ランの種子を食べるハエによる被害調査のご協力のお願い

「キンランの種子ができない!?」

私たちの調査で,ランミモグリバエというハモグリバエの1種の食害により,キンランやギンランなどのラン科植物の種子が全くといってよいほどできていないことが明らかになりつつあります (一見,果実ができているように見えても,中身は空っぽな場合がほとんどです).

この状態が昔から続いてきたものならば問題ないのですが,特に近年になって猛威を振るっている可能性が指摘されています.この理由として (1) エビネブームのときに広まった(国内)外来種のため,寄生蜂などの天敵がいない可能性,あるいは,(2) ランの個体群が分断化されることで,天敵の方だけがいなくなった可能性の二つが挙げられていますが,証明された訳ではありません.

そこで私たちは,(1) 全国的な被害の定量化と (2) ハエの遺伝構造の検討による外来種説の検討に取り組んでいます.受粉してから3週間程度経過した果実を送付していただくだけですので,比較的低い労力でご協力いただけると思います (但し,遺伝子を検討する関係上,異なる個体由来の果実は,別のジップロックにいれる,もしくは,同じ株由来ものを同じテイッシュでくるむなど,どのような方法でもよいので,区別できるようにしてください).本研究は,キンランなどの保全対策をする上で重要な基礎情報になります.調査結果は,まとまり次第,速やかに,ご協力いただいた皆さまへのフィードバックを行います.ぜひご協力いただけましたら幸いです.

関東地方につきましては,十分なサンプルを取集できたため,追加サンプルの必要はありません.ご協力ありがとうございました.

※注意 都市公園などでは,植物の採取が禁止されている場所もあります.採取可能かご確認のうえ,ご協力ください.

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“ハモグリバエ”によるラン科植物の被害状況の調査ご協力のお願い_1
“ハモグリバエ”によるラン科植物の被害状況の調査ご協力のお願い_2