Embedded Files
20 台風が引き起こした深海混濁流の直接観測
20 台風が引き起こした深海混濁流の直接観測
52. Kawagucci S, T Miwa, D Lindsay, E Ogura, H Yamamoto, K Nishibayashi, H Yokooka, S Nishi, A Takahashi, S Lee. Deep-sea water displacement from a turbidity current induced by the Super Typhoon Hagibis, PeerJ, 8:e10429, 10.7717/peerj.10429.
2019年10月の台風19号が通過した直後の駿河湾戸田海底谷において、江戸っ子1号を用いた深海底環境のモニタリングを実施した。斜面を走る混濁流が江戸っ子に直撃する瞬間をビデオ映像として録画することに（偶然にも）成功。これは人類にシェアする価値があると考え、他のセンサー観測値の解釈を加えることで論文化した。海水の温度と塩分（いわゆるT-S）から、混濁流のマトリクスとなっている水が200m以上は浅いところから押し流されてきていることを指摘し、台風が引き起こす混濁流によって深海の水が鉛直に混合されることを明らかにした。深海混濁流の直接観測は、タービダイト堆積学や海洋炭素循環、あるいは水循環の理解を進める上で求められており、事前に到来が予測できる台風による影響を自律・可搬な江戸っ子1号を用いることで観測できることを示した事例として、本研究は今後の観測充実への呼び水となったと自負している。 ※本当の本当はプロジェクトの都合で江戸っ子を運用したらたまたま観測できただけなんだけどね。
2019年10月の台風19号が通過した直後の駿河湾戸田海底谷において、江戸っ子1号を用いた深海底環境のモニタリングを実施した。斜面を走る混濁流が江戸っ子に直撃する瞬間をビデオ映像として録画することに（偶然にも）成功。これは人類にシェアする価値があると考え、他のセンサー観測値の解釈を加えることで論文化した。海水の温度と塩分（いわゆるT-S）から、混濁流のマトリクスとなっている水が200m以上は浅いところから押し流されてきていることを指摘し、台風が引き起こす混濁流によって深海の水が鉛直に混合されることを明らかにした。深海混濁流の直接観測は、タービダイト堆積学や海洋炭素循環、あるいは水循環の理解を進める上で求められており、事前に到来が予測できる台風による影響を自律・可搬な江戸っ子1号を用いることで観測できることを示した事例として、本研究は今後の観測充実への呼び水となったと自負している。 ※本当の本当はプロジェクトの都合で江戸っ子を運用したらたまたま観測できただけなんだけどね。
19 海底熱水中の放射性炭素同位体組成の観測
19 海底熱水中の放射性炭素同位体組成の観測
51. Kawagucci S, Y Matsui, G Früh-Green. Radiocarbon content of carbon dioxide and methane in hydrothermal fluids of Okinawa Trough vents, Geochemical Journal, 54, 129-138, 2020, doi:10.2343/geochemj.2.0595.
沖縄トラフの熱水の化学組成は、大量に含まれるCO2とCH4で特徴づけられる。これらの起源を追究することで、海底下での水循環・炭素循環・化学反応を推定することを目的に、放射性炭素同位体組成を定量した。試料は沖縄トラフ内にある5つの熱水域から採取し、船上でガス抽出処理をして持ち帰り、JAMSTEC横須賀で精製処理を施した後、ETH ZuirchのMICADASで分析を行った。ほとんどの試料で14C deadであったことから、採取・処理・分析におけるモダンカーボンのコンタミが無視できるほど小さいことを確認できた。第四与那国熱水のみ有意な14Cを検出したが、この理由については今後観測数を増やして検証すべきかもしれない。※1年間のスイス在外派遣での成果。ほとんどの試料処理は松井さんがやってくれた。
沖縄トラフの熱水の化学組成は、大量に含まれるCO2とCH4で特徴づけられる。これらの起源を追究することで、海底下での水循環・炭素循環・化学反応を推定することを目的に、放射性炭素同位体組成を定量した。試料は沖縄トラフ内にある5つの熱水域から採取し、船上でガス抽出処理をして持ち帰り、JAMSTEC横須賀で精製処理を施した後、ETH ZuirchのMICADASで分析を行った。ほとんどの試料で14C deadであったことから、採取・処理・分析におけるモダンカーボンのコンタミが無視できるほど小さいことを確認できた。第四与那国熱水のみ有意な14Cを検出したが、この理由については今後観測数を増やして検証すべきかもしれない。※1年間のスイス在外派遣での成果。ほとんどの試料処理は松井さんがやってくれた。
18 堆積物熱分解実験での炭化水素の同位体組成
18 堆積物熱分解実験での炭化水素の同位体組成
47. Kawagucci S. and J.S. Seewald. Compositional and isotopic characteristics of hydrocarbons generated by a hydrothermal experiment simulating seafloor sediment alteration stepwise heating from 275 to 361° C at 30 MPa, Geochemical Journal, 53, 281-291, 2019.
海底には堆積物が必ず存在し、海底下の熱によって分解することでメタンをはじめとする炭化水素を生成する。熱分解起源炭化水素の同位体的な特徴は、主として石油や天然ガスの観測に基づいているが、海底下を模擬する適切な条件で実験的に追究した例は限られていた。本研究の実験により、石油観測値とは明瞭に区別可能な同位体組成となりうることが指摘できた。最近になって開発の進んでいる分子内部位別同位体組成や多重置換同位体組成の指標性を解釈する上で、熱分解実験も重要であることが示唆されている。※2010年の7週間のWHOI留学での成果。とっくにデータは出ていたのでスイス時代に書き進めた。
海底には堆積物が必ず存在し、海底下の熱によって分解することでメタンをはじめとする炭化水素を生成する。熱分解起源炭化水素の同位体的な特徴は、主として石油や天然ガスの観測に基づいているが、海底下を模擬する適切な条件で実験的に追究した例は限られていた。本研究の実験により、石油観測値とは明瞭に区別可能な同位体組成となりうることが指摘できた。最近になって開発の進んでいる分子内部位別同位体組成や多重置換同位体組成の指標性を解釈する上で、熱分解実験も重要であることが示唆されている。※2010年の7週間のWHOI留学での成果。とっくにデータは出ていたのでスイス時代に書き進めた。
17 蛇紋岩海山アルカリ湧水の総合調査
17 蛇紋岩海山アルカリ湧水の総合調査
46. Kawagucci S., J. Miyazaki, Y. Morono, J.S. Seewald, C.G. Wheat, K. Takai. Cool, alkaline serpentinite formation fluid regime with scarce microbial habitability and possible abiotic synthesis beneath the South Chamorro Seamount, Progress in Earth and Planetary Science (PEPS), 5:74, 2018.
マントルかんらん岩の蛇紋岩化に伴う還元的な流体の生成は、地球の化学進化ならびに初期地球微生物生態系に関連する現象として近年注目を集めている。本研究では、マリアナ前弧に位置するサウスチャモロ海山のODP掘削孔から湧出するアルカリ流体の化学組成と微生物生態の特徴を観測した。ODPコア間隙水との比較から、二次変質が起こっていることを確認し、これを補正することで深部流体のH2ならびにCH4濃度を推定した。また微生物群集組成や放射性同位体ラベル培養の結果から、蛇紋岩海山内部環境は生命の温度限界に至らない低温環境ながら非生命圏である可能性を議論した。※2009年の航海にしか参加していないが、いつものように高井さんの下に4航海分のデータが集積したところで主筆として執筆して出版した。この後に共著者のGeoff&Jeff(w/Ken)がカウンター論文をGCAに出すという謎展開を見せており、もう引用されないかもしれない悲しい流れがある。
マントルかんらん岩の蛇紋岩化に伴う還元的な流体の生成は、地球の化学進化ならびに初期地球微生物生態系に関連する現象として近年注目を集めている。本研究では、マリアナ前弧に位置するサウスチャモロ海山のODP掘削孔から湧出するアルカリ流体の化学組成と微生物生態の特徴を観測した。ODPコア間隙水との比較から、二次変質が起こっていることを確認し、これを補正することで深部流体のH2ならびにCH4濃度を推定した。また微生物群集組成や放射性同位体ラベル培養の結果から、蛇紋岩海山内部環境は生命の温度限界に至らない低温環境ながら非生命圏である可能性を議論した。※2009年の航海にしか参加していないが、いつものように高井さんの下に4航海分のデータが集積したところで主筆として執筆して出版した。この後に共著者のGeoff&Jeff(w/Ken)がカウンター論文をGCAに出すという謎展開を見せており、もう引用されないかもしれない悲しい流れがある。
16 超深海海溝域水塊の生物地球化学観測
16 超深海海溝域水塊の生物地球化学観測
45. Kawagucci S., A. Makabe, T. Kodama, Y. Matsui, C. Yoshikawa, E. Ono, M. Wakita, T. Nunoura, H. Uchida, T. Yokokawa. Hadal water biogeochemistry over the Izu-Ogasawara Trench observed with a full-depth CTD-CMS, Ocean Science, 14, 575-588, doi: 10.5194/os-14-575-2018, 2018.
海水の化学組成は三次元的に異なっており、これを詳細に理解することは海洋学の基礎である。海水観測は一般にCTD-CMSを用いて行われるが、機器の耐水圧およびケーブル長の制約から水深6000mを超える超深海域の網羅的観測はこれまで行われていなかった。2016年に運用を開始したJAMSTECの海底広域研究船「かいめい」に配備された海洋全深度（フルデプス）対応のCTD-CMSを用いて、伊豆小笠原海溝域を中心とする16観測点で調査を行い、その性質を明らかにした。※かいめい運用開始後の試験・訓練航海に乗じて観測を積み重ねた。最終的にはマリアナ弧北端まで南下するなど訓練の範疇を大幅に超える観測をゴリ押しした。執筆をはじめようとする段階になって、恩師が80年代の1点の観測結果を報告する論文を出版したため、表現に工夫をしたり、データを比較したりするはめになった。元気な恩師には要注意だ。
海水の化学組成は三次元的に異なっており、これを詳細に理解することは海洋学の基礎である。海水観測は一般にCTD-CMSを用いて行われるが、機器の耐水圧およびケーブル長の制約から水深6000mを超える超深海域の網羅的観測はこれまで行われていなかった。2016年に運用を開始したJAMSTECの海底広域研究船「かいめい」に配備された海洋全深度（フルデプス）対応のCTD-CMSを用いて、伊豆小笠原海溝域を中心とする16観測点で調査を行い、その性質を明らかにした。※かいめい運用開始後の試験・訓練航海に乗じて観測を積み重ねた。最終的にはマリアナ弧北端まで南下するなど訓練の範疇を大幅に超える観測をゴリ押しした。執筆をはじめようとする段階になって、恩師が80年代の1点の観測結果を報告する論文を出版したため、表現に工夫をしたり、データを比較したりするはめになった。元気な恩師には要注意だ。
15 WHATS-3: 多連型熱水採水器の改良版開発
15 WHATS-3: 多連型熱水採水器の改良版開発
38. Miyazaki, J., A. Makabe, Y. Matsui, N. Ebina, S. Tsutsumi, J-i Ishibashi, C. Chen, S. Kaneko, K. Takai, S. Kawagucci*, WHATS-3: An improved flow-through multi-bottle fluid sampler for deep-sea geofluid research. Front. Earth Sci. 5, 45, doi: 10.3389/feart.2017.00045, 2017.
地球科学研究において試料採取は欠かせない。特に深海底の調査研究においては、試料回収や処置における試料の変質を最小化することが、確かな深海底理解増進の成否を担っている。そこでイントロではこれまでに開発された熱水採取装置を列挙しその特徴を整理した。その上で、日本で開発され利用されているWHATS型採水器の並列多連・圧力保持・フロースルーという方式の利点を強調した上で、1潜航あたりの試料数が限られる問題を改善したWHATS-3の開発と海域における実証を報告した。※師匠が開発して長年使われてきた熱水採水器WHATS-2を少しいじってWHATS-3を開発した論文。採水容量は減ったが直列2本・並列4本にしたので1潜航あたりの作業効率が向上した。他には使い勝手の向上など。裏目的はパラパラと集まった沖縄熱水の化学組成をまとめて報告すること。裏の裏の目的はいわゆる「お仕事」としてのアウトプット。開発そのものへの貢献は大きくないがサバチカル中に原稿作成をしてコレスポとして投稿した。Methodセクションがあって，出来ればパパッと査読が終わりそうな雑誌ということで，Frontiersを選択した。スイス時代に書いた。
地球科学研究において試料採取は欠かせない。特に深海底の調査研究においては、試料回収や処置における試料の変質を最小化することが、確かな深海底理解増進の成否を担っている。そこでイントロではこれまでに開発された熱水採取装置を列挙しその特徴を整理した。その上で、日本で開発され利用されているWHATS型採水器の並列多連・圧力保持・フロースルーという方式の利点を強調した上で、1潜航あたりの試料数が限られる問題を改善したWHATS-3の開発と海域における実証を報告した。※師匠が開発して長年使われてきた熱水採水器WHATS-2を少しいじってWHATS-3を開発した論文。採水容量は減ったが直列2本・並列4本にしたので1潜航あたりの作業効率が向上した。他には使い勝手の向上など。裏目的はパラパラと集まった沖縄熱水の化学組成をまとめて報告すること。裏の裏の目的はいわゆる「お仕事」としてのアウトプット。開発そのものへの貢献は大きくないがサバチカル中に原稿作成をしてコレスポとして投稿した。Methodセクションがあって，出来ればパパッと査読が終わりそうな雑誌ということで，Frontiersを選択した。スイス時代に書いた。
14 インド洋での熱水域地球化学微生物生態観測
14 インド洋での熱水域地球化学微生物生態観測
36. Kawagucci, S., J. Miyazaki, T. Noguchi, K. Okamura, T. Shibuya, T. Watsuji, M. Nishizawa, H. Watanabe, K. Okino, N. Takahata, Y. Sano, K. Nakamura, A. Shuto, M. Abe, Y. Takaki, T. Nunoura, M. Koonjul, M. Singh, G. Beedessee, M. Khishma, V. Bhoyroo, D. Bissessur, L.S. Kumar, D. Marie, K. Tamaki, and K. Takai, Fluid chemistry in the Solitaire and Dodo hydrothermal fields of the Central Indian Ridge, Geofluids, DOI: 10.1111/gfl.12201, 2016.
2009年に発見し（Nakamura et al. 2012で報告済み）、2013年に再訪した中央インド洋海嶺のドードー熱水域とソリティア熱水域の地球化学・微生物生態の観測結果を報告した。ドードー熱水域は2013年に活動を停止しており、深海熱水域で活動的な状態と停止した状態の両方が観測された（おそらく初の）事例である。ソリティア熱水域では『白いスケーリーフット』が発見されていたが、硫化鉄をまとわない理由として、海底下で熱水が冷却されるため鉄が沈殿し噴出した流体には低濃度しか含まれないことが原因であると考えた。※はじめGCAに投稿も査読者の強いコメントが返ってきたのでGeofluidsに鞍替え。色んな内容が混じっているので改訂が大変だった。
2009年に発見し（Nakamura et al. 2012で報告済み）、2013年に再訪した中央インド洋海嶺のドードー熱水域とソリティア熱水域の地球化学・微生物生態の観測結果を報告した。ドードー熱水域は2013年に活動を停止しており、深海熱水域で活動的な状態と停止した状態の両方が観測された（おそらく初の）事例である。ソリティア熱水域では『白いスケーリーフット』が発見されていたが、硫化鉄をまとわない理由として、海底下で熱水が冷却されるため鉄が沈殿し噴出した流体には低濃度しか含まれないことが原因であると考えた。※はじめGCAに投稿も査読者の強いコメントが返ってきたのでGeofluidsに鞍替え。色んな内容が混じっているので改訂が大変だった。
13 メタン菌の水素炭素同位体システマチクス
13 メタン菌の水素炭素同位体システマチクス
32. Okumura T., S. Kawagucci*, Y. Saito, Y. Matsui, K. Takai, and H. Imachi, Hydrogen and carbon isotope systematics in hydrogenotrophic methanogenesis under H2-limited and -enriched conditions: Implications for the origin of methane and its isotopic diagnosis, Progress in Earth and Planetary Science, 3:14, DOI: 10.1186/s40645-016-0088-3, 2016.
微生物起源メタンの安定同位体組成の特徴についてはWhiticar 1999が広く引用されてきた（今もなお引用されている）。しかしこれは観測に基づく推測に過ぎず、微生物起源メタンを指標する特徴として捉えることで、誤った地球理解が生じるリスクを伴うものである。実験により指標性を確認するべきと考え、生息温度とH2分圧の異なる4条件でメタン菌を培養し、H2-H2O-CO2-CH4の同位体システマチクスを明らかにした。また実験で得られた微生物起源メタンの同位体組成を、Whiticarらを含む従来の観測値と並べて比較し、観測値については続成作用（CH4-H2Oの水素同位体交換）が起こっていることを指摘した。さらに成長段階によって異なる同位体効果を説明するため、細胞内現象についても議論した。※科研費若手Aで雇用したポスドク奥村さんに進めてもらった仕事。実験熱心なトモヨでなければ5年以上はかかっていたと思う。この頃からメタン同位体組成についてクランプドでCaltechとMITが二大派閥的に賑やかであるが、竹槍で挑み冷や水を浴びせるような渋い仕事が出来たと自負している。
微生物起源メタンの安定同位体組成の特徴についてはWhiticar 1999が広く引用されてきた（今もなお引用されている）。しかしこれは観測に基づく推測に過ぎず、微生物起源メタンを指標する特徴として捉えることで、誤った地球理解が生じるリスクを伴うものである。実験により指標性を確認するべきと考え、生息温度とH2分圧の異なる4条件でメタン菌を培養し、H2-H2O-CO2-CH4の同位体システマチクスを明らかにした。また実験で得られた微生物起源メタンの同位体組成を、Whiticarらを含む従来の観測値と並べて比較し、観測値については続成作用（CH4-H2Oの水素同位体交換）が起こっていることを指摘した。さらに成長段階によって異なる同位体効果を説明するため、細胞内現象についても議論した。※科研費若手Aで雇用したポスドク奥村さんに進めてもらった仕事。実験熱心なトモヨでなければ5年以上はかかっていたと思う。この頃からメタン同位体組成についてクランプドでCaltechとMITが二大派閥的に賑やかであるが、竹槍で挑み冷や水を浴びせるような渋い仕事が出来たと自負している。
12 メタン菌の水素同位体システマチクス
12 メタン菌の水素同位体システマチクス
24. Kawagucci, S., M. Kobayashi, S. Hattori, K. Yamada, Y. Ueno, K. Takai, and N. Yoshida, Hydrogen isotope systematics among H2-H2O-CH4 during the growth of the hydrogenotrophic methanogen Methanothermobacter thermoautotrophicus strain DELTA_H, Geochimica et Cosmochimica Acta, 142, 601-614, 2014.
微生物起源メタンの水素同位体比は、培地の水の水素同位体比に依存すると考えられてきた。しかし同位体システマチクス理解における金字塔的なValentine et al. 2004 GCAをよく見ると、培養初期においてH2の水素同位体比の影響を受けていることが読み取れる。当該論文ではこの点について特段の議論を行っていないが、これが事実であれば従来の実験結果の解釈が覆る可能性があることから、新たにメタン菌を培養することでH2の影響を評価することを試みた。当初の想定通り、培養初期において基質H2の同位体比が生成物CH4の水素同位体比に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになった。※2010-2011年度に受け入れた東工大修士の小林さんが実験を進めた仕事。若手Aトモヨ論文や基盤B獲得に至る端緒となった論文。
微生物起源メタンの水素同位体比は、培地の水の水素同位体比に依存すると考えられてきた。しかし同位体システマチクス理解における金字塔的なValentine et al. 2004 GCAをよく見ると、培養初期においてH2の水素同位体比の影響を受けていることが読み取れる。当該論文ではこの点について特段の議論を行っていないが、これが事実であれば従来の実験結果の解釈が覆る可能性があることから、新たにメタン菌を培養することでH2の影響を評価することを試みた。当初の想定通り、培養初期において基質H2の同位体比が生成物CH4の水素同位体比に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになった。※2010-2011年度に受け入れた東工大修士の小林さんが実験を進めた仕事。若手Aトモヨ論文や基盤B獲得に至る端緒となった論文。
11 海洋表層H2&CO濃度の観測
11 海洋表層H2&CO濃度の観測
23. Kawagucci, S., T. Narita, H. Obata, H. Ogawa, and T. Gamo, Molecular hydrogen and carbon monoxide in seawater in an area adjacent to Kuroshio and Honshu Island in Japan, Marine Chemistry, 164, 75-83, 2014.
※淡青丸航海での海洋表層観測の結果報告論文。D2時に進学してきた後輩ナリタの修論テーマを「よろぴく」と先生から頼まれてはじめた仕事。分析法の精査と，それを用いた観測結果。自分で出したデータは一つもないが，テーマが完全にボクのものだしナリタは卒業後に非研究職になったので自分が主著。厳密な査読者にゴリゴリと議論を削られてレターみたいな内容しか残らなかったが「データが世に出ることが観測研究の第一歩」という方針に則りそのまま。メインの仕事としては初めて同位体比がまったく登場しない論文。
※淡青丸航海での海洋表層観測の結果報告論文。D2時に進学してきた後輩ナリタの修論テーマを「よろぴく」と先生から頼まれてはじめた仕事。分析法の精査と，それを用いた観測結果。自分で出したデータは一つもないが，テーマが完全にボクのものだしナリタは卒業後に非研究職になったので自分が主著。厳密な査読者にゴリゴリと議論を削られてレターみたいな内容しか残らなかったが「データが世に出ることが観測研究の第一歩」という方針に則りそのまま。メインの仕事としては初めて同位体比がまったく登場しない論文。
10 伊平屋北熱水科学掘削後の経時観測
10 伊平屋北熱水科学掘削後の経時観測
19. Kawagucci, S., J. Miyazaki, R. Nakajima, T. Nozaki, Y. Takaya, Y. Kato, T. Shibuya, U. Konno, Y. Nakaguchi, K. Hatada, H. Hirayama, K. Fujikura, Y. Furushima, H. Yamamoto, T. Watsuji, J. Ishibashi, and K. Takai, Post-drilling changes in fluid discharge pattern, mineral deposition, and fluid chemistry in the Iheya North hydrothermal field, Okinawa Trough, Geochem. Geophys. Geosyst., 14, 4774-4790, DOI: 10.1002/2013GC004895, 2013.
2010年9月に実施されたIODP Exp.331の後，伊平屋北熱水域がどうなっているかを半年おきに2年間観測し続けた一連の調査の概要報告。1)掘削孔から高温熱水が噴出している，2)その化学組成は掘削前とほぼ変わらず（相分離の影響は変化），3)チムニーが急成長（論文番号031で詳報），4)ゴエモンを筆頭とするコロニー形成（論文番号028で詳報）などの発見が。環境インパクト現場実験のような意味合いでユニークな研究。
2010年9月に実施されたIODP Exp.331の後，伊平屋北熱水域がどうなっているかを半年おきに2年間観測し続けた一連の調査の概要報告。1)掘削孔から高温熱水が噴出している，2)その化学組成は掘削前とほぼ変わらず（相分離の影響は変化），3)チムニーが急成長（論文番号031で詳報），4)ゴエモンを筆頭とするコロニー形成（論文番号028で詳報）などの発見が。環境インパクト現場実験のような意味合いでユニークな研究。
9塩化メチルの塩素炭素同位体組成定量法の開発
9塩化メチルの塩素炭素同位体組成定量法の開発
15. Konno, U., K. Takai, and S. Kawagucci, Stable chlorine isotope ratio analysis of subnanomolar level methyl chloride by continuous-flow isotope ratio mass spectrometry, Geochemical Journal, 47, 469-473, 2013.
微生物起源メタンの水素同位体比は、培地の水の水素同位体比に依存すると考えられてきた。しかし同位体システマチクス理解における金字塔的なValentine et al. 2004 GCAをよく見ると、培養初期においてH2の水素同位体比の影響を受けていることが読み取れる。当該論文ではこの点について特段の議論を行っていないが、これが事実であれば従来の実験結果の解釈が覆る可能性があることから、新たにメタン菌を培養することでH2の影響を評価することを試みた。当初の想定通り、培養初期において基質H2の同位体比が生成物CH4の水素同位体比に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになった。※2010-2011年度に受け入れた東工大修士の小林さんが実験を進めた仕事。若手Aトモヨ論文や基盤B獲得に至る端緒となった論文。
微生物起源メタンの水素同位体比は、培地の水の水素同位体比に依存すると考えられてきた。しかし同位体システマチクス理解における金字塔的なValentine et al. 2004 GCAをよく見ると、培養初期においてH2の水素同位体比の影響を受けていることが読み取れる。当該論文ではこの点について特段の議論を行っていないが、これが事実であれば従来の実験結果の解釈が覆る可能性があることから、新たにメタン菌を培養することでH2の影響を評価することを試みた。当初の想定通り、培養初期において基質H2の同位体比が生成物CH4の水素同位体比に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになった。※2010-2011年度に受け入れた東工大修士の小林さんが実験を進めた仕事。若手Aトモヨ論文や基盤B獲得に至る端緒となった論文。
8 南奄西熱水の化学組成とメタンの起源
8 南奄西熱水の化学組成とメタンの起源
14. Kawagucci, S., Y. Ueno, K. Takai, T. Toki, M. Ito, K. Inoue, A. Makabe, N. Yoshida, Y. Muramatsu, N. Takahata, Y. Sano, T. Narita, G. Teranishi, H. Obata, S. Nakagawa, T. Nunoura, and T. Gamo, Geochemical origin of hydrothermal fluid methane in sediment-associated fields and its relevance to the geographical distribution of whole hydrothermal circulation, Chemical Geology, 339, 213-225, 2013.
沖縄トラフ南奄西熱水域の化学組成を報告するという名目で結果を書き，総説「川口と土岐2010」の論点を議論の序盤に突っ込み，MMR論文を発展させた概念を後半で主張するという結構な大作論文。データ自体は学生時代のものだが，議論はポスドク時代に練り上げたもの。Whiticar1999というメタンの起源に関する教科書論文に殴り込みをかけるため，同じ雑誌に掲載させたくてChemical Geologyに投稿。レビューでは「図を見るに良い仕事のようだけど英語がひどくて何言ってるかわからない」と二度にわたり言われ，英文校閲後に再投稿したら即受理。今後メタンの起源関係の議論をするのに教科書的な役割を果たしてくれるのではないかと。
沖縄トラフ南奄西熱水域の化学組成を報告するという名目で結果を書き，総説「川口と土岐2010」の論点を議論の序盤に突っ込み，MMR論文を発展させた概念を後半で主張するという結構な大作論文。データ自体は学生時代のものだが，議論はポスドク時代に練り上げたもの。Whiticar1999というメタンの起源に関する教科書論文に殴り込みをかけるため，同じ雑誌に掲載させたくてChemical Geologyに投稿。レビューでは「図を見るに良い仕事のようだけど英語がひどくて何言ってるかわからない」と二度にわたり言われ，英文校閲後に再投稿したら即受理。今後メタンの起源関係の議論をするのに教科書的な役割を果たしてくれるのではないかと。
7 東日本大地震後の水塊地球化学と微生物生態
7 東日本大地震後の水塊地球化学と微生物生態
11. Kawagucci, S., Y. T-Yoshida, T. Noguchi, M. C. Honda, H. Uchida, H. Ishibashi, F. Nakagawa, U. Tsunogai, K. Okamura, Y. Takaki, T. Nunoura, J. Miyazaki, M. Hirai, W. Lin, H. Kitazato, and K. Takai, Disturbance of deep-sea environments induced by the M9.0 Tohoku Earthquake, Scientific Reports, 2, 270, doi:10.1038/srep00270, 2012.
2011年3月11日に発生した大地震。3月31日に「深海緊急調査」が決まり，その瞬間に乗船が決まり，直後に色んな人に分析依頼をして，4月14日に「みらい」出港。翌4月15日から30時間観測。通常の観測をして5月5日入港。初稿は7月末尾投稿。S-N-Ngeo-Ncomは即落ち。SRは査読までいったが「一回の観測では変化とは言えない」と指摘され一旦落ち。そこで5月と6月の「よこすか」データを加えて再投稿して受理。計画・乗船・観測分析・執筆のすべてで部分負担だったが主著者。それぞれの共著者との交渉で板挟みになり精神的ダメージを負った。「予知にも防災にも原因究明にも放射性物質拡散把握にも役に立たない研究」という負い目を色んな話を聞いて助けてもらい乗り切った作品。
2011年3月11日に発生した大地震。3月31日に「深海緊急調査」が決まり，その瞬間に乗船が決まり，直後に色んな人に分析依頼をして，4月14日に「みらい」出港。翌4月15日から30時間観測。通常の観測をして5月5日入港。初稿は7月末尾投稿。S-N-Ngeo-Ncomは即落ち。SRは査読までいったが「一回の観測では変化とは言えない」と指摘され一旦落ち。そこで5月と6月の「よこすか」データを加えて再投稿して受理。計画・乗船・観測分析・執筆のすべてで部分負担だったが主著者。それぞれの共著者との交渉で板挟みになり精神的ダメージを負った。「予知にも防災にも原因究明にも放射性物質拡散把握にも役に立たない研究」という負い目を色んな話を聞いて助けてもらい乗り切った作品。
6 伊平屋北熱水域の熱水化学組成の観測
6 伊平屋北熱水域の熱水化学組成の観測
8. Kawagucci, S., H. Chiba, J. Ishibashi, T. Yamanaka, T. Toki, Y. Muramatsu, Y. Ueno, A. Makabe, K. Inoue, N. Yoshida, S. Nakagawa, T. Nunoura, K. Takai, N. Takahata, Y. Sano, T. Narita, G. Teranishi, H. Obata, and T. Gamo, Hydrothermal fluid geochemistry at the Iheya North field in the mid-Okinawa Trough: Implication for origin of methane in subseafloor fluid circulation systems, Geochemical Journal, 45, 109-124, 2011.
沖縄トラフ伊平屋北熱水域の化学組成を報告した船舶観測論文。熱水溶存主成分データのほとんどはチバさんなど先人からの提供。メタンの炭素同位体比が軽くって微生物起源らしい。熱水は300度で微生物は生きられないから、熱水が熱くなる前にメタンが作られたに違いないと考え、「微生物メタンが流入域で溶け込んだ」と主張するMMRモデルを提案。ほとんどのデータは先人からのもらいもの。IODP掘削が控えていたため、とにかくそれまでに報告する必要があり初めからGJ誌に投稿。Revise投稿から4時間で受理。
沖縄トラフ伊平屋北熱水域の化学組成を報告した船舶観測論文。熱水溶存主成分データのほとんどはチバさんなど先人からの提供。メタンの炭素同位体比が軽くって微生物起源らしい。熱水は300度で微生物は生きられないから、熱水が熱くなる前にメタンが作られたに違いないと考え、「微生物メタンが流入域で溶け込んだ」と主張するMMRモデルを提案。ほとんどのデータは先人からのもらいもの。IODP掘削が控えていたため、とにかくそれまでに報告する必要があり初めからGJ誌に投稿。Revise投稿から4時間で受理。
5 伊是名海穴熱水のプルーム化学組成観測
5 伊是名海穴熱水のプルーム化学組成観測
7. Kawagucci, S., K. Shirai, T.F. Lan, N. Takahata, U. Tsunogai, Y. Sano, and T. Gamo, Gas geochemical characteristics of hydrothermal plumes at the HAKUREI and JADE vent sites, the Izena Cauldron, Okinawa Trough, Geochemical Journal, 44, 507-518, 2010.
伊是名のHAKUREIとJADEという二つの熱水域の直上で海水を採取してガス組成を調べた論文。同じカルデラの中にあり、直線距離3kmしか離れていないのに、ガス組成が全然違うことをプルームの組成から推測した。特にH2/CH4比が異なる。ついでにN2Oの増加を検出し同位体比も測定。カルデラ底にあるHAKUREIでは堆積物がたまっているせいで熱分解成分が付随するせいだろうと解釈した。1回の淡青丸航海のデータだけで論文化。酒井均追悼号での掲載。ゲストエディターのハンドリング期間が長かったが、すんなり通った。
伊是名のHAKUREIとJADEという二つの熱水域の直上で海水を採取してガス組成を調べた論文。同じカルデラの中にあり、直線距離3kmしか離れていないのに、ガス組成が全然違うことをプルームの組成から推測した。特にH2/CH4比が異なる。ついでにN2Oの増加を検出し同位体比も測定。カルデラ底にあるHAKUREIでは堆積物がたまっているせいで熱分解成分が付随するせいだろうと解釈した。1回の淡青丸航海のデータだけで論文化。酒井均追悼号での掲載。ゲストエディターのハンドリング期間が長かったが、すんなり通った。
4 熱水中のH2の安定同位体比の観測
4 熱水中のH2の安定同位体比の観測
6. Kawagucci, S., T. Toki, J. Ishibashi, K. Takai, M. Ito, T. Oomori, and T. Gamo, Isotopic variation of molecular hydrogen in various temperatures of hydrothermal fluids detected by a new analytical method, Journal of Geophysical Research – Biogeoscience, 115, G03021, doi:10.1029/2009JG001203, 2010.
世界の熱水域で高温熱水自体とその脇にしみ出る低温熱水の両方を観測。混合のみならば高温熱水と同じ値を持つべき低温熱水で顕著に軽い同位体比を検出。微生物代謝の影響と考えられる。ちょっと分析法をモディファイしたよ、高温熱水の値は温度平衡で決まってるよ、という言及もあり、今後の研究で（自分が）引用する回数が増えるだろう。初めはコンタミデータもひっくるめてEPSLに投稿して即リジェクト。「ステンレス容器でH2採取なんてバカ？」というコメントが毎回ついた。GRLにSuppl.Dataを添えて投稿していたが「まとめてJGRにせいよ」ということで、そのように。EPSLを除けば、丸1年ぐらいで採択されているので、まぁ普通か。
世界の熱水域で高温熱水自体とその脇にしみ出る低温熱水の両方を観測。混合のみならば高温熱水と同じ値を持つべき低温熱水で顕著に軽い同位体比を検出。微生物代謝の影響と考えられる。ちょっと分析法をモディファイしたよ、高温熱水の値は温度平衡で決まってるよ、という言及もあり、今後の研究で（自分が）引用する回数が増えるだろう。初めはコンタミデータもひっくるめてEPSLに投稿して即リジェクト。「ステンレス容器でH2採取なんてバカ？」というコメントが毎回ついた。GRLにSuppl.Dataを添えて投稿していたが「まとめてJGRにせいよ」ということで、そのように。EPSLを除けば、丸1年ぐらいで採択されているので、まぁ普通か。
3 中央インド洋海嶺南緯20度でのプルーム探査
3 中央インド洋海嶺南緯20度でのプルーム探査
5. Kawagucci, S., K. Okamura, K. Kiyota, U. Tsunogai, Y. Sano, K. Tamaki, and T. Gamo, Methane, manganese, and helium‐3 in newly discovered hydrothermal plumes over the Central Indian Ridge, 18°–20°S, Geochem. Geophys. Geosyst., 9, Q10002, doi:10.1029/2008GC002082, 2008.
白鳳丸航海で熱水プルーム探査を実施して見事に発見した。センサに関する報告は別途してあり、この論文では採取した水の分析データが主体。メタン・マンガン・ヘリウムの相互関係とメタン同位体比から、発見した2つの熱水の特徴についても議論。予言の書となる。レフリーの1人が石橋純一郎、もう1人はJoe Resingで、メジャー判定だったけどほぼ改訂無しでアクセプト。改訂にあたってResingが「私信で送ってこい、英語直してやる」と申し出てくれ、そのようにお願いした。ラッキー。
白鳳丸航海で熱水プルーム探査を実施して見事に発見した。センサに関する報告は別途してあり、この論文では採取した水の分析データが主体。メタン・マンガン・ヘリウムの相互関係とメタン同位体比から、発見した2つの熱水の特徴についても議論。予言の書となる。レフリーの1人が石橋純一郎、もう1人はJoe Resingで、メジャー判定だったけどほぼ改訂無しでアクセプト。改訂にあたってResingが「私信で送ってこい、英語直してやる」と申し出てくれ、そのようにお願いした。ラッキー。
2 三陸上空成層圏CO2の三酸素同位体組成
2 三陸上空成層圏CO2の三酸素同位体組成
4. Kawagucci, S., U. Tsunogai, S. Kudo, F. Nakagawa, H.Honda, S.Aoki, T.Nakazawa, M. Tsutsumi, and T.Gamo, Long-term observation of mass-independent oxygen isotope anomaly in stratospheric CO2, Atmos. Chem. Phys., 8, 6189-6197, 2008.
1991以降に先人が採り貯めた試料を分析し、これまでの報告値の2倍のデータを報告した。三酸素同位体の傾きが従来のものとほぼ一致することに加え、高度の上昇に伴い傾きが減少する傾向も指摘。N2O濃度との関係から成層圏からの三酸素同位体比フラックスも算出。「論文を書く」ってことの意味を理解しないまま書いて、グダグダだった。GRLに蹴られ、ACPに投稿。エディターのRoeckmannが懇切丁寧に改訂に付き合ってくれた。曰く「データは良いんだからちゃんと議論してくれよ」とのこと。結局、議論のほとんどはRoeckmannに指摘されて加筆したもの。修論だが、博士で研究室異動をしたため、身近に議論できる相手もおらず精神崩壊しかけた。こいつに手こずっていた期間は心底から「ボクは研究者としてやっていけない」と思った。
1991以降に先人が採り貯めた試料を分析し、これまでの報告値の2倍のデータを報告した。三酸素同位体の傾きが従来のものとほぼ一致することに加え、高度の上昇に伴い傾きが減少する傾向も指摘。N2O濃度との関係から成層圏からの三酸素同位体比フラックスも算出。「論文を書く」ってことの意味を理解しないまま書いて、グダグダだった。GRLに蹴られ、ACPに投稿。エディターのRoeckmannが懇切丁寧に改訂に付き合ってくれた。曰く「データは良いんだからちゃんと議論してくれよ」とのこと。結局、議論のほとんどはRoeckmannに指摘されて加筆したもの。修論だが、博士で研究室異動をしたため、身近に議論できる相手もおらず精神崩壊しかけた。こいつに手こずっていた期間は心底から「ボクは研究者としてやっていけない」と思った。
1 微量CO2での三酸素同位体組成定量法の開発
1 微量CO2での三酸素同位体組成定量法の開発
1. Kawagucci, S., U. Tsunogai, S. Kudo, F. Nakagawa, H.Honda, S.Aoki, T.Nakazawa, and T.Gamo, An analytical system for determining d17O in CO2 using CF-IRMS, Analytical Chemistry, 77, 4509-4514, doi:10.1021/ac050266u, 2005.
炭化水素分析に使う酸化炉を使って、二酸化炭素の酸素同位体比を交換することで、二酸化炭素の三酸素同位体比を分析できるようにした。分析のほとんどすべてを自動化して、同一試料を何度も分析することで誤差を小さくした。従来と同等の精度を保ったまま、1/100以下の試料量での分析が可能に。ボクの前に修士を出た先輩が3年掛けて実験していたものを引き継いだ研究。ほとんど分析条件は固まっているで、ボクの仕事は自動化ぐらいだった。赤ペン先生の姿をしたゴーストライターがほぼ執筆した。M1のバレンタインに投稿してホワイトデーに結果が返ってきた。M2の4月末に再投稿して、5月頭にアクセプト。学振DC1の申請に間に合った。当時の厳しい倍率でDC1に通ったのはこの論文業績のおかげだと思っている。
炭化水素分析に使う酸化炉を使って、二酸化炭素の酸素同位体比を交換することで、二酸化炭素の三酸素同位体比を分析できるようにした。分析のほとんどすべてを自動化して、同一試料を何度も分析することで誤差を小さくした。従来と同等の精度を保ったまま、1/100以下の試料量での分析が可能に。ボクの前に修士を出た先輩が3年掛けて実験していたものを引き継いだ研究。ほとんど分析条件は固まっているで、ボクの仕事は自動化ぐらいだった。赤ペン先生の姿をしたゴーストライターがほぼ執筆した。M1のバレンタインに投稿してホワイトデーに結果が返ってきた。M2の4月末に再投稿して、5月頭にアクセプト。学振DC1の申請に間に合った。当時の厳しい倍率でDC1に通ったのはこの論文業績のおかげだと思っている。
Google Sites
Report abuse