研究室見学の際によくいただく質問について、予め回答をまとめてみました。研究室選びの参考にしてください。また、見学やセミナーへのゲスト参加も随時受け付けています。セミナーはオンラインで実施しているため、気軽にご参加いただけます。興味のある方はぜひご連絡ください。修士・博士課程を問わず、他大学からの進学も歓迎しています。実際、大学院進学者の半数程度は他大学出身です。ただし、他大学から進学する場合は、研究に取り組める期間が比較的短くなるため(内部生は卒業研究から一貫して関連テーマに取り組むことが多く、時間的アドバンテージがあります)、内部生以上に密度の濃い研究生活を送る覚悟が必要です。
学振PDの応募も歓迎しており、ラボの設備を活用し主体的に研究できる場合は、「寄生と共生」「生物種間相互作用」などの大きな括りで共通点があれば、研究材料・テーマは自由です(もちろん、菌従属栄養植物など、末次研で扱っている研究材料を希望する方も歓迎します。その場合は、これまで培ってきた技術と末次研の知見・技術を統合し、どのような謎を解明しうるか、テーマの立案も含めて相談に乗ることが可能です)。興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
末次研究室では、「寄生と共生」「生物種間相互作用」や「ナチュラルヒストリー」などをキーワードに、進化生態学や系統分類学の視点から様々な生物の「生き様」の研究を行っています。その中でも、「ラン科植物とその共生相手 (菌根菌や送粉者) との共進化」や「菌従属栄養戦略の普遍性・生態系へのインパクト・進化原理」に関する研究に力を入れています。
こうした研究に関連する未解決テーマをいくつか紹介して、興味を持ってもらえたテーマに取り組んでもらうことになります (挑戦的なテーマのほかに、保険として短期間で成果が出るテーマも並行して行うことが多いです)。先輩の研究に関連する内容をテーマとする場合も、単純な手伝いではなく独自のテーマと言える課題に取り組んでもらいます。
各個人が独立したテーマを取り組むため、アドバイスやお膳立ては適宜行いますが、自身で主体的にテーマを深め研究を進めることが必要になります。特に博士後期課程への進学希望者には、対象種、実験手法や解析技術など何らかの形で末次本人と差別化できる挑戦的な研究課題を提示し、学生さん本人にさらにそのテーマを深化してもらっています。
なお近年、当研究室に関心を寄せてくださる学生さんが年々増えております。大変ありがたいことではありますが、その一方で、物理的なスペースや、各学生の研究マネジメントにかけられる末次の時間が限られてきているのが現状です。このため、安全面・資金面を含め、十分に責任を持って指導できる体制を維持する観点から、現在は学生さんによる研究テーマの持ち込みは、原則として受け付けておりません。ただし、サブテーマとして趣味的に取り組むことは可能ですが、その場合でも卒業要件に関わる別のテーマに並行して取り組んでいただくことになりますので、あらかじめご了承ください。
室内で完結する仕事もあるので、必ずしもフィールドワークが必須という訳ではありません。フィールドワークを経験したことがないがやってみたいという人も歓迎します。人手が必要な調査やフィールドワークの経験が少ない学生さんの調査は、研究室の他メンバーのサポートのもと複数名で調査を行ってもらっていますのでご安心ください。またフィールドワークがしたい人も、明らかにしたい謎を解くために最適な手法を取り入れていく気概が必要です。私自身も、フィールドワークの他に、DNA解析や安定同位体分析といった手法を組み合わせ、研究を進めています。
より深くミクロに切り込んでいきたいという希望も歓迎です。例えば「光合成をやめた植物」関連でいうならば「どのようなメカニズムで菌を騙して養分を略奪できるようになったのか?」という問いは、非常に面白い問いです。マクロ・ミクロの枠にとらわれず挑戦的な問いに果敢にチャレンジする学生さんも歓迎します。
生き物好きが集まるラボです。もちろん、好きな分類群や「マニア度」は人それぞれで、マニアでなければならないというわけではありません(笑)。雑談では生き物の話で盛り上がることができ、また、さまざまな珍しい生き物に触れられる環境は、生き物好きにとって大きな魅力となるでしょう。
さらに、日本の生物多様性の豊かさを活かし、自然界の不思議を明らかにすることをモットーに研究している点も特色の一つです。実際に生き物を観察する中で生まれた疑問から研究をスタートさせるため、「わかりやすい」「取り組みやすい」テーマに着手できる利点があります。
また、これまで誰にも知られていなかった生物の生き様を明らかにすることを目標としている(=得られる知見はすべて新しい)ため、短期間で一定の成果を挙げられる可能性が高いことも特徴です。実際に、学部生で論文を執筆したメンバーもおり、博士課程に進学しない場合でも英語の原著論文執筆に取り組む学生もいます。修士課程までで修了される場合、英語での論文執筆はもちろん義務ではありませんが、研究者を目指すかどうかに関わらず、自分が一生懸命取り組んだ研究成果を「後世の人が辿れる形で世に残す」ことは、非常に有意義であり、大きなやりがいを感じられる経験になると考えています。 総じて研究に本気で取り組みたい学生にとっては、資金面や共同研究者を含めたバックアップ体制などを含め、比較的良好な研究環境を提供できていると考えています。
(2025年6月1日現在)