2010年8月の政令により、トルコ科学アカデミー(TÜBA)の会員数が124名(うち正会員82名、名誉会員42名)から150名に増員され、3分の1をアカデミー会員が、3分の1を高等教育評議会(YOK)、残り3分の1を閣僚理事会が選出することが提案された。会長の選出にも政府関与が強まることになった。アカデミーの独立を侵害するこの提案はアカデミー内部の反発だけでなく、西側の主要な科学アカデミーや国際的なアカデミー連合からも反発を招いた。
反対が非常に強かったので政府は少し譲歩した改革案を2011年に出したが、それはアカデミーの自治を損なう内容だった。というのも、50名の会員を閣僚会議が選ぶという案はなくなったが、かわりに政府組織であるトルコ科学技術研究評議会(TÜBİTAK)の科学理事会が選ぶことになったからである。また、大学の監督を行う機関であるYOKが3分の1の会員を選ぶのはそのまま決まった。そして会長はアカデミーの選出した候補3名から首相が任命するとなった。
このような動きの背景には、すべての自治組織を政府に従属させようとする 傾向を押し進めたエルドアン首相(当時)の意向があったとされる。
参考:
Autonomy of Turky's Academy of Science under threat
https://www.hurriyet.com.tr/yazarlar/sedat-ergin/turkiye-bilimler-akademisi-nde-son-perde-19189271
https://phys.org/news/2011-09-turkish-academy-sciences-independence.htm
2011年の改革に抗議した科学アカデミー会員の一部は抗議の辞任をして、別の組織、Bilim Akademisi Derneği(BAD)を作った。現在、国際学術会議(ISC)の加盟組織リストにはトルコの代表として元のアカデミーであるTÜBAと新たなBADの双方が並んでいる。
参考:
https://council.science/member/turkey-turkish-academy-of-science-tuba/
https://council.science/member/science-academy-bilim-akademisi/
トルコ語サイトの読解には識者の支援を得た。今後、出版媒体等でこのことに言及する場合は謝辞を記載する予定である。