Social Networking Motivations Scale

ネットワーキングの動機づけ尺度 (SNMS; Social Networking Motivation Scale)

• 「対人」的な動機づけは数々ありますが、3者以上の社会的ネットワークを前提とした動機づけは体系的に概念化されていませんでした。
• SNMSは、特定のネットワーク構造につながる行為・行動に対する動機づけを測定しようという尺度です。
• 下記の4因子（各6項目、計24項目）から構成されています。
  • 安全性動機づけ：ネットワークから安心感を得ようとする動機づけ。メンバーがお互いにつながった密なネットワーク構造と関連。
  • 弱い紐帯・媒介性動機づけ：関係性の弱い他者であってもつながりをもったり、人と人の間に立つことで（ブローカー）、周囲の他者がもたない情報や資源へのアクセス可能性を維持したり、情報や資源のフローを制御することでネットワークでの自律性を高めようとする動機づけ。
  • 仲介性動機づけ：弱い紐帯・媒介性動機づけとは異なり、人と人とをつなげる（ブローカーの立場を放棄）動機づけ。
  • 地位追求動機づけ：他者よりも社会的に上の地位にいたり、他者からの賞賛を求める動機づけ。
• 尺度開発の背景
  • 社会的ネットワークの先行研究では、既存の心理尺度を用い、「特定の構造に埋め込まれた個人の心理的なプロファイル」を描くことが目的とされていました（たとえば、「構造的すきまに位置する個人のパーソナリティは？」といったRQ: Kalish & Robins, 2006, Social Networks）。
  • そのため、複数の心理尺度を大量に用いたり、行動履歴なのかパーソナリティなのか現状のネットワーク認知なのか、（心理学的な観点からは）測定範囲がよくわからない尺度が用いられていたりという現状となっていました。
  • そこで、Kadushin (2006; 2012) をベースに、先行研究の知見をまとめ、4つの動機づけを理論的に特定し、尺度化しました。
    • 実際には、当初は5つの下位因子を想定していましたが、因子分析の結果、4因子のモデルを採択しました。
• 尺度化の方法
  • 日本人大学生約560名で因子構造を探索し4因子解を採用しました。
  • クラウドソーシングサービスを利用したWeb調査（西洋人サンプル約470名）を行い、CFAにより4因子構造の適合がよいことを確認しました。
    • ただし、多母集団同時分析では、配置不変性は確認されましたが、測定不変ではありませんでした。
  • 各尺度の再検査信頼性 (rs > .76) および内的一貫性は十分に高いものでした (αs > .86)。
  • Big Fiveパーソナリティ特性や、ネットワーク構造との関連から、尺度の妥当性を検証し、理論的に妥当に解釈可能な結果が得られています。
• This scale is a measurement tool which comprehensively assesses individual's motivation towards social networking.
• This scale consists of 4 factors below (4 items for each factor, 24 items in total):
  • Safety motivation: Desire to connect with others in pursuit of acceptance and protection feelings.
  • Weak-ties/betweenness motivation:Desire to connect with a broad range of people and to be a mediator of otherwise disconnected individuals.
  • Intermediary motivation: Desire to bring friends or acquaintances together who have not been acquainted with each other.
  • Status-seeking motivation: Desire to strive higher rank or status among one’s social network members.

• 引用情報/Citation
  • Hirashima, T., & Igarashi, T. (2016). Cross-cultural investigation of Social Networking Motivation Scale. In T. Igarashi (Chair), Social Networks in diverse sociocultural contexts: Parenting, psychological adjustments, and networking motivations. Symposium conducted at the 23rd International Association for Cross-Cultural Psychology. Nagoya, Aichi, Japan.
  • 研究でご利用いただく場合、発表の際に引用をしていただければ特に連絡等は必要ございません。ぜひ多くの方に使っていただけますと幸いです。尺度についてご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。