初めての翻訳を終えて
Update : 2026/2/16
初めての翻訳を終えて
Update : 2026/2/16
BlueSky、Xでは既に報告しておりますが、先日AcesGames様より最初に翻訳を任せていただいた「Athemore」の日本語翻訳が終了いたしました。ここでは実際に翻訳を通して得た学びと気づきについて、振り返ることを目的として綴っていこうと思います。
当たり前ですが、物語のあるゲームにはナレーション、キャラクターのセリフがあります。また、例えばメモや看板、クエストログなど世界観や物語の流れ、状況に沿って表示されるテキストもあります。実際に翻訳に取り掛かってまず最初に感じた難しさはこの物語の流れを読み解く難しさです。
例えばそのゲーム内の固有名詞が出てきたとして、実際に翻訳する際はそれが固有名詞なのか、一般名詞なのか判別できない場合があります。なので、一般名詞として日本語に翻訳してから実は訳す必要のない固有名詞だと気が付いたケースもありました。
また、実際にゲームをプレイしてから「あの時の言葉はあのことを言っていたのか」と、何についての発言だったのかを知り修正することも多々ありました。
ゲームは漫画や小説とは違いプレイヤーが動いている間の「空白」があります。その間どこからどこに移動したか、何をどうやって入手したか、それらはテキストだけで把握することは不可能で、翻訳を進めて理解するか実際にプレイしてみることでしか気が付くことができません。
翻訳においてテキストとしての間違いではなく、物語、キャラクターとしての矛盾を生まないために物語について正確な理解を深めることの重要性を知りました。
これは以前から少し思っていたことですが、今回実際に翻訳して直に身に染みたことです。英語と日本語では感情表現が微妙に違います。例えば英語では日本語に比べ感嘆符を高頻度で使用します。キャラクターのセリフはもちろんシステムメッセージなど、様々なところで多用されますが、日本語では感嘆符は感情的なセリフ、あるいは重要なメッセージなどの最後にだけ使われることが多く、通常のセリフ、メッセージであればそれが使われる状況は英語に比べ限定的です。
また、沈黙の際に使われる三点リーダー(...)の頻度もやや日本語とは異なります。逆にこちらは英語より日本語のほうがよく使う感じがします。テキストで恐怖、不安、困惑などを表す際には日本語には必ずと言っていいほどこの三点リーダーが使われます。そうでないと冷静、淡々とした印象を与えてしまうからです。英語でももちろん用途は同じでしょう。しかし、やはり日本語にした際もっと沈黙を表現したい、というセリフはいくつかありました。
そういった微調整はやはりその文化の中で生きた人ならではの感覚が必要になるかもしれないと改めて人が翻訳する必要性を感じました。
日本のゲームでもUIや一部のメッセージに英語を使うことはよくあります。例えば「Game Over」や設定画面のテキストなどです。特に、設定画面の効果音は「SE」、垂直同期は「V-sync」など、ここら辺を日本語に翻訳してしまうと逆に人の手ではないという印象を与えることが多くあります。つまり、日本語翻訳においてより自然な表現をするために重要なのはどこを翻訳しないか、になります。
また、世界観や固有名詞を統一するために日本語にするのではなく、読みは英語のまま日本人が読めるカタカナで表記することも多いです。例えばゲームや漫画などの創作物では技名が特にその傾向にあります。日本人にとって異国の言葉である英語はおしゃれでかっこいいというイメージが強いです。作品によっては日本語から英語に翻訳したものをそのまま人物の名前にすることすらあります。例えばレベル1で覚える技をひらがなで表記、レベル10で覚える技をその技名の英語バージョンにするだけでもランクアップした感が出るので、やはり翻訳において感覚部分は大事にしていきたい要素の一つでもあります。
他にもたくさん学んだこと、気づいたことがあります。些細な事、大事なこと、何を伝えるか何を見せるか、様々なことを考えながら翻訳を進めました。そこで見えてきたもの全てに対して今後より一層の理解を深め、いずれはプロにも劣らないほどコンテンツの魅力を日本に届けられるよう、活動を続けていければと思います。
今回本当はもう少しお話ししたいことがあったのですが、それはまた別の記事にまとめます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。