第24回日本災害医学会 発表資料 2019年3月18-20日 米子コンベンションセンター
第24回日本災害医学会 発表資料 2019年3月18-20日 米子コンベンションセンター
災害発生時には固定電話・携帯電話共に大規模な通信障害が発生するため、代替となる通信手段の確保が必要となる。
通信手段は通信事業者とインフラに依存するもの、それらに依存しないものとに分けられ、更に会社等の組織が所有するものと個人で配備可能なものとに分けられる。後者にはアマチュア無線機やデジタル簡易無線(登録局)、デジタル小電力コミュニティ無線機、特定小電力無線機などがある。しかしこれらを用いて、異なる組織間や地域間で通信網を整備するために話し合う機会はない。
通信事業者やインフラに依存せず、個人に配備可能な通信手段を用い、組織間・地域間の通信網を整備することを目標とする。
そのためにこのような趣旨に賛同する多数の集団(各施設等)が一堂に会し、整備する機器の企画統一や、通信訓練を計画し実行するために話し合う会議体を設置する必要がある。
県レベルの会議体の見直しについては様々な制約の中で平成30年にようやく既存の会議体の要綱改定により、(右スライド)
三重DMAT・SCU連絡協議会の機能強化によりロジスティック研修等の作業部会を設置。同作業部会に今回の目標をかかげることとなった。
県レベルの通信網の現状を示す。伊勢湾側に存在する各災害拠点病院にデジタル簡易無線(登録局)を配備し、屋上に空中線(GPアンテナ)を設置する事により数10kmずつ離れた各災害拠点病院間で常時交信を可能とするものであるが、現状では図に赤丸で示す3病院間での通信が確立している。今後全病院間での通信を可能としていく予定である。(アマチュア無線についても同様の考え方である)
※ 各無線局には無線の目的、通信の相手方、通信事項、出力や空中線の選択の自由度などに指定・制限があるため、単一の無線局のみで全てのニーズに対応する事は困難である。
※ 2021年追記 2021年3月31日現在 鈴鹿中央総合病院~三重大病院の通信は確立された。図示されていないが、松阪市民病院近くの松阪済生会総合病院と三重中央、三重大、伊勢赤十字の4病院間の通信も確立された。残る問題は四日市市にある県立総合医療センターと、熊野市にある紀南病院である。
伊勢志摩地域での取り組みのうち、伊勢赤十字病院の現状では、2016年にアマチュア無線社団局を開設し、2018年にはデジタル簡易無線(登録局)の空中線を屋上に設置。これにより常時安定した通信状態を維持している。
伊勢市では伊勢市アマチュア無線災害ネットワークが組織されており、災害時の運用についての協定が伊勢市と正式に結ばれている。伊勢赤十字病院、三重県伊勢庁舎(伊勢保健所)、伊勢地区医師会には各々社団局が開設されており、各組織間の通信が確立されている。
発災後(安全確保後に)伊勢市アマチュア無線災害ネットワークの各構成員は図に示す各ポイントに移動し、アマチュア無線による情報通信を行う計画が策定されている。
伊勢志摩地域では平時における訓練として、スライドのような訓練を定期的に開催している。