共和政期末期にユリウス・カエサルがローマ史上初めて自らの肖像を描いたコインを存命中に発行して以降、有力者の肖像がコインに描かれることが一般的になった。元首政期に入ってからは、描かれるのは皇帝とその家族のみに限定され、政治的な目的から写実的な肖像が描かれたコインが発行された。軍人皇帝時代以降コイン上の肖像から個々人の特徴が次第に消えてゆき、肖像で皇帝を判別することが難しくなってゆく。
コインには神々・後継者・建築物・戦勝記念・動物など多様な図像が表現された。為政者たる皇帝が自らの功績を誇示したり、目指すスローガンを帝国臣民に周知させたり、後継者を明示したりと様々な政治目的を持って発行した。コインは経済を支えるためだけでなく、古代社会のマスメディアとして用いられていたのである。
帝政期は西方では帝国の滅亡まで、東方領ではゼノン帝までとされることが一般的である。
[写真:アウグストゥス霊廟 ローマ]