セミナー予定

講師 大町 祐史氏 (東京大学理学系研究科物理学専攻 古澤研究室)

題目   マルチカノニカル法を用いた遺伝暗号における適応度地形の解析

日時 3月5(金) 13:30-    webexによるオンライン開催です。

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https://forms.gle/Epdcxm2PuRwdi9KU9

現在確認されているほぼ全ての生物は同じ遺伝暗号を共有しており、これを標準遺伝暗号という。標準遺伝暗号は翻訳エラーに対する頑健性が高くなるように進化してきたことがコンピュータシミュレーションにより示唆されている。従来は計算時間の制約により比較対象の遺伝暗号の母集団は標準遺伝暗号と構造が同じものに限られていた。そこで本研究ではマルチカノニカル法という効率的なレアイベントサンプリング手法を用いることで、標準遺伝暗号に構造を縛られない一般の母集団を比較対象とした。その結果、以下3つのことがわかった。

第一に、このような母集団の中では標準遺伝暗号よりも頑健な遺伝暗号の割合は僅か約10^(-20)である。これは従来まで研究されていた母集団での割合(約10^(-6))よりも遥かに小さい。第二に、標準遺伝暗号と同程度に頑健な遺伝暗号の構造は4種類あり、標準遺伝暗号はその1つに属する。第三に、遺伝的アルゴリズムを用いた進化シミュレーションによる同様の遺伝伝暗号の分布にはかなりの偏りがある。これらをふまえ、遺伝暗号の適応度地形の構造と進化を議論する。