オンデマンド授業については、6月30日(月)から授業映像と資料を配布します。
毎回の授業の公開時間を市ヶ谷キャンパスの3限(13:10)としたいと思います。
各授業については、Google Classroomから告知します。
課題については、その週の指定された期日までに提出してください。
授業の概要
各講義やワークショップの基本情報、マニラでのフィールドワークに関する注意事項についてお知らせします。
私個人のアーティストとしてのフィリピンでの体験、フィリピンの文化や芸術に関する概要、フィールドワークで訪れる各地域に関する情報、や事前調査の方法について、みなさんと意見交換をします。
担当:稲垣立男(いながき たつお)
稲垣立男はコンテンポラリーアーティスト、法政大学国際文化学部教授。フィールドワークによる作品制作と美術教育に関する実践と研究を行う。1992年にネグロス島のバコロド市(フィリピン)で開催されたVIVA EXCON 1992への参加をきっかけに海外での活動を開始。これまでにヨーロッパ・アジア各国、アメリカ、メキシコ、オーストラリアでプロジェクトを実施している。近年はCommunity – Residency for Anthropologists and Artists(2017、イタリア)、VIVA EXCON 2023(フィリピン)などの国際展に参加。また、ArtCamp(2017、西ボヘミア大学、チェコ)、Bacolod Workshop(2019、デラサール大学、フィリピン)などの教育プログラムで講師を務める。
授業の概要
ドゥテルテ前大統領の娘のサラ・ドゥテルテ氏とタッグを組んだフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏が2022年5月の正副大統領選挙で歴代最高の得票数で大統領に当選し、同年6月30日から新政権を打ち立てた。1986年2月の民衆革命でハワイに追放された父親フェルディナンド・マルコス・シニア大統領の失脚から36年目に大統領府の主に返り咲いたのだ。しかし、6年間の任期のちょうど中間に差し掛かった2025年5月12日に行われた中間選挙では、マルコス与党連合が公認した上院議員たちの多くが上院選で敗北し、有権者の民意はマルコス政権に対する不満の声を選挙で届けた格好となった。
このマルコス政権の3年間の軌跡を、政治・外交・社会・経済・日比関係・文化・スポーツ関係などの側面から紹介する。具体的には次のトピックをパワーポイント資料で紹介し、残りの任期3年間のマルコス政権の課題についても見てゆきたい。
1)政治分野の軌跡―①サラ副大統領の教育相辞任や弾劾裁判請求などで「ユニチーム」が完全に瓦解②国際刑事裁判所の逮捕状を受けてドゥテルテ前大統領が逮捕・オランダに連行され拘置される③25年2月の中間選挙で与党連合敗北
2)外交分野―①南シナ海問題で緊張高まる②日比・多国間で防衛協力進展③日比部隊間協力円滑化協定(RAA)が両国の国会で承認される
3)社会問題―①公約だったコメ1キロ20ペソ販売をようやく開始②邦人の拳銃強盗被害相次ぐ③海外向けオンラインカジノ事業者(POGO)の操業を全面禁止
4)経済分野―①CREATE MORE法成立で外資誘致が進む②再生可能エネルギー事業が進展・海外展開する比企業も増加③マニラ国際空港の民営化始まる
5)日比関係―①残留2世救済が前進②戦後80年の「勇者の日」式典③円借款で進める首都圏地下鉄建設工事が本格化
6)文化・スポーツ関係―①宮崎駿監督がマグサイサイ賞受賞②比男子体操でフィリピン人選手が五輪初の金
担当:澤田公伸(さわだ まさのぶ)
フィリピンにある邦字紙のまにら新聞の嘱託記者兼デスク。まにら新聞監修のオンライン・フィリピン語講座も主宰
大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部フィリピン語専攻コース修了後、同大学大学院で修士号。同大学で3年間ほど講師として教鞭を取った後、1996年からまにら新聞で働き始める。気分転換にフィリピンの映画や音楽の視聴、フィリピン各地を旅行したり、お祭りの様子を取材するのが趣味。
授業の概要
フィリピン映画は昨今海外で高い評価を受けており、カンヌ、ベルリン、ベネチア、東京など主要な国際映画祭でも常連となっている。そこで表象される世界像は、フィリピンの人々や文化を理解するのみならず、ポスト植民地時代とは何か、グローバリゼーションはどのように社会に影響を与えているのかについて考える道標でもある。本講義では多くの映像を交えてフィリピン映画を紹介しながら、上記テーマを中心に議論する。
担当:鈴木勉(すずき べん)
国際交流基金マニラ日本文化センター所長
東南アジアとの国際文化交流に長年取り組む。フィリピン、タイ、インドネシアでの海外駐在は通算15年。特に芸術交流や文化協力で多くの経験がある。著書に『フィリピンのアートと国際文化交流』(2012)、『インディペンデント映画の逆襲―フィリピン映画と自画像の構築―』(2020)、『国際文化交流を実践する』(2020、共著)他。青山学院大学総合文化政策学研究科博士後期課程在籍。
授業の概要(仮)
○フィリピンにおける舞台芸術
日本の書道をテーマに創作された舞踊作品「Speak, Body: Fly! 」のコンセプト、演出など、作品完成から発表に至るまでの経緯を追いながら、言語に頼らずに表現する"舞踊"という表現の力、フィリピンと日本の共通点、相違点、表現活動の根源を考察する。
○芸術家視点で見るフィリピンのカルチャー・アート
フィリピンでの創作に向けたリサーチのためにマニラ市街地に滞在した経験を基に、
芸術家視点で受けたインスピレーション、歴史、フィリピンの路上からみたカルチャーを共有する。
担当:石井武(いしいたける)
現代舞踊の父・石井漠のひ孫として生まれ、幼少より舞踊を始める。"祈祷行為"を自身の表現の延長線上にあるものと捉え、日本独特の土着的な動きや古典舞踊を基盤とした現代舞踊を創作し。国内外で高い評価を受ける。近年では舞踊作品の他、フラメンコやオペラ、映像作品、音楽作品やファッションショーの演出や振付などジャンルを超え活動の場を広げている。東京新聞全国舞踊コンクール、日本照明家協会特別賞など、受賞多数。
授業の概要
本講義では、19世紀以降のフィリピン美術を考察するためのキーワードを提案します。8月のフィールドワークで訪問する美術館・アートスペースのいくつかにも触れる予定です。
担当:平野真弓(ひらの まゆみ)
大阪生まれ、マニラ在住のキュレーター、リサーチャー。2016年に「ロード・ナ・ディト」をマーク・サルバトスと共同設立し、文脈に根付いたキュレーションの方法を探っている。研究テーマは、文化や社会的文脈とキュレーティング・アートマネジメントの実践と思考の関係。近年のプロジェクトに「Drawing from Life: Purita’s Artistic Impulse and the 1970s」(Purita Kalaw-Ledesma Center, Makati, 2025)、 「Panultol」展(Viva ExCon 2024, Antique、2023)、「Trace the Traceness of the Ant」展(Purita Kalaw-Ledesma Center, Makati, Manila、2023)、『戸口に立って―彼女がアートを実践しながら書くこと』(共同編集、2023)など。Purita Kalaw-Ledesma Centerディレクター、フィリピン大学ディリマン校芸術学部シニア・レクチャラー。
授業の概要
各授業に関する振り返り、またマニラでのフィールドワークについてのフィードバックについて
まとめの課題についての説明をします。
担当:稲垣立男
日刊マニラ新聞
『戦争の思い出: 日本占領下で生き抜いたフィリピン少女の物語』ヘレン・N・メンドーサ (著), 澤田 公伸 (翻訳), 永井 均 (解説) メディアイランド、2018
『物語 マニラの歴史』ニック ホアキン (著) 宮本靖介、橋本信彦、澤田公伸(翻訳)、明石書店、2005
国際交流基金
国際交流基金マニラ日本文化センター
・フィリピンのアートと国際文化交流 (文化とまちづくり叢書)、鈴木 勉(著)、水曜社、2012
https://suiyosha.hondana.jp/book/b227195.html