インターネット情報は、運動強度を心拍で見ながら負荷をコントロールトレーニングするような内容が多くあります。ランニングやロードバイクの場合は確かに「心拍数マネジメント」という負荷の指標として使っています。
実際自分にはどれぐらいの心拍数が体に良いのか知りたいところです。
ネット上で活動量計メーカーが示している内容は、科学的根拠が提示されていません。特に疑わしいのが、最大心拍数のxx%でゾーンに分けて、「瞬発力・運動能力向上」、「筋力・基礎代謝量向上」、「持久力向上」、「脂肪燃焼・体重減量」と分けている考え方です。
ランニング、マラソンやサイクリングでは、最大酸素摂取量とタイムとの強い相関関係があることが示されています。(資料) そのためタイムを伸ばすために最大心拍数から計算した、最大酸素摂取量(VO2MAX)と無酸素性作業閾値(AT値)の能力アップをトレーニングで伸ばそうという研究や指導が行われています。
その内容は登山でも当てはまるのでしょうか。実際利用し分析した結果を以下お伝えいたします。
一般的には年齢と平均心拍数が関係していることは良く知られています。
しかしながら、最大心拍数との関係はあまり測定されておらず、個人的な差が大きいのでほとんど参考にならないと考えたほうが無難です。(普段運動されている人と、全く運動されない人や、体重・身長・筋肉量は個人差があるためです。)
実際に大きな負荷(たとえば200mを全速力で走るなど)を掛けて最大時の脈を計測すれば良いのですが、運動不慣れな人や年齢が若くない人は危険です。
自分にとって最適な脈拍を知りたいというのは非常に理解出来ますが、登山の場合は、休憩無しで山頂まで登れる速度での心拍数を知っておく方が大切だと私は考えています。
①能力アップの登山
一般的には、最大酸素摂取量(VO2MAX)と無酸素性作業閾値(AT値)の能力アップを行うために必要な身体への負荷は、個人差がありますが、最大心拍数の70~80%程度で運動することが推奨されています。
持久力を確実にアップする乳酸性作業閾値‐LTトレーニング (sports119.jp)
ただし、運動強度が高すぎると疲労が溜まるため注意が必要です。また時速時間は30分~2時間以内で身体に合った負荷が必要です。ただ問題なのは、肝心の最大心拍数を知る手段が無いため、GPSログに記録されている最大心拍数を目安に、90~95%前後の心拍で調整が望ましいかと考えられます。
②長時間の山業
長時間歩く場合に最適な負荷は、最大心拍数の60~70%位が良いとされています。しかし、これも最大心拍数が不明であり、また個人能力によりますが、GPSログが示す最大心拍数の85~90%前後が登りやすい負荷なのかもしれません。ご自身の最適な負荷を見つける必要があります。
心拍計には実は計測方法から2つのタイプに分けることができます。
❶心拍計(心臓からの電気を計測するタイプ)
❷脈拍計(血液量変化から脈数を計測するタイプ)
です。普通は、心拍数=脈拍数で一致しています、ところが人によっては不整脈(脈の乱れ)により必ずしも脈拍が心拍数と一致しない場合があります。
正確に計測されないケース→たとえば心臓は鼓動したが「期外収縮」の場合は、脈が打たないで飛んだように思われる場合等があります。
(参照:https://kango-oshigoto.jp/hatenurse/article/310/ )
胸に付ける心拍計は取り付けが煩わしいということもあり、腕時計のように手首につける脈拍モニタリングする機器が流行しています。
でも年齢を重ねると、不整脈が増えるため腕時計タイプですと正しい脈拍を計測することが出来ません。(運動により体への負荷が増えると、心拍数を上昇させようと脈が速くなりますが、心臓が正しく収縮しない場合、鼓動が手首に正しく届かないためです。)
個人的には、胸に付けるセンサータイプを強くお勧めします。
心臓から放出される電気信号を介して心拍を検出し測定できるモジュールと接触パッチが備わっています。電波でGPSレシーバーに送信されます。比較的正確です。
LEDを使い、表皮のすぐ下の毛細血管層 (皮膚を通る細い血管)の血液量の変化を測定します。電波でGPSレシーバーに送信されます。
不整脈では正しく脈数がカウントされない場合があります。
Garmin eTrex の場合は、ANT+という規格で弱い電波を使ってセンサーから心拍数を受け取ることが出来ます。 2.4GHzの周波数帯を使用し、通信距離は1~2m以下と短いものの消費電力が低く安定しています。( 0.009mW)
体質やストレス、また年齢を重ねていくと如何しても不整脈が増えてくるようです。不整脈がすべて異常ということでもなく、大なり小なり発生するため、誰にでも起こり得る現象となります。
脈の乱れは3つのタイプがあります。
①期外収縮
②徐脈
③頻脈
ご自身の脈の傾向を確認する必要があります。
心拍数・脈数を測る理由は、体がどれ位エネルギーを必要としているのか(負担が掛かっているのか)、心臓の動き(動く回数)から知ろうということかと思います。
不整脈があると正しく計測されないということになります。
ご注意:脈の乱れが正常なものか、そうでないのかは専門病院で診断いただく必要があります。
https://okayama-gmc.or.jp/shimin/listen/interview-pulse
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/arrhythmia/