掲載:2025年6月30日
東方への旅
私の名前はジョン・マーシャル。トーストマスター歴5年で、オンラインで成田トーストマスターズ(エリア2、ディビジョンG)に参加しており、オーストラリアのシドニーから定例会に出席しています。私は長年にわたり日本に憧れてきました。成田クラブの例会はハイブリッド形式で開催されているため、私はこの素晴らしい国と文化と小さなつながりを持つことができました。
私は子どもの頃、日本のテレビドラマ「西遊記」の海外版「モンキー」の大ファンでした。この番組はBBCによって買い取られ、英語に吹き替えられた後、1980年代を通して定期的に放送されました。すぐにカルト的な人気を博し、視聴者は毎週、堺正章さんと仲間たちが妖怪と戦いながら伝説の経典を求めて旅する冒険を楽しみにしていました。西洋の視点から見ると、それは異国的で魔法のようで、「モンキーマジック」というゴダイゴの主題歌のとおり、他には何も似たものがありませんでした。当時の私たちは、休み時間にその登場人物たちを真似て遊んだものです。みんな夢中でした。
それから何十年も経ち、最悪なオーストラリアのコロナ・ロックダウンのさなか、たまたま「モンキー」の全話を収めたDVDボックスを見つけました。その中には、日本以外では放送されなかったエピソードも含まれており、なんとオリジナルの英国声優たちによって何年も後に新たに吹き替えられていました。これは、イギリスやオーストラリアでこの番組がどれほど愛されていたかを象徴しています。声優たちは、シリーズを「完成」させたいという思いで再集結したのです。私はすぐにそれを購入し、期待を裏切りませんでした。
そのうち、私はトーストマスターズで培ったプレゼンテーションスキルを活かし、パンデミックのなかでも人々の心を少しでも明るくできるよう、「モンキー」のエピソードをレビューし、現代社会にユーモアを交えて関連付けるポッドキャストを始めることにしました。
誰にも興味を持たれないだろうし、私の皮肉まじりのユーモアも伝わらないだろうと思っていました。けれども、この番組自体が成功を収めたように、私のささやかなポッドキャストも、最初はゆっくりとしたスタートでしたが、やがて40か国以上にリスナーを持つ国際的なカルトヒットへと成長しました。SpotifyやAppleに載るなんて夢にも思っていませんでしたが、80話、40時間を超えるコンテンツを公開し、今ではそれが現実です。トーストマスターズが自信をくれ、モンキーがコンテンツをくれ、そしてCOVID-19が時間をくれました。あとはマイクがあれば十分だったのです!
それで、なぜ今この文章を書いているのか?
2025年4月、堺正章さん――つまり「モンキー」その人――が東京で行われるレトロな音楽イベントに出演するとネットで知りました。たとえ歌詞がわからなくても、ぜひ生で見てみたい!でも、行けるのだろうか?読者の多くがご存知ないと思いますが、海外から日本のコンサートチケットを入手するのはとても困難です。日本語入力のないPC、現地住所の不在、そして言語の壁など、障害が多すぎてほとんどの場合は失敗に終わります。
そこで、トーストマスターズの助けを借りられないか?もちろん、成田トーストマスターズの素晴らしい会長・吉岡さんが助けてくれると申し出てくれました。それだけでもありがたいのに、さらに野口さんと伊藤さんも一緒に参加することになり、なんとイベント主催者に手紙を出してくれたのです――「海外のポッドキャスターと堺さんをお引き合わせできませんか?」
私は期待していませんでした。有名人にはこのような依頼が山ほど届くはずだからです。しかし、渋谷を観光していたある日、「Yes!」という知らせが届いたのです。そのとき、私は有名なスクランブル交差点ではなく、まるで空中を歩いているような気分でした。
そしてコンサート当日、ついに子どもの頃のヒーローに会えました。年齢は重ねていましたが、まぎれもなく「斉天大聖 孫悟空」その人でした。「ヒーローには会うな。幻滅するから」と言うことわざがありますが、私はまったくそうは思いません。堺さんは英語も上手で、日本での私の活動や、ポッドキャストがどれほど成功したかにも本当に関心を持ってくれました。1970年代の演技が、今でも海外で愛されていることに、心を打たれたようでした。
私はポッドキャストのTシャツ(少し大きめでしたが、日本の方はスリムですから)を贈り、代わりに堺さんのサイン入り自伝と、この一生に一度の出会いを記念する写真をいただきました。何十時間にも及ぶポッドキャスト制作の集大成――すべて報われた瞬間でした。
帰国前には日本の他の地域も訪れました。そして東京に戻る前に、成田クラブでスピーチをする約束をしており、驚いたことに、会の前には地元観光にも連れて行ってもらえました。特に、上間さんの発案で訪れた酒蔵見学は、私にとって初めての体験でした。周辺のクラブからも、ディストリクト76の幹部の方々までお越しくださり、本当に心温まる歓迎を受けました。素晴らしい人々が集う、素晴らしい国でした。
ゴダイゴの曲は「Monkey Magic」ですが、私は今、成田の皆さんが生み出した“マジック”の方を、より深く心に刻んでいます。それはまさに、トーストマスターズの精神そのもの ― 支え合いながら学ぶ環境、国境を超えて助け合う心、そしてコンフォートゾーンから飛び出し、子どもの頃の夢を叶えようとする勇気。それらがなければ、すべては不可能に思えたことでしょう。けれど、私のポッドキャストがそうであったように、それは可能だった。そして今、それは一生の宝物となりました。
ジョン・マーシャル(オーストラリア・シドニー、ディストリクト70)
2025年、成田で起きたモンキーマジックと日本酒の奇跡……乾杯!
※「JP’s Monkey Magic Podcast」はSpotify、Apple Podcast ほか、各種配信サービスで配信中
※成田トーストマスターズは、毎月第1・第3火曜日にZoom/ハイブリッドで開催中です