授業の感想についてお書きください。
加藤櫂
今回の授業の中盤で扱われた、フィリピンでの備蓄米の放出についてのニュースは食と政治の結びつきについて考える機会となった。やはり、というか案の定、選挙前のタイミングで備蓄米が放出されるという点には、日本と共通する政治的なパターンを感じざるを得なかった。つまり、庶民の暮らしと密接に関係する「食」を政治の道具として使うことで、有権者の支持を得ようとする構造が、国を問わず見られるということだ。
特に印象に残ったのは、フィリピンの人々にとって米がどれほど生活に根付いた存在であるかという点である。私はカナダに留学していた際に、フィリピン系の家庭にホームステイした経験がある。その家庭では、毎日ほぼ必ず米が食卓に出てきた。それだけフィリピンにおいて、米食は切り離せない物であり、すると、マルコス大統領の唯一の公約が米関係であったいう話も納得できた。
また、「米」は単なる食料ではなく、文化であり、政治的資源でもあるということを改めて感じた。日本でも同様に、食料の備蓄や価格安定政策は政府の重要な仕事の一つだが、フィリピンのような国においては、特に貧困層の人々にとって米の価格と供給は死活問題である。その中で、選挙前に米を格安で配るような行為は、民衆の暮らしや文化に寄り添っているようにみえてしまう。授業を通じて、ニュースを読み解く際には単なる事実の羅列ではなく、その背後にある社会構造や人々の生活、文化を読み取る力が重要だと感じた。フィリピンの社会や政治をより深く理解する上で、「食」は非常に有効な切り口であるのだと思う。
橋本沙椰
私がまず最初に驚き、一気に授業に引き込まれたきっかけがマルコス・ジュニア大統領紹介スライドです。プロフィール欄のところに「追放」や「亡命」というキーワードが当たり前のようにあることから、やはり日本の政治界とはかなり治安や色合いが異なっているのだなと衝撃を受けました。若者世代の間で、彼は支持を受けたとのことでしたが、実際に大統領についてどう思うのか、フィリピンの友達と仲良くなったら聞いて見たいのですが、フィリピンでは政治の話を活発にするのはタブーなのか気になりました。もう一つ気になった点としては、ドゥテルテ氏の支持者がフィリピンの全国民に占める割合です。彼を支持するかどうかで、フィリピン国内の人同士での分断が深まることはあるのか気になりました。米を主食で食べる国といえばまず日本じゃないかという自負があったのですが、先生のおっしゃった「フィリピン人は朝から米を食べる人が多い」といったような言葉と、米の消費量が日本の3倍だという事実は初耳で、大変驚きました。自国の生産だけでは間に合わないが故に、米の輸入大国にもなっているとは相当の米好きが多い国なのだなと親近感がより湧きました。また経済分野でのスライドでお話があった通り、国際空港の民営化が進んでおり、軽量高架鉄道の民営化には、JICAや、さらには阪急電鉄までもが協力をし、出資をしているという情報が印象深かったです。日比関係の話の中で、フィリピンの方達が戦争に巻き込まれ、かつ統治されたという背景がある中で、フィリピンの方々が日本と再び手を取り合うという道を選ぶのには本当に長く途方もない苦しみがあったことは想像に決して難くありません。市街戦で虐殺を日本軍が行ったというのも初めて知りました。その点を決して忘れずに、フィリピンに赴きたいと思います。今年日本側、そしてフィリピン側の戦争遺児の方々が出会い、合同で追悼式展を開かれたという情報も聞き、胸を揺さぶられました。ですが、2世の方々のお話を聞いた後ではなおさら、どうして日本政府関係者が式典に参列しなかったのだろうかが理解できず、憤慨する気持ちも生まれました。文化の面では、ジブリの話がフィリピンやワンピースが浸透してくれているということで、一緒にその話をしてフィリピン人の友人を多く作り、さらに仲良くなるきっかけにしたいなと思いました。
風間里菜
々フィリピンの近代の政治について興味があったため、今回の講義はとても勉強になりました。今回の講義を受けて感じた事としては、今のフィリピンにおける政治では「マルコス氏VSサラ氏」という対立構造が大きく影響しているという事です。また、マルコス氏は全体的にフィリピンの経済的な発展に重点を置いており、一方でサラ氏は父であるドゥテルテ氏のように治安や正義のようなものを貫いている印象を受けました。私が知っている知識は限られているため、あくまでも私の所感ですが、両者ともフィリピンの発展のために動いていると言う点では一致しているものの、その際の政治の進め方に違いがあると感じました。ただ、外国人としてフィリピンの歴史を学んだ身からすると、マルコス氏への不信感のようなものが未だに拭えていない節があります。そのため、息子のボンボン・マルコス氏が現在のフィリピン大統領という事実が意外に感じられます。この背景には、噂されている、ボンボン・マルコス氏の「トロール」の使用もあると考えられますが、それ以外にも国民にとってマルコス氏が魅力的である何らかの要素があると思います。フィリピン国民にとって魅力的に映るマルコス氏の政策について更に調べていきたいです。
また、ジャーナリストであるマリア・レッサ氏が「トロール」の存在について言及した後に、何件も逮捕状が届いた件に関しては、司法と行政の癒着を感じました。それと同時に、目の前の情報を鵜呑みにするのではなく、自分の目で真実を見極めていく事の重要性を再度認識する事が出来ました。"
牧瀬ほほみ
今回の授業では、フィリピンの政治、外交、経済の動向を一度に知ることができ、改めてこの国が大きな転換点にあることを実感した。中でも印象に残ったのは、サラ副大統領の教育相辞任と、ドゥテルテ前大統領が国際刑事裁判所の逮捕状によって拘束されたという一連の出来事である。かつては「ユニチーム」として結束を強調していた政治連合が、急速に瓦解していく様子から、フィリピン政治の不安定さと、指導者個人に対する信頼の重さが浮き彫りになったように感じた。
外交面では、マルコス政権が南シナ海問題に関して中国との対立姿勢を強めている点が印象的だった。以前のドゥテルテ政権が中国寄りだっただけに、ここまで立場を変えるのは大胆な決断であると感じた。フィリピンが漁民支援や海上警備を強化している背景には、国民の主権意識の高まりや、国内の支持を得る狙いもあるのではないかと考えた。また、RAAの署名により、日本とフィリピンの防衛協力が一段と深まっていることから、地域全体の安全保障バランスも変化していく可能性があると感じた。
経済面では、CREATE MORE法の成立による外資誘致の動きや、再生可能エネルギー・原子力発電への投資が特に印象的だった。今までは出稼ぎ労働や製造業が中心だったフィリピンが、より先進的な分野に投資を広げている点に、経済成長への強い意欲を感じた。また、空港や鉄道などインフラの民営化も進みつつあり、国の経済構造そのものが変わろうとしているのが伝わってきた。一方で、中東の紛争によって海外から多くのフィリピン人労働者が帰国を余儀なくされているという話も印象深かった。海外労働に支えられてきた国だからこそ、その不安定さが国全体に影響を及ぼすという現実に、労働政策の難しさを感じた。
全体を通じて、フィリピンは大きな選択を迫られている国であり、どの分野も国内外の動きと密接に結びついていると実感した。これからは日本国内から見たフィリピンの情報をたくさん集めて現地を訪れた際にどのような日本の影響が街で見られるか気づけるようになりたいと思った。"
金子七彩
今日の授業を受けて、私が外国の政治についてまるで無知なことを知らしめられました。日本にいたら政治に関しての話しで政治家が「連行されて勾留される」というような話は稀です。しかし、それがフィリピンではそのようなことが頻繁に起こっていることに驚かされました。日本では若者が政治に関心が薄いと言われていますが、フィリピン内では、選挙の投票率がとても高いそうです。これには納得できると思いました。政治家によって国民の生活がガラリと変わってしまうようならば、必然的に自国の政治に関心が向くと思ったからです。また、「中東戦争でフィリピン人の帰国が相次いている」ということですが、これは大きな問題だと思います。中東は行ったことありませんが、海外に何ヶ国か訪れた際、大勢のフィリピン人が働いている場面に何度か遭遇しました。フィリピンは出稼ぎ大国であり、出稼ぎによって親戚を含め大人数の家族の生活が成り立っているので、行った先の外国で情勢が悪い場合、帰国せざるを得ないと稼げなくなってしまい、フィリピン国内で大問題になる可能性があると思いました。マルコス政権下で外資誘致が一定程度進んでいるということですが、これはどんどん進めるべきだと思います。フィリピンは過去の戦争の影響や植民地下に置かれていた影響でインフラ整備が遅れていると思います。フィリピン国内で整備する技術が人員が足りていないならば外資を誘致して真っ先に整備していくべきだと思います。国民の生活が豊かになって高中所得国に近づけるべきです。
長田明
本授業では、2022年に発足したマルコス・ジュニア政権の3年間を振り返り、政治・外交・社会・経済・日比関係・文化・スポーツといった多角的な視点から、フィリピン現代史の転換点を学ぶことができた。特に印象的だったのは、歴代最高の得票で当選した政権が、わずか3年で与党連合の敗北という形で民意の逆風を受けたという点である。これは、フィリピン国民がただ過去を懐かしむのではなく、現在の政策や生活実感に対して厳しい評価を下しているあらわれであると感じた。
政治面では「ユニチーム」の分裂やドゥテルテ前大統領の国際刑事裁判所による逮捕が、政権の不安定さを浮き彫りにしており、いかに統治の継続性と信頼が問われているかを実感した。また、外交では南シナ海をめぐる緊張と日比防衛協力の進展という二面性があり、地政学的に重要なフィリピンの立場がますます際立っているように感じた。
さらに、経済や社会政策では庶民の期待を背負っていたコメ価格政策のようやくの実現や、再エネ事業や空港民営化など成長の兆しも見え、変化と停滞が混在する現実が浮かび上がっていた。個人的には、日本との関係の中で地下鉄建設や残留2世救済など、人道と未来志向が交差するプロジェクトに深い意義を感じた。この授業を通じて、フィリピン政治を表層的にではなく、構造的・歴史的に捉える視座が養われた。残りの3年間でマルコス政権が何を優先し、どのように国民の信頼を回復しうるのか、引き続き注視していきたい。"
髙橋美凜
今回の授業を通して、これまで触れる機会の少なかったフィリピンの政治事情について詳しく学ぶことができ、とても有意義だったと感じている。フィリピンに限らず、海外の政治について学ぶと毎回驚かされるのが、国民の政治への関心の高さである。特に今回印象的だったのは、マルコス・ジュニア大統領が当選した理由の一つとして「若者からの支持率の高さ」が挙げられていたことだ。日本では若者の選挙参加率が低く、政治活動に積極的に関わる人は少ない。一方で高齢者の投票率が高いため、彼らの支持が政治を動かすという構図が定着している。こうした状況と比べると、若者が政治に対して積極的な姿勢を見せているフィリピンの現状には学ぶべき点が多く、「なぜ日本ではそうならないのか」と改めて考えさせられた。
もう一つ印象に残ったのは、日本とフィリピンの歴史的な関係である。私たちが日常的に抱いているフィリピンのイメージといえば、「バナナ」や「セブ島への語学留学」などが主で、戦争や残留日本人といった深い歴史的つながりについて知る機会はほとんどない。しかし、戦争中に起きた日本軍による虐殺、そしてそれによって生まれた反日感情、さらに今もなお残る日本人の存在など、フィリピンとの関係は決して軽いものではない。私自身、中学・高校の歴史の授業でこれらの出来事を詳細に学んだ記憶はなく、現在の日本人、特に若者の多くがこの歴史を知らないのではないかと感じる。これは「やった側は忘れ、やられた側は忘れない」という典型的な構図の一例であり、歴史に対する記憶の非対称性を示している。
もちろん、過去の出来事に縛られすぎず、未来志向で良好な関係を築くことは大切である。しかし、その前提として、歴史を知り、記憶し、反省する姿勢がなければ真の信頼関係は築けないと私は思う。日本のアニメやポップカルチャーはフィリピンを含め世界中で高い人気を誇っている。そうした文化を自信を持って発信していくためにも、過去を軽視するのではなく、しっかりと心に留めることが重要だ。
私は実際にフィリピンを訪れる1週間の間、この歴史を心の片隅に置き、過去に多くの苦しみを受けたにもかかわらず、今も日本人を温かく迎え入れてくれるフィリピンの人々に、感謝と敬意を持って接したいと思っている。"
木村愛唯
東南アジアの国々が、他の国とどのように関わっているのかについてはほとんど知識が無かったため、イラクなどの中東で働いたり嫁いだりしたフィリピン人がその国の紛争など情勢に巻き込まれて被害を受けている、という話は意外に感じた。
社会問題については、お米を安く売る大統領の政策や、強盗、オンラインカジノの禁止など、日本とも共通する話題であると感じた。日本でも備蓄米を安く売り出したり強盗が相次いだり、賭博の取締りが強化されてきた気がするためである。ただ、フィリピンの強盗犯罪で、日本人が標的にされている話では、日本人が被害届をあまり出さないなどといった、主張の弱さのようなところが、標的にされる理由として挙げられていたが、日本人としてもその国民性を認識しているのに対し、フィリピンからもそのようなイメージを抱かれていることに驚いた。
フィリピン国内で再生可能エネルギー事業が発展してきているのに対し、マルコス大統領が原子力発電所を作ろうとしていることは、再生可能エネルギーで国の消費エネルギーを賄うのは当分難しいということを表しているように思えた。
フィリピンと日本の関係については、マニラでの現地人と日本人兵士のやり取りについて本で読んだことがあり、フィリピン人が日本人に警戒していたり反日していたりするイメージが強かったし、それは実際にあっていたが、今年行われた合同慰霊祭によって、その関係性に変化が出てきているように感じられた。その慰霊祭に日本の政府関係者が欠席したことは、日本で、フィリピンに与えた被害について注目があまりされていないし、政府としても重視していないようであった。"
森井えり子
澤田さん講義をありがとうございました。私はこれまで海外に行く際にその国の政治事情を調べたことがなかったのですが、今回の授業を受けてやはり政治を知っておくことは国に対しての理解が深まるきっかけになると感じました。大統領・副大統領選挙の話などは特に日本と制度が異なる部分だと思うので、知ることができて良かったです。同時に私個人としては同じように日本の話ができるかと言われると全くもってそうではないため、もっと日本の政治にも関心を持たねばならないと危機感を抱きました。
最も印象的だったのは社会問題の話で出てきたコメ価格の問題です。現在日本でもかなり問題になっていることだと思うので、フィリピンでも同じことが問題になっていることに驚きましたし、同じ問題に対してどのように対応したかを知ることができたからです。
また、日比関係についてもあまり知らなかったので印象に残りました。特に残留二世の問題は日本人である肉親と離され、日本人であることが批判される状況を生き抜いた上で、人生を終える前に日本人として認めてほしいという切実な思いが感じられました。49名の方がご存命ということで少しでも早く手続きが進むといいなと思います。"
高見澤礼
政治的な混乱や社会問題、そして南シナ海における緊張など、国内的にも国際的にも不安定な要素を抱えるフィリピンにとって、経済発展、文化交流、そして安全保障の面で他国との協力は不可欠であることがよく分かる。例えば、日本のJICAや阪急電鉄が出資する首都圏の鉄道建設や、再生可能エネルギー事業の推進といった経済分野での国際協力は、国土の制約を抱えるフィリピンが持続的な成長を遂げる上で、まさに生命線となるだろう。また、日本との防衛協力協定「RAA」の締結は、南シナ海の安全保障環境が緊迫化する中で、フィリピンの安全を守る上での重要な一手となるはずだ。
文化・スポーツ分野での交流や、海外のフィリピン人労働者の存在も、フィリピンが単一の国だけで成り立っているのではなく、世界とのつながりの中でそのアイデンティティを形成していることを示唆する。国土が小さくとも、その地理的な位置や歴史的経緯から、フィリピンが国際社会の中で果たす役割、そして他国との相互依存関係は非常に大きいと言える。
マルコス政権のこれからの3年間、特に「高中所得国入り」や「国民の統合」といった目標達成のためには、国内の課題解決と並行して、多様な国々との協力関係をいかに強固に築き、維持していくかが鍵となるだろう。今回の資料を通じて、フィリピンが直面する現実と、それを乗り越えるために国際協調がいかに重要であるかを再認識させられた。"
用正果鈴
フィリピンの政治経済から文化面まで広くお話しいただき大変興味深い内容であった。第二次世界大戦中の日本のフィリピン占領や太平洋戦争のことから、長く日本とフィリピンは関わりを持ってきた。また近年、フィリピンの政治や外交について日本でも広く報道されている。「デュテルテ前大統領」や「マルコス政権」についてもニュース記事などで目にする機会もあったが詳細としてマルコス政権の現状について理解していない部分があったため、本講義で明瞭となった。以前はドゥテルテ前大統領の娘であるサラ氏を副大統領とし、マルコス政権は2022年の選挙にて勝利を収めた。しかし憲法改正や弾劾裁判などを通して対立が深まっている。今年5月に行われた中間選挙ではドゥテルテ派が優勢となったことに驚いた。麻薬戦争をめぐって国際刑事裁判所での裁判が控えている中、なぜフィリピン国内ではいまだドゥテルテ派が優勢であるのか気になった。またこの二項対立的な政治体制は問題であると考える。マルコス氏の父親も前大統領でありいわゆる"2世"であると言える。またサラ副大統領も同じである。フィリピンの国政は両家を中心とした政治となり問題は深まっていくばかりであると考える。今後のフィリピンの政治シーンの新たな動きや3年後の選挙にも注目をしたい。
藤野月実
授業を通して、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領の政権下では、デュテルデ前大統領の政権下の時と比較すると、国内の治安が悪化したことが分かり、緊張感を持つような内容でした。特に、社会問題のスライドにあった、日本人旅行客(フィリピン人の場合もある)を標的にした拳銃強盗犯罪が相次いでいるという部分はまさに自分自身が当てはまるところなので率直に怖いと思いました。日本人は被害に遭っても被害届をちゃんと出す人が少なくて狙われやすいと話されていましたが、日本人の性質として実際にそういうところがあるとも思いますし、国際的にナメられてるようなものだとも思い、個人のやり取りで片付けるのではなく、国同士のやり取りが必要なのではと考えました。一方で、太平洋戦争の戦後80年が日比関係に良い影響をもたらしていることも分かりました。フィリピンのインフラ建設に日系の企業が携わっていることも日本人として誇らしいなと感じます。そして、文化の面で見ても、宮崎駿監督が2024年にマグサイサイ賞を受賞されたということで、ジブリが日本以外のアジア圏にも人気があることの証明になっていると思います。海外人気があることはなんとなく知っていましたが、フィリピンで人気があるとは知らなかったので、親日感情を持ってもらえる大きな一因なのだろうと感じました。
杉本望海
現在、日本において備蓄米のことが問題として大きく取り上げられていますが、フィリピンの社会問題においても備蓄米の放出があったとお聞きし、私は備蓄米はよほど緊急に際して大変なことがなければ政府が放出しようという決断をしないと考えていたので、なぜか親近感が湧きました。また、「勇者の日」、第二次世界大戦中の1942年4月9日のバターン半島陥落と、その戦死者を追悼するために制定された祝日です。この日は、バターン死の行進で犠牲になった人々を偲び、平和を願う日の為に私の友人でフィリピンと日本血を引く人がその日の為に家族でフィリピンに集まるために日本から帰ると聞いたことがあったので、より知識が深まりました。マルコス政権に対して、私は授業を受ける前は知識として、ビアク・ナ・バトー共和国から続くフィリピンとしては第10代目。独裁者としてフィリピンに君臨し、約20年間にわたって権力を握ったが、1986年のエドゥサ革命によって打倒されたという、独裁者というイメージがとても強かったので、具体的に彼が何をしてフィリピンにどのようなものをもたらしていたのかも学習できて、貴重な機会になりました。しかし中尉だったマルコスが18歳の3人の新兵と共に、後方の日本軍前線を突破し敵兵の50人を殺害し、同師団を釘付けにしていた日本軍の迫撃砲を破壊した上で、さらに日本軍の捕虜となった際、拷問をかけられながらもこれに反撃した事には驚きました。
岡崎菫子
今回の授業を受けて、フィリピンについて知らないことだらけであることを知った。たとえば、大統領付近での出来事であれば、マルコスとタッグを組んで選挙を行ったサラドゥテルテと最終的に、資金流用やアジア圏に目を向けるなどの外交方針変更が起こったことにより、サラが辞任し弾劾裁判が行われたことにより、彼らが組んでいた「ユニチーム」が完全に瓦解していた。現政権が誰かは知っていたが、ここまで大きなニュースがあったにも関わらず、その人がどのように活躍していて、どのような状況に置かれているのかを知らずに生活していたことがショックであった。
他にも興味を持った部分は、日本とのつながりである。軍事・政治の面でも文化の面でも繋がりがあり、嬉しい気持ちになった。軍事では、フィリピンが中国とバトル寸前である中、日比部隊間協力円滑化協会という存在があることで、フィリピンの手助けを行い、日本がフィリピンの軍事の手本の一部になることができている。また、文化の面では日本のアニメを見る人が多いということを聞いたが、私のフィリピン人英会話の先生もアニメを見ていたということを聞いていたため、本当にそうなのかと確信を持つことができた。このように、フィリピンと日本の関係が戦後80年経ち緊密になっている一方で、日本に対して反日を抱いている人も少なくない。だからこそ、宮崎駿のスピーチのような文化の面からも日本なりの反省をつづけてゆくべきだ。私も、実際フィリピンでの学習の際は必ず、過去日本がフィリピンに対してどういうことをやったのかを心の中に置きながら学びを進めてゆきたいと思う。
まにら新聞のトップニュース記事リストの中から一番自分として気になるニュースを挙げ、その理由について教えてください。
加藤櫂
比最大洋上風力 発電事業に出資 (2025/6/27) https://www.manila-shimbun.com/ja/category/economy/news289217.html
私がまにら新聞のトップニュースの中で最も気になったのは、「比最大洋上風力 発電事業に出資」という記事である。フィリピンは7,000を超える島々からなる島国であり、風の通り道となる太平洋に面している。すると、その地理的条件から、洋上風力発電に非常に高いポテンシャルを持っている。加えて、国内の地形も山がちで、風が集まりやすい環境も持つ。このような地理的特徴を最大限に生かすことで、再生可能エネルギー、および持続可能な開発の促進に繋がると考えられる。また、同じく島国であり、洋上風力発電の可能性を模索している日本にとっても、この動きは重要な参考になるはずだ。さらには、日本とフィリピンの技術協力や資本提携を通じて、互いのエネルギー政策に新しい道を拓くような新たな国際協力を生むことができる可能性がある。今後もフィリピンの洋上発電に注目していきたいと思う。"
橋本沙椰
私が、まずまにら新聞のトップニュース記事リストの中から何よりも目をひかれた私の一番気になるニュースは、「教えを紡ぐ青い学び舎 パシッグ川河口付近のマドラサ」という記事です。写真の子供たちの笑顔が印象的で思わずクリックしてしまいました。私がこの記事を読んで特に驚いたのは、125人もいる子供たちに対して、無料で教育を提供しているという点です。そのためこれを一番気になるニュースとして挙げました。このマドラサという施設は、イスラム教のムスリムの中に建てられていると書かれていますが、まだ教育省未承認であるためお金は全て寄付金で賄われているという事実にも驚きました。確かに、フィリピンではキリスト教を信仰する人たちが多いのはわかりますが、教育省の補助金が降りないというのは、あまりにもフェアじゃないのではないかとやるせない気持ちになったのと同時に、寄付金だけでこの125人への教育にかかるお金を賄えてしまうという点で、イスラム教へ対するリスペクトを非常に高く持っている人々が多いことの裏返しではないのかとも感じました。ですが、現状は勤めている教員の人たちがボランティア状態になり、学習環境の整備が遅れエアコンもないということも書かれていたため、どうにかして早く教育省の許可が降りてほしいと強く感じました。別のマドラサでは過去に認可が降りた事例があるとのことなので、フィリピン国内にあるすべてのマドラサに許可が降り、子供たちや職員の方たちが安心して学ぶ環境が整備される日がいち早く訪れればいいなと感じます。
風間里菜
講義内で取り上げられていた事もあり、6月21日に今回の講師である澤田先生によってリリースされた「日本の会社代表らと会合 大阪訪問中のマルコス大統領」のニュースが一番気になりました。マルコス氏が現時点で力を入れたいと思っている分野や、日本とのつながりの中でどのような事を期待しているのかについて知る事が出来たため、この記事を選びました。ニュースを読む限り、ビジネスの分野に注力しているように見受けられました。マルコス氏の父も経済面において精力的に活動していたため、この点においては親子で焦点を当てる部分が似ていると感じました。一つ気になったポイントは日本人観光客の誘致に努めていることを強調した点です。おそらく主にセブ島を指しているのではないかと推測しますが、セブ島では観光エリアと現地の方が住んでいる居住エリアとでかなりの違いがあると言う情報を目にしたことがあります。この事を踏まえると、マルコス氏は国規模で見た時に観光による利益の上昇を目指しているのか、あくまでも現地の方々に利益が還元させることを望んでいるのかという疑問が浮かび上がりました。そのため、自分でもう少し調べてみようと思います。
牧瀬ほほみ
2025年7月5日に掲載されていた、「1年近く捜索続ける 強制失踪者の父を待つ姉妹」というタイトルの記事が気になった。たくさんの記事の中でニューストップの欄に書かれた強制失踪という見慣れない文字の不穏さが目に留まった。2012にフィリピン国内で強制失踪防止法が施行されたもののカラパタンによるとマルコス政権下で18人が強制失踪事件にあっているそうだ。授業内でマルコス政権の話を少し学び、歴委最高獲得票で当選した人が半期後信用が落ちてしまったことが気になっていたが、政府の圧政が垣間見える記事だと思い選んだ。強制失踪という単語を知らなかったので調べたところ日本でも2009年に失踪防止法が施行されていることがわかりついこの間まで行われていたことに驚いた。日本もフィリピンも自由なイメージのある国だったが自分が知らないだけで実は政府が日常に介入しているのかもしれないと思った。
金子七彩
「マカティ署のガルドゥケ新署長が、日本人オーナーによる「メトロマニラ飲食店協会」と初会合」
今度、フィールドスクールで実際にマカティにいく身としてとてもこのニュースには関心があります。昨年10月から日本人を狙った強盗事件が増えており、とても恐怖を感じているからです。今まで何度か海外を訪れており、常に日本と同じ感覚でおらず、注意を払うことは意識していますが、実際に日本人を狙った強盗事件が多発しているとなると身より身構えなければならないと思いました。しかし、記事によるとマカティ警察がきちんと機能しており、実際に中国人による犯行にも5分以内に逮捕に対応していることが裏付されており、驚きました。日本では、女性1人でも夜遅くに出歩けるくらい治安が良い国です。ただ、世界の国々ではそうでない国が多いと思います。海外では、より警察が機能しているかが試されているのだと実感させられた記事でした。
長田明
私が注目した記事は、「比日米協力の継続を確認 トランプ政権発足後初の3国外相会談」である。この会談は、フィリピン、日本、アメリカという3国が、地政学的に重要なアジア太平洋地域における協力を再確認したものである。特に南シナ海をめぐる緊張が高まる中での開催は、地域の安定に向けた連携の意義を示している。また、アメリカの外交方針が不透明なトランプ政権下で、日本とフィリピンが対話の場を持ち、関係維持の意思を確認したことにも注目した。日本はこの中で、経済援助や防衛分野での橋渡し役として重要な役割を果たしており、今後の展開にも影響を与えると考えられる。私は国際関係の変化が地域社会に及ぼす影響に関心があり、このような会談がどのように政策や生活に反映されるかを注視していきたい。
髙橋美凜
私が注目したニュースは「比日米協力の継続を確認 トランプ政権発足後初の3国外相会談」である。これは7月10日、マレーシア・クアラルンプールで行われたアメリカ、日本、フィリピン3か国の外相会談に関するもので、南・東シナ海の海洋安全保障や「ルソン経済回廊」について協議された。近年、南・東シナ海における中国の動きはますます活発化しており、日本周辺でも中国船の出現が増えているという報道もある。こうした状況下での3か国による協力の確認は、非常に重要な意味を持つと感じた。また、今回の会談は、マルコス・ジュニア大統領が掲げる南シナ海における主権強化の方針が色濃く反映されたものともいえる。最近では、地域の緊張が「中国 vs 周辺国」という構図だけでなく、「中国 vs アメリカ」という大国間対立の様相も帯びてきている。その中で日本やフィリピンが争いの犠牲にならないことを心から願う。
木村愛唯
「日本統治下の比音楽解説 アヤラ博物館で国民芸術家」というタイトルの記事を選んだ。フィリピンはアメリカに統治された歴史が長く、英語が公用語であることや、大統領制をとる政治制度から、アメリカ植民地としての名残を見つけることができる。一方で、短かったとはいえ、日本が統治した歴史は知っているものの、それがどのような形で残っているかを聞いたことがなく、知らなかったが、この記事を見つけて、音楽に影響を与えたことを知り、それがどのように影響を与えてどう変わったのか気になった。そしてそれが、日本の音楽の導入というようなものではなく、フィリピン人のアイデンティティの追求を促進した、という内容が興味深かった。
森井えり子
『「日本人保護に全力尽くす」 新署長が飲食店協会と会合』というニュース
授業内でも登場した邦人の拳銃強盗被害が発生しているという社会問題に触れられている記事だと思ったので興味を持ちました。実際に記事を読んでみると、警察の対応や最近の関連した出来事まで書いてあり多くのことを知ることができました。8月にフィリピンを訪れることが決まっている身としては心配な社会問題だったのですが、警察がこの問題解決のために尽力していることが伝わってきましたし、邦人(日本人)が被害者届を出さないという問題にも新しい解決策を取ろうとしていることがわかりました。日本人はやはり事なかれ主義が強かったり、海外旅行をする上ではそのような被害に遭う可能性もあると諦めていたりする節が強いのかなと感じました。それが新たな被害を生むことに繋がるとは考えていなかった点だったので、興味深かったです。"
高見澤礼
私が気になったニュースは「ココナツ向け有機殺虫剤承認(2025/7/11)」である。
まずトップニュースにココナツの、しかも殺虫剤に関する記事があることが日本人の私にとっては新鮮であった。ただトップニュースになるということはそれだけココナツ産業を含む農林水産業がフィリピンにおいて大きな産業であるのではないかと感じた。実際、記事にはフィリピンでココナツ農園やココナツ栽培で生計を立てている農民が350万人以上いると書かれており、人口約1億1317万人の約3%にあたる人達がココナツの栽培を仕事にしていることがわかる。しかしこの事実は農林水産業に大きく依存している可能性を示している。実際記事にあるように、ココナツカイガラムシによる被害が拡大し、約2億ペソもの損害が発生している現状は農業に依存する経済が抱える脆弱性を浮き彫りにしている。災害や課題に簡単に左右されない産業構造の多様化が経済安定に不可欠であると感じた。"
用正果鈴
比日米の3国外相会談についての記事に関心を持ち選んだ。理由としては澤田さんのフィリピンの政治についての講義を拝聴しフィリピンの外交についても興味を持ったからである。日本とフィリピンは外交において同じような課題や問題を抱えていると言える。それは中国に対する領有権の問題である。東シナ海や南シナ海の海域の侵害や海上活動の監視を行うなど両国とも対中国との対立は長年問題となっている。そんな中アメリカの立ち位置は非常に重要で、中国にとっても脅威となることがわかる。しかしフィリピンアメリカ間で相互防衛条約が結ばれたのはバイデン政権下であり、トランプ政権になったいま構図も変わっていくことが予想される。こう言った会合が定期的に行われ、対策案や3国間で意見を交換し合う場が設けられることは大切だと感じた。
藤野月実
私は日本政府の無償資金協力で進められている、「バンサモロにおける有権者の意識向上及び選挙プロセスのデジタル化促進計画」の一環で開発された選挙資金報告電子提出システムの披露式典が行われたというニュース(7/4)が一番気になりました。やはり日本に関連したニュースが気になるというのと、日本政府がこの取り組みに支援していることを知らなかったので驚きもあり、このニュースを選びました。フィリピンでは選挙自体の制度はあるものの、票の買収や投票所で脅されるなど一部公平性に欠ける実態があると聞いたことがあります。日本が開発したシステムでは選挙の透明性が確保され、選挙管理の効率性が上がるということなので、フィリピンの選挙の諸問題に良い変化が生まれればと思いました。
杉本望海
アメリカ合衆国、日本、フィリピンの三大臣は、ルソン経済回廊への協力を通じて、インフラや情報通信、重要鉱物を含む多くの資源のサプライチェーンの強靱化を進め、サイバー及び民生原子力といった分野でも更に協力することが、安全保障での協力につながることを確認し、3か国でこうした分野での協力をフォローアップし、具体化していくことで一致しましたという内容でしたが、私は、「民生原子力」というワードが個人的に引っかかりました。自分なりに調べて見たところ、原子力発電所での発電、医療分野における放射線治療や診断、研究機関における原子力技術の研究などが含まれ、医療や人民の為に平和的な目的において、原子力が使用されるという意味で、原子力で多くのエネルギーを補っている現状である日本にとって活躍出来る部分なのではないかと考えました。
岡崎菫子
私が最も気になったニュースは、『比日米協力の継続を確認 トランプ政権発足後初の3国外相会談』だ。トランプに変わってから、バイデン政権の時にできた色々な規約や枠組みが取り消されているのを見て、不安に感じていたため、このような国際関係協力の継続が行われていると知りホッとした。対中国の策だけでなく、実際のフィリピンのデジタル技術だけでなく、鉱物資源なども含めたサプライチェーン強化が行われていると知り、この内容でもアメリカが支援を続けるということは、かなり比日米の連結は国際関係において大きな役割を果たすものなのではないか。この協力機構が、フィリピンと中国の関係性において何か切り札として発動し、フィリピンの海域を守ることに繋がってほしい。