) [新世代派]
・セクタヴィア・ソーン(第XIII階位・特位魔術師) [風儀派]
・九条香示(永世特位魔術師) [風儀派]