省略を重ねる表意文字
Update : 2026/2/25
度々ご紹介しているように、日本語では主語を省いたり、造語による略称を用いて会話をしたりと、会話、文脈において省略することが他の言語に比べ日常茶飯事です。英語と日本語の言語の差を文化から読み解こうとするとやはりこの「ハイコンテクスト文化」に繋がるので、この言語の差の根幹の大部分はここに理由があるのかもしれません。
そんな日本語ですが、実際に英語から日本語に翻訳した際、極端に文字数が短くなることがほとんどです。テキストに書き起こすと平仮名、カタカナ、漢字などの文字の幅はアルファベット二文字分ほどあります。感嘆符や疑問符、記号なども同じく日本語の文章ではアルファベット二文字分ほどの幅があります。日本ではこのように一般的な日本語の文章に使われるアルファベット二文字分の正方形の文字を「全角」、アルファベットのように日本語に比べ幅が半分の文字を「半角」と言います。
日本語の文章は、伝統的に全角文字のマス目に沿って構成されるため、1文字の情報密度が非常に高いのが特徴です。ではなぜ文字の幅が大きい全角を使う日本語のほうが英文に比べて極端に短くなるのか。それは主語の省略だけではなく、表意文字(意味を表す文字)である漢字が多用されているからです。
漢字はアルファベット数文字分を1〜2文字程度で表すことができます。
例
・Weather→天気
・South→南
・Information→情報
そのため、日本語では情報量や発音以上にテキストが大幅に短くなることが多いです。
ゲーム制作などでは英語のテキストをこういった表意文字が多用される日本語のテキストに翻訳すると、行数が変わってしまったり、枠の余白が必要以上に生まれてしまったりすることがあります。
そういったときにうまく調整することが、我々翻訳およびローカライズを行う人間の腕の見せ所なのかもしれません。
ちなみに、日本語と英語の大きな違いと言えばもう一つ、文字間の空白の有無、というものがあります。日本人でも幼少期程のころは漢字を読むことが難しいため誰でも読める平仮名のみで文章を構成することがあります。しかし、日本語では基本的に単語間で空白を使わないため、全て平仮名にしてしまうとかえって読みづらくなることがほとんどです。しかし、漢字はそれ自体が意味を表すため、単語の区切りというわかりやすい役割を持っています。
例
・にわにはにわにわとりがいる→庭には二羽鶏がいる
英語にとっての空白の役割を、日本語にとっての漢字が補っている、という側面もあるのかもしれませんね。