82歳の施設入所女性。高血圧・認知症・腎疾患(左腎結石)・腰椎圧迫骨折あり。多剤耐性菌による尿路感染症で敗血症を発症。メロペネムで改善し、再発予防の指導を行い退院。
有料老人ホームに入所している82歳女性。基礎疾患として高血圧、アルツハイマー型認知症、左腎盂尿管移行部結石、左水腎症、腰椎圧迫骨折の既往、アセトアミノフェン長期服用歴がある。発熱と意識障害(GCS: E4V2M5)で救急搬送された。
来院時検査でCRP 25 mg/dL、WBC 17,300/μL(好中球優位)、腎機能低下(eGFR 20、BUN/Cr上昇)、肝機能悪化(AST/ALT・ALP・γ-GTP上昇)を認めた。尿は混濁し、尿蛋白++,細菌+(グラム陰性桿菌)であった。発熱時に血液培養2セット実施し4本中3本で培養陽性となった.血液および尿培養でE. coliが検出された.いずれもセフェム系およびニューキノロン系に耐性を示す多剤耐性菌(ESBL産生菌)であった。初期治療としてセフトリアキソンを投与していたが無効であり、感受性結果に基づきメロペネムに抗菌薬を変更した。入院中は昼夜逆転や不穏もみられ、眠剤や抗不安薬の調整を行った。
退院時には家族へ鎮痛剤の長期連用を避けること、尿路感染症の増悪や脱水を防ぐため十分な飲水を心がけることを指導した。家族も協力的で、施設への面会を増やし、施設職員と協力して再発予防に努めることとなった.
最終診断:複雑性尿路感染症による敗血症。
UTI Urinary tract infection 尿路感染症
E.coli Escherichia coli 大腸菌
Escherichia(エシェリヒア):大腸菌を発見したオーストリアの小児科医テオドール・エシェリヒにちなんで名付けられた属名
coli(コリ):ラテン語で「大腸」を意味する「colon」の属格(「大腸の」)
ESBL Extended spectrum beta-lactamase producing Escherichia coli
・Sepsis
・Urinary tract infection
・Escherichia coli
・ESBL
・Urolithiasis
・Dementia
・Fracture of spine
敗血症/E. coliのUTIに続発/ESBL
GC08.0/1G40/MG50.27
UTIのステムコードからもポストコーディネーションできる
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起因菌不明の場合→ GC08.Z Urinary tract infection, site and agent not specified
グラム陰性桿菌(GNR)による場合→ MG50.Z Finding of gram negative bacteria resistant to antimicrobial drugs, unspecified
ESBLによる場合→ MG50.27 Extended spectrum beta-lactamase producing Escherichia coli
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その他の既往症
BA00.Z Essential hypertension, unspecified
6D8Z Dementia, unknown or unspecified cause
GB70.0Z&XK8G Calculus of kidney, unspecified;left
NB52.0 Fracture of lumbar vertebra
UTIでは以下のような疾患も扱うことが多い
•ureteral obstruction 尿管閉塞
•Hydronephrosis 水腎症
•Urolithiasis 尿路結石
結石性腎盂腎炎
GB51&XK8G/GB70.1&XK8G/GB56.1/MG30.40
腎盂腎炎 左 尿管結石 左 尿管閉塞を伴う水腎症 (疝痛発作)
参考)2025/9/7 近畿病歴管理セミナー ICD-11勉強会「感染症」
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その他の既往症 (入院時併存症 &XY6M のエクステンションコードを使用しても良い)
BA00.Z Essential hypertension, unspecified
6D8Z Dementia, unknown or unspecified cause
GB70.0Z&XK8G Calculus of kidney, unspecified;left
NB52.0 Fracture of lumbar vertebra
😣1G40 Sepsis without septic shock
Postcoordination
causing condition
GC08.0 大腸菌による UTI
GC08.Z Urinary tract infection, site and agent not specified
その他の筋によるUTI
肺血症→GC08.Z UTI にE.coliのエクステンションコードを選ぶと→ GC08.0になる😆
Associated with からESBLを選ぶとクラスター化できる
重症なバイタルの記載はないので「ショックを伴わない敗血症」を選択
MG50.27 Extended spectrum beta-lactamase producing Escherichia coli
中級コーディングルール 最も主要な病態のステムコードのブラウザからクラスターコーディングできる
上級コーディングルール サマリー内容を全てクラスターコーディングできる (マニュアルコーディングを含む)
国内コーディングルール 最も重篤(臨床的に重大な)な疾患名をコーディングの先頭に出す
プロポーザル
高齢者のUTIは繰り返し発症することが多い
「どのような治療をしたか」というデータよりも,「どのようなケアをすると入院を減らせるか」という視点のデータが重要度を増してくる.
介入とその結果を記録することは重要である.
家族や施設職員への再発防止のための教育や指導の介入がどれだけ入院を減らせるかというデータが得られると良い.