セミナー予定

講師   大久保 毅氏(東京大学大学院理学系研究科 量子ソフトウェア寄付講座特任准教授)

題目 テンソルネットワーク法を用いたキタエフスピン液体の研究

日時 7月30(金) 16:00-   Zoomによるオンライン開催です。

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要旨

物事を小さいテンソルのつながり、テンソルネットワークで表現するテンソルネットワーク形式の応用例の一つに、量子多体状態をテンソルネットワークで表現する方法がある。このようなテンソルネットワーク状態は、量子モンテカルロ法で負符号問題が生じる様な、相互作用にフラストレーションが存在する量子スピン模型の解析に有用であり、近年の手法の進展に伴って、特に二次元量子スピン系の研究で応用が進んでいる。

本セミナーでは、テンソルネットワーク状態の簡単な導入から始めて、その応用例として、キタエフ型相互作用を持つ量子スピン模型におけるスピン液体状態の研究を紹介する。テンソルネットワーク状態によるコンパクトなキタエフスピン液体の表現[1]やキタエフ物質Na2IrO3の解析[2]といった基底状態への応用に加えて、時間があれば、有限温度物性の計算例についても議論したい。

[1] H.-Y. Lee, R. Kaneko, T. Okubo, and N. Kawashima, Phys. Rev. Lett. 123, 087203 (2019).

[2] T. Okubo, K. Shinjo, Y. Yamaji, et al, Phys. Rev. B 96, 054434 (2017).