EP1 朝葉高校学園祭へようこそ!

「気晴らしに、他校の学園祭にでも行ってみるのはどうかな?」

アビドス高等学校に関する一連の騒動が収束して間もない頃、「先生」からアドバイスを受けたシロコとホシノは、

揃ってバスに乗り込み、百鬼夜行連合学院の学園祭へと向かっていたーー

ーーはずだったのだが。

[シロコ]ここって・・・・・・百鬼夜行連合学院・・・・・・じゃないような?

シロコは呆気に取られながら目の前の校舎らしき建物を見つめた。

隣のホシノはあくびを一つして、いつも通りのんびりとしている。

ホシノ]うへ~、どう見ても違うよね。見て、あそこの柱に学校名が書いてあるよ。「朝葉高校」だって。

[ホシノ]今日はポカポカしてたからねぇ・・・・・・まさかシロコちゃんまでうたた寝しちゃうなんて。

[シロコ]百鬼夜行に着いたと勘違いして降りてしまった・・・・・・ごめんなさい。バス停をよく確認すべきだった。

[シロコ]次のバスの時間、調べる。

[ホシノ]ん~、別にいいんじゃないかなぁ?私達の目的はあくまで学園祭に行くことであって、

  どこの学校までは決まってないし。ここも学園祭やってるみたいだし、せっかくだから遊んでこ~よ。

[シロコ]ん、先輩がいいなら。

[ホシノ]じゃあ行こっか~

???]ふふ、奇遇ね。

校門をくぐろうとした瞬間、背後から声が聞こえてくる。振り返ると、見覚えのある人物が立っていた。

ゲヘナ学園の有名な問題児集団で、キヴォトスいちのアウトローを目指す「野心家」・・・・・・一杯のラーメンを四人で

分け合うほど仲が良く、覆面水着団の遺産相続人、銀行貸付業の尊い闇事業者ーー「頼れる」会社こと

「便利屋68」の社員でもある二人。「社長」の陸八魔アルと部下の浅黄ムツキだった。

ムツキ]おっはよー。アビドスのお二人さん。

ホシノ]やぁやぁ~

アル]あなたたちも依頼を受けて来たのかしら?

シロコ]依頼?

[アル]・・・・・・ああ。こっちの話よ、何でもないわ。

シノ]へぇ、「朝葉高校」から依頼があったの?

ムツキ]そうそう。昨日、急に電話が入ってね~

[ホシノ]へ~そうなんだ。今回の依頼は難しそう?

アル]難しいかどうかは関係ないわ。引き受けた以上、なんだって遂行するのが「便利屋68」だもの。

[ホシノ]おお~、すごいプロ意識だ、おじさん感心しちゃった。

アル(ふふっ、いいこと言ったわ)

ムツキアルちゃんは大きい仕事がしたいって言ってるけど、最近あんまり依頼がないんだよね。

  だから、選り好みしてる場合じゃなくってさ。

アルううっ・・・・・・!

[ムツキ]二人は遊びに来たの?

シロコ]うん。先生に「気晴らしに、他校の学園祭にでも行ってみるのはどうかな?」って言われて。

[ムツキ]へ~、いいじゃん。

アル]そ、そろそろ時間ね。ムツキ、依頼人を待たせては信用に関わるわ!それじゃ、二人とも失礼するわね。

アルはやや頬を引きつらせながらも、上品な微笑みを浮かべ、足早に学校へと向かっていった。

ムツキもシロコたちに手を振って後に続く。

ホシノ]うへ~、相変わらず愉快な子たちだねぇ。んじゃ、私たちも行こっか。

シロコ]ん。

こうして、「対策委員会」と「便利屋68」のメンバー各自は、朝葉高校で各々学園祭を回ることになったのだ。