反論書の要旨
*人事委員会に請求した審査(異議申立)に対する教育庁による反論(答弁書)への「反論」の概ねの内容を記します。
【1】女子生徒らに対する身体接触行為について
1,はじめに
*「生徒が不快な思いをした」との主張は全て「聴取した内容」とする教員作成文書しか提示されておらず、
聴き取りの音声データとその反訳書でもなく、或いは生徒本人の自筆や署名捺印のある文書でもなく、
証拠能力は認められない。
* しかもその文書に聴取者が「私が聴取した内容は、以上の通り間違いありません」と署名したのは、
聴取が行われた令和5年2月から5ヶ月も経過した後の同年7月で、その内容は信用に足るものではない。
* 他の複数の文書では作成日の記載も作成者の署名もなく、その内容が正しいか否かの担保は何もない。
★ 以上のことから、「どのような行為に対し、生徒がどのように思ったか」は立証されていない。
2,「最初に訴え出た生徒」への「セクハラ行為」について
* 免職を申し渡した際の「処分説明書」と今般の「答弁書」で記載内容が違っており、これは、処分を為すに
際しての事実認定に問題があったことを示すものである。
* 当該生徒が何度か事情聴取を受けている中で、供述に変遷や矛盾が見られ、よってその内容に信用性は無い。
* 当該生徒に先んじて友人の男子生徒が最初に通報したのだが、それは「彼女に対する土井の距離が近い」と
述べているだけで「尻を触ったことを目撃した」と言っているのではない。
* 当該生徒が「太腿や尻を触られた」とする「二人組での腹筋運動」の場面で、当該生徒の正面で脚を抱えた
至近距離に位置した女子生徒は、「土井によるセクハラはなかった」と、署名捺印文書にて証言している。
★ 以上のことから、尻を触ったとの事実は存在せず、土井が「わいせつな行為をした」との認定は誤りである。
3,9名の女子が抱いたとする、嫌悪感・驚愕・性的羞恥心・性的不安感を含む「嫌だ」との気持ちについて
* ある生徒は、聴取をした教員と「話してみて(身体接触は)おかしいことなんだと思った」と言っており、
つまり、聴取以前(身体接触が為された時点)では気にしておらず、標記のような気持ちは抱いていない。
* ある生徒は、報告書では「脚を触られたので手で払いのけた」と記載されているが、実際は、チョンチョンと
触れたことはあったが手で払いのけるなどしていないし、聴取教員から「嫌だったよね?」と訊かれたので
「ちょっとだけ嫌でした」と答えたと、自署文書(保護者と連名の署名あり)にて証言している。
よって、その程度の接触であったのが事実であり、その程度の感覚を持ったに過ぎない。
* 球技大会後の楽しく盛り上がった状況で、女子生徒2人の後ろから、土井が2人の肩を抱える形で写真撮影に
入り込んだ。報告書では、その写真を以って「不快だったと言っている」としているが、生徒はピースサイン
をしていて笑顔であり、とても、不快な感情を抱いているとは思われない。
* 令和5年2月に「頭ポンポン」を「何とも思っていない」と言っていた生徒が、同年6月に再聴取を受け、
そこでも最初は同じであったのが、後に「嫌だった」と言っており、明らかに誘導が為されたと思われる。
* ある生徒は、報告書では「腰を触られた」「打ち方を教えると、不要に腕や手を触られた」とされていたが、
自署&署名捺印文書では「腰など触られていない」「説明では理解できない自分には必要な指導だった」
と証言しており「嫌だ」などの感情を持っていたはずがない。
* 前記「2」の最初に訴え出た生徒は、「触られたことより体力測定の結果の悪さがショックだった」と証言
しており、性的羞恥心や性的不安感を抱いたというのは疑問である。
* 他にも「誘導的な聴取」が行なわれたと思われる事実が、複数生徒の自署&署名捺印文書で証言されている。
* ある生徒は、令和4年12月、田中准校長から「体育で何かセクハラのようなことをされていないか?」と
訊かれた。これは、本件の「発端」とする通報(令和5年1月23日)の1ヶ月以上も前のことで、つまり、
田中は、被害生徒の訴えも無いのに土井がセクハラ行為をしていないか調査していたと思われ、そうすると、
事情聴取の際に誘導されたということも頷ける。
4,「相手を嫌な気持ちにさせると認識しながら身体接触をした」としていることについて
* 前項「3」の通り、生徒は嫌な気持ちを抱いていなかったので、「嫌な気持ちにさせると認識しながら」との
論理は成り立たない。
* 頭や肩は性的な部位ではないので、仮に嫌な気持ちを抱いた者が居たとしても、何らかの態度で表明されない
限り、相手が嫌な気持ちになるかどうかは認識できない。
5,まとめ
* 尻などの性的部位を触ったという事実は無い。
* 頭や肩などを触られた全員が嫌悪感・驚愕・性的羞恥心・性的不安感を含む「嫌だ」との気持ちを抱いたわけ
ではなく、さらに、嫌な気持ちにさせると認識しながら身体接触をしたわけではない。
* よって、教育庁の事実認定は誤っており、それをもとになされた本件処分は取り消されるべきである。
【2】職務命令違反と非難されている、「被害生徒ら」に対する働き掛けについて
1,「協力生徒」への働き掛けについて
* 土井がいきなり「早期復帰を求める生徒連名の嘆願書」の作成を指示したのではない。
* 土井が自宅待機であることを話していたスポーツ店の店員が食事をしていた時、たまたま隣席に本校生が
おり、そこでの話ではじめて当該生徒が土井の境遇を知るが、「土井のセクハラなど聞いたことがない」
「多くの生徒に事情聴取をしているなど全く知らない」と怪訝に思い、友人にそれらを聞いて回ったところ、
話を聞いた生徒の全てが「事情聴取など受けていない」と答えた。
* 後日、「事情聴取など受けていない」と答えていた生徒2人が「被害生徒」に含まれていることが判明した。
そのため、土井が当時相談していた弁護士の助言を仰ぎ、当該生徒を通じて真偽を確認したのが、その生徒や
「被害生徒ら」への働き掛けの端緒である。
* その際、当該生徒から「早期復帰のため何かできないか?何をすればいい?」と聞かれたので、生徒連名の
嘆願書のような物の作成をお願いしたのも事実である。
2,「被害生徒」それぞれへの働き掛けについて
* 生徒Aについては、友人の男子生徒を介して連絡を取ろうとしていたのであり、直接の連絡はしていない。
また、生徒Aは土井からの働き掛けにより精神障害を発症したと主張しているが、その男子生徒に対し、
土井から送られて来たLINE画面のスクリーンショットを送るよう要求しており、矛盾も甚だしい。
* 生徒Bは、前記「1」の嘆願書に名前を連ねていながら、報告書では「被害者」として名前が上がっていた
ので、これも間違いだろうと連絡を取った。Bは土井の担任クラスの生徒で、土井が自宅待機命令を受ける
直前の令和5年2月15日のホームルームでも、普段と変わらず笑顔で土井と話しており、不快に思っている
など想像だにしなかったことも連絡を取った背景である。
* また生徒Bは、土井が電話をした際、不快な思いなどしていないと言っていたので、事情聴取の際の様子を
手紙に書いて送ってくれるかと聞いたところ快諾し、送り先の住所も躊躇なく教示したのであって、土井が、
事実に反することを書くよう求めたわけでも、手紙を書いて送るよう強く求めたわけでもない。
* 生徒Cは当初「事情聴取は受けていないと言っている」と聞いていて、その矛盾を質すため、前記「1」の
協力生徒を介して確認したところ、「事情聴取は受けたが被害を受けたなどとは言っていない」とのこと。
また、土井が田中から聞かされた「保護者は激怒、謝罪も受け入れてもらえず、土井の処分を望んでいる」
との話も、本人と保護者に直接確認した結果、田中による「虚偽・捏造」であることが判明した。
* 生徒Cに対しては令和5年6月に再聴取が為されたが、その際の供述は基本的に上記と同じである。
また、その供述記録は12ページに及ぶが、2~6ページがカットされており、ここには土井に有利なことが
記録されているものと想像できる。
* また生徒Cも上記Bと同じく手紙を書いて送るとの話になっていたのだが、Cの事情により前記「1」の
協力生徒に代筆をしてもらった。その経緯やCの了解があったことについては間違いのないことである。
それらへの嫌疑について、7月に為された電話での確認で、Cは「覚えがない」と答えたようであるが、
これは電話をした今西准校長が「全ての質問に「覚えがない」と答えており、言葉には出さないが早く電話を
終わらせたいとの様子がうかがわれた」と言っている通り、その「覚えがない」との言葉は信用できない。
* 生徒Dは前記「1」の嘆願書にも名前を連ねていたが、それ以前に「事情聴取を受けていない」と言っている
のに「被害生徒」に上がっていたため、教育庁に「おかしいので調査されたい」と要請するも全く動く様子が
なかったので、本人に確認したところ「間違いない」とのことであった。
* 生徒Dも他の生徒と同じく「実際のところを手紙に書いて送る」ことを快諾したが、「何をどのように書けば
いいのか分からない」と言うので、土井が電話で聴いたままを文章にしてLINEで送り「これでよかったら
そのまま書いてね」との文言も添えていた。
* 令和5年6月になされた再聴取の際、Dは、今西准校長の求めに応じて土井とのLINEのやり取りを全て
提供したのだが、教育庁は上記を以って「土井が指示する内容の手紙を書かせた」と非難している。
しかし、上記の通り、Dが事情聴取を受けていないと言ったから手紙を書いて送ってほしいと依頼したので
あるし、Dも何らの躊躇なく快諾しており、嘘を書かせようともしていないし強要もしていない。
* ただ、実際には生徒Dは事情聴取を受けていたのであるが、初めは「頭ポンポンは何とも思っていない」と
答えていたのが、教員に促されるように「嫌だった」と答えている。しかし、Dが提供したLINEの内容を
見れば、Dは土井への嫌悪感どころか親近感を持っていることが伺われる。但し、教育庁が「証拠」とする
資料には、Dが土井に親近感を持っていることが伺われる部分はカットされている。
* 再調査でDが「実は事情聴取を受けていた」「頭ポンポンは嫌だと答えた」ことを本人から聞いた土井は、
それまでずっと聞いていた内容と真逆であったので動揺し、それを撤回するようDに求めたが、あくまでも
それは教師と生徒の力関係で強制したのではなく「これまで聞いていたことが真実なら取り消してね」という
もので、決して強く求めていないことはLINEのやり取りを見れば明白である。
* そして、Dは最近も土井と親しくやり取りをしており、Dの母親も、懲戒免職により教員資格を喪失している
ことを承知しながらも、土井にDの生活態度に関する相談をするなど、母子ともに土井への親近感や信頼を
維持しており、Dの心に傷を負わせたという事実は無い。
* 生徒Eについては、嘆願書作成の際に、その世話人であった男子生徒から「Eは何か土井に対し引っ掛かりが
あるようだ」「准校長が悪いことをするとは思えない、土井の保身だろうと言っている」と聞いていたので、
「何か不快な思いをさせたのであれば謝りたい」との前提で、本件に関する話を聞かせてほしいとのメールを
送っただけである。
3,まとめ
*「被害生徒」らに接触したのは、偶然に知った「事情聴取を受けていない」と聞いていた生徒のうち2人が、
田中から聞かされた話では「被害者」となっている矛盾があったからである。
* 接触した生徒に「事実を手紙に書いて送る」ことは頼んだが、それはその生徒が不快感を覚えていないと
言ったからであって、事実に反することを書くよう求めたことは無い。
*「供述を撤回するよう」求めた生徒もいたが、これは生徒の本心がその供述とは違うと土井が思い込んでいた
からであり、事実や真意に反する供述を強要してのではない。
【3】土井はこれまで真面目に勤務してきたこと
* 土井が桜塚の全日制から定時制勤務となったのは、荒れていた定時制の状況を見かねて、当時の長瀬校長に
定時制への異動を願い出たことによる。土井はその後、定時制の生徒が平穏に学習ができる状態にすることに
大いに貢献し、そのことは長瀬校長も高く評価している。
* 本件処分を検討するについては、そのような業績についても考慮すべきである。