エイズは死の病?~HAART(多剤併用療法)の効果

エイズという病気で死ぬことはありません

エイズというのは、身体の免疫力が無くなり、健康な身体なら罹らないような病気になってしまう事です。

『日和見感染症』と呼ばれるものが主体になります。

つまり、エイズと言う病気がある訳ではありません。

死ぬとするなら、その病気が原因で死ぬことになります。

エイズの原因となる、HIVが、体内から自然消滅する事はありません。

発症の時期に個人差はありますが、いずれはエイズを発症することになります。

ですが、HIV感染症の治療レベルは、年々向上していて、

『死の宣告をされるのが怖いから、検査しない』なんて時代じゃなくなっています。

特に、今の日本に暮らしている限り、十分な医療技術や保険制度があり、むしろ、エイズで直ぐに死んでしまうことは難しくなっています。

発症時期よりも、寿命の方が先に来ることも、不思議ではないのです。

エイズは、「死の病(やまい)」から「長生き出来る病気」に変わりつつあるのです。

これは、1997年に導入された、HAART=多剤併用療法に起因します。

HAART=多剤併用療法

(HAART=Highly Active Anti Retro-virus Therapy)~直訳すると「高活性の抗レトロウイルス療法」ですが、

「エイズの発症を遅らせる為の抗HIV薬による強力な併用療法」という意味に使われます。

HAARTはカクテル療法とも呼ばれ、癌や結核の治療にも使われる治療方法です。

現在は、ART(Anti Retro-virus Therapy)と呼ぶように、統一されつつあります。

HIVはウイルスの中でも突然変異が起こりやすいウイルスで、1種類の薬だけを使い続けると、

その薬に対して突然変異を起こし、薬剤耐性ウイルスが出現します。

薬剤耐性ウイルスが出現すると、その薬は効かなくなってしまい、薬の変更をする必要があります。

そのため、認可されている、20数種類のHIV治療薬の中から、2~3種類の薬を組み合わせて飲みます。

それが、1997年に導入された、HAART(多剤併用療法)です。

HAART開始以降、エイズによる死亡数は急激に減少しました。

日本のHIV感染者とエイズ患者の累計総数は約17,000人ですが、現在の年間の死亡者数は20人程度です。

HAARTによって、HIV感染症を慢性疾患として扱うことさえも可能となってきました。

しかし、薬の副作用で、動脈硬化や高脂血症や糖尿病等の生活習慣病にかかりやすくなることもあります。

また、エイズの発病後より、発病前からの治療の開始は、免疫力の向上に違いが出てくることも多く、

早期発見・早期治療は、やはり、重要な課題です。

もしも、思い当たることがあり不安なら、まずは、検査です!!

国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、2012年の年間報告書で、治療薬と予防薬の普及により、

エイズを克服できる日が近づいているとの見解を示した。

UNAIDSは報告書で、過去10年間でエイズによる死者は減少し、エイズウイルス(HIV)感染者数も安定したと強調し、

エイズの克服は「完全に実現可能」だとした。

UNAIDSによると、2011年末時点の世界のHIV感染者は約3400万人。

エイズによる死者数は170万人となり、ピークだった2005年の230万人、2010年の180万人から減少した。