科学アカデミーには、日本学術会議のように学術振興や科学助言のみを役割とするタイプと、研究機関も兼ねているタイプとがある。後者は旧共産圏の国に多い。ハンガリーの科学アカデミーは後者に該当する。
2019年にハンガリー議会は法令により、同国科学アカデミーの研究機関を政府管理機関に移管するよう義務づけた。同機関はイノベーション振興のためにできた新しい組織だったが、この決定によりアカデミーの資産・予算管理に対する大きな権限を得た。アカデミーの研究者は政府の権限が増大したことに反発し、学問の自由を脅かすと主張した。政府はこれを応用研究を重視するイノベーション政策のために必要な施策だと主張した。しかしながら、政権によるこの科学アカデミー改革の動きを、2017年以後にハンガリーで起きた一連の学問の自由抑圧と無関係ではないと考える識者は多い。
参考:
2017年における高等教育法の改正は悪名高い。これによりオルバン政権は好ましくないとみなした高等教育を抑圧した。まず、ジェンダー研究分野の学位を禁じたため国内の教育課程が閉鎖された。また、同法は外国の大学に関して自国にキャンパスを設置することを義務づけたため、米投資家のジョージ・ソロスがハンガリーに設立していた中央ヨーロッパ大学(CEU)はハンガリー国内と米国の学位双方を維持するためにコースの85%をウィーンに移転することを強いられた。
https://www.afpbb.com/articles/-/3200462
https://www.huffingtonpost.jp/entry/ceu-tsuihou_jp_5c5d88f8e4b0974f75b39be2