アマチュア無線の交信体験制度の意味
この法令の改正を以って、災害時には無資格者でも無線局を運用できるという解釈をされる場合があるが、そうではないでしょう。
法改正の前は体験のためのアマチュア局の開設や、体験者と有資格者の間に親子や教師生徒の関係、体験者(無資格者)の年齢制限があり、それらが撤廃されてことはとても大きな進歩です。
しかし災害時の運用となると、目的が異なる(体験とは言えない)、一時的ではあるかもしれないが、災害急性期のある程度の時間を費やすことが考えられるし、連絡の設定と終了はできない(本文の送信のみしかできない)など、運用はかなり難しいといえるでしょう。
●アマチュア無線体験制度の関係法令
○電波法(昭和 25 年法律第 131 号)
(アマチュア無線局の無線設備の操作)
第 39 条の 13 アマチュア無線局の無線設備の操作は、次条の定めるところにより、無線従事者で なければ行つてはならない。ただし、外国において同条第1項第5号に掲げる資格に相当する 資格として総務省令で定めるものを有する者が総務省令で定めるところによりアマチュア無線局 の無線設備の操作を行うとき、その他総務省令で定める場合は、この限りでない。
○電波法施行規則(昭和 25 年電波監理委員会規則第 14 号)
第 34 条の 10 法第 39 条の 13 ただし書の総務省令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とす る。
一 アマチュア局(人工衛星に開設するアマチュア局及び人工衛星に開設するアマチュア局の 無線設備を遠隔操作するアマチュア局を除く。以下この項において同じ。)の無線設備の操 作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮(立会い(これに相当する適切な措置 を執るものを含む。)をするものに限る。以下この号及び次項において同じ。)の下に行う場合 であつて、次に掲げる条件に適合するとき。
⑴ 科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として一時的に行われるものであること。
⑵ 当該無線設備の操作を指揮する無線従事者の行うことができる無線設備の操作(モール ス符号を送り、又は受ける無線電信の操作を除く。)の範囲内であること。
⑶ 当該無線設備の操作のうち、連絡の設定及び終了に関する通信操作については、当該 無線設備の操作を指揮する無線従事者が行うこと。
⑷ 当該無線設備の操作を行う者が、法第5条第3項各号のいずれか又は法第 42 条第1号 若しくは第2号に該当する者でないこと。
二 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従 事者の指揮の下に行う場合であつて、総務大臣が別に告示する条件に適合するとき。
2 前項第一号に規定する無線設備の操作を指揮する無線従事者は、当該無線設備の操作を行 う者が無線技術に対する理解と関心を深めるとともに、当該操作に関する知識及び技能を習得 できるよう、適切な働きかけに努めるものとする。
体験者向け「3つのルール」
アマチュア無線家の方が立ち会って、体験者が教えてもらいながらアマチュア無線の操作をします。(モールス符号による通信はできません。)
交信の始まりと終わりの操作は、アマチュア無線家の方がします。
その他にもルールがあります。アマチュア無線家の方の指示を守って交信体験を楽しんでください。
アマチュア無線家向け「7つのルール」
ご自身が開設または構成員となっているアマチュア無線局を使用すること。
アマチュア無線家の方の監督(指揮・立会い)の下で、体験者(無資格者)が無線設備の操作を行うものであること。
科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として、一時的に行われるものであること。
監督するアマチュア無線家の方が行うことができる無線設備の操作の範囲内であること。モールス符号による通信操作の交信体験はできません。
連絡の設定及び終了に関する通信操作は、アマチュア無線家の方が行うこと。
体験者は、電波法又は放送法の法令違反者でないこと。
監督するアマチュア無線家の方は、体験者が無線技術に対する理解と関心を深めるとともに、無線設備の操作に関する知識及び技能を習得できるよう、適切な働きかけに努めること。