設立の趣旨

   KSU英語教育研究会誌 創刊号【1983年発行)より


              巻頭言

                      昭和58年4月27日

                            梅田 巌

 数年前から「京都産業大学英語教育研究会」の発足の気運が高まり,一昨年夏には第1回研究会という形で実現し,続いて昨年夏の第2回研究会が前回と同様に大きな成果をもたらしたことを諸君と共に喜びたいと思います。

 諸君は,それぞれ職場において,またそれぞれの地域において,研究会活動に積極的に参加され,生徒一人一人の学力を伸ばすために日々励んでおられることでしょう。一方,それと併行して,かつて机を同じくした同窓の士が,年に一回とは言え,日頃の実践・研究の成果を発表し合い,また共に日頃の悩み,苦しみ,喜びを分かち合う機会を持つことは大きな意義があると信じます。

 近年は「生活指導に追われて,教科指導にまで真剣に取り組むゆとりがない」などという言葉をよく耳にします。その気持ちはよく分かるのですが,今ほど専門家としての教師の実力が問われている時はないように私には思えます。たとえ英語がよく分からない生徒であっても,教師のひたむきに研究し向上しようと努力している姿は感じ取っているものです。そして,それが彼らの学習意欲を起こさせる原動力につながるものなのです。この意味においても,この研究会の意義と役割には大きいものがあります。また,この研究会は教師志望の在学生に対する啓蒙の場であり,卒業生,在学生そして我々スタッフ三者の交流の場でもあります。

 この研究会が今後ますます発展することを心から期待し,そのためには我々英米語学科のスタッフも出来る限りの協力を約束したいと思います。