2023.07.09
海浜公園としても整備されているTF04。ここにはTF03と大きくコンセプトが違う施設がある。環境学習館とはなかなか背筋の伸びる名称に感じたが、予想を裏切る体験型の干潟テーマパークとなっていた。拡大模型や映像を使った体験型ゲームによって大人から子供まで干潟に親しめる。ワークショップルームもあり、観察イベントも定期的に開催されているようだ。シーズンは終わっていたが、管理型の潮干狩りも開催されている。鉄道が整備される以前、江戸ー浦安には蒸気船の運行があり、成田や銚子への経由地として、のりの養殖や塩田でも栄えた(塩浜という地名が残るように)。現在は埋立や護岸整備された所も多く、陸に目をやると産廃のストックヤードや物流倉庫などが近景に見え、あまり清々しい海辺の風景は感じられない。
干潟に足を踏み入れると、泥というより砂の割合が高く色が濃い(再生のために新たな砂や砂利も加えられているはず)。思ったよりフカフカする。地下構造を持つ舗装路を歩いているとき、あるいは腐葉土に覆われた岩塊の上を歩いているときとは当然異なる感覚。その湿った柔らかい地下層は、まるで潜む貝や微生物の動きや呼吸を伝えているかのように感じられ、生きている地面とでも思えるのか、天体の中心への連続性を意識させるのか、むしろ確かな地面としての実感がある。そして程よく乾いて割れた断面に堆積岩との同一性を見る。生態系や生物学的な視点、民俗学的な視点で干潟が考えられる一方で、このような地質学的な興味でも干潟を掘り下げることができるのだろうか。例えば堆積学を参照すると、泥は波浪や潮流による水流の影響だけでなく、帯電によって凝集するという(フロキュレーション)。淡水と海水の入り混じる河口域での水中の塩分変化は、特有の生物を育むだけでなく、化学的に地質の生成にも関わっている。また、干潟の形成は河口に関係している点で、しばしばエスチュアリー(テムズ川河口やラプラタ川河口など)との類似性が考えられるようだ。