担当 沖縄病院 藤田香織
ICD-11のコーディングに取り組んでいる施設とそうでない施設ではICD-11に対する知識の差が広がりつつある.多岐の業務を抱えながら新たにICD-11導入を迎えることに不安を覚える診療情報管理士の方も多い.今回は現行のICD-10のコーディングで生じている疑義がICD-11ではどのようにコードが用意されているかを確認しICD-11導入対策の一助とするべく学会員へ以下のアンケート調査を実施した.
アンケート名称:「傷病名に関するアンケート調査」
実施期間:2025年4-6月
対象:診療情報管理士
設問:「コーディング委員会」等で取り上げられたことのある「傷病名」,最終的に決定したICD-10コード,部位不明・詳細不明コードを減じるために講じている対策,医師のICDに対する理解,自由記載等
アンケート回答依頼方法診療情報管理学会メーリングリスト,国際統計分類委員会のサイトで回答を呼びかけた.
回答方法:GoogleFormにより回答
集計方法:GoogleFormからスプレッドシート作成しExcelへ変換,疾病の発現頻度集計と大項目グループへ分類処理後,目検で確認した.
結果:216人の回答があり,うち208人が診療情報管理士であった.そのうち100人が「コーディング委員会」等で取り上げられたことのある「傷病名」について回答し,196件の傷病名を収集した.回答数が多い傷病名は①肺炎 13件,②脳梗塞が9件,③心不全 8件,④慢性腎不全が4件,⑤敗血症・DICが6件ずつとなっていた.
疑義の多かった傷病名におけるICD-10とICD-11コーディングの比較
同様な傷病名をグルーピングし,データを補正して再集計したところ回答数の多い上位疾患は以下のようになった.(補正内容はこちらから参照)各疾患についてICD-10とICD-11のコードを比較した.
①肺炎等 17件
②心不全等 13件
③腎不全等 10件
④脳梗塞等 9件
⑤敗血症等 8件
⑥DIC等 6件
結果
ICD-11において主要疾患のコーディングでは詳細情報を必須でクラスターコーディングすることが求められており(code also),このルールに則ってコーディングすることでICD-10よりも粒度が高く より詳細な疾病登録が可能となっている。
また複数の病態が存在する場合に,ICD-10では複数の傷病名をそれぞれ単独のコードで表し,病態の関連性を表現できないのに対して,ICD-11ではポストコーディネーションにより複数のコードを組み合わせて病態を詳細かつ正確に表現できる。基本的には主要病態のコードを選択できればブラウザの収載内容に従ってポストコーディネーションを行えるようになっている.