アマチュア無線局を運用するためには、従事者免許証が必要なのは当然ですが、運用する無線局(無線機の運用)には別途、無線局免許状が必要です。米国では従事者免許証と無線局免許状が1つとなった包括免許制度であるため、 日本での免許申請方法はかなり複雑で難しいものになっています。このことがアマチュア無線に興味があってもなかなか手を出しづらい高い壁になっているともいわれています。
それでも無線局免許状の申請方法はかなり簡略化されてきています。技術基準適合証明を受けた無線機のみをそのまま使用するのであれば、簡単な手続きで電子申請可能です。最初に無線局免許状を取得する場合は、まずこの方法で免許状を取得しましょう。その後、いろいろな機能を付け足したくなったり、レアな無線機を使用したくなった場合には少々面倒な手続きを踏まなければなりませんが、最初から複雑な申請をすると保証認定料や手数料が追加でかかり、免許状が発行されるまで日数を要する場合が多いです。
また、従事者免許証が不要な無線のなかにも、無線局の免許状や登録状が必要なものがあります。
デジタル簡易無線免許局は後述する登録局と名称が紛らわしいので特に注意してください。これは免許を受けた法人や団体の中でその構成員である人しか使用できません。交信する相手もその構成員に限られますので、今回のような災害時の連絡手段としては不適格です。
一方、デジタル簡易無線登録局は、性能的にはほぼ同じですが、登録局同士(同じ緒言の無線機同士)なら他のグループ等の人とも交信できます。この無線機を使用するためには「登録申請」と「開設届(包括登録の場合)」が必要です。(ICOM社の解説ページ)無登録で使用した場合は懲役または罰金刑が適用されます。
更に、アマチュア無線機やデジタル簡易無線登録局無線機を使用するためには、電波利用料を収める必要があります。(アマチュア無線免許状 1局300円/年)、(デジタル簡易無線 1局又は1台400円/年)
特定小電力無線機や、デジタル小電力コミュニティ無線機はこのような申請は不要ですが、空中線電力が圧倒的に小さいため交信範囲は狭くなります。災害時にどのような役割をその無線機で担うかによって、適切な無線機を選択するとよいでしょう。