アクティビティ

生かさず殺さず

今年度に実施したゼミ・輪読会・勉強会等の活動記録.

ゼミ

2024/03/28(木)15:30- |コラボ2 & Webex

【論文紹介】紹介論文:Nowak & Sigmund (1993) “A strategy of win-stay, lose-shift that outperforms tit-for-tat in the Prisoner's Dilemma game”

発表者:黒川瞬


概要:囚人のジレンマでは、非協力者が協力者よりも高い利得を得るため、協力的な戦略は進化しない。一方、繰り返し囚人のジレンマでは、相手が協力したか否かに応じて、協力率を変える条件付き協力行動が進化することが、先行研究であるNowak & Sigmund (1992)により、明らかになっていた。今回紹介する論文(Nowak & Sigmund, 1993)では、相手の過去の振る舞いだけでなく、自分の過去の振る舞いも参照して、協力率を決める戦略セットを考える。その結果、相手と自分の手が同じである場合は協力をし、相手と自分の手が異なる場合は非協力をする戦略(WSLS)が進化することが分かった。この論文は、協力行動の進化の分野で重要文献とされています。また、私の研究と、(i)社会行動の進化について取り扱っている、(ii)進化ゲーム理論を用いている、(iii)繰り返しゲームを取り扱っている、といった点で共通点も多いです。また、進化の基本的な考え方について学べる教材といえると思います。これらのことから、紹介しようと思いました。なお、Imhof et al. (2007) Tit-for-tat or win-stay, lose-shift?など後続の研究も多数あり、本論文において得られた結果は再検討されています。
書誌情報:Nowak, M. A., Sigmund, K., 1993. A strategy of win-stay, lose-shift that outperforms tit-for-tat in the Prisoner's Dilemma game. Nature, 364, 56–58 (https://doi.org/10.1038/364056a0)Speaker: Shun KurokawaDate & Hour: 28 March (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Paper review "A strategy of win-stay, lose-shift that outperforms tit-for-tat in the Prisoner's Dilemma game"

【RP検討】実験的調査の実施に向けた実験計画および実験課題の検討

発表者:笠野純基


概要:人は他者と知識を創造・共有・活用する社会で暮らし,言語表現・計画・機械など多様な人工物を生み出す.人工物は階層構造を持つ場合が多い.階層構造は,複合体を別の要素に対して組み合わせる操作を再帰的に繰り返すこと,すなわち再帰的結合で作られる.再帰的結合は,有限な要素を組み合わせて無限の表現を生み出す,言語能力の基盤の一つとして挙げられる. 再帰的結合が生成物の多様性を高める点に適応性があることが進化シミュレーションで示唆されている.この効果は発話や推測など思考内容を生成する心的活動にも働き得ると考えられるが,再帰的結合が思考にどのような効果をもたらすのかについては明らかになっていない. 本研究は再帰的結合が思考の生成物の多様性を高める効果があるかどうかを,他者の心的内容の推測を事例に実験的に検討することを目的とする.具体的には,再帰的結合で思考する傾向性を持たせる訓練を行うことで,推測を多様に生み出す効果がある,という仮説を実験により検証する.
ゼミでは倫理審査を経て進めてきた実験準備について報告し、実験内容について議論してもらいたいと考えています。
Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 3/28 (Th.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Experimental Design and Experimental Tasks for Conducting an Experimental Investigation

2024/03/08(金)15:30- |コラボ2 & Webex

【サーベイ報告】AIと人間の違い、新語に関する研究

発表者:郝 抒妍


概要:いまはまだ自分の思い付きを研究といえるようにサーベイしているところですが、みなさんとディスカッションしながら、研究を進めるよう、アドバイスをいただいたらありがたいと思います。
AIが人間を超えない先行研究から見ると、AIが得た言語は人間の最も基本的な知識であり、そして、AIは状況の変化に適応できない。新語の形成過程は非常に創造的である。新語を理解するとき、語源が明確でなかったら、新語の説明が難しくなる。先行研究を基づいてAIと人間は新語から創造性の違いが見えるかということを検討したい
Speaker: HAO ShuyanDate&Hour: 3/8(Fri.) 15:30-Place: Collaboration room 2Title: Research on the differences between AI and humans, and neologisms

【発表練習】個と集団を媒介する物語の実証研究 -物語的文章のテキストマイニング分析-(研究計画)

発表者:古川建


概要: 物語は、神話や会話などのあらゆる形で、あらゆる時代・場所・社会に遍在する。また物語生成を司る脳領域の存在が示唆されるように、物語はヒトの生物的特徴ともいえる。そして物語は経済やフェイクニュースなど、ヒトが形成する集合動態にも影響を与える可能性が多数の研究で示唆されている。これらの主張より、本研究では物語をミクロ・メゾ・マクロ・ループにおけるメゾ的存在であると考える。集団内に共有される物語が新聞記事などにより個人に伝播し、個人がSNS等を通して物語を伝播させていき、それらの相互作用から集合動態が発生する。 物語には主にイベントの生起と時間性という2つの特徴がある。イベントの生起とは、「ある主体による行為、または何らかの現象」をイベントとするとき、その前後に別のイベントが現れることである。次に時間性とは、「物語に内在する独自の一連の流れ」であり、実際に流れる現実の時間とは異なる。これらの特徴をまとめれば物語の最小要件を「イベントあるいはイベントの系列が独自の時間軸で表現されたもの」とすることができる。これにより物語はヒトに因果的思考を想起させる効果をもたらす。 物語が個と集団それぞれに何をもたらすのかについて研究成果が提供されている。しかし個、集団、それを媒介する物語の関係を包括的に接続する実証研究はない。集合動態が多数の個の相互作用により発生する現象なら、物語と集合動態との関係を確立するにはその証左となる実証的成果が必要である。 これを踏まえ、本研究では次の2つの仮説をデータ分析によって検証する。まず一つの仮説は、新聞記事など集団に伝播する物語とSNSの投稿等個人が伝播させる物語には共通する特徴がある。個と集団の中間に位置する物語の存在を明らかにすることで個と集団それぞれの共通項として物語を捉えることが可能である。もう一つの仮説は個人が伝播させる文章には、個人にとって選好的な、特定の物語的特徴が現れる。個人の心理的性向が物語に表れるならば、物語を通して個と集団が心理的に接続しうる可能性が示される 。データ分析の観点から 心理的側面を含めた物語の概念を確立することで、個の集約的現象である集合動態と物語の関係の実証的解明につなげる。 本研究では先行研究を踏まえ、ニュースとSNSの各コーパスから物語のパターンを抽出し、テキスト間比較を行う形でのテキストマイニング分析を予定する。仮説1, 2の検証を通して基本的な方策としては言語的なマーカーを設定し、テキストをいくつかのセグメントに分割したうえで、セグメントごとにマーカーとなる単語の出現頻度が増減する様子をグラフ化する。抽出した物語のパターンについては仮説検証を行い、統計的有意性を評価する。 本研究は個人と集団を媒介する物語の存在を実証的に明らかにすることで、集合動態の発生原因を物語というヒトの特徴に求めるという先行研究の示唆を実証する意義がある。
発表練習ではありますが、ほぼ2部的な形になるかと思います。研究計画について全体的に議論させていただけますと幸いです。
Speaker: FURUKAWA TakeruData&Hour: 8th Mar. (Fri.) 15:30-Place:  Webex & Collaboration Room 2Title: Empirical research on narrative mediating between individuals and groups -Text mining analysis on narrative texts -(Research Project)

2024/03/01(金)15:30- |コラボ2 & Webex


【発表練習】人間と機械の共創的相互作用における概念融合: ミスマッチの活性化と創発の関係

発表者:周 豪特


概要: HAIにおいて、エージェントが人間の思考を喚起することで、人間の思考への支援ができるだろう.一方、概念融合は意味の創発を可能にする思考上の操作である.本研究は、概念間のミスマッチ関係に注目し、その関係を調和させる概念融合思考が、創発に至る共創のための重要な条件であると主張し、ミスマッチに着目し調和することを対話者に促す対話を設計した.2種類の思考を喚起する対話(ミスマッチ対話と共通対話)実験をデザインし、対話実験により、作った概念の創発性と対話効果を検証する.このような対話が人間とエージェントの共創関係を生み出すことを提案する.
 今回は3月6日にHAIに向ける発表練習である。HAI分野の研究者に認知言語学の話しを簡単に分からるような説明で発表したいと思います。   

Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 1 March (Fri.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &webex


2024/02/24(土)15:30- |コラボ2 & Webex


【研究進捗】「ビジネスシーンにおける道徳的意思決定に対話型生成AIが与える影響要因」

発表者:遠藤剛


概要:本研究内では、ChatGPTやGemini等の機械学習技術で作られたAIを「対話型生成AI」とする。   先行研究として、 Krügel et al.(2023)では、「トロッコ問題」ですでにChatGPTの影響を示しているが、   ビジネスシーンでの道徳的意思決定が必要な業務判断においてどのような影響があるかは示されていない。   今後ビジネスシーンにおいて対話型生成AIを利用する際にどのような影響があるか不明確であると、業務活動は不安定になる。   よって、本研究は、飛躍的に進化する対話型生成AIによる影響を明らかにし、AIやエージェントの普及が見込まれる社会の道徳的基盤の安定に寄与する。   

Speaker: Go ENDOUDate &Hour: Feb 24th (Sat.) 15:30-Place: & WebexTitle: Factors Influencing Interactive Generative AI on Moral Decision Making in Business Scenes


2024/02/15(木)15:30- |コラボ2 & Webex


【発表練習】会話の意図解釈における関連性と心的労力の関係の実証研究(認知科学・社心若手リーグに向けた発表練習)

発表者:箕輪 朗


概要:本研究の目的は、コミュニケーションにおいて発話の意図解釈が関連性の原理に基づいていることを踏まえ、関連性と心的労力の二つの要因の意図解釈への影響を実証的に示すことである。 関連性理論における認知原則や解釈発見法は発話解釈に影響を与えているとされるが、これらが具体的に発話解釈にどう影響するかはまだ解明されていない。 本研究では、被験者が提示された会話テキストにおける対話者の意図を記述し、関連性の程度を評価する。認知効果を生む説明の量で関連性を、解釈させる発話とそれに関する説明のテキスト上の距離で心的労力を調整することで、両要因の意図解釈への影響を分析する。 発表では実験デザインについて議論を行いたい。

Speaker: Akira MinowaData&Hour: 15th Feb. (Thu.) 15:30-Place:  Webex & Collaboration Room 2Title: An empirical study of the relationship between relevance and mental effort in interpreting conversational intentions.


2024/02/08(木)15:30- |お茶スペース & Webex


【修論練習】予期的後悔が道徳的意思決定に与える影響の道徳ジレンマ課題による分析(修論審査に向けた発表練習)

発表者:笹森 なおみ


概要:道徳ジレンマ課題の研究によって,人間の道徳判断は理性に情動が干渉するかどうかで下されるという道徳判断の二重糧理論 (Greene, 2015)が提唱されている.しかしながら,予期的後悔が道徳的意思決定に影響することは日常的に経験するにも関わらず,その効果については理論に含まれていない. 本研究の目的は予期的後悔が道徳的意思決定に影響を与えることを明らかにすることである.具体的には以下の3つの仮説を検証する.仮説Aは,予期的後悔は不作為の意思決定を増加させるという仮説である.仮説Bは,予期的悲しみは道徳的意思決定に影響せず,予期的後悔とは区別されるという仮説である.仮説Cは,予期的後悔は感情的要素よりも認知的要素の方が優位であるという仮説である. これらの仮説を検証するために,予期的後悔を誘導して行う道徳ジレンマ課題を行うことで予期的後悔の道徳的意思決定への効果を調べた.また,事後アンケートとして後悔要素尺度を用いて予期的後悔の要素について調べた.実験参加者は予期的後悔条件,予期的悲しみ条件,統制条件に分け,道徳ジレンマ課題をそれぞれの条件の感情を誘導しながら行った.その結果,作為の意思決定の割合は予期的悲しみ条件,予期的悲しみ条件ともに,統制条件と比較して差がなかった.このことから仮説Aは検証されず,仮説Bの予期的後悔と予期的悲しみが区別されるという点は否定された.後悔要素尺度の結果から認知的要素は感情的要素と同程度であることが示され, 仮説Cは検証されなかった. 結論として,予期的後悔は道徳的意思決定の作為と不作為の両方に影響を与えているという示唆が得られた.このことから,予期的後悔を考えた場合,道徳的意思決定は予期的後悔の反実仮想をした後に理性が働くというプロセスを提案し,これは二重過程理論の理性と情動の働きとは逆である.

Speaker: Naomi SasamoriData&Hour: 8th Feb. (Thu.) 15:30-Place: tea space & WebexTitle: An Analysis of the Influence of Anticipatory Regret on Moral Decision-making Using the Moral Dilemma Task.


2024/02/05(月)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【修論練習】日中同形多義動詞「上がる(Agaru)」「上(Shàng)」の認知対照研究:イメージスキーマ・ネットワークの分析

発表者:黄 文蓮


概要:認知言語学は、言語使用者が身体的経験を通じて世界をどのように見ているかを重視し、その見方が言語表現に表れると考える。近年、対照言語学と認知言語学の交差分野である対照認知言語学の分野で、認知言語学的アプローチを取り入れた研究が増加している。特に、語義対照研究の中で、認知言語学の一部の認知意味論はメタファー的意味拡張プロセスや語の関連性など、意味拡張ネットワークやスキーマ構築の様々な側面を語の意味を研究している。認知意味論によれば、上下のような空間的な体験は、世界の認識とメタファーを含む言語表現において重要な役割を果たすとされる(Lakoff& Johnson: 1980)。人間の経験や身体体験に関わる単純なパターンのイメージスキーマは、メタファーの経験的基盤となる可能性がある(鍋島 2002: 79)。したがって、言語レベルの意味拡張ネットワークの分析に加えて、イメージスキーマ構築のような深いレベルの認知モードを反映するイメージスキーマ・ネットワークの探求は、異なる母語話者の認知の差を探求することに有効である。
本研究では、日中同形多義語「上がる」「上(Shàng)」を対象とし、日中母語話者の認知の違い及びこの違いを説明できる要因を明らかにすることを目的としている。本研究では、言語レベルの意味拡張ネットワークの分析だけでなく、イメージスキーマ構築のような深いレベルの認知モードを反映するイメージスキーマ・ネットワークの比較に焦点を当てる。具体的には、日本語と中国語の同形多義動詞「上がる」と「上(Shàng)」を事例として選び、これらの意味カテゴリー、イメージスキーマ、そしてそれらの拡張関係を包括的に分析する。
その結果、日本語の「上がる(Agaru)」は「気分的空間」のイメジスキーマが特徴的であり、中国語の「上(Shàng)」は「公的空間」のイメジスキーマが特徴的であることを明らかにした。この日本語で特徴的なことについて、日本語母語話者は自分が環境に融合して、自身の感情的な気分を重視するような主観的視点で物事を捉える傾向があることが考えられる。これは認知言語学における「主観的実態把握(Subjective Construal)」に当てはまるではないかと考える。その一方、中国語母語話者は「公的な状態に出る」のような客観的な視点(第三者視点のようなもの)、認知言語学における「客観的実態把握 (Objective Construal)」で物事を捉える傾向があり、日本語母語話者より比較的客観的な視点で捉える傾向があることが考えられる。これは応用言語学における日中翻訳の対照研究(徐2011; 鄔2018)が示した特徴、すなわち、日本語母語話者は「主観的事態把握 (Subjective Construal)」を好む傾向があり、中国語母語話者は「客観的把握 (Objective Construal)」を好む傾向があるという知見と一致している。
---------------------博士研究計画題目: 認知言語学を用いた日本語教育の効果検証〜多義動詞「上がる・上(shàng)「下がる・下(xià)」を例に〜
概要:基本的な役割を果たす動詞は、その多義性のために非母語話者の習得が困難なことが知られている(森山 2016)従来の辞書は意味カテゴリーをただ羅列するだけであり、学習者がその意味を暗記することによる学習効果には限界があるとされる(王 2020)語義間の関連性の理解やスキーマの構築など、認知言語学的アプローチを取り入れた日本語の多義語学習の方法が提案されてきている(森山 2018; 鷲見 2019 など)
しかし、先行研究は多義語の語義間の関連性を説明だけでスキーマの構築に至らなかった(王2020)、特に記憶保持の面での検証には効果が見られなかったという問題点がある。つまり、日本語の多義語学習に対して認知言語学の知見を導入した実証的方法はまだ十分に検討されていないことが分かった。
本研究は第2言語教育において、認知言語学のイメージスキーマ概念を取り入れ、さらに日中の言語比較を通じて教材を開発・実証することを目的としている。
修士の成果を発展日中自動詞「上がる」と上(shàng)のイメジスキーマに基づいて教材を作って予備実験を行った。実験の仮説:認知的指導群は暗記群より学習効果が高いと設定した。その結果、語彙力の広さについて、有意さが見られた(p=.016)。認知群の事後テストと事前テストの差は、暗記群の事後テストと事前テストの差よりも大きく、認知グループの成績向上が暗記グループの成績向上よりも高いことが分かった。語彙力の深さについて、認知群の事後テストと遅延テストの平均値(M=0.8)は暗記群の事後テストと遅延テストの平均値(M=2)より小さいことが分かった。語彙力の深さについて有意差が見られなかった(p = .29 )。有意差が見られなかった理由としては、サンプルサイズが小さい可能性が挙げられる。

Speaker: HUANG WenlianDate & Time: Date&Hour: 5 Feb. (Mon.)Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Cognitive Contrastive Study of the Japanese and Chinese Homomorphic Polysemous Verbs '上がる (Agaru)' and '上 (Shàng)':  An Analysis of Image Schema Networks
Doctoral Research Proposal Title: Verification of the Effectiveness of Japanese Language Education Using Cognitive Linguistics: A Case Study of the Polysemous Verbs 'Up (上がる・上[shàng])' and 'Down (下がる・下 [xià])'

【修論練習】内在する脅威と相互作用する被食者の群れ行動の進化シミュレーション

発表者:星 宏侑

概要:群れ行動は,生物の種を超えて広く観察される.群れ行動の適応的機能について様々な点で議論され,例えば採餌行動の効率化,配偶者との遭遇率を上げる,捕食者に対する防衛などが挙げられる.本研究では,群れ行動の適応的機能として捕食者に対する防衛行動としての群れの進化に着目する.その中でも,個体が持っている情報のやり取りを行わないプリミティブな被食者個体でも機能による利益を享受できる,捕食者混乱効果を考える.一方,そのようにプリミティブな生物の集団であったとしても群れ行動を取ることで,感染症にかかるリスクの増加や,限られた資源の競争の増加など,群れ行動によって不利益を被る場合が考えられる.群れ行動は生物界において広く観察されるため,それらの不利益を上回る利益を何かしらの行動によって享受していることが考えられるが,群れの中で生活する上で,どの ように不利益を被るリスクを減らしているのかについての知見は十分であるとは言えない.本研究では,群れ行動におけるデメリットを,他の集団の成員と同種である「内部性」,他の集団の成員に悪影響を与える「脅威性」の両性質を持った個体として抽象化し,「内部脅威」と称する.本研究では,捕食者混乱効果を考慮した進化シナリオにおいて,被食者の集団内に「内部脅威」がいた場合に,被食者個体が群れ行動の進化をする のかどうかを明らかにする.目的を達成するために,他の被食者や捕食者と相互作用する被食者のモデルを構築し,計算機によるシミュレーション実験を行う.シミュレーション実験における被食者は,他の被食者個体と捕食者 を視覚的に認識したものを入力,運動する方向を出力とするニューラルネットワークによって制御され,そのニューラルネットワークは Neuroevolution of Augumented Topology (NEAT)によって進化する.そのようなモデルを用いて,「内部脅威」が突然変異によって発生する可能性がある条件(threat条件)と発生しない条件(no-threat条件)でのシミュレーションでの比較実験を行い,「内部脅威」が存在する条件は存在し得ない条件と比べて,群れ行動が進化しないことが分かった.この結果より,捕食者混乱効果のみを群れ行動の利益として享受する集団では,内在する脅威に対して十分に群れ行動の利益を享受しているとは言い難く,捕食者よりも他の被食者や「内部脅威」を避けるために群れ行動が進化し得ないことを示唆する.また,他の機能が群れの進化にとってより重要であることや,複数の群れ行動の利益が複合的に内在する脅威に対して防衛する機能を果たしていることが示唆される.さらに,内在する脅威に対して情報をやり取りするコミュニケーションによって避けることができる可能性を考慮すると,本研究で扱ったプリミティブな集団では内在する脅威の脅威性が非常に大きく,内在する脅威の存在を排除するために情報のやり取りを行うコミュニケーション能力の進化が群れ行動の進化と共に必要になって くる可能性を示唆した.
Speaker: Hiroyuki HoshiData&Hour: 5 Feb. (Mon) 14:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Evolutionary simulation of swarming behavior of prey individuals interacting with internal threat


2024/02/01(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【研究紹介】Data Analysis of Pre- and Post-Questionnaire Surveys  in a LEGO Experiment

発表者:成 太俊


概要:In a variety of daily situations, people recruit and manipulate objects to aid their cognitive processes. What are the benefits of manipulation in a playful way? What role does recursive combination, as a distinctive human ability, have there? Is there any synergy between play and recursive bonding? In brief, My research seeks to address these questions. As many of you know, I have been conducting experiments for some time now. It`s a LEGO Experiment to Investigate the Impact of Individual modeling (with LEGO blocks) on Collaborative Ideation. In this seminar, I will share the results of the analysis of questionnaires data collected from these experiments. To begin, I will briefly explain the flow of the experiment.The experiment consists of a preliminary survey (questionnaires) and a "LEGO experiment," where participants model creations according to a task using LEGO blocks. The preliminary survey includes the "30 circles" test, which examines the participants' creativity, and a questionnaire survey (Big-Five, Playfulness, Improvisation) to investigate their personal traits. The LEGO experiment has two phases: the "individual phase," where participants model their creations alone, and the "collaborative phase," where participants pair up to model together. After each modeling, a post-questionnaire survey is conducted (the same questionnaire is administered twice).This time, I will share an analysis that includes both the preliminary- and post- questionnaires data. Now, let me share some key points from the analysis of the pre- and post-questionnaire surveys. From the ANOVA & Post Hoc Tests results for the post-questionnaire (Post-Playfulness & Post-Improvisation), a significant effect was found for Improvisation (here, it's state) during the collaborative modeling  between `Model-first& Recursive combination` and `Think-first& Recursive combination` groups. Furthermore, t-tests conducted within groups for individual and collaborative Post-Playfulness & Post-Improvisation showed significant differences in both the `Model-first& non-Recursive Combination` and `Think-first& non-Recursive Combination` groups. Although the analysis of the videos (movements in the modeling) from the LEGO experiments has not yet been completed, and it is unclear what significant findings can be found, I would be pleased if we could discuss what can be understood from the questionnaire data alone.
Speaker: CHENG, TaijunDate & Hour: 2/01 (Thur.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Data Analysis of Pre- and Post-Questionnaire Surveys

【研究紹介】対話の皮肉理解における社会的思考の発展

発表者:星 宏侑

概要:この研究は、学齢児童における社会的思考の発達を述べています。皮肉の課題が使用され、5歳、7歳、9歳の子どもたち(N 5 72)および大人(N 5 24)の他者の心の中に対する再帰的な理解を評価する。 Guttmanスケール分析は、話者のコミュニケーション意図を理解するために、子どもが話者の信念を認識する必要があり、その検出が意図された意味と表現された意味との不一致を識別する能力に依存することを示している。これらの心の側面を理解する子どもだけが、話者の態度を考えることができる。心の理論と言語能力は、年齢と記憶の影響を超えて、子どもたちが皮肉を解釈するのに独自の寄与するが、表現豊かな抑揚には寄与しない。
書誌情報:Filippova, Eva, and Janet Wilde Astington. "Further development in social reasoning revealed in discourse irony understanding." Child development 79.1 (2008): 126-138.URL: https://srcd.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1467-8624.2007.01115.x
本論文は、文字通りに解釈されない皮肉表現を児童がどのように理解するのかを実証的に確かめた研究です。関連性理論の中でも皮肉が扱われており、皮肉表現の中である特定の通常とは異なる態度を聞き手に知らせることで、関連性を達するとあります。この論文を読むことを通して、関連性理論の理解を深めるとともに、実証実験でどのように扱われているかを学び、理解不足な点はありますが、皆さんに共有できればと思います。
Speaker: Akira MinowaDate & Hour: Feb 1st (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Further Development in Social Reasoning Revealed in Discourse  Irony Understanding


2024/01/18(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【発表練習】Conceptual Blending in Human-Machine Co-creative Interaction: The Relationship between Emergence and Activation of Mismatches

発表者:周 豪特


Abstract: HAI Co-creative Interaction is evolving as a research domain, primarily focusing on agents supporting human thinking. Particularly in Human-AI Interaction (HAI), understanding the emergence of meaning in products is crucial, yet the underlying reasons remain unclear. Conceptual blending thinking has the potential to generate emergence, leading us to posit that evoking human conceptual blending thinking can serve as an effective strategy in human-agent dialogues. Insights into the relationship with mismatches (from the agent) are important. To foster the emergence of meaning, we contend that concentrating on mismatches in conceptual blending thinking and harmonizing them is crucial. Consequently, we have formulated hypotheses and designed experiments for our study. In conclusion, we anticipate experimental results and outline future work.
 ---- 今回は前回ゼミは国際会議AROBに向ける発表練習である。プレゼンテーションの時間は10分に制限されています。中身はいつもの通りに違いがないが、多分野の人に向けて誰も簡単に分からるような説明で発表したいと思います。 どうぞよろしくお願いします。
Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 18 Janu. (Turs.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &webexTitle: Conceptual Blending in Human-Machine Co-creative Interaction: The Relationship between Emergence and Activation of Mismatches

【進捗報告】内在する脅威と相互作用する被食者個体の群れの進化シミュレーション -嫌悪感の進化の視点から,脅威の存在を考える-

発表者:星 宏侑

概要:群れ行動は,生物の種を超えて広く観察される.群れ行動の適応的な機能について様々な点で議論されるが.本研究では捕食者に対する防衛行動としての群れの進化に着目し,高度な認知能力や道徳観,社会規範を必要としない集団の活動について議論する.一方,プリミティブな生物な集団であったとしても,群れ行動を取ることで,感染症にかかるリスクの増加や,限られた資源の競争の増加など,不利益を被る場合が考えられる.群れ行動は生物界において広く観察されるため,それらの不利益を上回る利益を何かしらの行動によって享受していることが考えられるが,群れの中で生活する上で,どのように不利益を被るリスクを減らしているのかについての知見は十分であるとは言えない.本研究は,捕食者混乱効果を考慮した進化シナリオにおいて,群れに内在する脅威個体がいた場合,被食者個体がどのようにしてそれらに対する防衛行動を取るようになるかを調べる.他の被食者個体と捕食者を視覚的に認識したものを入力,運動する方向を出力とするニューラルネットワークをNEAT(Neuro Evolution of Augumented Topology)を用いて進化させ,内在する脅威が突然変異によって発生する可能性があるシナリオと発生する可能性がないシナリオで,被食者の行動の振る舞いを調べる.その際,脅威個体に対する回避行動に対して,進化心理学で議論されることのある「嫌悪感(disgust)」との関係を考察する.
Speaker: Hiroyuki HOSHIDate&Hour: 18 Jan (Thu), 15:30-Place: Collaboration Room 2 (on-site) & webex (online)Title: Evolutionary simulation of swarming behavior of prey individuals interacting with internal threat (from the perspective of evolution of disgust)


2024/01/10(水)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】“物語を語ることの本質は精神主義である: モダリティを超えた物語生成の機能的磁気共鳴画像研究”

発表者:古川建


概要:人々は過去の出来事に関する物語のアイデアを伝えるために複数の表現様式を利用する。3つの主要な表現様式はスピーチ、パントマイム、ドローイングである。今回の研究では機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使い、これら3つの感覚運動メカニズムに共通する、物語コミュニケーションを媒介する脳領域を特定した。スキャナーの中で、参加者は新聞の見出しのような短いプロンプトを提示された(例えば、「外科医が患者の体内のはさみを発見」)。タスクは、口頭で発話するか、身振り手振りでパントマイムをするか、タブレットに描くかして、その出来事を表現することであった。感覚運動の活性化を除去するためにデザインされた対照条件では、参加者は個々の物体の空間的特性(例えば「双眼鏡」)を説明した。3つのモダリティ特異的な減算はそれぞれ、TPJ、後部STS、後部帯状皮質(PCC)を含むメンタライジング・ネットワークの主要な構成要素の活性化を伴い、同様の結果をもたらした。連関分析により、これらの領域が3つのコミュニケーション様式を超えたクロスモーダルな「ナラティブ・ハブ」を構成していることが明らかになった。これらの領域が物語生成に関与していることから、人は、スピーチ、パントマイム、ドローイングのいずれを用いても、物語を語る際に、本質的にメンタリスティックでキャラクター志向の視点を採用していることが示唆された。
書誌情報:Ye Yuan, Judy Major-Girardin, Steven Brown; Storytelling Is Intrinsically Mentalistic: A Functional Magnetic Resonance Imaging Study of Narrative Production across Modalities. J Cogn Neurosci 2018; 30 (9): 1298–1314. doi: https://doi.org/10.1162/jocn_a_01294
本論文は自分の研究とは異なる部分も多々ありますが、人間の認知的な能力としての物語に迫った興味深いもので、自身の論説の根拠などの形で引用を考えています。自分にとって未開拓の分野ですが、何とか理解しながら紹介させていただきます。
Speaker: FURUKAWA TakeruDate &Hour: Jan 10th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: “Storytelling Is Intrinsically Mentalistic: A Functional Magnetic Resonance Imaging Study of Narrative Production across Modalities”

【論文紹介】言語の進化における生得性と文化

発表者:岩村入吹

概要:ヒト型言語は, 生物進化・個体学習・文化継承(の相互作用の中)から創発する. 但し, これら3つの過程の相互作用については, 広く(?widely)研究されていない. (そこで)我々は文化継承を形式化することから始める. これにより, 生得的な学習バイアスと言語の普遍的特性がどのように関わるのか, そのメカニズムについて調べる.  (本論文で)示すことは, 文化継承は弱いバイアスを増幅して強い言語普遍性を導く可能性である. (このことは)言語学習に働く強い生得的制約を擁護する(=for)論拠を弱める. 結果として, 生得的バイアスの強さは自然選択からマスクされうるので, (生得的バイアスを決定する/対応する)これらの遺伝子は浮動し(て集団に広まり)うる. 加えて, 自然選択が掛からなかったとしても, 文化継承は表面上の適応を生むだろう. つまり, 文化継承は, ヒト型言語の諸性質に関する従来の生得主義や適応主義の説明に対する代案を提供する.
書誌情報:Kirby, S., Dowman, M., & Griffiths, T. L. (2007). Innateness and culture in the evolution of language. Proceedings of the National Academy of Sciences, 104(12), 5241-5245.URL: https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.0608222104
自分の研究で依拠する"繰り返し学習モデル"を計算論的/数理的に分析した研究です. 理解できていない部分が多々ありますが, 紹介しながら理解を深めたいと思っています.
Speaker: Iwamura IbukiDate & Hour: Jan 10th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Innateness and Culture in the Evolution of Language


2023/12/21(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】Comparison of Knowledge Construction Models; Findings and idea of implementation

発表者:Siri-on Umarin


概要:Knowledge Construction Model or Knowledge Management Model is the key concept of knowledge management in varied organizations.Several selected studies presented different Knowledge Management models from different locations that share similarities and differences leading to the possible idea of adoption. The selected knowledge management models will be explored in the comparison of the research study's conceptual model: the i-System for further implementation in the scope of public research organization.
Overview of presentation:1. Objective of this presentation2. Scope of Literature Review: main keywords, tools3. Discussion: idea for research study applicable
Speaker: Siri-on UmarinDate & Hour: 15.30 - 17.30 (expecting time)Place: Collaboration Room 2 & Webex (コラボ2・webex)Title: Comparison of Knowledge Construction Models; Findings and idea of implementation

【進捗報告】解散メカニズムを介した嫌がらせ行動の進化―関係を打ち切りたい意見と関係を続けたい意見のどちらが通りやすい場合に嫌がらせは進化しやすいか―

発表者:黒川瞬

概要:本研究の目的はコミュニケーションにおいて関連性理論に基づき、聞き手が文脈をどのように理解するのかを明らかにするものである。関連性理論を基盤として、認知効果、処理コストが変動した際に、人の文脈理解にどのような影響を与えるのかを調査することが目的である。研究方法としては、認知効果、処理コストを従属変数として条件を設定し、web実験でシナリオを被験者が読んだとき、条件によってシナリオの文脈理解にどのような影響を与えるかを調査する。
今回は事前提出のRP内容を深掘りしたいため、内容を読んでいただき、コメントいただければと思います。
Speaker: Shun KurokawaDate & Hour: 21 December (Thursday) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: The evolution of spiteful behavior through disbandment mechanisms: Investigating the circumstances under which spite is more likely to evolve, whether in situations where the desire to terminate interactions is reflected or in situations where the desire to maintain interactions is reflected


2023/12/14(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】個と集団を媒介する物語の実証研究 -物語的文章のテキストマイニング分析-

発表者:古川建


概要:本研究ではデータ分析の観点から、物語が個と集団を媒介する存在であることを実証する。そのためにテキストマイニング分析を通して、外的な表現形式としての物語と内的な思考形式としての物語との関係性を明らかにする。本研究の目的を達成するために設定した仮説は次のとおりである。1. 物語的文章(小説など)と、物語性のある一般的な文章(ニュース記事など)との間には共通する物語的特徴が存在する。2. 特定の物語的特徴を好む人の文章には、同様の物語的特徴が現れる。得られた知見を基に、表現形式と思考形式とを統合した、人間の特性としての物語とはいかなるものなのかについて議論する。
今回のゼミでもRPについてまだまだ大いに改善の余地があるため、前回に引き続き議論させていただけましたら幸いです。
Speaker: FURUKAWA TakeruDate & Hour: Dec 14th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Empirical research on narrative mediating between individuals and groups -Text mining analysis on narrative texts -

【進捗報告】関連性理論に基づいた、コミュニケーションにおける文脈理解に関する研究

発表者:箕輪 朗

概要:本研究の目的はコミュニケーションにおいて関連性理論に基づき、聞き手が文脈をどのように理解するのかを明らかにするものである。関連性理論を基盤として、認知効果、処理コストが変動した際に、人の文脈理解にどのような影響を与えるのかを調査することが目的である。研究方法としては、認知効果、処理コストを従属変数として条件を設定し、web実験でシナリオを被験者が読んだとき、条件によってシナリオの文脈理解にどのような影響を与えるかを調査する。
今回は事前提出のRP内容を深掘りしたいため、内容を読んでいただき、コメントいただければと思います。
Speaker: Akira MinowaDate & Hour: 14 Dec. (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &webexTitle:  Study on Contextual Understanding in Communication Based on Relevance Theory

【進捗報告】創発を含む概念融合の喚起による人間と機械の共創対話研究

発表者:周 豪特


概要:本研究は人間とエージェントの共創的な対話を目指す。すなわち、対話でAIが人間の思考を喚起し、人間の支援になる共創的な活動を実現しようとする。そのため、人間が創発できるメカニズムを探究することを目的とする。具体的には、「①対話を通じて創発が生まれる重要な条件は(AIから人間への刺激)概念間のミスマッチの注目と調和である」「②創発が生まれる概念融合のプロセスの解明(人間がどうのよう刺激を受け、共有した概念を完成し、精緻化から解釈まで至る過程の解明)」から構成すると考える。 今回はRPを読んでいただいて、コメントやアドバイスをいただいたところに回答や議論しながら進めようと考えてます.
Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 14 Dec. (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &webexTitle:  Co-creative communication between humans and machines through concept blending


2023/12/06(水)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】概念化搭載繰り返し学習モデルによる言語進化シミュレーションの構想:RPに向けて

発表者:岩村入吹


概要:ヒトのコミュニケーション内容には, 客観的事実だけでなく, 話者の主観的な世界の捉え方construalが符号化されている. このコミュニケーションの性質は, 進化言語学において意味論的転回を迫る. すなわち, 言語の文化進化シミュレーションにおいて, エージェントが捉えた概念化された意味が言語形式に符号化されてもなお, Kirby (2002)が示すように, 構成性は創発するのか?という問いに答えることである. 先々月submitした内容と修論で取り組もうとしている研究では, 前述の点を考慮に入れている. 改めて, 考慮する内容を整理し, 研究対象を明確化し, 仮説が検証されたあとに導かれる帰結が持つ進化言語学分野における意義を述べる.
僕のRP検討会は冬合宿中の12/17(夜)であり, 2週間弱の時間が残されています. 皆さんとの議論を取り込みつつ書き上げたいと思います. 特に, 進化言語学という分野に対する意義, つまり取り組むべき研究であるのか, ということに関しては常に悩むところであるので, 忌憚のないご質問・ご意見をもらいたいです. よろしくお願いします.
Speaker: Ibuki IWAMURADate &Hour: Dec 6th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: A Conceptual Framework for Simulation of Language Evolution Based on Iterated Learning Model with Conceptualization: Toward RP

【進捗報告】個と集団を媒介する物語の実証研究へ向けたRPと研究構想の検討

発表者:古川建

概要:思考/コミュニケーション形式としての物語(narrative)は人間が情報を伝達し、また受け取る上で認知的に最適な形として存在している。そのように物語る生き物である人間の社会において、個と集団を媒介する物語の存在を示唆する研究は数多くあるが、その関係性を実証的に示そうと試みた研究は少ない。一方、テキストデータの膨大化により従来の物語研究とは異なるデータドリブン型のアプローチを取ることが可能になった。これを踏まえ、本研究はテキストマイニング分析により物語の媒介性について実証することを目標としている。
今回のゼミではRPに記載する予定の内容について検討したいと考えております。その上で現在構想している研究手法のアイデアについて、その妥当性などについて議論させていただけましたら幸いです。
Speaker: FURUKAWA TakeruDate &Hour: Dec 6th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: RP and research ideas for empirical research on narrative mediating between individuals and groups

2023/11/30(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】コミュニケーションの認識齟齬状況における他者理解に関する先行研究紹介とそれを踏まえたコミュニケーションにおける意図共有の分析研究の提案

発表者:箕輪朗


概要:コミュニケーションがうまく成立しない要因として、相手の意図をうまく読めていない、つまり認識のずれがあると考えます。先行研究では、異分野の専門家が集まった状況で協同問題を解決するときに、それぞれ問題の捉え方や着眼点の違いがコミュニケーションの齟齬を生み出すと指摘しています。相互理解のためのコミュニケーションにおいて必要なことは他者視点を理解することであると先行研究では示唆されています。他者視点を理解する時の要因としては事前のコミュニケーションとコミュニケーションにおけるチャネルによって影響があるのではないかと示唆されています。事前実験では、事前にコミュニケーションを行ったグループ及びそうでないグループに分けて行われ、本実験では会話を対面形式の自由に行ったグループとチャットの2グループに分けられました。結果として事前のコミュニケーションの経験がある場合は、事前のコミュニケーション経験がない場合に比して、また、口頭対話によるコミュニケーションを行った場合は、チャットでのコミュニケーションに比して、他者視点の理解が促進されることが示唆されました。
今回のゼミではこの先行研究を踏まえて私の研究と結びつけて議論する時間にしたいと思います。
Speaker: Akira MinowaDate & Hour: 30 November (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: "Introduction to Previous Research on Interpersonal Understanding in Communication Misalignment Situations and Proposal for an Analytical Study on Intention Sharing in Communication Based on This Context"

【進捗報告】対話型生成AIによる人間の道徳的意思決定への影響

発表者:遠藤剛

概要:ChatGptなどの対話型生成AIは、現在急速に普及している。対話ベースで情報検索、アドバイス等様々な用途に利用出来るが、人の意思決定にまで大きな影響を与えつつある。現時点では未だ急速な技術進歩とその利用による人への影響の研究は充分になされていない。本研究は対話型生成AIとの対話が人の道徳的な判断にどの様な影響を与えるかを研究するものである。
Speaker: Gou EndouDate & Hour: 30 Nov. (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: The Impact of Conversational Generative AI on Human Moral Decision Making

2023/11/24(金)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】人間と機械の共創的な相互作用における概念の融合:創発とミスマッチの関係

発表者:周 豪特


概要: 人間同士は対話というインタラクションを通じて、概念を共有し互いの考えを統合する際、意味を共創することができる。本研究は概念融合という創発的思考は、人間と機械のインタラクションによる創発が生じる共創にも適用できるだろうという考えで、エージェントが人間の思考を喚起することを取り組む。 一方、HAI対話においてエージェントが人間の概念融合を喚起し、概念に関する操作が見られて、相手について印象が改善されることを示した。しかし、意味の創発が生じる条件についてはまだ不明であった。 本研究において我々は、意味の創発が生じるには融合する2つの概念の間のミスマッチに注目しそれ(ミスマッチ)を調和させる関係を新たに構築することは創発が生じるには重要だと主張する。  今回は前回ゼミ紹介した内容の延長です。簡単に研究目的を紹介してから、すぐ予備実験の実験デザインに入って説明と議論したいと思います。ご検討や指摘、そしてアドバイスをいただきたいと考えています。
Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 24 Nov. (Fri.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &webexTitle:  Conceptual Blending in human-machine Co-creative Interaction: the relationship between emergence and mismatches


2023/11/16(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】日中多義動詞「上がる」「上(shàng)」のイメージスキーマの検討

発表者:黄 文蓮


概要:本研究では、認知言語学の枠組みを用いて、日本語と中国語の多義動詞「上がる」と「上(shàng)」を取り上げ、それぞれのイメージスキーマにおける共通点と相違点を明らかにすることを目的とする。この比較分析を通じて、日本語話者と中国語話者の認知構造と視点の差異に迫る試みを行う。
これまでの研究段階で、「上がる」には10の異なる意味項目が分類され、「上(shàng)」には8つの意味項目が確認された。各意味に関連する使用例を詳細に分析し、それに基づいてイメージスキーマを構築した。イメージスキーマの分析から得られた知見をもとに、日本語母語話者と中国語母語話者の視点の違いについて考察してみた。
明日のゼミでは、これら「上がる」と「上(shàng)」に関連するイメージスキーマの各意味項目における妥当性と、それらが示唆する認知的視点の関連性に焦点を当てて議論を深めることを期待しています。
Speaker: HUANG WenlianDate & Time: Nov. 16th (Thu.)Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: An Examination of Image Schemas of the Polysemous Verbs 'Agaru' and 'Shàng' in Japanese and Chinese

【論文紹介】最良、次善、および十分な説明:推論にとって重要なこと

発表者:箕輪 朗

概要:人々の推論が説明的考察によって影響されるという証拠は豊富にある。しかし、この影響がどのような形をとるのか、たとえばその影響が非組織的なものなのか、それとも人々が何らかのルールに従うことによるものなのかなどはほとんどわかっていない。3 つの実験は、哲学文献に見られる正確な提案の記述の妥当性を調査する。つまり、特定の追加条件が満たされる限り、最良の説明を推測する必要がある。最初の実験では、説明の候補が 1 つだけ与えられた場合の、説明の質と人々がその説明を推論する意欲との関係を研究する。2 番目の実験では、参加者に常に 2 つの説明を提示し、代替案の存在が対象の説明を推論する参加者の意欲に及ぼす影響を調査する。実験1と2では、説明の質と参加者間の最適な説明を推測する意欲を操作しますが、実験 3 では参加者内でそれらの尺度を操作することで、個人レベルでの推論に対する説明上の考慮事項の影響を研究することができる。
3番目の実験では、説明の質、推論意欲、推論の決定におけるメタ認知的自信の間の関係も研究されている。これらの実験から導き出される主な結論は、説明の質は、その説明を受け入れる人々の意欲の良い予測因子であり、説明の事前確率よりも優れた予測因子である。考えられる説明が複数与えられた場合、人は、次善の説明の方が優れていると考えるほど、最良の説明を推論する意欲を失う。
書誌情報:Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition Année : 2018 https://hal.science/hal-01712250 
推論の一つアブダクションは仮説生成と仮説選択に分かれますが、この研究では仮説選択に着目した分析の研究になります。皆さまに共有し、ゼミでは議論できれば幸いです。
Speaker: Akira MinowaDate &Hour: Nov 16th (Thr.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: “Best, Second-Best, and Good-Enough Explanations: How They Matter to Reasoning “

2023/11/07(火)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】“物語の弧:テキスト分析を通して中心的な物語の構造を解明する”

発表者:古川 建


概要:学問分野を越えて、学者たちは物語の根底に共通の構造があるのかを長く議論してきた。コンピュータを利用した言語分析手法によって、40000編近くの伝統的な物語(例:小説や映画脚本)と20000編近くの伝統的でない物語(例:新聞記事における科学報道、TEDトーク、最高裁意見書)からいくつかの構造的言語カテゴリと心理的言語カテゴリを測定した。伝統的な物語には一貫したストーリー構造が根底にあり、舞台設定/プロット進行/認知的緊張という3つの主要なプロセスの存在が明らかになった。規範的なストーリー構造の遵守とストーリーの人気が関連することを示す証拠は現れなかった。最後に事実に基づくテキストの分析によって、ストーリーに基づく物語と異なった構造の存在が明かされた。
書誌情報:Ryan L. Boyd, Kate G. Blackburn, James W. Pennebaker. (2020) Science Advances 6 eaba2196. DOI:10.1126/sciadv.aba2196
定量的に物語の特性を把握しようとした数少ない研究の1つです。大規模かつ探索的な研究のためすべてを参照することは難しいですが、私の研究に関連して数多くの知見を得たと感じております。皆さまと共有、議論できれば幸いです。
Speaker: FURUKAWA TakeruDate &Hour: Nov 6th (Tue.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: “The narrative arc: Revealing core narrative structures through text analysis”

【論文紹介】10月後半に即興的行動や物理的なモノづくりについて論文サーベイの結果

発表者:成 太俊

概要:今回のゼミ1部は2本の論文(時間あれば3つ目も)をまとめて皆さんに紹介します.以下の順で説明する予定です.まずは,Anders Berglund & Larry Leifer (2013)の論文を紹介します.近年デザインの創造性に対するアプローチがデザイン教育者間で互いに近づき,プロトタイピングはその中心的な役割を果たしている.しかし,プロトタイピングの暗黙の知識とその実用的応用については,これまでの研究で十分に認識されていない.そこで,この研究はスタンフォード大学とKTH王立工科大学の2つの高パフォーマンスの学術環境でプロトタイピングがどのように知覚され,適用されるかを探求し,その教育的および実践的な応用を理解し強化することを目指している.方法としては,両大学のプロトタイピングに関する学生と教師の経験を調査し,プロトタイピングの教育的効果を比較分析し,プロトタイピングに関連する暗黙の知識と客観的学習の間のリンクを明らかにする.その結果,プロトタイピングは個人の内面的な考えと外部の現実を統合し,社会的相互作用に基づいて複雑な問題に取り組むのに適していると結論付けられた.
この論文は,無形な考えを有形な物にすることのメリット,それを裏付ける理論,という部分に自分の研究(レゴ利用)と関連性があり,参考にしようと考え,皆さんに共有します.
次は,Peter Felsman, Sanuri Gunawardena, Colleen M. Seifert (2020)の論文を紹介します.即興劇(improvisational theater=improv)は広く利用可能で,エンターテイメントとしてだけでなく,心理的利益をもたらす手段としても認識されている.既存研究では,インプロが発散的思考,不確実性の許容,および感情的な幸福感を高める可能性が示唆されていたが,これらの効果を検証するランダム化実験は不足している.そのため,インプロのトレーニングが心理的健康に与える影響についての科学的根拠が不足しており,その効果を定量的に評価する必要がある.従って,本研究の目的は,インプロのトレーニングが発散的思考,不確実性の許容,および感情的幸福感に与える影響をランダム化比較実験を通じて評価することである.著者らは,2つの実験を行い,インプロのトレーニングを受けた参加者と社会的相互作用を行ったコントロールグループの参加者を比較した.実験1ではインプロと創造的な社会的相互作用を比較し,実験2ではインプロとスクリプト(=台本に従った行動)に基づく社会的相互作用を比較した.各実験では,発散的思考,不確実性の許容,および感情的幸福感の前後の変化を測定し比較した.その結果,インプロのトレーニングはその三者を高めることがわかった.それらの効果は,日常のルーチン化された社会的相互作用を超えるものであり,インプロが提供する独特の心理的利益を示唆している.
2番目の論文は,自分の研究(Play=Playful behaviour=improvisation)の部分と関連し,実験のデザインや研究発見について参照したいなと思います.
最後は,もし時間が余ったら,前回の1部で紹介したShen (2023)の論文と関連性の高い論文(Patrick Bateson & Daniel Nettle, 2014)を簡潔に紹介します.Patrick Batesonは『Play, Playfulness and Creativity』の著者で,その本から遊び研究を行うにはたくさんの刺激をいただきました.議論する時間はないと思いますが,個人的なモチベーションとして,紹介リストに入れました.
書誌情報:1.        Anders Berglund & Larry Leifer (2013). Why we Prototype! An International Comparison of the Linkage between Embedded Knowledge and Objective Learning. Engineering Education, 8:1, 2-15.   https://doi.org/10.11120/ened.2013.000042.        Peter Felsman, Sanuri Gunawardena, Colleen M. Seifert (2020). Improv experience promotes divergent thinking, uncertainty tolerance, and affective well-being. Thinking Skills and Creativity, 5, 100632.   https://doi.org/10.1016/j.tsc.2020.1006323.        Patrick Bateson & Daniel Nettle (2014). Playfulness, Ideas, and Creativity: A Survey. Creativity Research Journal, 26:2, 219-222   https://www.danielnettle.org.uk/download/119.pdf
Speaker: CHENG, TaijunDate & Hour: 11/07 (Tue.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: A Survey on “impro” and “prototype”

2023/11/02(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】Recovering narrative congruence between individuals and society from alienation―ECogSのポスター練習に向けの修正-

発表者:秦 慕君


概要:身体化認知の視点は,認知活動は個人の心の境界を越えて広がり,個人と社会との相互作用を包括すると仮定している.この視点は,個人と社会を統合されたシステムの相互接続の構成要素として考えることを提唱している.このシステムの状態は,個人が自分の体験などに基づいて内面化された価値観・思考が社会のこれとどのように一致するかに関して3つの状況に分類できると考えられる:同調の状態,部分同調の状態と非同調の状態. 身体化認知の観点から,個人が社会と部分的に調和している適度な状態が最適であると考えられる.このような状態では,たまに疎外感を感じて直面しても幸福感を感じられる.以上のことから,同調状態,あるいは非同調状態で疎外感を経験する個人にとって,疎外感が個人の特性の現れとなり,中庸な状態(部分同調の状態)への移行は有益であると主張する. 本研究の目的は,疎外感を経験した個人が部分同調の状態に到達するための方法を明らかにすることである.仮説は,疎外感を持つ個人が,自分自身のユニークな特性を認め,疎外感を受け入れることができることである. 仮説を検証するために,自己肯定感の得点を独立変数,疎外感と疎外感受容度の得点を従属変数とすする混合計画の実験をデザインした.独立変数のコントロールとして,自伝的記憶の想起課題を行った.疎外感をもつ経験(集団に溶け込めない,なじめない等)からユニークな自分(個人の性質)を自覚できるような重要な出来事の想起を実験群,日常的な記憶の想起を統制群とする. その結果は,想起前後で,実験群では,自己肯定感の変化は疎外感と疎外感受容度の変化と比較的強い相関を示している.対照群では,自己肯定感の変化は疎外感と強い相関を示している一方,疎外感受容度の変化との相関がないことがわかった.
 今回のゼミでは,11月中旬のECogSのポスター発表に向けて,作成したポスターを皆さんに共有し議論していただければと思います.今回のポスター発表では2回目の予備実験の結果を加えて発表します.皆さんに指摘やアドバイスをいただきたいと考えています.
Speaker: QIN, MujunDate &Hour: Nov 2nd (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Recovering narrative congruence between individuals and society from alienation

【論文紹介】言語における単純性と固有性:領域一般なバイアスが領域固有な効果を持つ

発表者:岩村入吹

概要:言語における単純性と固有性:領域一般なバイアスが領域固有な効果を持つ概要:言語システム(言語の構造や表示,制約など)がどれくらい言語に固有であるかは,認知科学にとって大きな意味を持ち,また進化生物学にとって関係がある.重要なことは,言語システムの所与の性質が,いくつかの方法で,言語領域に「固有」であることは可能である.例えば,その性質が,言語の機能的側面から来る自然選択の圧力によって進化したならば,その性質は,言語のデザインが言語に対して調整された(tailor)ものであるという意味において,領域固有である.同様に,その性質が他の機能を果たすために進化した場合や[そもそも]領域一般である場合であるならば,なれでもなお,その性質が言語システムに,固有/特殊な方法で,相互作用したかもしれない.このことは,言語に,ある性質が固有であるとも考えられるという第2の意味を与える.言語機能/言語機構[FL]に対する進化論的アプローチは,一見したところ,第1の意味において,領域固有であるように見える.第1の意味とは,言語機能の個別の性質群が固有な形で言語的適応[の結果]である,ということだ.しかしながら,我々は以下を主張する.すなわち,学習・文化進化・生物進化の相互作用は,進化したいずれの領域固有な適応は,強い制約ではなく,弱いバイアスという形式を取りうる,ということだ.領域固有性の第2の意味に準拠して,我々は単純性という非常に一般的なバイアスに注目する.この単純性は認知に広く作用している一方で,領域固有な関わり方で言語表示と相互作用している.
書誌情報:Culbertson, J., & Kirby, S. (2016). Simplicity and specificity in language: Domain-general biases have domain-specific effects. Frontiers in psychology, 6, 1964.URL: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2015.01964/full
類型論者のCulbertsonと,言語の文化進化論者のKirbyがタッグを組んだ論文です. この論文では,領域一般に働く認知バイアスとしての「単純性」が,現実の言語表現にどのように顕在化しているかについて論じている.顕在化した性質として,(1)形式と意味の構成性・(2)形式の規則性・(3)主要部-従属部の順序一貫性・(4)意味概念構造から言語形式への同型写像性,を挙げている.現実の言語現象と,文化進化の結果創発する言語的性質をマッチングしようと試みている論文であると,解釈できる.しかし,ここで1つの疑問が浮かんだ.Kirbyらの示してきた文化進化の結果創発した言語が,4つの性質と相容れない場合,どのように調整されるのか?である.流石に(1)構成性は,良いとしても,(3)や(4)において形式上の順序/依存関係と意味上の順序/依存関係がアンマッチな言語が創発する可能性は大いにあるはずである.この疑問は,類似の疑問を招く. すなわち,行為者性バイアス反映された類型論上の語順(SVO)の偏った分布と,ILMが帰結する語順の平均的な分布の違いをどう説明できるか?である. (但し,書きながらこれは誤解に基づく疑問のように思えてきた.)時間が余れば,上記の疑問について議論できればと思います.

Speaker: Iwamura IbukiDate & Hour: Nov 2nd (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Simplicity and Specificity in Language: Domain-General Biases Have Domain-Specific Effects

2023/10/27(金)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】5人を救うために1人を殺すことを(どのように)後悔するか?功利主義的意思決定と義務論的的意思決定の後では感情的後悔と認知的後悔が異なる

発表者:笹森 なおみ


概要:犠牲的な道徳ジレンマは多数を救うために1人を殺すことであり,定義的には最適ではなく,つまりどちらの選択も誰かが死ぬ.意思決定者はこれらの決定について後悔を経験するかもしれない.過去の研究では,決断についてのネガティブな感情である感情的後悔と,ある決断が違った方向に進んだかもしれないと思う認知的な後悔を区別している.道徳判断の古典的な二重過程モデルは感情的な処理が結果を最大化する危害を拒否する義務論的意思決定を特徴的に促しており,一方で,認知的熟慮は結果を最大化する危害を支持する功利主義的意思決定を特徴的に促す.このモデルと一致するように,我々は犠牲的な功利主義的判断をした,あるいはしたことを想像した人は,義務論的なジレンマ判断をした,あるいはしたことを想像した人よりも,感情的な後悔を比較的強く表明し,時には認知的後悔を比較的少なく表明することもあった.言いかえれば,命を救うために危害を引き起こすことを支持した人達は,結果を最大化する危害を拒否した人よりも,一般にその決断に対しより強い苦悩を感じていながらも,それを変更しようとはしない.
書誌情報:Goldstein-Greenwood, J., Conway, P., Summerville, A., & Johnson, B. N. (2020). Personality and Social Psychology Bulletin. https://doi.org/10.1177/0146167219897662
本論文は,道徳ジレンマの後悔について感情的後悔と認知的後悔に分けて検討した論文であり,自分の実験の考察をするのに重要な論文だと思っています.
Speaker: Sasamori, NaomiDate &Hour: Oct 27th (Fri.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: (How) Do You Regret Killing One to Save Five? Affective and Cognitive Regret Differ After Utilitarian and Deontological Decisions

【進捗報告】主テーマ研究における実証的調査のための実験課題の検討―再帰的結合は多様な生成に効果があるか

発表者:笠野純基

概要:我々が日常生活している社会には、言語表現、他者推論など様々な種類の多様な人工物が溢れている。人はアイデアや計画などの生成物を頭の中で生み出すことができる。これらの生成物は、物体や概念を再帰的に結合すること(再帰的結合)で生み出すことができる。再帰的結合は人に特有の能力であるとされ、進化シミュレーション研究によって再帰的結合が適応的となることが示唆されている。シミュレーション研究の結果から不確実な環境下において再帰的結合が生成物を多様に生み出す可能性が示唆される。一方で実際の人が再帰的結合をして、生成物を多様に生み出すことに効果があるのかは検証する必要があると考えられる。 本研究は、再帰的結合は思考内容を多様に生み出す効果があるかどうかを実験的に調査することを目的としている。具体的には、再帰的結合で思考する傾向性を持つことで、言語表現を多様に生み出す効果がある、という仮説を実験により検証する。
ゼミでは、準備中の実験課題について議論してもらいたいと考えています。実験の流れを体験してもらい、実験課題についての議論に移る予定です。
Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 10/27 (Fri.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Examination of The Experimental-Task for The Experimental Design.


2023/10/19(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】成人の遊びと成人のプレイフルネス測定についての論文紹介

発表者:成 太俊

概要:今回のゼミ1部は2本の論文をまとめて皆さんに紹介します.以下の順で説明する予定です.
 まずは,成人の遊びと創造性の関連性について論じるレビュー論文(Shen, 2023)を紹介します.この論文は,大人(研究者)の遊びと科学的創造性の関連性に焦点を当て,過去の研究から得られた理論的洞察と実証的な結果を基に,遊びと創造性の分野を進展させるための基盤(概念的な枠組み:paly-to-create model)を提案している.具体的に説明すると,科学的創造性における(成人の)遊びの要素と科学者のプレイフルネスの重要性が強調されるが,これまでの研究は,遊びを行動としての遊びとプレイフルネス(個人的特性)を分離して研究してきた.遊びと科学的創造性の研究がさらに進展するため,両者を統合的に理解する必要がある.この研究は,科学研究における遊びの要素,科学者のプレイフルネス,遊びが科学的創造性に寄与するメカニズム,科学者の遊びから創造へのプロセスを促進・阻害する主な条件について,批判的にレビューしている. 次は,該当分野では大きく貢献した論文と見なされている,若年成人のプレイフルネスの構成(construct)を明らかにする論文(Barnett,2007)を紹介します.この論文は,プレイフルネスのある人がどのような特質・特性を持っているのか,男性と女性の間でプレイフルネスに関する認識に違いがあるのか,そして「プレイフルネス」という概念の定義や特徴についての理解を深めることを目的としている.著者は649名の学部生を6~10人のグループにし,プレイフル・非プレイフルな人物について議論してもらい,参加者が使用した記述語を記録し包括的なリストを作った.その結果,42の記述語(形容詞)が得られ,それを用いて参加者にプレイフルネスさについて自己評価と他者評価を行った.その結果,プレイフルネスの人の特性を15の記述語に特定し,4つの主要なカテゴリー"Gregarious","Uninhibited", "Comedic", "Dynamic"に分類された. 1点目の論文(Shen, 2023)は,成人の遊びと創造性に関して概念的つながりや成人の遊び研究を行う必要性などを皆さんに共有できたらと思います.2点目の論文(Barnett, 2007)は元々プレイフルネスを測定するための調査票に参考しようと考えたが,即興を測る調査票にしたため不要になりました.ただ,その研究による発見は面白かったので,皆さんに共有したいと思います.
書誌情報:1. Shen, X. (2023). Play and Scientific Creativity: A Critical Review and an Integrative Theoretical Framework. J Creat Behav. https://doi.org/10.1002/jocb.5962. Barnett, L.A. (2007). The nature of playfulness in young adults. Personality and Individual Differences, 43(4): 949-958 https://doi.org/10.1016/j.paid.2007.02.018
Speaker: CHENG, TaijunDate & Hour: 10/19 (Thur.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: A Survey on Adults Play and Playfulness in Adults

【進捗報告】他者との関係についての認知メカニズムに着目したEBPM向けの社会シミュレーションモデルの構築

発表者:松井 一樹

概要:本研究では、社会全体の共通の利益(共通善)を維持するための「人々の行動変容を求める政策」の受け入れに寄与する要因を見出すことを目指す。本研究では、政策の一例として、COVID-19パンデミック時における外出自粛要請に対する人々の反応行動を事例として扱う。本研究の目標を達成するために、人口統計データや個人の特性だけでなく、他者の行動に関する認知メカニズムにも着目する。これは以前の研究で見落とされていた要素である。本研究では、COVID-19パンデミック時における外出自粛要請に対する人々の反応行動に関して、行動に関連する認知メカニズムを考慮したシミュレーションモデルを構築する。このシミュレーションモデルを日本の各都道府県、および米国の各州において人々の反応の違いの評価に適用し、その反応の違いの要因を特定することで、制度受入れに寄与する要因を見出す。今回、このモデルを米国のコロナ渦(2020年)での外出自粛要請に対しても適用しモデルについて評価した。その結果、米国では日本の場合と共通して、思考の深さの平均値や個人のパーソナリティ(Big FivePersonality Traits)が外出自粛行動を予測する場合に有意であったが、米国では支持政党の割合も各州の差異を生じた要因である可能性も確認した。本研究ではさらに、政治的イデオロギーの影響を排除したモデル構築を提案し、また外出自粛以外の政策でも、政策が受け入れるかを評価するために思考の深さの平均値を考慮する必要性を提案する。
発表では、研究計画の全体と現在の進捗をご説明する中で、本研究の内容についてご説明し、米国での外出自粛要請に対する行動の地域差を生じた要因から、「人々の行動変容を求める政策」が受け入れられるメカニズムの解明につなげるために検討が不足している観点や、政策を受け入れるか評価するためのモデルを異なる国の間でどのように一般化、共通化できるかについてご議論頂きたいと存じます。加えて、今後の論文発表計画についてもご指摘、アドバイスを頂けますと幸いです。
Speaker: Kazuki MatsuiDate & Hour: Oct 19th (Thurseday.) 15:30-  (Joining after 18:00)Place: Webex & Collaboration Room 3Title: Development of a social simulation model for EBPM focusing on the cognitive mechanisms of relationships with others

2023/10/12(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】Nowak & Sigmund (1992) “Tit-for-Tat in Heterogeneous Populations”

発表者:黒川 瞬

概要:『繰り返し囚人のジレンマ』は、利己的な個体間で協力が進化するための伝統的なパラダイムとなっている。Axelrodのコンピュータトーナメントにおいて、『しっぺ返し戦略』(TFT)が1位になり、生物社会における互恵性の役割に対する関心は高まった。しかし、ほとんどの理論的研究は均質な集団(進化的安定戦略に対する設定)とエラーの影響を受けないという仮定を置いていた。確率的要因を考慮に入れた解析を行い、均質ではない集団において互恵性の進化が生じるためにはTFTプレイヤーの存在が不可欠であるが、TFTプレイヤーはより寛大な戦略への道を開くだけであり、最終的にTFTプレイヤーばかりの集団になるわけではないことを発見する。この論文は、協力行動の進化の分野で重要文献とされています。また、私の研究と、(i)社会行動の進化について取り扱っている、(ii)進化ゲーム理論を用いている、(iii)繰り返しゲームを取り扱っている、といった点で共通点も多いです。また、進化の基本的な考え方について学べる教材といえると思います。これら3点より紹介しようと思いました。以前から知っていた論文ですが、ゼミ紹介にあたって読み直すことで理解を深めることができ、後続の研究であるImhof & Nowak (2010) Stochastic evolutionary dynamics of direct reciprocityの意義について理解することができるようになりました。
書誌情報:Nowak, M. A., Sigmund, K., 1992. Tit-for-Tat in Heterogeneous Populations. Nature, 355, 250–253 (https://doi.org/10.1038/355250a0)
Speaker: Shun KurokawaDate & Hour: 12 October (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Paper review " Tit-for-Tat in Heterogeneous Populations " 

【進捗報告】推論の一つであるアブダクションを明らかにする際の画像生成AIの活用について

発表者:箕輪 朗

概要:推論の一つであるアブダクションを明らかにする際の画像生成AIの活用について概要:推論は主に演繹、帰納、アブダクションの3種類あります。中でもアブダクションは仮説を形成し新しい知識や情報を生むものとして拡張的推論と呼ばれ、科学的発見や創造的思考においても重要な役割を果たすと言われています。しかし、このアブダクションが行われている過程はあまり明らかになっていません。そこで画像生成AIを使用したグラフィカルコミュニケーションのタスクを使用して、分析を行います。グラフィカルコミュニケーションの先行研究としては、Fayら(2003)が行なった実験では、グラフィカルなインタラクションがインタラクション条件を高、低、ゼロの3つに分けた事によって、グラフィカルな洗練と収束に影響を与えるかを分析しました。結果としては、ゼロインタラクション条件時にはグラフィカルな洗練と収束が起こりませんでした。なぜならば、高インタラクション条件と低インタラクション条件ではコミュニケーションのパートナー間でフィードバックが随時行われ、相互作用が生まれてくるためです。この研究ではインタラクション条件における相互作用の分析を行いましたが、私の研究は、相互作用する際のアブダクションがどのように行われるかの過程を知りたいため、画像生成AIをコミュニケーションの媒体として利用し、シンクアラウドを使用したアブダクションの過程を分析することを目的とします。
Speaker: Akira MinowaDate & Hour: 12 October (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Analysis of a method to reveal abduction using image generation AI

2023/10/05(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】認知言語学の認知モードと翻訳における視点に関する文献レビュー

発表者:黄 文蓮

概要:認知言語学の分野において、視点の理論的基盤として、認知言語学者ラネカー(R.W.Langacker)によって提唱された「最適視点配列」(optimal viewing arrangement)と「自己中心的視点配列」(egocentric viewing arrangement)が挙げられる。ラネカーの提案以降、視点に関する研究は段階的に進展を遂げてきた。その中でも、中村(2004)のIモード・Dモードや、中野(2017)のPAモードの研究が注目されている。
 翻訳学の応用領域においても、視点に関する研究は少なくない。例として、金谷(2004)は、英語が「神の視点」を取り入れているのに対し、日本語は話者が状況に深く関与する「虫の視点」を持つと指摘している。また、日本語と中国語の視点に関する研究で、鄔(2018)は、翻訳された作品における両言語の視覚表現を比較し、英語の主観性が日本語よりも低く、中国語の主観性は英語と日本語の中間に位置すると論じている。
 明日のゼミでは、まず理論的な側面から視点を紹介し、認知言語学における各認知モードを詳しく解説します。続いて、翻訳学の応用領域における日本語と中国語の視点の違いに焦点を当てて説明します。最後は、私の作業仮説の妥当性について議論できればと思います。  
Speaker: Huang, WenlianDate &Hour: Oct 5th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: A Literature Review on Cognitive Modes and Perspective in Translation 

【進捗報告】創発を含む概念融合の喚起による人間と機械の共創対話研究

発表者:周 豪特

概要:本研究は人間とエージェントの共創的な対話を目指す。すなわち、対話でAIが人間の思考を喚起し、人間の支援になる共創的な活動を実現しようとする。そのため、人間が創発できるメカニズムを探究することを目的とする。具体的には、「①対話を通じて創発が生まれる条件、(AIから人間への刺激)概念というの構造解明」「②創発が生まれる概念融合のプロセスの解明(人間がどうのよう刺激を受け、共有した概念を完成し、精緻化から解釈まで至るのか)」から構成すると考える。 今回は改めて簡単な研究背景紹介をしてから、方法についての検討や指摘、そしてアドバイスをいただきたいと考えてます.   
Speaker: Zhou HaoteDate &Hour: Oct 5th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Co-creative communication between humans and machines through concept blending  

2023/09/28(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【サーベイ報告】実験記号論&Graphical Communicationの論文紹介

発表者:箕輪 朗

概要:実験記号論とGraphical Communicationの論文を紹介します。Graphical Communicationとは、文字や数字を使わずに、絵や図などでコミュニケーションすることです。絵や図などでコミュニケーションした実験と生成AIを使用した場合のコミュニケーションを比較し、私の研究の立ち位置をゼミで把握したいです。実験の中で、お互いがそれぞれ提示した情報に意味づけを行うフェーズがあり、その意味づけを行う際に推論が発生すると考えます。先行研究では推論の過程に着目しておらず、結果を重視していましたが、私の研究ではコミュニケーションの聞き手と受け手の相互作用を重視し分析して推論を明らかにしたいです。  
Speaker: Akira, MinowaDate &Hour: Sep 28th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Introduction of papers on experimental semiotics and Graphical Communication 

【サーベイ報告】繰り返し学習モデルとその代替モデルの紹介

発表者:岩村 入吹

概要:言語の起源と進化を研究するアプローチのひとつである「繰り返し学習モデル(Kirby, 2002)」について紹介する.繰り返し学習モデルとは,言語の普遍的性質の一つである構成性(compositionality)が, 言語固有の遺伝的資質に基づく能力の生物進化に由来するのではなく, 親の言語産出と子の言語習得が循環する世代間継承という文化進化の中から創発することを例証したモデルである. またその代替モデルとして,繰り返し学習モデルで採用されている学習アルゴリズムや意味構造, 学習ボトルネック, 集団組織, 伝達の方向性とは異なるものを採用しているモデルも存在する.それも紹介する. 最後に,現在進めている研究を簡単に紹介する. その研究では,繰り返し学習モデルに「概念化された意味」という新しい要素を追加し,新しい言語伝達モデルを提示する. 詳細は省くが,そこで問題となることは,言語の構成性の程度を定量的に測ることである.この定量的測定はすでに先行研究において示されているため,その紹介もする. 
Speaker: Iwamura, IbukiDate &Hour: Sep 28th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Introduction to Iterated Learning Model and its alternative models 

【サーベイ報告】思考/コミュニケーション形式としての物語研究に関するサーベイ報告と研究計画の発表

発表者:古川 建 

概要:物語研究では物語を世界を知覚し解釈する思考形式や、集団で思考を共有するコミュニケーション形式と捉える研究が多く存在する。また一部の研究では文学に立脚する物語論とは異なる特徴として、物語の時系列性と予測性に言及している。サーベイ結果としてこれらの一部を概観し、自らの研究における物語とは何かについて考察する。また「物語により発生する集合動態としての社会現象を捉える」という自らの研究に関連すると思われる論文を紹介する。サーベイ報告と同時に、研究手段である「物語極性辞書の作成とテキストデータ分析」を中心に今後の研究計画を発表する。 
Speaker: FURUKAWA TakeruDate & Hour: Sep 28th (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Survey report of narrative as thought/communication, and presentation of my research plan


2023/09/21(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】自己肯定感が疎外感に及ぼす影響の推定―本実験の準備に向けの検討―

発表者:秦 慕君

概要:本研究は,具体的な他人が存在せず,自分の価値観・考え方と集団の制度・規範とのアンマッチにより生じる疎外感に焦点を当てる.また,疎外感を持つ原因となる自分の性質を受け入れることは,自己肯定感の概念で捉えられると考えられる.以上を踏まえ,本研究は疎外感を持つ人に対して,疎外感に繋がる個人の性質に関わる自己肯定感が高まると,疎外感と疎外感の受容に影響するかを検証することを目的とする.以上の目的を達成するために,2つの仮説を設定する.仮設1は自己肯定感が高まると,疎外感の受容度が高まる,仮説2は自己肯定感が高まると,疎外感に影響することである. 仮説を検証するために,自己肯定感の得点を独立変数,疎外感と疎外感受容度の得点を従属変数とすする混合計画の実験をデザインした.独立変数のコントロールとして,自伝的記憶の想起課題を行った.疎外感をもつ経験(集団に溶け込めない,なじめない等)からユニークな自分(個人の性質)を自覚できるような重要な出来事の想起を実験群,日常的な記憶の想起を統制群とする. 今回のゼミでは,主に実験を改善することを目的とします.特に,実験群と対照群の想起課題の具体的な設問について議論したいです.本実験の準備するために,予備実験で使用した材料とその材料の不足点・問題点および改善策を皆さんに共有します.ご指摘やアドバイスをいただければ幸いです.
Speaker: QIN, MujunDate &Hour: Sep 21st (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Estimating the Effect of Self-Affirmation on Alienation: Discussion in preparation for this experiment

【進捗報告】再帰的結合が多様な生成に効果があるのかを検証するための実験計画に対する実験課題の検討

発表者:笠野 純基 

概要:我々が生活している社会には、言語表現、他者推論など様々な種類の多様な人工物が溢れており、人は多様なアイデアや計画などの生成物を頭の中で生み出すことができる。これらの生成物は、物体や概念を再帰的に結合すること(再帰的結合)で生み出すことができ、また進化シミュレーション研究によって、不確実な環境下で再帰的結合が適応的となることが示唆されている。シミュレーション研究から不確実な環境下において再帰的結合が生成物を多様に生み出す可能性が示唆される。一方で実際の人が再帰的結合をして生成物を多様に生み出すことに効果があるのかは検証する必要があると考えられる。本研究は、再帰的結合は思考内容を多様に生み出す効果があるかどうかを実験的に調査することを目的としている。具体的には、再帰的結合で思考する傾向性を持たせる訓練を行うことで、不確実な環境において文(言語表現)を多様に生み出す効果がある、という仮説を実験により検証する。
ゼミでは、実験を行うために準備している実験課題について議論させてもらいたいと考えています。そのために私の研究背景や目的、目的を達成するための実験計画を説明した後で、実験課題の内容の議論に移る予定です。

Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 09/21 (Wed.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Examination of The Experimental-Task for The Experimental Design.

2023/09/14(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】個人の再帰的組み合わせ操作が共同作業に及ぼす影響についての予備実験,および即興的作製かどうかを調べる調査票の結果(など)

発表者:成 太俊

概要:今回のゼミでは,予備実験の実施やその結果について皆さんにご報告します.この実験は,Ⅰ事前の調査票調査:①参加者のペアリングのための30 circles,②参加者のパーソナリティを調べる調査票,③参加者の即興の傾向・性質を調べる調査票;Ⅱレゴブロックを用いて作品を作製する実験室実験;Ⅲ実験中に参加者が即興的に作品を作製したかを調べる調査票,で構成されてます.予備実験の参加者募集はうまく実行できず,最初の2ペア(4名)でしか行ってないです(4ペア8名を想定したが).実験は,レゴブロックの組み合わせ操作に制約なし(再帰的組み合わせ操作は可能)で,作製先行の条件(手を止まらず作品を作る,その後作品のコンセプトを考える=即興的作製)で実験を実施しました.また,Ⅲでの調査票をテストするため,思考先行の条件(作ろうとする作品のコンセプトをじっくり考えてから,それに基づいて作品を作製する=非即興的作製)で個人による作業段階まで完了した1ペアもあります.明日は,予備実験の実施について具体的に説明し,その後調査票の結果や参加者の作製動画の解析データなどを共有します.時間あれば,一人の実験者で2名の参加者を異なる部屋で同時に実験実施できるアイデアについても議論したいと思います.
Speaker: CHENG, TaijunDate & Hour: 9/14 (Thur.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Preliminary experiment on the effect of individual recursive combination manipulations on collaborative activity, and results of a questionnaire to test improvisational making or not.

【進捗報告】解散メカニズムを介した嫌がらせ行動の進化

発表者:黒川 瞬 

概要:嫌がらせ行動は自らの適応度を下げ、相手の適応度を下げる行動であると定義される。何も特別なメカニズムがなければ、嫌がらせ行動は自然選択の結果淘汰されることが期待される。したがって、嫌がらせ行動の存在の背後には、何か特別なメカニズムが存在すると考えられる。今回、嫌がらせ行動同士のペアは解消しやすいというメカニズムを検討する。このとき、嫌がらせ行動をとる個体は嫌がらせのコストを払う必要があるが、嫌がらせをしない個体と比べて嫌がらせを受けづらい。そのため、トータルで考えると、嫌がらせにかかるコストが小さい場合は嫌がらせ行動を行うことが適応的になりえる、という予測が立つ。数理モデルを用いた理論研究の結果、確かに、嫌がらせ行動の進化が起こることが確認できたので、それについて報告する。
この内容の論文は、2023年の1月に、Theoretical Population Biologyという雑誌に投稿しましたが、3人の査読者に回り、1人はpositiveであり、2人はnegativeでした。編集者の結論は、再投稿許可付きの、rejectでした。改訂した論文を2023年5月に再投稿しました。2023年8月に査読コメントが返ってきて、今度はmajor revisionでした。いずれも適切に対応できそうなコメントであり、現在鋭意改訂中です。まだ受理されていないことから、皆さんのコメントを取り込み改変する余地が残されていますので、質問、コメント是非よろしくお願いいたします。
Speaker: Shun KurokawaDate & Hour: 14th September (Thursday) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: The evolution of spite through a disbandment mechanism

2023/08/30(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】道徳的不作為の意思決定に予期的後悔を利用しているか─道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応の計測による検証─(JCSSポスター発表に向けた検討)

発表者:笹森 なおみ

概要: 本研究では,道徳的意思決定前に予期される後悔が存在することを示し,特に不作為の予期的後悔が道徳的意思決定に影響することを示すことを目的とし,二つの仮説を検証する.仮説1は,「道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応は予期的後悔を反映している」であり,仮説2は「不作為の道徳的意思決定は予期的後悔によって予測される」である.予備実験として,被験者4名に対して,道徳ジレンマ課題と課題中のSCRの測定を行った.課題1では後悔の評価を行い,課題2では作為か不作為かの意思決定を行った.課題1の結果,予期的SCRは後悔の度合へ影響がある変数とは言えず,仮説1は検証されなかった.課題2の結果,予期的SCR,事後SCR共に,意思決定へ影響がある変数とは言えず,仮説2は検証されなかった.本研究で予期的後悔を反映する予期的SCRの存在は示せなかった理由として,予期的後悔が身体化されていない情動の可能性が挙げられる.今後の課題として,道徳的意思決定への予期的後悔の影響を検証できる新たな実験設計が必要とされる.
今回は認知科学会の発表練習とポスターの内容について議論できればと思います。
Speaker: Sasamori, NaomiDate &Hour: Aug 30th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 3Title: The Use of Regret Before Decision-making for Moral Inaction: Validation by Measuring Anticipatory Skin Conductance Responses During a Moral Dilemma Task


【進捗報告】JCSSのポスター発表に向けの修正:自己肯定感が疎外感に及ぼす影響の推定―実験デザインの検討―

発表者:秦 慕君 

概要:個人が自分の体験などに基づいて内面化された価値観・考え方と集団の制度や規範に合わないこと(アンマッチ)によって,「自分は排除されている」と感じる状況になると疎外感が生じる.本研究は,具体的な他人が存在せず,自分の価値観・考え方と集団の制度・規範とのアンマッチにより生じる疎外感に焦点を当てる.そして,疎外感をポジティブに捉える視点もあり得るから(宮下,1994),本研究において,疎外感を持つ至る原因となる個人の性質を自らポジティブに受け入れ,また社会もそれを受け入れるようになることが重要だと考えられる.そこで本研究は,疎外感を持つ原因となる自分の性質を受け入れることは,自己肯定感の概念で捉えられると考えられる. 以上を踏まえ,本研究は疎外感を持つ人に対して,疎外感に繋がる個人の性質に関わる自己肯定感が高まると,疎外感と疎外感の受容に影響するかを検証する目的とする.以上の目的を達成するために,2つの仮説を設定する.仮設1は自己肯定感が高まると,疎外感の受容度に影響することであり,仮説2は自己肯定感が高まると,疎外感に影響することである. 仮説を検証するために,自己肯定感の得点を独立変数,疎外感と疎外感受容度の得点を従属変数とすする混合計画の実験をデザインした.独立変数のコントロールとして,自伝的記憶の想起課題を行った.疎外感をもつ経験(集団に溶け込めない,なじめない等)からユニークな自分(個人の性質)を自覚できるような重要な出来事の想起を実験群,日常的な記憶の想起を統制群とする.予備実験では,統制群を実施せず,実験群のみ行われた. その結果は,想起前後で,自己肯定感得点の平均値は高まったものの有意差が見られなかった.疎外感には有意差が生じたが,疎外感受容度に有意な変化がなかった. 今回の予備実験では,2つの仮説の前件部である「自己肯定感が高まると」という部分が示されなかったため,仮説が検証できたかどうかについて何も言うことはできない.しかし,自己肯定感の変化と疎外感および疎外感受容度得点の変化は,無相関検定の結果が有意ではないものの,比較的強い相関を示していることから,上記の想起課題の改善と実験参加者の増加により仮説が検証される可能性は残る.
 今回のゼミでは,9月上旬の認知科学会のポスター発表に向けて,作成したポスターを皆さんに共有し議論していただければと思います.今回のポスター発表は予備実験の結果および考察を加えて発表します.皆さんに指摘やアドバイスをいただきたいと考えています.
Speaker: QIN, MujunDate &Hour: Aug 30th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Estimating the Effect of Self -Affirmation on Alienation: Consideration of Experimental Design
 

【進捗報告】日本認知科学会でのポスター発表に向けての研究内容について議論

発表者:笠野 純基

概要:ヒト社会は、言語表現、他者推論など様々な種類の多様な人工物で溢れており、人はこれらに関する多様なアイデアや計画などの生成物を頭の中で生み出すことができる。本研究は、ヒトを対象に、再帰的結合は思考内容を多様に生み出すことに効果があるかどうかを実験的に調査することを目的としている。具体的には、語と語を組み合わせた複合語の意味内容を判断する訓練を、再帰的結合(階層構造)あるいは単結合(非階層/単層)で行った場合、他者の意図に関する仮説文の多様さは、単結合よりも再帰的結合の方が多様に生み出す効果がある、という仮説を実験により検証する。
ゼミでは、日本認知科学会で発表予定のポスター内容や構成などについて議論していただきたいです。

Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 08/30 (Wed.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Discussion of research for poster presentation at the Japan Cognitive Science Society.

【進捗報告】日中多義動詞「上がる」「上(shàng)」のイメージスキーマ・ネットワークの比較

発表者:黄 文蓮

概要:本研究は人間の身体的な体験が言語表現に反映されるという認知言語学の考え方を基盤として、日中多義語「上がる」「上(shàng)」について、イメージスキーマ・ネットワークの類似点・相違点を明らかにし、その比較から日中言語話者の認知・視点の違いを探求することを試みる。
本稿ではそれぞれの意味カテゴリを分析し、「上がる」は9種類、「上(shàng)」は8種類に分類した。そして、その分析を元に一部の日本語のカテゴリの「上に移動する」、「水の中から陸に移動」、「家・部屋などに入る」、「続いていた状態が終わる」と日本語の「上に移動する」、「特定な用途がある場所に行く」、「交通機関に乗る」、「記事やリストに載る」のイメージスキーマ・ネットワークを描いた。
この研究の結果から、一部のイメージスキーマ・ネットワークにおいて、日本語と中国語の違いが見受けられることが明らかになった。この違いを基に、下地(2004)が提唱した「日本語は相対的な視点から事象をとらえる傾向が中国語よりも顕著であり、一方で中国語は固有的な視点から事象をとらえる傾向が日本語よりも強い」という日中の視点の違いに関する主張が支持される可能性が示唆された。
(下地(2004)は日中の移動動詞・受身の表現・テンス/アスペクトについて考察して、「日本語は相対視点で事象を眺める傾向が中国語より強く、中国語は視固有視点で事象を眺める傾向が日本語より強い」ということを指摘した。相対的視点とは,発話者の位置,すなわち「私,今,ここ」を基準にとる視点であり,相対的視点に基づく表現である。固有的視点とは,参照点となる事物が固有に持つ形状的な特徴によって表現する方法である(下地2004:59-60)。)
ゼミでは認知科学会の発表練習とポスターの内容について議論できればと思います。

Speaker:  HUANG,WenlianDate &Hour: Aug 30th (Wed.) 15:30- Place: Collaboration Room 2 &Webex Title: Comparing Image Schema Networks of  Polysemous Japanese and Chinese Verbs 'Agaru' and 'Shang'


2023/08/07(月)15:30- | Webex


【論文紹介】AIは共創パートナーになり、人間の発散的な思考及び収束的な思考との相互作用に関する研究

発表者:周 豪特

概要: デザイン研究において、人工知能がアイデア発想のプロセスを支援するツールとして注目されている。しかし、デザインプロセスの特定の特性、すなわち発散的思考と収束的思考の相互作用をサポートするために人工知能(AI)を使用する可能性は、まだ十分に検討されていない。このギャップを解決することを目的として、本論文では、著者らがヨーロッパの著名なデザイン学校の中で実施した2つのコースにおいて、136名の学生がどのように人工知能と相互作用したかを検証している。その結果、AIは生徒が疑問を持ち、思索や議論を深めることをサポートすることができた。
今回は論文を書きながら、すごく似ている論文を見つけました。この研究を簡単な紹介した上で、批判と参照しながら、自分の研究との関係や研究の貢献と検討したいと思います。

論文書誌情報:Lin C-C, Huang AYQ, Yang SJH. (2023) A Review of AI-Driven Conversational Chatbots Implementation Methodologies and Challenges (1999–2022). Sustainability. 2023; 15(5):4012.https://doi.org/10.3390/su15054012
会話型チャットボットは、特にインターネット上で人間のユーザーとの会話をシミュレートするように設計されたソフトウェアプログラムである。これらのチャットボットは、顧客サービス、情報取得、教育支援、娯楽など、さまざまな文脈で使用することができる。この論文は、チャットボット構築の目的は何ですか?チャットボットはどのように構築されるのか?チャットボットの全体的な成果と課題とは何ですか?チャットボットの今後の開発・研究動向はどうなりますか?という問題を持ち、1999-2022年のチャットボットに関する研究を考察した。
この論文、及び論文が紹介した研究を通じて、自分の研究との関係を述べた上で、検討したいと思います。

Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 7 Aug. (Thur.) 15:30-Place: webexTitle:  A Review of AI-Driven Conversational Chatbots Implementation Methodologies and Challenges

2023/07/13(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【研究紹介】進化言語学を専門にするために学部時代勉強したことと,修士で研究したいILM(繰り返し学習モデル)ベースの言語創発の紹介

発表者:岩村 入吹

概要: 今年1月に言語学フェスという非公式の言語学関連の研究会で発表したポスターを使って,これまで勉強してきたことを紹介します.その後,現時点で,修論でやりたいことを簡単に紹介します.
今回のゼミでは,自分が何を考えてきて,現状何に取り組もうとしているのかを皆様に共有し,これからの研究生活に向けたアドバイスなどを頂きたいと思います.
Speaker: Ibuki IwamuraDate &Hour: Jul 13th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Introduction to My Learning for Evolinguistics and Research on Emergence of Language


【研究紹介】カリキュラムマップによるシラバスの可視化に関する研究・仕事紹介・生成AIを用いたコミュニケーションにおける人の推論についての研究

発表者:箕輪 朗 

概要:【学部研究】大学では自分で授業を取らなければならない。その際に提供されるシラバスでは、科目同士のつながりやその授業の重要性が俯瞰することができない。さらに履修登録時に多数あるシラバスの授業内容を一つずつ確認することは手間である。そこで、これらの問題を解決するためには、学生が授業間のつながりを地図のように把握できればよい。それは授業間のつながりを可視化することによって実現できると考えた。本研究ではシラバスの授業間のつながりを自然言語処理であるテキストマイニングで単語を可視化し、得られた結果をカリキュラムマップにすることが目的である。
【仕事紹介】約4年間の仕事内容を紹介します。内容は1年目のテストについて、2年目から4年目にかけて行った運用業務についてです。
【大学院研究】人間は瞬時に推論をしながらコミュニケーションを行うことができる。しかし、人間が推論をどのように行われているかは判明していない。そこで、生成AIを使用した限定的なコミュニケーションを行うことによって推論に着目する分析ができるのではないかと考えた。本研究では人間が推論をどのようにして行っているかを可視化することが目的である。
今回のゼミでは学部時代の研究および、仕事紹介をする予定です。さらには大学院での研究について様々なご意見をいただきたいです。
Speaker: Akira MinowaDate & Hour: 07/13 (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Visualization of Syllabus using Curriculum Map. Job Introduction. Research on Human Inference in Communication Using Generative AI.
 

【研究紹介】卒業研究「混雑状況の可視化が人々の行動に与える影響」の紹介・修士研究でやりたいことの紹介

発表者:古川 建

概要: 混雑状況の可視化により人々は混雑回避行動を取れるようになるが、一方で多くの人々が混雑回避を行うことで新たな混雑が発生する問題がある。本研究では混雑状況の可視化が人々の行動に与える影響について検証することを目的としてオンライン上で経済学実験を行った。本実験では、まず混雑状況の可視化についての有効性を検証するため、混雑状況の可視化の有無を実験処理とし、被験者内比較で検証した。また混雑状況の可視化が新たな混雑を発生させる現象について実験を通して検証を行った。加えて混雑回避により発生する新たな混雑を解消する目的で人々の行動を誘導する仕組みを独自に考案し、誘導の有無を実験処理とし被験者間比較で検証した。本実験の結果として、混雑状況の可視化には有効性が明らかになり、加えて混雑状況の可視化が新たな混雑を発生させている現象が一部の場合において確認できた。しかし独自に考案した人々の行動を誘導する仕組みについて、期待した効果は得られなかった。
今回は学部時代の研究を、反省を交えつつ紹介します。その後修士研究にてやりたいことの現状を整理しつつ紹介しますので、アドバイスを頂けましたら幸いです。

Speaker: FURUKAWA TakeruDate&Hour: Jul 13th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Introduction of my senior thesis "Impact of visualization of congestion on people's behavior", and my master's research.


2023/07/06(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】道徳的不作為の意思決定に予期的後悔を利用しているか─道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応の計測による検証─(JCSSの原稿提出に向けた検討)

発表者:笹森 なおみ

概要: 後悔の情動は意思決定に影響を与えることから,道徳の実践に内的条件付けとして用いることが役立つと考えられる.本研究では,予期的な後悔が道徳的意思決定に影響を与えているか検証するために,道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応(SCR)を計測した.予備実験の結果,予期的後悔が予期的SCRに反映されていることは示せなかった.このことから,道徳的意思決定への予期的後悔の影響を検証できる新たな実験設計が必要とされる.  今回のゼミでは,認知科学会の原稿を共有し,全体の構成やアブストラクト提出時から加筆された予備実験の結果やその考察部分の内容について様々ご指摘いただければ幸いです.
Speaker: Sasamori, NaomiDate &Hour: Jul 6th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: The Use of Regret Before Decision-making for Moral Inaction: Validation by Measuring Anticipatory Skin Conductance Responses During a Moral Dilemma Task


【進捗報告】自己肯定感が疎外感に及ぼす影響-JCSSの原稿提出に向けの修正-

発表者:秦 慕君 

概要: 個人が自分の体験などに基づいて内面化された価値観・考え方と集団の制度や規範に合わないこと(アンマッチ)によって,「自分は排除されている」と感じる状況になると疎外感が生じる.先行研究によれば,疎外感は具体的な他者がいなくても起きうる(宮下・小林,1981).本研究は,このような具体的な他人が存在せず,自分の価値観・考え方と集団の制度・規範とのアンマッチにより生じる疎外感に焦点を当てる.そして,疎外感をポジティブに捉える視点もあり得るから(宮下,1994),本研究において,疎外感を持つ至る原因となる個人の性質を自らポジティブに受け入れ,また社会もそれを受け入れるようになることが重要だと考えられる.そこで本研究は,疎外感に至る原因となる個人的性質をポジティブに受け入れることに重点を置く.また,江角・庄司(2012)によると,自己肯定感が他者との比較ではなく,自分の価値基準にした自分は自分であっても大丈夫と定義される.つまり,個人が疎外感をもっていても,ありのままの自分を受け入れる,すなわち,疎外感を持つ原因となる自分の性質を受け入れることは,自己肯定感自己肯定感の概念で捉えられると考えられる.そして,社会心理学の領域では,自己肯定感は,社会規範の対立による疎外感を緩和と調節の効果があるとされる.  以上を踏まえ,本研究は疎外感を持つ人に対して,疎外感に連れなる個人の性質に関わる自己肯定感が高まると,疎外感が改善するかを検証する.そのため,本研究では,記憶想起前後,個人の疎外感と自己肯定感を測るために,疎外感尺度と自己肯定感尺度を用いて測定する.記憶想起の段階では,疎外感をもつ経験(集団に溶け込めない,なじめない等)からユニークな自分(個人の性質)を自覚できるような重要な出来事を想起させる課題の自由記述形式の質問紙を使用する.最後に,想起実験前後の結果を比較し分析する.  今回のゼミでは,7月中旬の認知科学会の原稿提出に向けのドラフトを皆さんに共有し議論していただければと思います.今回のドラフトは実験結果および考察ができているような状況ではなくて,実験説明まで作成したもので,それを修正するために,指摘やアドバイスをいただきたいと考えています.
Speaker: QIN, MujunDate &Hour: Jul 6th (Thu.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: The Effect of Awareness of idiosyncrasy on Alienation

【進捗報告】日本認知科学会に提出する大会発表論文集原稿の内容についての議論.『思考における多様な生成物に対する再帰的結合の効果 ―他者の意図に関する仮説生成の実験的研究―』

発表者:笠野 純基

概要: ゼミでは日本認知科学会に提出する大会発表論文集原稿の内容と構成についてアドバイスをいただきたいと考えています。原稿の提出締切日は7/14(金)、ページ数は参考文献を含めて4ページ以内となっています。現在に至るまでの経緯を共有しますと、ポスター発表に申し込み、修士研究テーマの内容でアブストラクトを提出し、査読の結果採択となりました。原稿は査読を経たアブストラクトの内容を基に修正、執筆する予定です。アブストラクトには研究背景、研究仮説、実験計画を書いており、前回のゼミ2部(6/29(木))で発表した内容を文章にしたものになると思います。原稿では、アブストラクトには書かれていていない予備実験の結果などを含めた内容を書きたいと思っていますが、まだ実行できていません。
以下は前回のゼミ2部の内容を整理したものです。本研究は、ヒトを対象に多様な言語表現(心的内容)の生成に再帰的結合が影響するのかを実証的に調査することを目的としている。具体的には、再帰的結合は多様な文の生成(流暢性;文の数、独創性;文の形式などを指標とする文の多様さ)に影響するという仮説を実験的に調査する。実験は再帰的結合または非再帰的結合を要因とする1要因参加者間計画で行う。実験は2段階からなり、[課題1]参加者は再帰的結合(または非再帰的結合)課題で文の形式から別の意味に解釈できることを訓練し(独立変数)、[課題2]参加者は人間の内面(不確実な環境)に対して解釈した内容(文)を生成する文生成課題を行う(従属変数)。データの分析は統計的仮説検定を行う。方法は対応のない2標本t検定で再帰的結合または非再帰的結合の群間の文の多様さを比較する。

Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 07/06 (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Discussion on the content of conference proceeding manuscripts to be submitted to the Japanese Cognitive Science Society.Titles adopted for the convention: Effects of Recursive Combination to Diverse Products in Thinking: An Experimental Study of Hypothesis Generation Regarding Others' Intention.


【進捗報告】日中多義動詞「上がる」「上(shàng)」のイメージスキーマ・ネットワークの比較

発表者:黄 文蓮 

概要:認知言語学では、上下のような空間的な体験は世界の認識とメタファーを含む言語表現に重要な役割を果たすとされる(Lakoff & Johnson, 1980)イメージ・スキーマはメタファーの経験的基盤となりうる(鍋島2002:79)。
多義語の日中対照研究で認知を考えていても、概念メタファー理論で意味項目とその拡張を説明するに留まる(左 2007; 呂 2009; 徐 2011)。意味拡張の裏にある認知を統合的に検討するには、イメージスキーマとそのネットワークの違いまで、検討すべきである。
日中多義語「上がる」「上(shàng)」の意味項目の拡張プロセスとイメージスキーマの拡張関係を検討し、日中のイメージスキーマ・ネットワークの類似・相違を明らかにする。イメージスキーマ・ネットワークの系統的な差が見いだせると、その差を説明できる日中言語話者の認知・視点の探求に繋がり得るだろう。
明日のゼミでは、JCSSの原稿提出に向けの修正(全体的な構成・ロジック、大事な部分)について議論できればと思います。

Speaker:  HUANG,WenlianDate &Hour: Jul 6th (Thu.) 15:30- Place: Collaboration Room 2 &Webex Title: Comparing Image Schema Networks of Polysemous Japanese and Chinese Verbs 'Agaru' and 'Shang'


2023/06/29(木)15:30- |Collaboration Room 3 & Webex


【進捗報告】実験計画の整理と実験課題の作成-人における文の意味解釈(心的内容)の多様な生成に対する再帰的結合の効果-

発表者:笠野 純基

概要: ヒトは言語表現やテクノロジーなど多種多様な物事や概念(人工物)で溢れるヒト社会を作りそこに暮らしている。我々が思い浮かべる多種多様な人工物は、階層的な構造を持っていることが共通する特徴としてあげられる。階層的な構造を持つ人工物は要素と要素を組み合わせ、その操作を繰り返し行う、つまり要素を再帰的に結合させることで階層構造をつくることができる。再帰的結合とは要素と要素の組み合わせ方の一種であり、物事や概念など(要素)を組み合わせた複合体をつくり、それを別の要素に対して組み合わせる特徴がある。進化シミュレーション研究によって、多様な製作物をつくることが生存・生殖につながる環境で再帰的結合は進化しえることが示唆されている。しかしヒトにおいても再帰的結合は階層構造を作り、多様な物事の生成に影響を与えるかは明らかになっていない。本研究は、ヒトを対象に、文の意味解釈(心的内容)が再帰的結合により階層構造をつくることで多様な物事の生成に影響を及ぼすのかを実証的に調査することを目的としている。具体的には参加者が再帰的結合または非再帰的結合(要素と要素の組み合わせ方の一種であり、複合体に対して要素を結合していく)を訓練した群間を比較することで、再帰的結合の方が多種多様な物事を生成する効果があるという仮説を実験的に調査する。この仮説は3つの調査項目に分割して行う。1.それぞれの群で訓練することによって参加者は頭の中で文の階層構造(構文木)を作り、意味を捉えることができる。2.文の構成要素の修飾関係の曖昧さから来る文の意味の多義性に対して、再帰的結合は非再帰的結合と比較して頭の中で単語や文節の修飾関係を組み換えて文の意味を多種に解釈できる(予測する)。3.参加者が自ら単語や文節の語彙集合を作り出し、それらを利用して多義的に解釈ができる状況(不確実な環境;例えば参加者自身が直感的に発した文の多義的意味)を提示したとき、再帰的結合は非再帰的結合と比較して状況に対する理解(解釈)を語彙集合の中の要素を再利用する回数が多い。実験計画は、参加者を2群に分ける(2水準;再帰T/非再帰C)の混合計画で行う。実験の流れは2段階からなり、1.参加者の個人差測定のための再帰的結合能力レベル試験および再帰的あるいは非再帰的結合訓練(実験1)、2.参加者が自ら語彙集合を作り利用した文の意味生成課題(実験2)、を行う。測定するデータは各参加者の基本情報(性別、年齢)、発話内容、発話時間、発話数を記録する。個人差の影響を考慮した分析を行うために、参加者は再帰的または非再帰的結合訓練の前後で再帰的結合能力レベルを測定する(再帰的結合能力レベル試験:N水準;3単語以上、単語数が多くなるほどレベルが高い)。分析方法は、個人差を考慮することができる一般化線形モデルを用いた統計モデリングを行う。実験1では、説明変数に制限時間内の平均発話時間、応答変数に提示した単語数中正答した数を二項分布に従うロジスティック回帰モデルで予測する。実験2では、説明変数に語彙集合の大きさ(単語や分節の数)、応答変数に再利用された語彙の数をポアソン分布に従うポアソン回帰モデルで予測する。予想される結果として、再帰的結合のモデルが非再帰的結合のモデルと比べて選択される。

ゼミでは主に実験1の予備実験用に作成している実験課題について議論していただけると幸いです。そのためにまず私の取り組んでいる研究目的と目的を達成するための実験計画について整理したいと思います。

Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 06/29 (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Organizing the experimental design and preparing the experimental tasks: effects of recursive conbination on the generation of various semantic interpretations (mental contents) of sentences in humans.


【進捗報告】日中多義語「上・下」の対照研究:認知言語学の視点から—JSLSに向けのポスター発表練習—

発表者:黄 文蓮 

概要:多義語は基本義だけではなく拡張的な意味でも使われる語彙である。本研究の研究対象である日中多義語「上・下」は、日本語と中国語で同じ漢字が用いられ、基本義は同じだと考えられるが、拡張義の意味が違う場合がある。
上下のような空間的な身体体験から上下のイメージスキーマが生まれ、それは世界の認識とメタファーを含む言語表現に重要な役割を果たす(Lakoff & Johnson, 1980:20)。
本研究では、日中多義動詞「上がる」「上(shang)」という事例に対する意味カテゴリー、イメージスキーマ、それらの拡張関係を網羅的に検討し、イメージスキーマ・ネットワークの比較を試みる。
イメージスキーマ・ネットワークの系統的な差が見いだせると、その差を説明できる日中言語話者の認知・視点の探求に繋がり得るではないかと考えます。
明日のゼミでは、言語科学会に向けのポスター発表練習を行いたいです。1、ポスターの説明の内容(5分バージョン)2、ポスターの全体的な構成3、上がる・上(shang)の意味ネットワークの妥当性について議論できればと思います。
よろしくお願いいたします。
Speaker:  HUANG,WenlianDate&Hour: 29th Jun. (Thu.) 15:30-Place: Webex
Title: A Comparative Study of Polysemous Words "上・下" in Japanese and Chinese: From the Perspective of Cognitive Linguistics- Poster Presentation Practice for JSLS - 

2023/06/22(木)15:30- |Collaboration Room 3 & Webex


【論文紹介】“Spite: altruism’s evil twin”

発表者:黒川 瞬

概要:嫌がらせ行動は自らの適応度を下げる行動であるため、その存在は不思議であると言える。進化ゲーム理論モデルを用いて、以下の3つを示した。(1)嫌がらせ行動は、その効果が集団全体に広がるか、またはその効果がコストを大きく上回る場合、嫌がらせ行動をとる個体は小規模な集団に侵入することがあること。(2)嫌がらせ行動をとる個体とnormalな個体の間の相互作用が非ランダムで非類似である場合、嫌がらせ行動をとる個体は、大規模な集団にも侵入することができること。(3)個体が繰り返し相互作用し、相手の戦略を記憶する場合、嫌がらせ行動をとる個体の頻度が集団内で増加する可能性があること。嫌がらせ行動が進化する可能性のある条件は利他主義の進化を可能にする条件と類似している。この論文は、forumに掲載されており、アイディアレベルの論文であり、解析が通常の論文に比べてずさんであると見方もできると思います。しかし、アイディア自体はよいアイディアだと思うので、紹介しようと思いました。また、最近、繰り返しゲームにおける嫌がらせ行動に関する論文(現在Animal Behaviourに査読中)を書いていますが、その論文と関連が深いことも、紹介する理由です。ESS(Evolutionarily Stable Strategy)は説明なしに論文内で用いられていますが、論文を理解する上では必要になってくる重要事項であるため、説明をゼミ内で行いたいと思います。
書誌情報:Vickery, W. L., Brown, J. S., FitzGerald, G. J., 2003. Spite: altruism’s evil twin. Oikos, 102, 413-416. (https://doi.org/10.1034/j.1600-0579.2003.12410.x)Speaker: Shun Kurokawa
Date & Hour: 22 June (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Paper review " Spite: altruism’s evil twin "


【進捗報告】創発を含む概念融合の喚起による人間と機械の共創対話研究

発表者:周 豪特 

概要: 本研究は人間とエージェントの共創的な対話を目指す。すなわち、人間の概念融合思考を喚起するチャットボットとの対話を提案し、この対話を通じて人間が創発できる要因を探究することを目的とする。具体的には、「①思考と対話の提案と論証」「②創発が生まれる、概念融合に関する刺激のモデルに関する研究」「③創発が生まれる、概念融合に関するルートの研究」から構成すると考える。①チャットボットから質問し、人間の思考、特に概念融合思考を喚起することは共創に至るポイントと論証することを目指す。本研究では、対話は思考を反映する立場である。われわれの主張は、Human-Agent Interaction(HAI)対話で人間の概念融合思考を喚起することで、人間が概念に関する創発する可能性である。今までのHAIと共創の研究を整理した上で、理論上で本研究の主張の正当性を論じる。②人間がチャットボットとの対話で概念の創発が生じるように、チャットボットから人間与える刺激の性質と創発可能性の関係を探求する。本研究は概念融合思考が創発を生じる可能性がある立場である。われわれは刺激の一つ、ミスマッチという性質を狙い、モデルを作り、創発を生じる可能性を上げるポイントを解明する。③HAIで人間の概念融合が生じた時、人間はチャットボットから刺激を受け、融合した概念との関係を探求する。本研究は概念融合思考の一部は対話を通じて解明できる立場である。われわれはチャットボットから人間へ刺激し、人間が自らのアウトプットとの関係を尋ね、概念がどうのように変化したかという概念融合のダイナミクスを解明する。
 今回はプロセスで、ゼミでは,6月末に提出する研究計画書を皆さんに共有し議論していただければと思います.RPのドラフトを用いて説明する予定ですが、改めて簡単な紹介をいたします.検討に関して,ストーリーとロジックの部分に指摘やアドバイスをいただきたいと考えてます.

Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 22 Jun. (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &webexTitle:  Co-creative communication between humans and machines through concept blending

2023/06/14(水)15:30- |Collaboration Room 3 & Webex


【論文紹介】歩道橋型道徳ジレンマにおいて反実仮想比較に関連する情動が意思決定を促す

発表者:笹森 なおみ

概要: 道徳判断の二重過程理論に基づき,歩道橋型のジレンマでは,意図的に害を与えることによる情動的な結果の予期が,功利主義的な解決策を拒否する決定に寄与する可能性が示唆されている.しかし,意思決定後に参加者が感じた情動に関する実証データは報告されておらず,トロッコ型ジレンマにおいて情動が果たす役割は解明されていない.本研究では,トロッコ型と歩道橋型のジレンマにおいて,意思決定の選択後と反実仮想シナリオの生成後の両方において,どのような情動が働くかを調査した.この結果は,歩道橋型のジレンマにおいて,意思決定は,意思決定結果によって引き起こされる嫌悪的な情動状態を最小化しようとすることによって行われるという考えを支持するものである.典型的な(非功利主義的な)選択に続く反実仮想生成後では,トロッコ型よりも歩道橋型の方が全体的に情動強度の増加が認められ,罪悪感,後悔,恥が最も増加する情動であった.決定的に,歩道橋型のジレンマに限って言えば,反実仮想生成後の後悔強度の増加によって,典型的な選択が予測された.
この論文は,道徳ジレンマに関する感情,特に後悔を扱っている点,反実仮想シナリオを用いている点から自分の研究にとって重要な文献になります.実験と考察されている内容に関して議論できればと思います.
書誌情報:Tasso, A., Sarlo, M., & Lotto, L. (2017). Motivation and Emotion, 41(3), 410–418. https://doi.org/10.1007/s11031-017-9607-9
Speaker: Sasamori, NaomiDate & Hour: Jun 14th (Wed.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Emotions associated with counterfactual comparisons drive decision-making in Footbridge-type moral dilemmas



【進捗報告】主テーマ研究進捗(重回帰分析の活用)「他者との関係についての認知メカニズムに着目したEBPM向けの社会シミュレーションモデルの構築」

発表者:松井 一樹 

概要:「他者との関係についての認知メカニズムに着目したEBPM向けの社会シミュレーションモデルの構築」概要:本研究では、思考習慣としての制度が社会に定着し実効性を持つために、他者に関するどのような認知メカニズムが影響するか見出すことを目指す。政策が制度として効果を発揮する政策効果メカニズムを検討するため、コロナ禍の外出自粛要請を例として、SNSインフルエンサーなど他者行動の影響を考慮したEBPM(Evidence Based Policy Making)向けの行動意思決定モデルを構築した。本モデルでは、他者の意図を再帰的に深く予測する意図スタンス(Dennet 1987)にもとづく認知メカニズムの影響を検討した。シミュレーション結果が東京都と岩手県での人流データと近似することを確認し、両県の振る舞いの違いが他者に対する思考の深さの分布の差異を反映していることを示唆した。さらに、今回新たに各都道府県のコロナ感染者数や平均年齢などの属性も加えて、重回帰分析を行い、思考の深さの平均値も外出自粛の傾向に対して有意である可能性の示唆を得た。
発表では、重回帰分析について補足を加えて、本研究での活用についてご説明します。また、エージェントシミュレーションとデータ分析を組み合わせたことにより、全国の外出自粛の傾向に有意な影響を絞り込むことを実施した点について、そのメリットについても議論させてください。加えて、今後の論文発表計画についてもご指摘、アドバイスを頂けますと幸いです。
Speaker: Kazuki MatsuiDate & Hour: Jun 14th (Wed.) 17:30-Place: Webex & Collaboration Room 3Title: Development of a social simulation model for EBPM focusing on the cognitive mechanisms of relationships with others

2023/06/01(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】LEGO含むオブジェクトが共創プロセスに及ぼす影響についての論文レビュー

発表者: 成 太俊

概要:今回のゼミ1部は三本の(質的研究)論文をまとめて皆さんに紹介します.以下の流れやゼミ目的で説明する予定です.それぞれのゼミ目的に応じて議論できたらと思います. まずは,共創的なプロトタイピング活動において,LEGOとアナログオブジェクト(紙や段ボール)の結合・併用の利点を示す論文¹を紹介する.この論文を紹介する目的としては,作った作品を評価する基準を参考したいと考えるためである.この論文を簡潔に説明する: 異なるバックグラウンドをもつ58名の参加者を6グループに分け,LEGO&アナログ併用のグループや,LEGOのみのグループや,アナログのみのグループに割り当てた.未来のパハン博物館(マレーシア)という課題で五つの段階のあるワークショップに実施した.6名の専門家がデザインプロセスを直接観察し,録画とともに参加者の振る舞いや作品を評価した.結論として,デザイン開発の早期ステージにおいてレゴとアナログオブジェクトを柔軟に(併用)使用することで,デザイン上の問題をより正確に明らかにし,より振り返りのある,反復的で協力的な解決策を見出すことができた.
 次はLEGOなどのオブジェクト(人工物)が共創活動(&対話的相互作用)において認知プロセスにどのように影響するか,参加者間のコミュニケーションの促進にどのように貢献するか,を調査する論文²³を紹介する.2.の論文はLEGOという人工物が対象で,3.の論文は言語という人工物が対象である.これは,LEGOのような人工物の使用が共同作業に及ぼす影響,個人間の会話に及ぼす影響の実証的・理論的証拠,またはなぜそのような影響があるのか,を調べるためサーベイした.この二つの論文を簡潔に説明する: 2.の論文の著者たちは,LEGOブロックを使用した実験を通じて,物質的な表現物がコミュニケーションや理解の促進にどのように貢献するかを調査した.4〜5人の参加者で開放的創造的グループタスク(Justice, Security, Collaborationという抽象的概念の共同理解)を解決する2日間の心理学実験として実施した.レゴブロックを用いて表現する三つのタイプ:Illustration, Elaboration, Explorationの役割と効果を調査した.結果として,物質的表現は,アイデアのイラストレーション,詳細の拡充,意味の探求に活用されることが明らかになった. 3.の論文は2.と関連し,言語は対話的な相互作用において個人の認知プロセスを拡張する役割についての調査である.2.と異なり,物質的な特性だけでなく,対人的関与の側面にも焦点を当てる必要があると主張する.時間が足りましたら,3.も紹介します(資料は作って置きます).
書誌情報:1.    Siti Salwa Isa & Andre Liem. The impact of LEGO and analog objects in co-creating and prototyping ideas. International Journal of Design Creativity and Innovation, 11(1): 1-25, 2022https://doi.org/10.1080/21650349.2022.21254462.    Johanne Stege Bjørndahl, Riccardo Fusaroli , Svend Østergaard and Kristian Tylén. Thinking together with material representations: Joint epistemic actions in creative problem solving. Cognitive Semiotics, 7(1): 103-123, 2014https://www.researchgate.net/publication/2904400233.    Riccardo Fusaroli, Nivedita Gangopadhyay, Kristian Tylén. The dialogically extended mind: Language as skilful intersubjective engagement. Cognitive Systems Research, 29-30: 31-39, 2014https://doi.org/10.1016/j.cogsys.2013.06.002
Speaker: CHENG, TaijunDate & Hour: 06/01 (Thur.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Review of papers on the influence of objects containing LEGO on the co-creation process.


【論文紹介】成功体験の自伝的記憶―社会的アイデンティティの脅威下での自己肯定メカニズム

発表者:秦 慕君 

概要: この研究では,社会的アイデンティティの脅威下での自己肯定感を高めるためのメカニズムとして,自己の成功体験の想起がどのように機能するかを明らかにするために,実験が行った.被験者が過去の成功体験を想起することで,自己肯定感の向上につながるのではないかと仮説を立った.被験者が実験群と対照群に分けられた.実験群の被験者は,自己の成功体験に関連する過去の出来事を想起するために,特定のヴィネットを提示された.一方,対照群の被験者は,他のトピックに関連する出来事を思い出すように指示された.被験者はそれぞれの群で,自己肯定感尺度を用いて評価した.結果として、実験群の被験者は対照群より,自己肯定感が高まったことが明らかになった.この研究の結論は,自己肯定感の向上において,自己の成功体験を思い出すことが有効であることを示唆している.これは,社会的アイデンティティの脅威の場合には,個人が自己肯定感を維持するための一つの手段となる可能性がある
 この論文は,自分の研究とかなり関連していて,とくに,自伝的記憶と自己肯定感の関係を支持できる論文だと思います.また,自伝的記憶の実験手法も参考になれると思って,皆さんにこの論文を共有し,議論いただければ幸いです.
書誌情報:Tavitian-Elmadjian, L., Bender, M., Van de Vijver, F. J. R., Chasiotis, A., & Harb, C. (2020), Autobiographical recall of mastery experiences is a mechanism of self-affirming under social identity threat, The Journal of social psychology, Vol. 160(1), pp. 39-60.PDF: https://www.tandfonline.com/doi/epdf/10.1080/00224545.2019.1606775?needAccess=true&role=button.
Speaker: QIN, MujunDate & Hour: Jun 1st (Thur.) 15:30-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: Autobiographical recall of mastery experiences is a mechanism of self-affirming under social identity threat

2023/05/25(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】日中多義動詞「上がる」「上(shang)」の意味項目の現象素分析の検討

発表者: 黄 文蓮

概要:修士段階の研究は代表的な空間性を含む基本的な日中同型多義語の「上がる」「上(shang)」を研究対象にする。日中多義語「上がる」「上(shang)」の意味項目の拡張プロセスとイメージスキーマの拡張関係を検討し、イメージスキーマ・ネットワークの比較を試みる。この比較は日中母語話者認知・視点の違いを検討し解明することに繋がるという意義がある。日中多義語「上がる」「上(shang)」の意味項目の拡張プロセス(メタファー、メトニミー)を解明するために、国広が提唱した「現象素(phenomeneme)」を基準として参考する。「現象素」とは,ある語が指す外界の物,動き ,属性などで,五感で直接に捉えることが出来るものである。従来の「指示物」 (referent)に近いが,思想的な背景が異なる。単なる外界の存在物ではなく ,人間が認知したものである。その認知のしかたは,言語の用法を通じて捉える(国広 1995:40)。明日のゼミでは、「上がる」「上(shang)」の意味項目の現象素の分析の結果の妥当性について議論できればと思います。
Speaker:  HUANG,WenlianDate&Hour: 25th May. (Thur.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 &WebexTitle: An Examination of Phenomeneme Analysis of the Semantic Items of the Japanese-Chinese Polysemous Verbs "上がる(agaru)" and "上(shang)" 

2023/05/18(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】AIは共創パートナーになり、人間の発散的な思考及び収束的な思考との相互作用に関する研究

発表者: 周 豪特

概要:デザイン研究において、人工知能がアイデア発想のプロセスを支援するツールとして注目されている。しかし、デザインプロセスの特定の特性、すなわち発散的思考と収束的思考の相互作用をサポートするために人工知能(AI)を使用する可能性は、まだ十分に検討されていない。このギャップを解決することを目的として、本論文では、著者らがヨーロッパの著名なデザイン学校の中で実施した2つのコースにおいて、136名の学生がどのように人工知能と相互作用したかを検証している。その結果、AIは生徒が疑問を持ち、思索や議論を深めることをサポートすることができた
今回は論文を書きながら、すごく似ている論文を見つけました。この研究を簡単な紹介した上で、批判と参照しながら、自分の研究との関係や研究の貢献と検討したいと思います。

論文書誌情報:Simeone, L., Mantelli, R., and Adamo, A. (2022) Pushing divergence and promoting convergence in a speculative design process: Considerations on the role of AI as a co-creation partner, in Lockton, D., Lenzi, S., Hekkert, P., Oak, A., Sádaba, J., Lloyd, P. (eds.), DRS2022: Bilbao, 25 June - 3 July, Bilbao, Spain. https://doi.org/10.21606/drs.2022.197

Speaker: Zhou HaoteDate & Hour: 18 May (Thur.) 15:00-Place: Collaboration Room 2 &webexTitle:  AI can become a co-creative partner, contributing to the interaction between human divergent and convergent thinking.


【進捗報告】嫌がらせ行動と利他行動の進化の非対称性に対するdisbandment メカニズムによる説明

発表者:黒川 瞬 

概要:利他行動とは、自らの適応度を下げ、相手の適応度を上げる社会行動である。嫌がらせ行動とは、自らの適応度を下げ、相手の適応度を下げる社会行動である。利他行動と嫌がらせ行動は、いずれも、自らの適応度を下げる行動であるため、その存在は説明を要する。利他行動を行う個体が、利他行動を行わない個体よりも、利他行動の受け手になりやすければ、利他行動は適応的な行動になりえ、進化しうる。また、嫌がらせ行動を行う個体が、嫌がらせ行動を行わない個体よりも、嫌がらせ行動の受け手になりにくければ、嫌がらせ行動は適応的な行動になりえ、進化しうる。利他行動が進化するようなセットアップでは、嫌がらせ行動もまた進化しうる。例えば同一個体と繰り返し相互作用がある場合を考えよう。このとき、利他者には利他的に振舞い、非利他者には非利他的に振舞う場合、利他行動が進化する一方で、嫌がらせ個体には嫌がらせを行わず、非嫌がらせ個体には嫌がらせを行う場合、嫌がらせ行動は進化する。このことから、嫌がらせ行動は、利他行動の悪魔の双子(Vickery, 2003)とも、醜い姉妹(Gardner & West, 2004)とも、かげがある親戚(Smead & Forber, 2013)とも言われる。しかし、利他行動はよく観察される一方で、嫌がらせ行動はまれにしか観察されないという非対称性がある。この非対称性はどのように説明できるだろうか?今回のゼミでは、相手の行動に応じて、関係を続けたり、関係を打ち切ったりするメカニズムを考える。このメカニズムは、利他行動の進化を促進することが、Zheng et al. (2017)より指摘されている。私は、進化ゲーム理論を用いた数理解析を行い、その結果、嫌がらせ行動の進化もまた、このメカニズムは促進するが、嫌がらせ行動の進化は、利他行動の進化ほどには促進されないことを明らかにした。この結果は、観察のされやすさにおける利他行動と嫌がらせ行動の非対称性を、うまく説明する。この内容の論文は、Theoretical Population Biologyという雑誌に提出し、査読中です。この論文は、今年の1月に、Theoretical Population Biologyに出しましたが、結果は、再提出許可付きの、rejectでした。3人の査読者に回り、1人はpositiveであり、2人はnegativeでした。1人がpositiveであることを踏まえると、major revisionでもよさそうなものですが、negativeな査読者の「嫌がらせ行動の進化の数ある論文の中で、この論文がどのように位置づけられるかに関してきちんと書けていない」というコメントを編集者は重くとらえ、major revisionではなく、再提出許可付きの、rejectになったと黒川は理解しました。まだ受理されていない論文であることから、皆さんのコメントを取り込むチャンスがありますので、是非コメントを宜しくお願いします。
Speaker: Shun KurokawaDate & Hour: 18 May (Thursday) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Explanation for asymmetry between spiteful behavior and altruistic behavior by disbandment mechanism 

2023/05/10(木)15:30- |Collaboration Room 3 & Webex


【研究紹介】マンガは人に何を伝えられるのか?—マンガ内の装飾文字「描き文字」の高情報伝達性を支える要因の実験的検討

発表者:宮本 真希

概要:  まず,研究のモチベーションにもつながる(深めの)自己紹介をしたのちに,修士研究の内容,つづいて博士研究の内容について話します.修士研究では,非日本語話者への日本語音声による情報伝達の可能性について,オノマトペ音声を使用した実験的な研究を行いました.結果として,音象徴的に音声と対応づいている内容であれば,相手が異なる言語を使用する話者であっても伝えられる可能性を示すことができました.博士研究では,修士研究から一転してマンガの研究を行っています.マンガの研究ですが,修士研究とは地続きのテーマとして,言語による情報伝達といったことを扱っています.特に,マンガの情報伝達効率が高い要因が,マンガ独特の表現にあるのではないかと考え,その一つである「描き文字」に着目し,描き文字が付された場面を見た読者がどういった情報を受け取るのか,またその内容や伝達効率に影響を与える要因は何かについて検討していきたいと考えております.
Speaker: Maki MiyamotoDate & Hour: 5/10 (Wed) 15:30~Place: Collaboration Room 3  & WebexTitle: What can Manga communicate to people? - Experimental study on potential factor related to high communicability of "kakimoji" in Manga.

【進捗報告】outline of "Visual Cue in Multimodal Language Processing through Experimental Consideration on Mass Quantifier "some""

発表者:Lian Qingxi 

概要:I will share the outline of "Visual Cue in Multimodal Language Processing through Experimental Consideration on Mass Quantifier "some"". The main focus of the whole study is by understanding the mechanism of language processing to describe the basis of language, the human cognition. The cognitive contains perception, memory, language processing etc.A constraint-based framework is a promising one to explain the processing of understanding the meaning of "some" in a given context.Visual modality information can modulate the naturalness judgement based on a combination of image and utterance.For the experiment part, I did power analysis for experiment1 and it turned out that the power is not suffient using one package but do alright with another. I'd like to discuss which package is more trustworthy and should there be extra experiment. I'd like to discuss whether it is necessary to involve experiment2 as well. 

Speaker: LIAN, QingxiDate & Hour: 05/10 (Wed.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: outline of "Visual Cue in Multimodal Language Processing through Experimental Consideration on Mass Quantifier "some""

2023/04/27(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】私の研究に関連する概念の整理・共有

発表者:成 太俊

概要:  今回は,自分の研究と関連する概念に関する複数の論文を一つのExcel表に整理して皆さんに共有し議論したいと思います.最近は実験に使用可能な調査票をメイン目的としてサーベイし,それと並行に概念整理も行ったので,ゼミではその結果を皆さんに報告します.まず自分の研究を簡潔に説明すると,「個人的な遊び行動=即興作製行動--->共創活動--->チームのアイデア生成」のメカニズムを解明することが目的である.そのため,今回は「即興とチームパフォーマンスの関係」,「遊びの不思議さやそれと創造性の関係性」,「LEGO Serious Playおよびそれと創造性の関係」,「意識的思考・無意識的思考と行動の関係」などに関する論文をレビュー的に紹介する.全体的なつながりをアナウンスで説明すると長くなるが,簡潔に説明すると:レゴブロックを用いて作製しようとする作品を予めにじっくり考えず作製する行動は,LSPに重要であり,遊び行動や即興的振る舞いの特性を満たす,またそのような行動は無意識的な思考が伴う行動としても考えられる.さらにそれらの概念はよく創造性と関連し研究されています.ゼミでは,それぞれの概念や論文は自分の研究のどこと,どう関わる・異なるかのようなことを皆さんに報告します.紹介する論文が多いため,いつも通りしっかりした議論はできないかもしれませんが,分野横断的にみる場合,皆さんとの相互作用で自分の研究はどう位置づけられるかについて何が得られたらと思います.
Speaker: CHENG, TaijunDate & Hour: 4/27 (Thur.) 15:30~Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: A summary and sharing of concepts relevant to my research

2023/04/20(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【論文紹介】Five Rules for the Evolution of Cooperation

発表者:黒川 瞬

概要:  協力は、進化が組織の新しいレベルを構築するために、必要である。ゲノム、細胞、多細胞生物、社会性昆虫、そして人間社会は、すべて協力の上に成り立っている。協力とは、利己的な自己複製子が生殖能力の一部を見送って、お互いを助けることである。しかし、自然選択は競争を示唆し、それゆえに、特別なメカニズムが働かない限り、協力を阻害する。ここで、私は協力行動の進化の5つのメカニズムである血縁選択、直接互恵性、間接互恵性、ネットワーク互恵性、グループセレクションを議論する。それぞれのメカニズムに対して、自然選択が、協力を導くことができるかどうかを決める単純なルールが得られる。この論文は、協力行動の進化の論文の第一段落で引用されやすいタイプの論文であり、2023年4月15日時点で6075回(google scholar調べ)引用されています。ぼくもこれまで20本ほどの論文(例えば以下の4本)でこの論文を引用したと思います。協力行動の進化がなぜトピックたりえるのか、協力進化を説明するメカニズムとしてどのようなメカニズムが考案されてきたのかについて説明がなされており、協力行動の進化の研究の全体像について知ることができるよい論文であると思います。協力行動の進化に関する自分自身の研究や、他の人の研究をこれまで紹介してきましたが、いずれも個別の研究でしたので、この論文を紹介することで全体像を伝えたいと思います。
Kurokawa, S. (2016). Imperfect information facilitates the evolution of reciprocity. Mathematical Biosciences, 276, 114–120. (doi: 10.1016j.mbs.2016.03.011) Kurokawa, S. (2016). Payoff non-linearity sways the effect of mistakes on the evolution of reciprocity. Mathematical Biosciences, 279, 63–70. (doi: 10.1016/j.mbs.2016.07.004) Kurokawa, S. (2016). Evolutionary stagnation of reciprocators. Animal Behaviour, 122, 217–225. (doi: 10.1016/j.anbehav.2016.09.014) Kurokawa, S. (2016). Unified and simple understanding for the evolution of conditional cooperators. Mathematical Biosciences, 282, 16–20. (doi: 10.1016/j.mbs.2016.09.012)
書誌情報:Nowak, M. A., 2006. Five Rules for the Evolution of Cooperation. Science, 314, 1560-1563. (https://www.science.org/doi/10.1126/science.1133755)
Speaker: Shun KurokawaDate & Hour: 20 April (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Paper review " Five Rules for the Evolution of Cooperation "

【進捗報告】Introduction and Literature review parts of the thesis "Can Visual Context Modulate Humans' Interpretation of "some"?"

発表者:Lian Qingxi 

概要: This work is about the investigation of the meaning of "some" in a visual context. The work falls into the field of psycholinguistics with a multimodality perspective. In other words, how visual information (image) and audio information (utterance) integrated affect human understanding.
I want to present the content and flow of my thesis's first two chapters in the seminar. There are two main aims:1. Introduce to the audience the position of my work by explaining the general framework and related concepts. 2. Ask for feedback, especially on the ways of organization of the content to make the whole structure more coherent.
Speaker: Qingxi LianDate & Hour: 20 April (Thu.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: (Progress Report) Introduction and Literature review parts of the thesis "Can Visual Context Modulate Humans' Interpretation of "some"?"

2023/04/10(月)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】思考における多様な生成物に対する再帰的結合の効果―他者の意図に関する仮説生成の実験的研究―

発表者:笠野 純基

概要: ヒト社会には、言語表現、音楽、工業製品、他者推論(Oesch and Dunbar, 2017)、デジタル空間など様々な種類の多様な人工物が溢れており、人はそれらのアイデアや計画などを頭の中で多様に生み出すことができる。人の認知、とくにアイデアや計画を生み出す思考過程については、認知科学会をはじめとする諸学問分野で研究されている。またヒトの特質とも考えられる創造性的思考の観点から生み出された物事の新奇性や多様性も扱われている。 多様な生成について、Angら(2018)は行動の選択肢生成についてタッチスクリーン上での描画課題を用いて調べ、選択肢生成の総数(fluency)と種類(uniqueness)が新奇な探索行動の柔軟性に関わる神経物質のドーパミンにより調節されることを示した。しかし、運動に現れない内的な思考における多様な選択肢生成の仕組みについては具体的な実証的研究はまだ進んでいない。 今日見られるような多種多様な人工物は複数の要素が組み合わせられており、とくに階層的な構造を持つ場合が多いことが指摘されている(Arthur, 2009; Hause and Watumull, 2017)。そして、階層的な構造は要素の組み合わせを再帰的に繰り返すこと、すなわち再帰的結合で作り出すことができる(Chomsky, 1993; Fujita, 2009; Hashimoto, 2020)。再帰的結合とは物体や概念などの物事(要素)を組み合わせる方法の一種であり、要素同士の組み合わせからなる複合体をつくりそれを操作して別の要素に対して組み合わせることである。再帰的結合は生成物の多様性を高める点において適応性があることが進化シミュレーションで示されている(Toya and Hashimoto, 2018)。しかし、内的な思考の生成物の多様さに再帰的結合の効果があることが実証されたわけではない。 本研究の目的は、内的な思考における生成物の多様さに再帰的結合が与える効果を明らかにすることである。具体的には、再帰的結合は多様な仮説を生成する効果があるという仮説を実験的に検証する。 本研究の実験は、参加者をランダムに2群に分け、それぞれ再帰的結合(実験群)と非再帰的結合(複合体を操作するのではなく、複合体に対して他の要素の結合を繰り返す)(対照群)を行う(説明変数)。次に、人物が登場するイラストや写真からその人物の意図に関する仮説文を決められた時間で思い付くだけ挙げる仮説生成課題を行う。言語流暢性課題(光戸ら, 2019)での指標を参考に、被験者自らが生成した仮説文の数や使用語彙・節の数(fluency)と種類(uniqueness)に加え、文の階層構造や要素・複合体の再利用の程度を特徴づける指標で測定する(応答変数)。また、想定する交絡変数として語彙の探索や各仮説文の生成に掛かる時間を計測する。個人差の影響をランダム効果とした一般化線形混合モデルにより、訓練課題と生成文の関係を分析する。 本研究は再帰的結合が生成物の多様性を増大させる点に着目している点に独自性がある。さらに、再帰的結合と生成物の多様性の関係を実証的に示す点で特色がある。また本研究は多様な生成の脳神経基盤としてドーパミン系とブローカ野を関連させる研究につながると考えられ、さらに機械(AI)が再帰的結合を獲得する学習方法や訓練データ、あるいは、アーキテクチャの開発につながり、人と機械の多様な人工物の共創も期待される。

ゼミでは本提出する内容や文章の構成について議論していただけると幸いです。

Speaker: Junki KasanoDate & Hour: 04/10 (Mon.) 15:30-Place: Collaboration Room 2 & WebexTitle: Effects of Recursive Combination to Diverse Products in Thinking: An Experimental Study of Hypothesis Generation Regarding The Intentions of Others.

【進捗報告】日中同型多義語「上・下」の対照研究:認知言語学の視点から~認知科学会アブストに向け~

発表者:黄 文蓮

概要: 認知言語学では、言語使用者が身体的経験を通じて世界をどのように見ているのかを重視し、その見方が言語表現に表れると考える。そして、上下のような空間的な体験は世界の認識とメタファーを含む言語表現に重要な役割を果たすとされる(Lakoff & Johnson 1980:14-21)。人間は上下のような空間的な身体経験があって、上下のようなイメージスキーマが生まれる。イメージ・スキーマ変換は意味拡張の際に重要な役割を果たす(パリハワダナなど2022:41)。 人間は実生活で使用した言語表現は基本義以外の拡張義がよく使われると思う。例えば、日本語の「ヤバイ」という言葉は現代の日本社会において基本義以外の拡張義がよく使用されている。なぜこの多義語において、このような拡張義が出るのかについての認知レベルまで掘り尽くすなら、イメージ・スキーマの拡張を明らかにする必要があると考えられる。 本研究では代表的な空間性を含む基本的な日中同型多義語のひとつである「上・下」を取り上げ、上下に対する日本語母語話者と中国語母語話者の認知の相違点を考察する。まずは日中各コーパスから例文を抽出する。「上下」の意味項目の分類の枠組みは主にLakoff & Johnson(1980:14-17)、Taylor(2003:136-139)を参考する。次に、意味拡張プロセスを説明できるイメージ ・スキーマの相違点をまとめる。最後は日中の「上下」のイメージ ・スキーマのネットワークを作成する。 明日のゼミでは、認知科学会の申し込みに向け概要の構成・全体的なロジックと方法・意義について議論できればと思います。

Speaker:  HUANG,WenlianDate&Hour: Apr. 10th (Mon.) 15:30-Place: Webex
& Collaboration Room 2Title: A Contrastive Study of Homographic Polysemous Words '上' and '下' in Japanese and Chinese: From the Perspective of Cognitive Linguistics 

2023/04/07(木)15:30- |Collaboration Room 2 & Webex


【進捗報告】道徳的不作為の意思決定前に後悔を利用しているか─道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応の計測による検証─(認知科学会アブスト)

発表者:笹森 なおみ

概要:  道徳的な場面において不作為の意思決定後にネガティブな結果が引き起こされたとき,「行動すればよかった」という後悔の感情が喚起され,その後の意思決定に影響を与える.行為をした場合と行為をしなかった場合に同じ危害を与えるとき,人が行為をしない不作為の方を選んでしまうことは不作為バイアスという(Spranca et al., 1991).Jumison et al. (2020) は,不作為による危害を含んだ道徳シナリオを用いて不作為バイアスを再現し,作為よりも不作為による危害の方が後悔の感情が大きいことを報告した. Pletti et al. (2016)は道徳ジレンマ課題実験と予測モデリングにより,後悔が道徳判断を予測したことを報告した.ここで,道徳ジレンマ課題とは,トロッコ問題の思考実験 (Thomson, 1985) の構造を基にしたシナリオ課題であり,人間の道徳の認知機構についての研究で用いられている(Greene et al, 2001).また,Pletti et al. (2016)の結果は,道徳ジレンマ課題において被験者は最も後悔の感情負荷が低い選択をしている可能性を示唆した.しかしながら,不作為の意思決定に後悔の感情が与える影響について統一的な見解はない. 本研究では,道徳的意思決定前に予期される後悔が存在することを示し,特に不作為の後悔が道徳的意思決定に影響することを示すために,道徳ジレンマ課題中のSCRの測定と作為と不作為の後悔の関係について検証を行う.現在,予備実験として被験者1名に対して道徳ジレンマ課題を行い,後悔の度合を応答変数として各説明変数のモデルをGLMにより推定した.
認知科学会の申し込み用Abstract(2000字程度)を共有します。構成や内容について議論できればと思います。

Speaker: Naomi SasamoriDate & Hour: April  7th(Fri.) 16:00-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: The Use of Regret Before Decision-making for Moral Inaction: Validation by Measuring Anticipatory Skin Conductance Responses During A Moral Dilemma Task

【進捗報告】自己肯定感が疎外感に及ぼす影響-JCSSのアブストラクト提出に向けの修正-

発表者:秦 慕君

概要:  個人が自分の体験などに基づいて内面化された価値観・考え方と集団の制度や規範に合わないこと(アンマッチ)によって,「自分は排除されている」と感じる状況になると疎外感が生じる.先行研究によれば,疎外感は具体的な他者がいなくても起きうる(宮下・小林,1981).本研究は,このような具体的な他人が存在せず,自分の価値観・考え方と集団の制度・規範とのアンマッチにより生じる疎外感に焦点を当てる.そして,疎外感をポジティブに捉える視点もあり得るから(宮下,1994),本研究において,疎外感を持つ至る原因となる個人の性質を自らポジティブに受け入れ,また社会もそれを受け入れるようになることが重要だと考えられる. そこで本研究は,疎外感に至る原因となる個人的性質をポジティブに受け入れることに重点を置く.また,江角・庄司(2012)によると,自己肯定感が他者との比較ではなく,自分の価値基準にした自分は自分であっても大丈夫と定義される.つまり,個人が疎外感をもっていても,ありのままの自分を受け入れる,すなわち,疎外感を持つ原因となる自分の性質を受け入れることは,自己肯定感自己肯定感の概念で捉えられると考えられる.そして,社会心理学の領域では,自己肯定感は,社会規範の対立による疎外感を緩和と調節の効果があるとされる(Ge et al, 2020). 以上を踏まえ,本研究は疎外感を持つ人に対して,疎外感に連れなる個人の性質に関わる自己肯定感が高まると,疎外感が改善するかを検証する.そのため,本研究では,記憶想起前後,個人の疎外感と自己肯定感を測るために,疎外感尺度と自己肯定感尺度を用いて測定する.記憶想起の段階では,疎外感をもつ経験(集団に溶け込めない,なじめない等)からユニークな自分(個人の性質)を自覚できるような重要な出来事を想起させる課題の自由記述形式の質問紙を使用する.最後に,想起実験前後の結果を比較し分析する.  今回のゼミでは,4月中旬の認知科学会のアブストラクト提出に向けのドラフトを皆さんに共有し議論していただければと思います.それを修正するために,指摘やアドバイスをいただきたいと考えています.
Speaker: QIN, MujunDate &Hour: April 7th (Fri.) 16:00-Place: Webex & Collaboration Room 2Title: The Effect of Awareness of idiosyncrasy on Alienation

輪読会・勉強会