研究会の新しい一頁

              平成27年度 KSU英語教育研究会誌より

                      京都産業大学 大和隆介

京都産業大学外国語学部英米語学科で4年間を過ごした多くの卒業生が、全国の中学・高校で教鞭を取っていらっしゃいます。中には小学校や大學で教えていらっしゃる方もいます。このようなOB・OGの情報交換や研修を目的として、本研究会は1981年にスタートしました。


これまで梅田巌先生、富永八郎先生、石井丈夫先生、そして昨年まで代表を務めてくださっていた多湖正紀先生などの多くの先生方が、手弁当でこの会の企画・運営にあたってこられました。年に一度8月に開催される研究会は、そんな愛情溢れる先生方と卒業生たちの素晴らしいReunionの場となってきました。またこの研究会は、旧交を深めるだけでなく、日々学校で雑多な仕事に追われ研究書を読む時間を見つけることの難しい現場の先生方にとっては、最新の言語教育の状況などアカデミックな話に触れる貴重な機会ともなっていたことでしょう。


 2008年度から多湖先生の後を引きついで、私がこの研究会の代表を務めることになりました。これまで代表として会の指導をされてこられた代々の先生方とは異なり、私は京都産業大学に赴任してまだ3年目の新米です。しかし「経験も知識も足りない」ということは、必ずしもマイナスばかりではないようです。新米代表を助けてやろうという雰囲気が会員の中に芽生えてきました。これまでのように代表や卒業生のまとめ役を長年されてきた鈴木博先生など、ほんの一部の方に会の運営をまかせるのではなく、若い元気のある先生方が積極的に会の企画・運営に関わってくださるようになりました。これは今後の会の発展にとっては本当に素晴らしいことです。


 このような多くの方々の協力のもとに、2008年8月23日にキャンパスプラザ京都で研究大会が開かれました。今年度は、「あの子の目が輝く授業をするために・・・!」を大会テーマとし、例年以上に学部学生の出席者を得て、とても活気のある有意義な会となりました。基調講演には、東京外国語大學の高島英幸先生と京都産業大学の西川信廣先生という著名な研究者をお二人お招きし、現在の教育全般、英語教授法について、具体的事例を挙げながら示唆に富むお話をしていただきました。講演後、熱心な質疑応答が交わされたことからも、この講演がいかに参加者全員の知的好奇心をかきたて、日々の授業実践の改善に大きく役立つものだったかが分かります。


 基調講演に続いて行われた会員発表、山下亜希子先生による「中国の英語教育」に関する研修報告、谷村智幸先生による実践報告は、いずれも本会の先生方が現場で素晴らしい活躍をされているということを改めて感じさせるものでした。更に、新たな企画として、大会テーマに関するFollow-upディスカッションでは、京都府立八幡高校の児玉智明先生、京都府立西舞鶴高校の平井朋美先生、京都両洋高校の佐藤理恵先生にパネリストをお願いし、フロアの参加者とも活発な意見交換がなされました。


 盛会のうちに終えた2008年度の研究大会を振り返ると、本研究会がこれまでの伝統を継承しながらも新たな一ページを開こうとしているように感じられます。その背景には、英米語学科の卒業生だけでなく、学部の学生、大学院英語学専修の院生・卒業生、文化学部の学生・卒業生も参加するようになったという事実があります。またOB・OGの職場の同僚の方や一般の方でも興味を持って参加される方がいらっしゃるようになったことも挙げられます。このような状況に対応して、本会の企画・運営方法が見直され会の規約が作成されました。2008年の四月からは、中学・高校での経験が豊富な難波和彦先生が准教授として英米語学科に赴任され本会の大きな力となってくださるでしょう。


今後ともみなさんと協力して、この研究会が、会員一人一人にとって仕事に忙殺される教員生活の中で、ふと我に返り、旧交を温め、知的好奇心を奮い起こすための良き機会であり続けたいものです。