1. STEAM教育の推進 教科書を身の回りと結び付け思考することから
<探究との違い>
文科省の主管する学習指導要領の最新版では「主体的・対話的で深い学び」や「探究」が強調され、個別とSTEAMをベースとした経産省「未来の教室」事業が2018年スタート、翌年から両省連携でGIGAスクール事業開始、コロナ禍で一人一台の端末が前倒しされた。2021年には文科省は「令和の日本型学校」答申で学校、先生、授業の基本制度を見直し、個別で協働の学びに加え、ワクワクを軸に「知ると創る」循環の中の探究と、教科横断のSTEAM教育を強調した。
知識より思考力育成を重視して登場した探究は、自己の在り方生き方を考えながら総合的・横断的に資質能力を育成する1つのプロセスとして、課題設定、情報取集、整理分析、まとめ表現のプロセスが例示されている。複数教科横断の探究の授業も追加されたが、課題設定に多くの現場の先生の当惑が広がっている。この点、ワクワクを起点とするSTEAM化の理念は、教科や分野に関係なく生徒の学びの意欲を起点とした学びの拡大を重視している。
<推進活動>
CSTIの「教育人材育成」WGに先行、産業競争力懇談会(COCN)はSTEAM教育を社会で支える体制構築を目指し、一般社団法人「学びのイノベーション・プラットフォーム(PLIJ)」が設立され、翌年には政府委員会の議論に加わった中島さち子氏を中心に「steAmBAND」も設立された。これらの活動も参考として学会としてできる事を模索して電子情報通信学会においてシンポジウム、千葉大では現場の先生も加わった研究会を企画開催した。
① 電子情報通信学会STEAMシンポジウム
鈴木寛先生は、小中学校時代の体験をベースに自尊感情を育むことで大学で成長。好きで楽しい将来の仕事に繋げる大学入試改革進行。Artの精神を組み込んだ個別最適な学び伴走が必要と。
中島さんはワクワク中心に「知ると創る」を循環させるPlayful STEAM推進、原島先生は工学は人間学・文化創造学、対談では面白い気づき、自由に作り出す喜び、対話で弱さ共有に重要性を語られた。
浅野氏は面白くない理科からワクワクして好きを科学で極めいいシゴトへの挑戦には、主要5教科を入れ替えが必要と。スポーツ、料理、災害対策、エネルギー政策も科学的な裏付け必要。
https://sites.google.com/view/hito-tsunagi 電子情報通信学会
② 千葉大STEAM討論会
学校の先生や将来の卵を主メンバーとし企業の協力を得た授業設計に関する研究会、20周年を記念した特別企画「教育のアップデート」においてSTEAM教育が取り上げられた。3月9日の電子情報通信学会のシンポジウムに参加した3名のメンバーから、キーマンである浅野さんを迎えたいとの希望により実現したもの。主要5教科以外も主役の時代との浅野さんの説得力ある語り口が先生を中心とした参加者に響いた。ラグビー部ではパスの速さを数値化、栄養に加え作戦タイムのコミュニケーション分析改善が必要。料理人は天ぷらの衣量と揚げる時間を科学的に考えている、理科と家庭の先生のコラボで縦糸と横糸を編む。国語、理科、数学などを掛け算、面白いからスタートして仕事に繋がる授業こそSTEAM教育と。
【20周年記念イベントレポート】④STEAM教育 - NPO法人企業教育研究会 (ace-npo.org) https://ace-npo.org/wp/archives/5813
2023年10月29日、研究・イノベーション学会で問題提起します。