住宅・建築物の脱炭素政策

具体的な提言事例

気候ネットワーク提言レポート 2050年ネットゼロへの道すじ 2030年・2040年の削減目標と政策提案 PDF

P20- 「家庭・業務部門」

Climate Action Tracker は、1.5℃目標と整合させるためには、世界全体で、既存の住宅・建築物の省エネ改修工事を毎年 3.5% のペースで進め、2040 年には住宅のエネルギー原単位を 90%、建築物では 90 ~ 95% 改善しなければならず、新規の建築物は直ちに全てネットゼロにする必要があるとしている。

日本では、新築の割合が他の先 進国よりも多いことを踏まえ、新築に関しては 2025 年までに100%ZEB・ZEH 化し、既存建築物に関しては、公共施設・公営住宅・戸建・集合住宅・中小規模を含むビルの省エネ改修を年 2% 以上のペースで進め、2050 年にはストック全てを ZEB・ZEH 化し、完全脱炭素化する

P32- (7)住宅・建築物、機器の規制強化

•カーボンプライシング(再掲)

カーボンプライシングは、住宅・建築物対策を含む、家庭・業務部門全体に対する重要政策である。

•新築の省エネ基準適合、ZEB・ZEH 義務化

現行では建築省エネ法で、省エネ基準義務化の適合範囲の拡大が予定されている(大規模建築物(延べ面積 2000㎡)から中規模建築物(300 ~2000㎡)に拡大など)が、今後建設する住宅・建築物の省エネ適合は必須である。しかし、それだけでは不十分である。直ちに全ての住宅・建築物の現行の省エネ基準適合を義務化する必要がある。また ZEB・ZEH の断熱基準は緩やかであるため、基準を高めた上で、新築の ZEB・ZEH を 2025 年までに義務化する。

•公共施設・公営住宅の省エネ改修・ZEB・ZEH 義務化

先行的に、公共施設及び低所得者層向けの公営住宅の省エネ改修・再エネ導入の計画的実施を義務化し、新築における ZEB・ZEH 義務化を 2025 年よりも前に速やかに導入する。

•既存住宅・建築物の省エネ改修補助

年 2% のスピードで既存住宅・建築物の省エネ改修が進むよう、支援・補助・減免制度を整備する。改修にあたり、公的な建築の専門家が診断員として改修診断を行い、費用対効果の高い対策について助言を行うしくみを設ける。また、専門家を置き、省エネ改修、省エネ設備導入などを支援し、地域の工務店向けの支援・研修などを実施できる組織体制を全国的に整備する。賃貸住宅、中古分譲住宅、貸しビルなどには、ZEB・ZEH、断熱基準適合についての表示・不動産業者への説明責任を義務づけ、契約の際の「重要事項説明」に加える。

•機器効率向上と脱炭素化のための情報提供

省エネ法における各種機器・製品のトップランナー基準を強化するのと同時に、機器別・サイズ別の細分化された基準から、用途別(例えば給湯・暖房など)に CO2 排出量に応じて再生可能エネルギー利用の機器(例えば、ガスや電気単体の高効率給湯器ではなく、ソーラーシステムとの組み合わせ等)の導入を進める選択を促し、脱炭素化を加速させる仕組みに組み替える。


内閣府再エネタスクフォース5回目 委員提言 全配布資料 提言 

政策提言とスケジュール

1)2050 年目標を実現するための明確な目標とバックキャスティング型ロードマップ設定の必要性 2021年内

2)住宅・建築物に関する省エネルギー基準の適合義務化と基準強化 2021 年内改正、2 年内施行

3)国土交通省主導での ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

の積極的推進―詳細な目標設定、義務化の検討 2021 年内

4)既存住宅・建築物の省エネルギー対策の推進 2021年内検討、2022 年実施

5)住宅・建築物のエネルギー性能表示(BELS)の義務化 2021 年内改正、1 年内施行

6)建材、家電設備等の省エネルギー性能のさらなる強化 2021年内改定強化

7)公共建築物での ZEB、ZEH の積極的な実現 2022 年度開始

8)建物の詳細なエネルギー調査のデータベース整備 2021年内予算確保、2022 年実施 「新技術が早期に評価される方策」:2021 年策定実施


自然エネルギー財団 提言 脱炭素社会へのエネルギー戦略の提案 2050年CO2排出ゼロの日本へ WEB

概要版 スライド概要版 全文

ゼロエミッションビル戦略 省エネ規準からネット・ゼロ・エネルギー基準へ(新築) ネット・ゼロ・エネルギービルの省エネ基準を2020~30年頃までに達成 段階的・継続的に基準を強化

既存の住宅・建築物の省エネ改修を促進 EUは既存建物のニアリー・ネット・ゼロ・エネルギービルへ改修促進策導入、各国は2020年までに立法化


WWFジャパン 脱炭素に向けた2050年ゼロシナリオ PDF


自然エネルギー財団 Renewable Pathways 脱炭素の日本への自然エネルギー100%戦略 PDF