アマチュア無線を社会貢献活動等で活用できることが明確化され ました。※
これにより、発災前の準備段階でアマチュア無線による「災害を想定した通信訓練」が合法的に実施できるようになります。
一方では、「訓練と称した、営利団体による違法なアマチュア無線の使用の増加」も危惧されます。
伊勢市アマチュア無線災害ネットワークでは、以前より伊勢市と災害時の協力について協定を結んでいます。
マニュアル整備を通じて、構成員には法令遵守とアマチュア精神に則った運用を求め、改正電波法施行規則の目的に合った活動を行います。
※社会貢献活動であることを明確にするために、自治体や行事の主催者と、クラブ局等が取り決め(協定)を結ぶ事が想定されています。 「自称社会貢献活動」は認められません。
※社会貢献活動で使用できる無線機はアマチュア無線だけではありません。
令和3年3月10日公布・施行 電波法施行規則 の一部を改正する省令
電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第 三 条第 一 項第 十五 号 の規定に基づ き、 総務大臣が別に告示する 業務 を次のように定める。
令和 三 年 三 月 十 日 総務大臣 武田 良太
電波法施行規則 第三条第一項第十五号に規定する、金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う総務大臣が別に告示する業務は、次の各号に掲げる業務とする。なお、各号に掲げる業務には、営利を目的とする法人等の営利事業の用に供する業務は含まれない。
一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第一項に定める特定非営利活動に該当する活動その他の 社会貢献活動のために行う業務
二 国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動(これらに協力するものを含む。)であって 、地域における活動又は当該活動を支援するために行うものであり、かつ、金銭 上の利益を目的とする 活動以外の 活動のために行う業務
〇電波法施行規則 昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号
第三条 宇宙無線通信の業務以外の無線通信業務を次のとおり分類し、それぞれ当該各号に定めるとおり定義する。
十五 アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。
〇特定非営利活動促進法 平成十年法律第七号
第二条 この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。
一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 観光の振興を図る活動
五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
七 環境の保全を図る活動
八 災害救援活動
九 地域安全活動
十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
十一 国際協力の活動
十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十三 子どもの健全育成を図る活動
十四 情報化社会の発展を図る活動
十五 科学技術の振興を図る活動
十六 経済活動の活性化を図る活動
十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十八 消費者の保護を図る活動
十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
〇電波法 (昭和二十五年五月二日) (法律第百三十一号)
(目的外使用の禁止等)
第五十二条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。ただし、次に掲げる通信については、この限りでない。
一 遭難通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
二 緊急通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
三 安全通信(船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
四 非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)
五 放送の受信
六 その他総務省令で定める通信
(昭二七法二四九・昭二七法二八〇・平元法六七・平一一法一六〇・平一三法八五・平二二法六五・一部改正)
(非常の場合の無線通信)
第七十四条 総務大臣は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通信を無線局に行わせることができる。
2 総務大臣が前項の規定により無線局に通信を行わせたときは、国は、その通信に要した実費を弁償しなければならない。
(昭二七法二八〇・平一一法一六〇・一部改正)
(非常の場合の通信体制の整備)
第七十四条の二 総務大臣は、前条第一項に規定する通信の円滑な実施を確保するため必要な体制を整備するため、非常の場合における通信計画の作成、通信訓練の実施その他の必要な措置を講じておかなければならない。
2 総務大臣は、前項に規定する措置を講じようとするときは、免許人等の協力を求めることができる。
(昭四〇法一一四・追加、平一一法一六〇・平一六法四七・一部改正)
(電波法施行規則の一部改正)令和5年3月22日水曜日 官 報 (号外第56号)
第一条電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)の一部を次のように改正する。
第三十四条の十法第三十九条の十三ただし書の総務省令で定める場合は、次の各号に掲げる場合であつて、当該各号に応じて総務大臣が別に告示する条件に適合するときとする。
一 アマチュア局(人工衛星に開設するアマチュア局及び人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を遠隔操作するアマチュア局を除く。以下この項において同じ。 ) の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮(立会い(これに相当する適切な措置を執るものを含む。 ) をするものに限る。以下この号及び次項において同じ。 ) の下に行う場合であつて、次に掲げる条件に適合するとき。
(1) 科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として一時的に行われるものであること。
(2) 当該無線設備の操作を指揮する無線従事者の行うことができる無線設備の操作(モールス符号を送り、又は受ける無線電信の操作を除く。 ) の範囲内であること。
(3) 当該無線設備の操作のうち、連絡の設定及び終了に関する通信操作については、当該無線設備の操作を指揮する無線従事者が行うこと。
(4) 当該無線設備の操作を行う者が、法第五条第三項各号のいずれか又は法第四十二条第一号若しくは第二号に該当する者でないこと。
二 臨時に開設するアマチュア局 の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に行う場合であつて、総務大臣が別に告示する条件に適合するとき
(無線局運用規則の一部改正)
第二百五十九条
アマチュア局の送信する通報は、他人の依頼によるものであつてはならない。
ただし、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合における、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通報及び人工衛星に開設するアマチュア局の送信する通報は、この限りでない。
JARL アマチュア無線の社会貢献活動での活用について -社会と繋がるアマチュア無線ガイドライン- 令和3年9月
JARD 社会貢献活動でのアマチュア無線の活用 令和3年3月26日
電波法施行規則・総務大臣の告示を受けた対応についての考察
災害時の無線機(アマチュア無線機を含む)の使用について、以前と比較して通信事項の「拡張」がなされました。実際の運用では、「社会貢献活動」の名をかたった「業務連絡」をアマチュア無線機で行うなどの違法行為が行われるおそれもあります。真の意味で災害時の情報を「無線機」で行いたい場合、組織として災害訓練で無線機を活用したい場合にも、常に「その通信は本当に社会貢献活動として行われているものなのか」という疑いの目でみられるかもしれません。
万が一当局の事情聴取などに応じなければならなくなった場合、「社会貢献活動」であることの証明義務は我々にあります。その場合の唯一の解決策は「行政や社会貢献活動の対象となる行事の実施団体との協定を結ぶこと」です。
これについて、従来通り、真の意味で「非常通信」または「非常の場合の無線通信」しか行わない予定であれば問題はありません。しかし、亜急性期から慢性期での無線機の使用、災害訓練における無線機の使用については協定が無ければ使用できません。ここの理解が人によって異なり、同じ話をしているようでかみ合わないことが多いようです。
さらに、災害訓練での「アマチュア無線機の使用」が大きく変わります。おそらくこれまでの「災害訓練」に慣れている人ほど、「どこに問題があるのか」がわからなくなっています。実際に災害時に必要な情報はこれまでの訓練では全く送信されていません。通信事項外の内容を含むので当然です。協定によって訓練時に多少なりとも現実の災害時情報「METHANE]の送信ができるようになれば、実災害時での無線機の貢献度は格段に向上することが期待できます。
これらの事を県の防災担当者とも話し合っていますが、従来の訓練の範囲を超えた内容は想像できないようです。(見聞きしたことが無いので当然ですが)ここを一つ上の段階に進むことができるかがどうかが、せっかくの法改正を活用できるかどうかにかかってきます。