文法略説
本頁では、タカン語の文法を簡易に解説する。
簡単のために国文法の用語を積極的に利用した。
音韻
以下のものは通常は単独で用いない。
ー r :長音符号であり、直前母音を長音化する。
ん n :撥音記号であり、pbmの前では[m]、cstdnlの前では[n]、kgの前では[ŋ]、それ以外の場合は直前の母音を鼻母音化する。
っ x :促音記号であり、直前子音を長音化する。通常、有声音の前には立たない。
ぁぃぅぇぉは半母音を伴う音節に用いる。
例:kja -> きぁ
kwa -> くぁ
ただし、通常はwを半母音として用いることはない。
統語論
1. 文構造
「主題+述部」の構造を取り、必要に応じ補足を加えていくのを基本とする。
2. 用言
用言 文の中核をなし、語形変化する。
終止形:述語として主体の動作を表す。
連体形:体言を修飾する。また、述語として主語の状態、性質を表す。
連用形:用言を修飾する。また、述語として主語の状態、性質を表す。
命令形:命令や希望、義務を表す。
母音幹
言る (cemalu) 語幹:cema
終止形 cemalu
連体形 cemala
連用形 cema
命令形 cemaci
子音幹
積む (comu) 語幹:com
終止形 comu
連体形 coma
連用形 come
命令形 comi
特殊活用
為 (cu) 語幹:c
終止形 cu
連体形 cola
連用形 co
命令形 ci
3. 体言
体言:助詞を伴い、動詞の主体や対象となる。
体言の形は一切変化しない。
4. 間投詞
間投詞:話者の感情補足を行う。
5. 助詞
助詞:名詞や文を接続する役割をする。
5-1. 格助詞
直前の語の文中での格を示す。
主格 - 主語を表す。〜が
対格 ki 於 目的語を表す。〜を
所格 kan 処 場所を表す。〜に、で、へ
奪格 oca 来さ/耒 始点を表す。〜から、〜より、〜のため
経由格 men 経由点を表す。(現代では稀。) 〜を通って
属格 a 之 修飾語を表す。 〜の
共格 ata 加た 並列や、共同の相手を表す。〜と
列挙格 ju 亦 列挙を表す。〜または
5-2. 接続助詞
二つ以上の語の関係を示す。
単純接続 wa 而 ~して
仮定 ken 即 ~すれば
5-3. 副助詞
直前の語を取り立てて、文全体の修飾語となる。
主題 ja 文の主の話題を提示する。〜は
添加 o 亦 付け加えることを示す。〜も
限定 tetu 唯 それだけであることを示す。〜だけ
5-4. 助動詞
動詞的な助詞のこと。またそれに類するもの。
完了 (a)ta 終 すでに完了したことを示す。
無意識 (a)c-u 能す (為活用) 受け身、自発、可能などの無意識性を表す。
意識 (i)lu 心る 推量、意思、使役など意識性を示す。
存続 (e)m-u 在る 動作や状態の継続を示す。
尊敬 (e)t-u 下つ 動作主への敬意を明示する。
謙譲 (e)co-lu 上る 被動作主への敬意を明示する。
開始瞬間 (e)jan-u 生ぬ 動作が開始した瞬間に注目する。
終了瞬間 (e)nit-u 入つ 動作の終了した瞬間に注目する。
移動隔離 (e)mok-u 行く 離れ行く動作を示す。
移動接近 (e)cak-u 来く 近づいてくる動作を示す。