教養ゼミナール

聖心女子大学キリスト教文化研究所の「教養ゼミナール」は、学生・卒業生・一般社会人を対象として1971年にスタートし、大学による生涯学習提供の一翼を担って参りました。本年度(2024年度)も、昨年度に引き続き、オンライン授業(録画配信・同時配信)を充実させ、時間にとらわれず、また全国から受講していただける講座を開講いたします。

また、キリスト教とこれに関連する歴史、芸術、思想、宗教などをあつかう「キリスト教学・宗教学シリーズ」としては、オンラインで受講いただける4講義をご用意いたしました。 

この機会にあらためて、全国の皆様の受講をお待ちしております。

なお、これまでのゼミナールの一部(道家弘一郎先生、加藤信朗先生、山崎渾子先生の授業)は昨年度に引き続き「自由ゼミナール」として、無料で受講いただけます(詳細はこちらをご覧ください)。

2024年度開講講座一覧

(詳細は講座名をクリック)

講座一覧(PDF版)はこちらからご覧いただけます

(Ⅰ-A)通常講座 教室(対面)で受講していただく講座 

[A2401]クリスマスをめぐっての音楽【金澤正剛】《通年》(6,000円) 

火曜13:30-15:10 通年6回:5/14, 6/11, 7/9, 10/8, 11/12, 12/10 

神の子イエスの誕生を祝って、カトリック教会では年末から新年にかけて、待降節、降誕節、さらには2月2日の主の奉献の祝日までに様々な行事が行われ、さまざまな音楽を演奏してきました。それらの音楽の歴史を、礼拝のために演奏される音楽ばかりでなく、クリスマス・キャロルなどの世俗的な歌曲なども含めて、概観してみたいと思います。 

使用テキスト:毎回必要なテキストを配布する。 

[A2402]太宰治をめぐる女性たち【松野志保】《通年》(6,000円) 

火曜 10:50-12:30 通年6回:5/21, 6/18, 7/16, 10/22, 11/19, 12/10 


幼少期から晩年に至るまで、太宰治は生涯を通じて女性と関わりの深い作家でした。「女性の一人称語り」の名手としても知られ、女性主人公の優れた作品を数多く書きました。本講座では、太宰と関わりのあった四人の女性たちをとりあげ、彼女たちを手がかりに初期から晩年までの作品を読み解きます。


1 太宰治の生涯   2 太宰と小山初代(初期作品)  3 太宰と石原美知子(中期作品)4 太宰と太田静子(「斜陽」を中心に) 5 太宰と山崎富栄(晩年作品)  6 太宰と聖書 


使用テキスト:毎回資料を配布します。太宰の作品のテクストは、文庫、全集、ネット(青空文庫)などで読めます。 

[A2403]『源氏物語』「宇治十帖」を読む【原岡文子】《通年》(12,000円) 

火曜 15:20-17:00 通年12回:5/14, 5/28, 6/11, 6/25, 7/9, 7/23,10/8, 10/22, 11/5, 11/19, 12/3, 12/17 

橋姫より読み始めた「宇治十帖」(光源氏子孫世代の物語)も、いよいよ終盤にさしかかり、今年度は最後の女主人公、浮舟の出家への道筋を描く手習の巻を読み進めます。失踪後、はじめて物語に姿を現した浮舟は、意識不明のまま横川僧都に助けられ、やがて回復します。二人の男君の恋の狭間に生きた苦悩は、その人の生をどう拓くこととなったのか、各回、トピックを用意し、共に考えながら『源氏物語』の終焉に向けて浮舟物語を読みときます。 


使用テキスト:玉上琢彌 訳注『源氏物語』第十巻(浮舟から夢浮橋)角川ソフィア文庫

(昨年度使用テキストと同じ。今年度よりご参加の方は、開始前にご購入ください) 

(Ⅰ-B)通常講座 オンライン(同時配信)で受講していただく講座 

[B2411]聖書ヘブライ語講読(中級)【荒川博行】《前期》(10,000円) 

木曜 13:30-15:10 前期10回:5/9, 5/16, 5/23, 5/30, 6/13, 6/20, 6/27, 7/4, 7/11, 7/18 

継続中の聖書ヘブライ語の中級と初級のクラスです。中級は2023年から継続して原文で士師記4:9から読みます。前年度受講していなくても学期前に自習して途中参加していただいて構いません。 

使用テキスト:Biblia Hebraica Stuttgartensia (発音記号、Masora parva、apparatusも検討するのでReader’s Editionを買わないこと) またはBiblia Hebraica Quintaの”JUDICES”部分を準備してください。辞書等はクラスで提示します。 

[B2412]ヘブライ語文法初級(続)【荒川博行】《前期》(10,000円) 

木曜 15:20-17:00 前期10回:5/9, 5/16, 5/23, 5/30, 6/13, 6/20, 6/27, 7/4, 7/11, 7/18 


山田恵子『ニューエクスプレス+古典ヘブライ語』L.9(p.64)からです。前年度受講していなくても学期前に自習して途中参加していただいて構いません。 

使用テキスト:山田恵子『ニューエクスプレス+古典ヘブライ語』白水社, 2019. 

[B2413]文学と人生【鈴木秀子】《通年》(6,000円) 

木曜 10:30-12:00 通年6回:5/16, 6/20, 7/18, 10/17, 11/21, 12/19 


文学に凝結している人間の知恵を学び、それを私たちの日常にいかに活かすべきかを、キリスト教精神に基づいて、皆で一緒に考えていきたいと思います。


使用テキスト: 毎回配布資料を用意します。

キリスト教学・宗教学シリーズ  録画配信で受講していただく講座

[C2414]キリスト教図像学入門-シャルトルの図像群を読み解きながら学ぶ- 【高野禎子】《通年》(8,000円)

水曜配信 通年8回:5/15, 6/12, 7/3, 7/17, 10/9, 11/20, 12/18, 1/15 

フランス中世を代表するシャルトル大聖堂の内外を飾る膨大な図像群(約10000体ともいわれる)を、一年間の講座を通してゆっくり読み解いてゆきます。参考書(拙著)を用いて彫刻・ステンドグラス・写本の解説をしながら、ルネサンス以降のキリスト教絵画との比較も行って図像学Iconographyの基礎を学びます。

 

使用テキスト:  高野禎子著『シャルトルの彫刻たち』八坂書房、2023年初回の授業で購入希望者を募り、次の回までに出版社から送ってもらいます。これは参考書ですので、購入は義務ではありません。 

[C2415]キリスト教中世美の世界―ピカソとカタルーニャ・ロマネスク美術―【安發和彰】《後期》(5,000円) 

金曜配信 後期5回:9/29, 10/27, 11/24, 12/29

20世紀の巨匠ピカソは、折に触れて中世キリスト教美術に対する深い共感を表明していました。それは残されたピカソの「言葉」だけでなく、問題作《アヴィニョンの娘たち》(1907年)や《ゲルニカ》(1937年)を含む、数多くの「作品」のなかにも読み取ることができます。この講座では、そうしたピカソ作品群との比較・検討を通して、あらためてカタルーニャ・ロマネスク美術(11-12世紀)の美と造形精神の核心を明らかにしたいと思います。 

使用テキスト:特にありません。毎回パワーポイントを使用。適宜資料を配付します。 

[C2416]キリスト教世界における教養教育の展開と哲学【桑原直己】《通年》(8,000円) 

火曜配信 通年8回:6/11, 6/25, 7/9, 7/23, 10/15, 10/29, 11/12, 11/26 

キリスト教世界における教養教育および哲学の歴史的展開について理解を深めることを目的とする。具体的には、キリスト教中世世界が古代世界から受け継いだ自由学芸の展開、中世世界における大学およびスコラ学の成立、さらには中世後期から近代を経て現代にいたるまでのカトリック教育史の展開を跡づける。特に近代以降については、女子修道霊性・女子教育の展開をも視野に入れた上で考察する。 


使用テキスト: 特になし

[C2417]現代宗教学:人間性の危機と宗教の役割【市川裕】《通年》(12,000円) 

金曜配信   通年12回:5/10, 5/24, 6/7, 6/21, 7/5, 7/19, 10/4, 10/18, 11/1, 11/15, 11/29, 12/13 


人類の宗教を振り返るとき、最も大きな変化が生じたのが近代であった。世俗化である。それまでの人類は、宗教を生活の基盤とする社会を形成したが、宗教は近代化と共に影響力を減じた。宗教に替えて人々のIDを形成したのが国家だ。人類の目覚ましい発展の裏側で、近代に生まれた制度や思想が、現在、人類の発展を阻害していることが指摘されている。主権、国民国家、科学技術、全体主義、無差別殺人、核兵器、人口爆発、民族対立、気候変動等々。そこで、本講義では、ナチのホロコースト、そしてナチに対抗したユダヤ人思想家の軌跡を軸に、日本の問題も取り上げて、人間とは何か、その精神性と悪性、自由と戒律の問題など、宗教固有の問いへ回帰して考える。


使用テキスト: 特になし

(Ⅲ)自由ゼミナール  本研究所所員等による自主研究講座(無料)

[F241]シェイクスピア講読【道家弘一郎】《同時配信》 

火曜10:50-12:30 通年12回:5/14,5/28,6/11,6/25,7/9,7/23,10/8, 10/22, 11/12, 11/26, 12/10,1/14 

シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』を原文で精読する。シーザーの暗殺に始まり、アントニーの追悼演説に動かされて、ついに内乱に至る。このような政治の動きは、遠い昔の事とも、外国の事とも思えない迫真性がある。この作品を丹念に読むことによって政治とは何か、民衆とは何か、を考えたい。 


使用テキスト: Shakespeare, Julius Caesar. コピーを配布する。 

[F242聖アウグスティヌス著『ヨハネ福音書講解説教』(Tractatus in Iohannis Evangelium)を学ぶ

加藤信朗】《対面授業》 

今年度からは聖アウグスティヌス著『ヨハネ福音書講解説教』(Tractatus in Iohannis Evangelium)を学びたい。『ヨハネ福音書』は、「新約聖書」の初めに置かれる「イエス・キリスト」の「生涯」を語る福音書の一つではあるが、その冒頭箇所は、他の福音書とは異なり、神学的に独特な教説を含んでいる。アウグスティヌスがこの『ヨハネ福音書』にどのように関わっていたかの理解が今回のゼミの主題になる。


開講回数・日時 未定(開講日が決まり次第、受講者にお知らせします)

[F243]聖心会修道院創立者 聖マグダレナソフィアについて【山崎渾子】《同時配信》 

月曜 13:30-15:10 通年8回:5/27, 6/24, 7/29, 10/28, 11/25, 1/27 


仏革命を背景にカトリック女子修道会を創立したマグダレナソフィアがどのような人間関係や、政治的 影響、歴史の変転の中でその目的を実現していったのか。基本文献は多くの史料を駆使し、多数の創 立者の書簡を利用して完成されています。更にそのテキストは、勝れた日本語訳本として世に紹介さ れている。ここから女性史的、教育史的、宗教史的な知識の流れをどれだけつかめるか、ゼミ生皆様の 関心の高まりに期待しています。マグダレナソフィアがどのようなカトリック修道会をたて、それがどのような役割をもっていたのかにつ いて、学び、考え、意見交換をしたいです。下記テキストを分担して読んだり、史資料を見たり、通読し たりしながら、学びます。 


使用テキスト:ライル・キルロイ、安達まみ・富原眞弓訳『マドレーヌ・ソフィー・バラーキリスト教女子教育に捧げられた燃ゆる心』2008年、みすず書房。