この日は伊東多佳子さんをゲストにお招きして干潟へ。伊東さんは3回目の訪問。環境美学者であり、富山大学芸術文化学部で教鞭をとられています。行きのバスでは過去に伊東さんに寄稿いただいた私のプロジェクトのことをお話ししたり、湿地にある浸透実験池とある芸術作品の類似性についてお話したりしながら向かいました。富山大学芸術文化学部Webサイト→https://www.tad.u-toyama.ac.jp/archives/teachers/itoh
この日もまずチゴガニエリアを観察。風が強くてあまり顔を出してくれませんでしたが。
道中では植物に触れながら歩きます。
この日の潮位はかなり低く、干潟上もかなり乾燥していました。ホソウミニナの這った跡がドローイングのようにきれいに残っています。明日はまた違う線に。これらの巻貝の中でもほぼ見分けがつかないホソウミニナ(外来種)とウミニナ(在来種)には成長過程に大きな違いがあります。ウミニナは幼生時にプランクトン(浮遊体)として過ごしますが、ホソウミニナはプランクトンにならず、生まれた干潟で一生を過ごします。潮の流れに乗るプランクトンは本来、生まれた干潟と別の干潟で大きくなり、繁殖するのですが、干潟が少なくなった東京湾では、プランクトンがうまくたどり着けずに息絶えてしまうものも少なくありません。こうしてウミニナはホソウミニナに駆逐されていき、ほとんどがホソウミニナとなっている。干潟の減少はこうした生態系の変化にも影響を及ぼしています。
帰りのバスでは伊東さんに私の作品の解説をしていただきました。歩くこととランドアート・環境芸術との関係性に焦点を当て、歩行というスピードにおいて発見できることの重要性や、干潟の未来についても触れていただきました。
Tour staff: Kanata Nagate(Photo)
Sayuka Yui