品種改良では交雑育種が比較的多く取り上げられる傾向にありますが、それを支えるのは多様な遺伝資源であり、それは多くの場合突然変異によってもたらされます。この突然変異を利用した育種は日本では特に温州ミカンで盛んであり、枝変わりや珠心胚変異などによって多くの品種が作り出されてきました。交雑育種をしている場合でも突然変異によりきわめて稀な性質を持った個体が生まれますが、ここではそのような過程で得られた突然変異個体を紹介します。
すでに枯死してしまいましたが、カクテルフルーツの種子から得られた突然変異個体です。発芽当初から極めて樹勢が弱く接ぎ木により何とか救出をしました。その後順調に成長を見せましたが水切れにより枯死しました。
ブンタン小粒種子変異個体
単胚性種子から得られる小粒種子は倍数性個体の確率が高く突然変異を含みやすいことで知られています。この個体はそのような小粒種子の中から得られた個体ですが、葉の周囲に切れ込みが入るなど通常の倍数体には見られないような葉の形質を持ち合わせています。おそらく異数体かなにかかと思いますが見た目が興味深いため保存しています。