Starlinkの登場で被災地での通信環境は一段と改善されたが、災害現場~避難所からの情報を災害対策本部等に伝える手段はいまだ解決されていない。
Starlinkの登場で被災地での通信環境は一段と改善されたが、災害現場~避難所からの情報を災害対策本部等に伝える手段はいまだ解決されていない。
真の非常通信、生命の危機に瀕した状況を伝えるためには被災した市民から発信する手段が必要である。
市民レベルが使用できる通信機器は、下段に示すものが考えられる。
伊勢市では、2015年より市民ボランティアによる通信手段の確保体制を構築してきた。
これまで演者は災害時におけるアマチュア無線の有用性について報告してきた。
しかし、ボランティア組織を担うアマチュア無線家は減少しつつあり、災害対応の技術や知識の伝承も難しくなってきている。
令和3年には電波法施行規則の改正が行われ、災害時に使用できる無線の種類、通信内容、社団局運用時の要件等が明記され、現実に即した訓練が可能となった。
当団体はいち早く市との協定を改定し、平時でもアマチュア無線を含む様々な無線機を使用した訓練を可能とした。
2023年の県総合防災訓練では、医療救護班訓練に並行して通信訓練を行った。
また以前より、市内の避難所設置予定地との通信訓練を行ってきた。
避難所情報としては医療救護班や保健所チームが使用するラピッドアセスメントシートを用いた伝達訓練を行った。
市の開催するハーフマラソンでは、大会をバックアップするため通信ボランティアとして参加し、事故情報の瞬時の共有を可能とした。
市民ボランティアによる通信の確保のためは、電波法施行規則等の改定により可能となった現実的な訓練が有用であろう。訓練された市民は災害時に貴重な人的資源になりうる。